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【2025年改正】60歳・総務担当必見|高年齢雇用継続給付が見直しされます

2022.09.06 社労士コラム


高年齢雇用継続給付は、雇用保険の被保険者であった期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の雇用保険一般被保険者が、原則として60歳以降の賃金が60歳時点に比べて、75%未満に低下した状態で働き続ける場合に支給される制度です。

高年齢雇用継続給付は、「高年齢雇用継続基本給付金」と「高年齢再就職給付金」の2種類に分かれています。

高年齢雇用継続基本給付金

60歳以降も基本手当(俗にいう失業保険等)を受け取らず継続して雇用されている人のうち、上記のとおり賃金が低下した人に支給されます。

高年齢再就職給付金

60歳以降に一旦離職し、基本手当等を受給し、65歳までに再就職した場合に支払われる一時金です。

改正前(現行)の支給額

60歳以降の各月の賃金が60歳時点の賃金と比べて61%以下に低下した場合

⇒各月の賃金の15%相当額が支給されます。

60歳時点の賃金と比べて61%~75%未満に低下した場合

⇒低下率に応じて、15%相当額未満の額に調整されて支給されます。

(例)高年齢雇用継続基本給付金

60歳時点の賃金が月額30万円だった人が、60歳以降、各月の賃金が18万円に低下すると、60%に低下したことになりますので、1か月あたりの賃金18万円の15%に相当する額の2万7千円が支給されます。

改正後の支給額(2025年4月1日以降)

60歳以降の各月の賃金が60歳時点の賃金と比べて61%以下に低下した場合

各月の賃金の10%相当額が支給されます。

60歳時点の賃金と比べて61%~75%未満に低下した場合

低下率に応じて、10%相当額未満の額に調整されて支給されます。


先ほどと同じ例でいうと、 支給額は1万8千円に減ることとなります。


また、段階的に給付率の引き下げは続いていき、最終的には給付制度は廃止される見通しだそうです。

改正の背景

2020年から始まった新型コロナウイルス感染拡大防止措置の一環として、雇用調整助成金の要件緩和・特例措置が設けられ、雇用調整助成金のこれまでの支給決定累計額は、5兆9千億円を超えています。

※2022年7月22日時点、緊急雇用安定助成金含む


原則として雇用調整助成金の支給財源は雇用保険から捻出されますが、2021年の時点で既に臨時特例法により一般会計からの繰り入れが行われるなど、
雇用保険の財源運営は厳しい状況が続いています。

財源確保のため、2022年4月からは雇用保険料のうち事業主負担分の保険料率を引き上げ、2022年10月からは労働者負担分・事業主負担分ともに保険料率が引き上げされます。


また、今回の給付制度の改正の背景にあるのはこのような財源難だけではなく、給付のメリットを減らすことで賃金低下を前提とした企業の雇用体制に改革の意識をもたせ、高年齢者の雇用確保を推進する目的もくみ取れます。

高年齢労働者処遇改善促進助成金(仮称)が創設予定

今回の高年齢雇用継続給付制度の見直しに伴い、公正な待遇の確保を推進する等の観点から、新しい助成金制度の創設が予定されています。


高年齢労働者処遇改善促進助成金(仮称)では、60歳から64歳までの高年齢労働者の処遇改善に向けて取り組む事業主に対し支援を行う予定とのことです。

以下の内容は2022年7月現在で公表されている仮案ですので、変更になる可能性があります。ご了承ください。

支給対象

雇用保険適用事業所であって、以下の要件をいずれも満たす事業主

・60歳から64歳までの高年齢労働者の賃金規定等を改定し、6か月以上適用していること

・当該事業所に雇用される労働者にかかる高年齢雇用継続基本給付金の受給額が一定割合(賃金規定等改定前後を比較して95%)以上減少していること

助成内容等

〇当該事業所に雇用される労働者(申請対象期間の初日において雇用されている者に限る)に係る、賃金規定等改定前後を比較した高年齢雇用継続基本給付金の減少額に、以下の助成率を乗じた額を助成

・大企業:3分の2

・中小企業:5分の4

まとめ

今回の高年齢雇用継続給付制度の支給率引き下げにより、高年齢層の労働者からは企業の待遇改善の声が益々強まることが予想されます。
最低賃金の引き上げや、法定福利費の増額に続いて、企業担当者にとっては耳の痛い話が続きますね。 目まぐるしく変わる法律に振り回されないよう、早い段階から事前に想定しておきましょう。

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