新着情報

取締役の給与はどう決まる?仕組みと税務上の注意点を徹底解説

2025.05.23 社労士コラム

「取締役の給与ってどうやって決めるの?」
「役員報酬は従業員の給与と何が違うの?」
「税務署の指摘が入らないためには、どんなルールが必要?」

会社を経営するうえで避けて通れない取締役の給与(役員報酬)。従業員の給与とは異なり、取締役の給与は独自のルールが設けられており、税務上も厳しくチェックされるポイントです。

役員報酬の設定を誤ると、損金不算入となり法人税負担が増えたり、税務調査で指摘を受けたりするリスクがあります。しかし、適正に設定すれば節税効果や経営の安定化につながります。

この記事では、取締役の給与の決め方や税務上の注意点、実務で押さえるべきポイントまで詳しく解説します。経営者や役員の方はもちろん、これから法人化を検討している方もぜひご覧ください。

取締役の給与(役員報酬)の基本とその仕組み

■ 役員報酬とは?

役員報酬は、会社の役員(取締役、監査役、執行役など)に支払われる給与のことです。一般社員の給与とは異なり、法人税法に基づいて厳格なルールがあります。

・対象:取締役、監査役、会計参与など
・内容:定期同額給与、事前確定届出給与、利益連動給与のいずれかで支給

■ 役員報酬の主な種類

  • 定期同額給与:原則、毎月同額で支払われる給与。法人税法で最も一般的。
  • 事前確定届出給与:あらかじめ税務署に届け出た金額・支払日に基づいて支給。
  • 利益連動給与:上場企業などで、利益に応じて支払われる給与(要件が厳しい)。

■ A社のケース

中小企業のA社では、取締役の役員報酬を月50万円とし、定期同額給与として支払っています。途中で報酬額を変更すると損金算入が認められないため、決算期に合わせて見直しています。

■ 実は意外と知られていないこと

役員報酬は利益調整目的で途中変更できないルールがあります。たとえば、赤字回避のために報酬を減額したり、利益が出たから増額するなどの操作は法人税法上、原則認められず、損金不算入になるリスクがあります。

取締役の給与設定で押さえるべき実務ポイント8選

  • 1. 定期同額給与を基本に設定する

    理由:法人税法上、損金算入できる最も一般的な方法のため。
    方法:毎月一定額で報酬を支給し、変更は原則決算期に限ります。
    効果:税務リスクを避け、適正な報酬設定ができます。

  • 2. 事前確定届出給与を活用する

    理由:賞与などを支給する場合、届け出が必要なため。
    方法:税務署に支給額・支給日を届け出てから支給します。
    効果:役員賞与でも損金算入が可能になります。

  • 3. 利益連動給与は慎重に判断

    理由:上場企業など特定の企業のみが対象で、要件が厳しいため。
    方法:利益連動給与を検討する際は、税理士など専門家に相談しましょう。
    効果:税務上のリスクを回避できます。

  • 4. 報酬額の変更は決算期に行う

    理由:期中の変更は原則認められず、損金不算入になるため。
    方法:株主総会や取締役会で決議し、議事録を残します。
    効果:正当な報酬額変更が可能になります。

  • 5. 議事録をきちんと残す

    理由:税務調査で証拠資料として求められるため。
    方法:役員報酬決定の際は、株主総会・取締役会議事録を作成・保管します。
    効果:税務署からの指摘を防げます。

  • 6. 税務署への届出期限を守る

    理由:事前確定届出給与などは期限厳守が必要なため。
    方法:定められた提出期限(株主総会から1カ月以内など)を確認します。
    効果:損金算入の適用が確実になります。

  • 7. 社会保険料の負担も考慮する

    理由:役員報酬は社会保険料の計算基準にもなるため。
    方法:報酬額に応じた保険料負担をシミュレーションします。
    効果:会社と役員双方の負担を最適化できます。

  • 8. やってはいけない:利益調整のために報酬を途中変更

    理由:法人税法に反し、税務調査で否認されるリスクが高いため。
    方法:報酬額変更は原則決算期に限定し、計画的に行いましょう。
    効果:税務リスクを回避し、健全な経営ができます。

Q&A〜取締役の給与(役員報酬)に関するよくある疑問

Q. 役員報酬の額は自由に決められる?
A. 会社ごとに自由に設定できますが、税務上は妥当性が求められます。過度に高額・低額だと税務署から指摘される可能性があります。

Q. 途中で報酬額を変更したい場合は?
A. 原則として決算期にしか変更できません。急な変更が必要な場合は、税理士や社労士に相談しましょう。

Q. 役員賞与は損金算入できない?
A. 事前確定届出給与として税務署に届け出れば、損金算入が可能です。届け出がない場合は不算入となります。

Q. 役員報酬と従業員給与の税務上の違いは?
A. 従業員給与は労働対価として原則損金算入されますが、役員報酬は法人税法上のルールに従い、損金算入に制限があります。

LINE お問合せ

大阪なんば駅徒歩1分
給与計算からIPO・M&Aに向けた労務監査まで
【全国対応】社会保険労務士法人 渡辺事務所

こちらの内容もお勧めです