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役員報酬とは?給与との違いや税務・社会保険の注意点を徹底解説

2025.06.11 スタッフブログ

「役員報酬って何?給与とは違うの?」「報酬を途中で変えたら税務上問題になる?」「社会保険や助成金にどう関係するの?」——大阪・東京・福岡・名古屋などの中小企業経営者や総務担当から、役員報酬に関する質問が増えています。

以下のようなお悩みを抱えていませんか?

  • 「役員にも給与を払っているけど、税務的に大丈夫?」
  • 「役員報酬を変えたら損金にならないと聞いたが本当?」
  • 「社会保険料や助成金への影響を知らずに設定してしまった」

役員報酬は、法人経営の中核でありながら、税務・労務・会計・社保の知識が複雑に絡み合う制度です。
間違った設定や運用をすると、損金不算入・追徴課税・助成金不支給といったリスクが発生します。

この記事では、「役員報酬とは何か?」の基本から、給与との違い、設定ルール、損金算入の条件、社会保険・就業規則・アウトソース活用まで、中小企業が押さえるべき実務知識をわかりやすく解説します。

役員報酬とは?基本の考え方

1. 役員報酬の定義

役員報酬とは、会社法上の「役員」(取締役・監査役・執行役等)に対して支払われる報酬のことです。
労働の対価ではなく、経営判断・監督の対価として支給されます。

2. 従業員給与との違い

項目 役員報酬 従業員給与
契約形態 委任契約 雇用契約
労働法の適用 基本的に適用外 適用あり
助成金対象 対象外 対象
社会保険加入 あり(原則) あり

3. 誰が決めるのか?

役員報酬は、株主総会または取締役会の決議によって決定されます。
中小企業では定款や株主総会議事録での明記が一般的です。

4. 法人税法上の扱い

役員報酬を損金(経費)として認められるかどうかは、次の3つの形式に限られます:

  • 定期同額給与(毎月同じ額)
  • 事前確定届出給与(支給予定を事前に税務署に届出)
  • 利益連動給与(上場企業等のみ)

役員報酬の設定・運用でやるべき8つのアクション

  1. 報酬額の根拠を明確にする
    理由:税務署から「過大・過少」と指摘されるリスクを回避。
    方法:業績・同業他社・資金繰り等を基に設定。
    効果:説得力ある報酬設定が可能。
  2. 株主総会議事録を整備・保管
    理由:報酬決定の法的根拠として重要。
    方法:決議内容を毎期記録し、5年保管。
    効果:税務調査での証明資料となる。
  3. 定期同額給与を厳守
    理由:額や支給日を途中で変えると損金不算入になるため。
    方法:固定額・固定日で支給。
    効果:経費計上の正当性を確保。
  4. 社会保険料の負担を試算
    理由:役員も厚生年金・健康保険の対象となる。
    方法:報酬額に応じた保険料をシミュレーション。
    効果:資金繰り・退職後の年金に反映可能。
  5. 事前確定届出給与の活用検討
    理由:賞与支給や変動報酬の損金化が可能に。
    方法:株主総会決議後1カ月以内に税務署に届出。
    効果:柔軟な報酬制度設計が可能。
  6. 給与計算と区分して管理
    理由:従業員給与と混同すると助成金・制度上不利になる。
    方法:給与ソフトで「役員報酬」区分を設定。
    効果:制度連動性の確保と監査対応力の強化。
  7. 就業規則ではなく「役員規程」で管理
    理由:役員は労働者ではないため、労基法外。
    方法:「役員報酬規程」を別途整備。
    効果:社内統制・ガバナンス向上に貢献。
  8. 社労士・税理士と連携
    理由:法改正や制度変更への対応に専門性が求められる。
    方法:報酬設定・届出・社保・助成金を一体で相談。
    効果:正確性と効率性の両立。

よくあるQ&A

Q1. 役員に賞与を出してもいいの?
A. 原則NG。ただし、「事前確定届出給与」として届出した場合のみ損金計上可能です。

Q2. 赤字でも役員報酬を支払っていい?
A. 法的には問題ありませんが、資金繰りや金融機関評価の観点で慎重な検討が必要です。

Q3. 役員は労働基準法の対象になりますか?
A. 基本的に対象外ですが、取締役が実質的に従業員と同様の勤務をしている場合、労働者性が認められるケースもあります。

Q4. 助成金申請に役員報酬は含まれる?
A. 含まれません。助成金の対象となるのは「雇用保険に加入している従業員」のみです。

まとめ

役員報酬は、法人の財務・税務・社会保険に大きな影響を及ぼす重要な制度です。

  • 適切なルールと根拠に基づいた金額設定が必要
  • 損金算入・保険料・助成金への影響を理解する
  • 顧問社労士・税理士と連携して、安全な制度運用を行う

大阪・東京・福岡・名古屋の中小企業でも、役員報酬の見直し・整備が進んでいます。今こそ「正しい報酬設計」で、経営基盤の強化に取り組みましょう。

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