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休業手当と休業補償の違いとは?知らないと損する仕組みと受給方法を解説

2025.05.21 社労士コラム

はじめに

「休業手当と休業補償ってどう違うの?」「仕事を休んだとき、どちらがもらえるのか分からない」「会社から休業手当が出ないって言われたけど本当?」——こんな疑問や不安を感じたことはありませんか?

近年、コロナ禍や景気変動による休業が増える中、労働者として知っておきたいのが「休業手当」と「休業補償」の違いです。しかし、言葉が似ていることもあり、混同してしまいがち。正しく理解していないと、本来もらえるはずの手当や補償を受け取れない可能性もあります。

なぜこのような不安が生まれるのでしょうか?それは、両者が適用される状況や制度の根拠となる法律が異なり、会社側の説明も十分ではない場合があるからです。

この記事では、「休業手当」と「休業補償」の違いをわかりやすく整理し、それぞれの仕組みや受給方法、注意点まで徹底解説します。この記事を読むことで、もしものときに損をしないための知識が身につきます。ぜひ最後までご覧ください。

休業手当と休業補償の違いを徹底解説

● 休業手当とは?
休業手当は、労働基準法第26条に基づき、**会社都合で休業させられた場合**に、労働者に支払われる手当です。具体的には、使用者の責めに帰すべき事由(経営不振、機械故障など)で労働者を休ませた場合に、平均賃金の60%以上を支払う義務があります。

● 休業補償とは?
一方、休業補償は労災保険法に基づく制度で、**労働災害によって労働者が働けなくなった場合**に支払われます。業務中のけがや病気などで療養が必要となり、働けない期間中に平均賃金の60%が支給される仕組みです。

● 歴史と背景
労働基準法は1947年、労災保険法は1947年に制定され、日本の労働者保護制度の礎となっています。戦後の労働環境改善の一環として導入され、今なお時代に合わせて改正されています。

● 現在の社会的傾向と統計
コロナ禍による休業では、厚生労働省の調査によれば2020年の段階で全国の労働者の約1割が何らかの形で休業手当の対象となりました。また、労働災害件数は毎年約10万件とされ、休業補償が支給されるケースも一定数存在します。

● よくある誤解とその真実
「どちらも会社が払うもの」「休業すれば必ずもらえる」という誤解もありますが、休業手当は会社が直接支払う義務があり、休業補償は労災保険から支給されます。また、**自然災害や不可抗力による休業**では休業手当の対象外となる場合もあります。

● 具体例:Aさんのケース
製造業のAさんは、会社の機械故障で1週間休業になりました。この場合、会社都合のため「休業手当」として平均賃金の60%以上が支払われました。一方、作業中にケガをして1ヶ月間休職した際は「休業補償」として労災保険から60%が支給されました。

● 知っておきたい豆知識
休業手当の「平均賃金」は、直近3ヶ月間の総賃金÷その期間の総日数で計算されます。一方、休業補償の支給額はこれとは異なり、労災認定後に労災保険から支給されます。

休業手当・休業補償を正しく受け取るための8つのアクション

1. 休業理由を正確に確認する
理由:どちらの制度が適用されるかは、休業理由によって異なるため。
方法:休業の原因が「会社都合」か「労災」かを確認します。
効果:適切な制度に基づいた請求ができ、損をしません。

2. 就業規則を確認する
理由:会社独自の休業手当規定がある場合があるため。
方法:休業時の取り扱いについて、就業規則を確認します。
効果:会社のルールを理解し、スムーズに対応できます。

3. 労災認定の手続きを行う
理由:労災補償を受けるには、労働基準監督署の認定が必要なため。
方法:会社を通じて労災申請書類を提出し、認定を受けます。
効果:正当に休業補償を受けられます。

4. 休業手当の支払い基準を確認する
理由:平均賃金の計算方法を知ることで、受取額を把握できるため。
方法:直近3ヶ月の賃金明細を確認し、平均賃金を計算します。
効果:不適切な支払いがあれば指摘できます。

5. 労働基準監督署に相談する
理由:会社が休業手当を支払わない場合の公的な相談先として。
方法:最寄りの労働基準監督署に状況を説明し、相談します。
効果:必要に応じて指導が入り、問題が解決する可能性があります。

6. 休業中の生活保障を検討する
理由:手当や補償だけでは生活費が不足する場合があるため。
方法:失業保険や生活支援給付金など他の制度を調べ、申請します。
効果:生活に必要な資金を確保できます。

7. 会社からの説明を文書で確認する
理由:休業理由や手当の支払い条件を記録として残すため。
方法:休業通知書や説明資料を保管します。
効果:トラブル時の証拠になります。

8. 社会保険料の扱いを確認する
理由:休業中も社会保険料が発生する場合があるため。
方法:給与控除や支払い義務について会社に確認します。
効果:手当の使い道を計画しやすくなります。

やってはいけない行動:
曖昧な説明で納得してしまう
理由:間違った情報で判断してしまうと、損をする可能性があるため。
方法:必ず制度の根拠や金額を明確に確認し、不明点は質問します。
効果:納得のいく形で手当・補償を受け取れます。

よくあるQ&A

Q. 休業手当と休業補償は両方もらえる?
A. いいえ、同じ休業期間について両方を受け取ることはできません。休業理由によって適用される制度が異なります。例えば、会社都合で休業すれば休業手当、労災なら休業補償です。

Q. 自然災害で休業した場合はどうなる?
A. 自然災害など不可抗力による休業は、会社に休業手当の支払い義務はありません。ただし、自治体の支援制度や失業給付などの活用が考えられます。

Q. 休業補償を受け取るのに時間がかかる?
A. 労災認定には時間がかかることがあります。早めに必要書類を提出し、進捗を確認しましょう。認定までの間、健康保険の傷病手当金で生活を補うケースもあります。

Q. 休業手当の60%は必ず支払われる?
A. 会社都合の休業であれば、労働基準法上は平均賃金の60%以上が支払われる義務があります。60%を超える支払いを行っている会社もあります。未払いの場合は労働基準監督署に相談しましょう。

まとめ

この記事では、「休業手当」と「休業補償」の違いと、それぞれの制度の仕組みや受給方法について解説しました。

ポイントは以下の3点です。
① 休業手当は会社都合、休業補償は労災時に適用される
② 制度や適用条件をしっかり確認し、正しく申請することが大切
③ 困ったときは労働基準監督署や労災保険を活用し、生活を守る

万が一のときに備えて、今すぐ自分の会社の休業規定や労災制度を確認しておきましょう。知識があるだけで、安心して働き続けることができます。

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