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賞与を支払うときの社会保険料計算について

2022.09.13 社労士コラム


賞与とは、毎月の定期的な給与とは別に支払われる特別な賃金のことです。年3回以下に支給されるものが対象です。

賞与を支給するときは、社会保険料を控除しなければなりません。

雇用保険料は給与支給時と同じ計算方法ですが、社会保険料は計算方法が異なります。

社会保険料の計算は以下の通りです。

賞与支払時の社会保険料の計算方法

【計算式(従業員負担分)】

①賞与額 ×(厚生年金保険料率 ÷ 2)

②賞与額 ×(健康保険料率(介護保険料率含む)÷ 2)


賞与額は、総支給額(社会保険・税金などの控除する前)から1,000円未満を切り捨てた額です。従業員の社会保険料に1円未満の端数がでたときは、50銭未満は切り捨て、50銭以上は切り上げになります。


(賞与額の例)

賞与総支給額:235,500円

社会保険料の計算時の賞与額:235,000円

【保険料率】

厚生年金保険料:18.3%

健康保険料:都道府県によって異なります

介護保険料:毎年変動します


都道府県ごとの保険料率、介護保険料率は、以下サイトの保険料額表よりご確認ください。

令和4年度保険料額表(令和4年3月分から)


介護保険料は、介護が必要な高齢者を支える保険制度です。

賞与支払月に40歳に達した日(誕生日の前日)があるときは、介護保険料が必要です。40歳から64歳までは健康保険料と一緒に介護保険料を徴収し、65歳に達した日からは原則年金から保険料が徴収されます。

そのため賞与支払月に65歳に達した日(誕生日の前日)があるときは、賞与支給時に徴収は行いません。


厚生年金保険料は、70歳以上の被保険者については厚生年金保険に加入する資格を失うため、徴収は不要です。

社会保険料計算時の賞与額の上限

社会保険料がかかる賞与額の上限は、健康保険(介護保険含む)、厚生年金保険ごとに法令等で定められています。

健康保険

4月1日から翌年3月31日までの賞与の累計額573万まで


年度の途中で転勤・転職等により、被保険者資格の取得・喪失があった場合の標準賞与額の累計は、保険者単位(協会けんぽ、健康保険組合等)で行います。

したがって、同一の年度内で複数の被保険者期間がある場合は、同一の保険者である期間に決定された標準賞与額を累計することとなります。


資格喪失月に支払われた賞与や、後述するとおり育児休業等による保険料免除期間に支払われた賞与については保険料の徴収は行われませんが、決定された標準賞与額も年度の累計額に含まれます。

厚生年金保険

1回の賞与額150万円まで


同じ人に同じ月に賞与が2回支払われる場合は、2回の賞与の合計額が150万円に達するまで厚生年金保険料がかかります。

産休・育休中は社会保険料は控除しない

事業主が年金事務所や健康保険組合に申出手続きを行うと、産前産後休業期間中・育児休業等(育児休業または育児休業の制度に準ずる措置による休業)をしている間の社会保険料は、被保険者本人負担分・事業主負担分ともに免除されます。

免除期間

社会保険料が免除されるのは、産前産後休業・育児休業等を開始した日が含まれる月から、終了した日の翌月が含まれる月の前月までの期間です。(かつ、子が3歳に達するまで)

つまり、月末時点で産休・育休を取得していることが要件です。

この期間内であれば、毎月の給与にかかる社会保険料と同様に、賞与からも社会保険料が免除されます。


ただし、このうち育児休業等の取り扱いは 2022年10月から出生時育児休業(産後パパ育休)の新設に伴いルールが厳しくなります。合わせてチェックしていきましょう。

産休育休中の賞与の社会保険料 (2022年10月以降)

⇒ 連続して1ヶ月を超える育児休業を取得した場合のみ社会保険料が免除されます。

※産前産後休業の免除ルールは以前と変わりません。


なお、育児休業期間が1か月ピッタリだと要件を満たしませんので、社会保険料は免除されません。1か月は、暦日でカウントされます。

(OK例)・10月1日から11月1日まで育児休業を取得

    ・10月16日から11月16日まで育児休業を取得

(NG例)・10月1日から10月31日まで育児休業を取得

   ・10月16日から11月15日まで育児休業を取得


また、1か月を超える育児休業等を取得しても、従来通り月末時点に育児休業等を取得しているかどうかで保険料免除を判断するため、育児休業等期間に月末が含まれる月に支給された賞与のみ社会保険料が免除されます。

(OK例)・10月1日から11月1日まで育児休業を取得 ⇒10月に支給された賞与のみ免除

    ・10月16日から11月16日まで育児休業を取得 ⇒10月に支給された賞与のみ免除

免除ルールはなぜ変わるの?

今回の改正の背景としては、特に男性の育休取得がかなり少ないという実態が影響しています。厚生労働省の令和2年度 「雇用均等基本調査」では、育休を取得した男性のうち28.33%は5日未満の取得であったと報告されています。

今までのルールですと、1日、2日間だけの育児休業を月末に取得することでその月の給与および賞与の社会保険料が全額免除されるため、社会保険料の削減テクニックとして濫用されるケースが見受けられていました。

そこで、男性労働者にもより多くの育児休業取得を促進するために制度改正されることとなったのです。

国民健康保険の場合は賞与から保険料控除しない

医師国保・歯科医師国保などの国保に加入する事業所ならびに被保険者は、賞与からの保険料徴収は不要です。

まとめ

賞与にかかる社会保険料計算にはさまざまな落とし穴が潜んでいます。

是非このコラムを参考にして正しく計算出来るよう、ご注意くださいね。

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