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平均賃金とは
平均賃金の計算や適用場面に不安を感じる総務担当者様へ
「解雇予告手当の計算で平均賃金を使うけれど、正確に計算できているか心配…」「休業手当を支給する際の平均賃金60%の根拠がよくわからない」「有給休暇の賃金を平均賃金で支払う場合と通常の給与で支払う場合の違いは?」そんな疑問を抱えていませんか?
100名規模の企業では、解雇予告手当、休業手当、有給休暇、労災補償など、平均賃金を基準とした計算が頻繁に発生します。計算方法を間違えると、労働基準法違反による行政指導のリスクがあるだけでなく、従業員との労働紛争に発展する可能性もあります。特に、複雑な賃金体系や変動する手当がある場合、何を含めて何を除外すべきかの判断が難しく、適切な計算には専門知識が必要です。
一方で、平均賃金を正確に理解・運用することで、適正な労務管理の実現、法的リスクの回避、従業員との信頼関係構築が可能になります。特に労働紛争が発生した際、適切な平均賃金の計算と支払いは企業の誠実性を示す重要な要素となります。
本記事では、全国対応のHR BrEdge(エイチアールブレッジ)社会保険労務士法人が、100名規模企業の経営者・総務担当者が押さえるべき平均賃金の正確な計算方法と実務での活用ポイントを詳しく解説します。複雑なケースにも対応できる実践的な知識をお届けします。
平均賃金の基本概念と100名規模企業における重要性
平均賃金とは、労働基準法に基づき、労働者が受け取る賃金の計算基準となる金額です。この指標は、解雇予告手当や休業手当、有給休暇中の給与、労働災害時の補償額を算出する際に使用される、労務管理における極めて重要な概念です。
平均賃金の基本計算方法
平均賃金の基本的な計算式は以下の通りです:
平均賃金 = 直近3か月間に支払われた賃金の総額 ÷ 3か月間の総日数
100名規模の企業では、多様な賃金体系の従業員が混在するため、計算の複雑さが増します:
雇用形態 | 賃金構成例 | 計算上の注意点 | よくある間違い |
正社員 | 基本給+諸手当+残業代 | 臨時的手当の除外 | 賞与を含めてしまう |
契約社員 | 月給+業務手当 | 契約期間の考慮 | 日割り計算の誤り |
パートタイマー | 時給×労働時間 | 労働日数の変動 | 最低保障額の未適用 |
営業職 | 基本給+歩合給 | 歩合給の変動考慮 | 最低保障の計算誤り |
平均賃金に含まれる賃金・含まれない賃金
適正な計算のためには、何を含めて何を除外すべきかを正確に理解する必要があります:
【含まれる賃金】
- 基本給
- 諸手当(通勤手当、住宅手当、職務手当など)
- 時間外労働手当
- 深夜労働手当
- 休日労働手当
- 出来高払い制の賃金
【除外される賃金】
- 臨時に支払われた賃金(結婚祝い金など)
- 3か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
- 通貨以外で支払われる賃金(現物給与など)
- 労働基準法で定められた割増賃金(平均賃金算定目的の場合)
100名規模の企業では、従業員ごとに異なる手当構成があるため、個別の判定が必要になるケースが多くあります。
平均賃金が適用される主要な場面
100名規模の企業で平均賃金が必要となる主な場面と頻度:
- 解雇予告手当(年間数件):30日前予告なしの解雇時に30日分支払い
- 休業手当(時期により変動):会社都合休業時に平均賃金の60%以上支払い
- 有給休暇の賃金(制度による):平均賃金・通常賃金・健康保険標準日額の選択
- 労災補償(稀発):業務災害時の休業補償等の基準
- 減給制裁の上限(稀発):懲戒処分時の減額上限(平均賃金の半日分)
特に、コロナ禍のような突発的な事業環境変化では、休業手当の支給機会が急増するため、迅速で正確な計算が求められます。
複雑なケースの平均賃金計算と実務上の対処法
100名規模の企業では、標準的な計算方法では対応できない複雑なケースが頻繁に発生します。以下、実際の事例と効果的な対処法をご紹介します。
変動の多い賃金体系での計算事例
営業会社PP社(従業員105名)の複雑計算事例:
歩合給の比重が高い営業職の解雇予告手当計算で、月ごとの賃金変動が大きく、適正な平均賃金の算出に苦慮していました。顧問社労士と連携して最低保障額との比較検討システムを構築し、適正な計算を実現しました。
具体的な計算例:
- 1か月目:基本給20万円+歩合給15万円=35万円
- 2か月目:基本給20万円+歩合給8万円=28万円
- 3か月目:基本給20万円+歩合給22万円=42万円
通常計算:105万円÷92日=11,413円
最低保障:(20万円×3か月÷92日)×60%=3,913円
→11,413円を採用(高い方を選択)
この仕組みにより、労働基準法に適合した適正な計算が実現され、労働紛争のリスクも回避されました。
製造業QQ社(従業員112名)の事例:
シフト勤務による夜勤手当の変動が大きく、平均賃金計算が複雑でした。勤務パターン別の自動計算システムを導入し、正確で迅速な算出を実現しました。
特殊な状況での平均賃金算定
入社3か月未満の従業員への対応
- 雇用開始から算定事由発生日までの期間で計算
- 期間が短い場合は日割り計算
- 同種労働者の平均賃金との比較検討
- 最低保障額の適用確認
長期病気休業期間を含む場合
- 休業期間と休業期間中の賃金を除外して計算
- 実労働期間が短い場合の調整方法
- 労働基準監督署への事前相談推奨
- 医師の診断書等の根拠資料保管
産前産後休業・育児休業期間を含む場合
- 休業期間を除外した計算方法
- 復職後の賃金変動の考慮
- 育児休業給付金受給期間の取り扱い
- 短時間勤務制度利用時の調整
平均賃金計算の実務フロー最適化
ステップ1:基礎情報の収集(即日)
- 算定事由の発生日確定
- 対象期間(直近3か月)の特定
- 賃金支払い実績の抽出
- 特殊事情の有無確認
ステップ2:賃金の分類・整理(1日)
- 算定対象賃金の特定
- 除外すべき賃金の識別
- 期間按分が必要な手当の処理
- 計算根拠資料の整備
ステップ3:平均賃金の算出(1日)
- 通常の方法による計算
- 最低保障額の算出
- 高い方の金額の採用
- 計算過程の記録・保存
ステップ4:適用・支払い(2-3日)
- 該当する労働基準法条文の確認
- 支払い金額・時期の決定
- 従業員への説明・通知
- 支払い実行と記録
システム化による計算精度向上
100名規模の企業では、平均賃金計算の自動化により、精度向上と業務効率化を同時に実現できます:
- 給与システムとの連携による自動データ抽出
- 賃金項目の自動分類機能
- 複数計算方法の並行実行
- 計算根拠の自動記録・保存
- 労働基準監督署提出資料の自動生成
アウトソース活用による専門性確保
複雑な平均賃金計算は、社労士事務所へのアウトソースにより専門性と正確性を確保できます:
- 複雑ケースの法的判断
- 計算方法の妥当性検証
- 労働基準監督署対応
- 労働紛争時の根拠資料作成
- 法改正への迅速対応
給与計算業務と併せてアウトソースすることで、一貫した労務管理の品質向上が可能になります。
平均賃金計算で頻出する実務上の疑問をQ&A形式で解決
Q1:残業代込みで平均賃金を計算すると、休業手当が高額になりすぎる場合の対処法は?
A: 労働基準法上は適正な計算結果であり、減額はできません。ただし、普段の残業が異常に多い場合は、労働時間管理の見直しが必要です。経営者としては、休業手当の支払いリスクも考慮した適正な労働時間管理が重要になります。予防策として、36協定の遵守徹底と業務効率化により、平常時の残業時間を適正レベルに抑制することをお勧めします。
Q2:賞与を年4回支給している場合、3か月ごとの賞与は平均賃金に含める?
A: 3か月を超える期間ごとに支払われる賃金に該当するため、原則として除外します。ただし、毎月の基本給の一部を賞与として分割支給している実態がある場合は、含める必要があります。重要なのは支給の実態と性質です。総務担当者は、支給根拠となる就業規則や労働契約書の記載内容を確認し、不明な場合は専門家に相談することをお勧めします。
Q3:有給休暇の賃金を平均賃金で支払う場合と通常の賃金で支払う場合、どちらが従業員に有利?
A: 一般的には通常の賃金の方が有利ですが、歩合給の比重が高い従業員や、直近3か月で高額な手当があった場合は平均賃金の方が有利になることがあります。企業は就業規則でどちらを採用するか決定できますが、一度決めたら全従業員に統一適用する必要があります。従業員の満足度向上を考慮するなら、有利な方を選択できる制度設計も可能です。
適正な平均賃金計算で実現する信頼される労務管理
平均賃金の正確な理解と適用は、労働基準法遵守の基盤であり、従業員との信頼関係構築の重要な要素です。適切な計算により、法的リスクの回避だけでなく、従業員の安心感向上と企業への信頼醸成を実現できます。
100名規模の企業では、多様な雇用形態と賃金体系により計算の複雑さが増す一方で、一人ひとりの従業員との関係性が重要になります。適正な平均賃金の計算と説明により、企業の誠実性と専門性を示すことで、長期的な人材定着と組織力強化につなげることができます。
現在の平均賃金計算に不安を感じていらっしゃるなら、今すぐ専門家にご相談ください。全国対応のHR BrEdge社会保険労務士法人では、2007年創業・給与計算月1万人の豊富な実績をもとに、複雑な平均賃金計算から労働基準監督署対応まで包括的にサポートいたします。ミスを出さない仕組みづくりにより、安心できる労務管理を実現いたします。LINE・Slack・Chatworkでの迅速な相談対応も可能ですので、まずはお気軽に無料相談をご利用ください。
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