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労使協定と労働協約の違いとは?押さえておきたい基本と実務ポイント

2025.05.23 スタッフブログ

「労使協定と労働協約って何が違うの?」
「36協定は労使協定?労働協約?」
「自分の会社ではどちらが適用されているんだろう?」

労働環境に関わる重要な取り決めである「労使協定」と「労働協約」。どちらも似たような言葉ですが、実はその内容や法的効力、結び方に大きな違いがあります。企業側も労働者側も、正しく理解しておかないと、労務トラブルの原因になりかねません。

この記事では、労使協定と労働協約の基本的な違いから、押さえておきたい実務上のポイントまで詳しく解説します。特に、36協定(時間外労働・休日労働に関する協定)など、具体的な取り決めに関わる知識もお伝えするので、ぜひ最後までご覧ください。

労使協定と労働協約の違いを基礎から解説

■ 労使協定とは?

労使協定は、労働基準法などの法律に基づいて、使用者(会社)と労働者代表が結ぶ取り決めです。例えば、法定労働時間を超える残業を可能にする「36協定」や、賃金控除の取り決めなどがこれにあたります。

・労働者側の締結相手:労働者の過半数代表者(労働組合がない場合)
・法律上の根拠:労働基準法など
・効力範囲:会社と締結した労働者全体

具体例:
・36協定(時間外労働・休日労働)
・賃金控除協定(会社の設備弁償など)
・変形労働時間制の導入協定

■ 労働協約とは?

労働協約は、労働組合法に基づき、使用者(会社)と労働組合が結ぶ取り決めです。賃金や労働時間、休日など労働条件全般について交渉し、決めた内容が労働協約となります。

・労働者側の締結相手:労働組合
・法律上の根拠:労働組合法
・効力範囲:組合員だけでなく、原則として全労働者に適用(拡張効)

具体例:
・賃金に関する取り決め
・労働時間や休日の取り決め
・退職金や福利厚生のルール

■ Aさんのケース

例えば、ある会社で「賃金体系」を変更する際、労働組合が存在すれば労働協約として取り決めることが可能ですが、労働組合がない場合は労使協定で賃金控除の内容などを決める形になります。

■ 実は意外と知られていないこと

労働協約には強行規定としての力があり、仮に就業規則や個別の労働契約と異なる内容があっても、労働協約の内容が優先されます。一方、労使協定は労働契約の補完にあたるため、労働契約の一部となりますが、労働協約ほどの強制力はありません。

実務で役立つ!労使協定・労働協約を理解する8つのポイント

  • 1. 自社に労働組合があるか確認する

    理由:労働協約が締結できるか判断するため。
    方法:人事担当や総務に確認しましょう。
    効果:どの取り決め方法が必要か理解できます。

  • 2. 労使協定は必ず書面で作成する

    理由:法律で書面化が義務付けられているため。
    方法:協定書に使用者と労働者代表の署名捺印を行い、保管します。
    効果:法令違反を防げます。

  • 3. 労働協約には届け出不要だが強い効力がある

    理由:法的に契約の一部となり、就業規則より優先されるため。
    方法:労働組合との交渉で決まった内容を労働協約として文書化します。
    効果:組合員以外の労働者にも適用されます。

  • 4. 36協定は必ず労働基準監督署へ届出が必要

    理由:時間外労働・休日労働を合法的に行うためには届出が義務付けられています。
    方法:労働基準監督署に必要書類を提出しましょう。
    効果:法令違反による罰則を回避できます。

  • 5. 協定や協約の有効期間を確認する

    理由:自動更新でない場合、期間満了後に無効になるため。
    方法:協定書や協約書の有効期限を管理しましょう。
    効果:更新漏れを防げます。

  • 6. 労使協定は「過半数代表者」が必要

    理由:労働組合がない場合、労働者の過半数を代表する者が必要。
    方法:投票や挙手などで過半数代表者を選出します。
    効果:正当な協定締結が可能になります。

  • 7. 労働協約は交渉が前提

    理由:労使間の合意を得るためには交渉が必須。
    方法:労働組合との交渉を通じて取り決め内容を決定します。
    効果:労働条件の合意形成がスムーズに進みます。

  • 8. やってはいけない:協定や協約を形骸化させる

    理由:実態と合わない取り決めはトラブルの元になります。
    方法:定期的に内容を見直し、実態に合った内容に更新しましょう。
    効果:健全な労使関係を維持できます。

Q&A〜労使協定・労働協約に関する疑問を解決!

Q. 36協定は労働協約とは違う?
A. はい、36協定は労使協定の一種であり、労働組合がなくても締結できます。一方、労働協約は労働組合との取り決めです。

Q. 労働組合がない場合、労働協約は結べない?
A. その通りです。労働協約は労働組合との取り決めなので、組合がなければ労使協定を活用します。

Q. 労使協定は届け出が必要?
A. 内容によります。36協定のように労働基準監督署への届け出が必要なものもあれば、会社内で保管するだけで良いものもあります。

Q. 協定や協約を無視しても罰則はない?
A. 労使協定や労働協約は法的な効力があります。特に36協定を無視した時間外労働は労基法違反となり、罰則が科されることもあります。

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