新着情報
標準報酬月額の計算方法をわかりやすく【社労士の具体例】決め方・見直し・調べ方を社労士が解説
「標準報酬月額の計算方法がよくわからない」「算定基礎届の作成時にいつも迷ってしまう」というお悩みをお持ちではありませんか。
標準報酬月額は、健康保険料や厚生年金保険料を算出するための基準となる重要な数値です。
計算を間違えると、従業員の保険料が過不足となり、後から修正が必要になるケースも少なくありません。
この記事では、顧問先500社超の実績を持つ社会保険労務士法人が、標準報酬月額の計算方法を基礎から実務上の注意点まで徹底解説します。
具体的な計算例や、判断に迷いやすいケース、よくある間違いについても詳しくご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
標準報酬月額とは?計算方法を理解するための基礎知識
まずは、標準報酬月額の基本的な仕組みについて解説します。
制度の目的や等級の考え方を理解することで、計算方法もスムーズに理解できるようになります。
標準報酬月額の計算方法を知る前に|定義と目的
標準報酬月額とは、健康保険料や厚生年金保険料といった社会保険料を計算するための基準となる金額です。
毎月の給与額をそのまま使って保険料を計算すると、残業代などで金額が変動するたびに再計算が必要になります。
そこで、報酬月額を一定の幅で区切った「等級」に当てはめ、その等級に対応する標準報酬月額を使って保険料を算出する仕組みが採用されています。
この制度により、給与計算担当者は毎月変動する実際の給与額ではなく、年に一度決定される標準報酬月額を使って効率的に保険料を算出できます。
標準報酬月額の計算方法で使う「等級」とは?
標準報酬月額には「等級」という区分があり、報酬月額の範囲に応じて該当する等級が決まります。
例えば、報酬月額が29万円以上31万円未満の場合、標準報酬月額は30万円(健康保険22等級、厚生年金19等級)となります。
この等級制度により、給与が数千円変動しても等級が変わらなければ保険料は同じままとなり、毎月の計算が簡略化されるのです。
等級は一定の報酬月額の幅ごとに設定されており、その幅の中央値が標準報酬月額として採用されています。
標準報酬月額の計算方法|健康保険と厚生年金で等級数が異なる理由
健康保険の等級は1等級(58,000円)から50等級(1,390,000円)までの50段階に分かれています。
一方、厚生年金保険の等級は1等級(88,000円)から32等級(650,000円)までの32段階となっています。
この違いは、それぞれの保険制度の目的や給付内容が異なるためです。
厚生年金は老齢年金の支給額に上限があるため、標準報酬月額にも上限が設けられています。
そのため、月額65万円を超える高収入の方でも、厚生年金保険料は32等級(650,000円)を上限として計算されます。
標準報酬月額の計算方法が影響するもの
標準報酬月額は、単に毎月の社会保険料だけでなく、さまざまな給付金や将来の年金額にも影響を与えます。
標準報酬月額が影響する主な項目は以下の通りです。
- 健康保険料・厚生年金保険料の金額
- 傷病手当金の支給額(標準報酬日額の3分の2)
- 出産手当金の支給額(標準報酬日額の3分の2)
- 将来受け取る老齢厚生年金の金額
- 障害厚生年金・遺族厚生年金の金額
- 高額療養費の自己負担限度額の区分
つまり、標準報酬月額が高いほど保険料負担は増えますが、万が一のときの給付金や将来の年金額も増えることになります。
「4月〜6月に残業が多いと損」という話をよく聞きますが、年金額も上がるため、必ずしも損とは言い切れません。
【保存版】標準報酬月額の計算方法に必要な等級表(令和7年度)
ここでは、令和7年度(2025年度)の標準報酬月額等級表を掲載します。
保険料額は都道府県によって健康保険料率が異なりますので、実際の計算時は自社所在地の保険料率表をご確認ください。
完全な等級表は全国健康保険協会(協会けんぽ)のホームページで確認できます。
標準報酬月額の計算方法と都道府県別保険料率
健康保険料率は都道府県ごとに異なります。
令和7年度の場合、最も低い沖縄県が9.44%、最も高い佐賀県が10.79%となっており、1%以上の差があります。
自社の保険料を計算する際は、必ず会社所在地の都道府県の保険料率表を使用してください。
なお、厚生年金保険料率は全国一律で18.3%(労使折半で各9.15%)となっています。
標準報酬月額の計算方法【定時決定の場合】
標準報酬月額の計算方法について、最も一般的な「定時決定」の場合を中心に解説します。
定時決定は毎年7月に行われ、その年の9月から翌年8月まで適用される標準報酬月額を決定します。
標準報酬月額の計算方法|基本の計算式
定時決定における標準報酬月額の基本的な計算式は以下の通りです。
標準報酬月額 =(4月の報酬 + 5月の報酬 + 6月の報酬)÷ 3
この計算で求めた平均額を等級表に当てはめ、該当する等級の標準報酬月額が決定されます。
ここでいう「報酬」には、基本給だけでなく、残業手当、通勤手当、各種手当なども含まれます。
ただし、4月〜6月に支払われた報酬であれば何でも含めるわけではなく、報酬に該当するものとしないものがあります。
詳しくは後述の「標準報酬月額に含まれるもの・含まれないもの」で解説します。
標準報酬月額の計算方法で重要な支払基礎日数17日ルール
標準報酬月額を計算する際、「支払基礎日数」が重要なポイントになります。
支払基礎日数とは、給与計算の対象となった日数のことで、月給制の場合は暦日数、日給制や時給制の場合は実際の出勤日数となります。
定時決定では、支払基礎日数が17日以上ある月のみを計算対象とします。
例えば、4月の支払基礎日数が15日、5月が20日、6月が22日の場合、4月は除外し、5月と6月の2ヶ月の平均で計算します。
【支払基礎日数のルール】
- 3ヶ月とも17日以上の場合は、3ヶ月の平均で算定します
- 1ヶ月または2ヶ月が17日以上の場合は、17日以上の月のみで平均を算定します
- 3ヶ月とも17日未満の場合は、従前の標準報酬月額を継続します
月給制の正社員であれば通常は問題になりませんが、入社直後や休職明けの従業員については注意が必要です。
標準報酬月額の計算方法【具体例】月給30万円の場合
実際の計算例を見てみましょう。
以下は、基本給25万円、通勤手当1万円、残業手当が月によって変動する従業員の例です。
| 月 | 基本給 | 通勤手当 | 残業手当 | 合計 | 支払基礎日数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 4月 | 250,000円 | 10,000円 | 35,000円 | 295,000円 | 30日 |
| 5月 | 250,000円 | 10,000円 | 42,000円 | 302,000円 | 31日 |
| 6月 | 250,000円 | 10,000円 | 28,000円 | 288,000円 | 30日 |
3ヶ月とも支払基礎日数が17日以上なので、すべての月が計算対象となります。
計算式は以下の通りです。
(295,000円 + 302,000円 + 288,000円)÷ 3 = 295,000円
報酬月額295,000円を等級表に当てはめると、290,000円以上310,000円未満の範囲に該当します。
したがって、この従業員の標準報酬月額は30万円(健康保険21等級、厚生年金18等級)と決定されます。
標準報酬月額の計算方法|4月〜6月に残業が多いと損?
「4月〜6月に残業が多いと社会保険料が上がって損をする」という話を聞いたことがある方も多いでしょう。
確かに、この期間に残業が集中すると標準報酬月額が上がり、結果として社会保険料の負担が増えます。
しかし、これは必ずしも「損」とは言い切れません。
理由は以下の通りです。
- 将来受け取る老齢厚生年金の金額が増えるため、長期的にはプラスになる可能性があります
- 傷病手当金や出産手当金の支給額が増えるため、万が一のときの保障が手厚くなります
- 遺族厚生年金や障害厚生年金の金額にも反映されるため、家族の保障も充実します
特に若い従業員の場合、厚生年金保険料の増加分は将来の年金受給額に反映されるため、長期的に見ればプラスになる可能性があります。
ただし、繁閑の差が激しい業種で、たまたま4月〜6月だけ残業が多いというケースでは、実態と乖離した高い保険料を負担することになります。
このような場合は、後述する「年間平均による算定」の適用を検討することをおすすめします。
標準報酬月額の計算方法で重要な報酬の範囲
標準報酬月額を正しく計算するためには、どの報酬を計算に含めるかを正確に把握する必要があります。
ここでは、報酬に該当するものと該当しないものを詳しく解説します。
標準報酬月額の計算方法で報酬に該当するもの
以下の項目は、標準報酬月額の計算に含める「報酬」に該当します。
【金銭で支給されるもの】
- 基本給(月給、週給、日給など)
- 役付手当、職階手当
- 家族手当、扶養手当
- 通勤手当(定期代、ガソリン代など)
- 住宅手当
- 残業手当、休日出勤手当、深夜手当
- 皆勤手当、精勤手当
- 能率給、歩合給
- 宿日直手当
- 年4回以上支給される賞与
【現物で支給されるもの】
- 通勤定期券、回数券
- 食事の支給(一定条件を超える場合)
- 社宅、寮の提供(一定条件を超える場合)
- 被服の支給(制服・作業着以外)
特に注意が必要なのは「通勤手当」です。
所得税法上は非課税となる通勤手当も、社会保険上は報酬に含まれます。
この点を見落とすと、標準報酬月額を過小に算定してしまうミスにつながります。
標準報酬月額の計算方法で報酬に該当しないもの
以下の項目は、標準報酬月額の計算に含めない「報酬に該当しないもの」です。
- 年3回以下の賞与(標準賞与額として別途計算します)
- 退職金、退職手当
- 結婚祝い金、出産祝い金
- 傷病見舞金、災害見舞金
- 解雇予告手当
- 出張旅費、宿泊費
- 制服、作業着(業務に必要なもの)
- 慶弔費
- 大入袋
ポイントは「労働の対償として経常的に受けるもの」かどうかです。
臨時的・一時的に支給されるものや、実費弁償的なものは報酬に含まれません。
標準報酬月額の計算方法で判断に迷うケース【社労士解説】
実務では、報酬に該当するかどうか判断に迷うケースが少なくありません。
よくある疑問について解説します。
Q:通勤手当は含まれる?
A:含まれます。
所得税法上は非課税でも、社会保険上は報酬として扱います。
定期代だけでなく、マイカー通勤のガソリン代補助なども報酬に含まれます。
Q:残業代は含まれる?
A:含まれます。
残業手当、休日出勤手当、深夜手当など、すべて報酬に該当します。
4月〜6月に残業が多いと標準報酬月額が上がるのは、残業代が報酬に含まれるためです。
Q:賞与は含まれる?
A:年3回以下の賞与は含まれません。
ただし、年4回以上支給される場合は報酬に含まれます。
例えば、毎月の業績給を「賞与」として支給している場合は、報酬として計算に含める必要があります。
Q:食事補助は含まれる?
A:条件によります。
従業員が食事代の3分の2以上を負担している場合は報酬に含まれません。
会社が全額または大部分を負担している場合は、現物給与として報酬に含まれます。
Q:社宅は含まれる?
A:条件によります。
従業員から一定額以上の家賃を徴収している場合は報酬に含まれません。
無償または低額で提供している場合は、現物給与として報酬に含まれる可能性があります。
現物給与の価額は、厚生労働大臣が定める価額により算定します。
標準報酬月額の計算方法と決定・改定のタイミング
標準報酬月額は、一度決定されたら永久に同じというわけではありません。
いくつかのタイミングで決定・改定が行われます。
ここでは、それぞれのタイミングと必要な届出について解説します。
標準報酬月額の計算方法|資格取得時決定(入社時)
従業員が入社して社会保険に加入する際に、最初の標準報酬月額を決定します。
この場合は、4月〜6月の実績ではなく、雇用契約書等に基づく「見込み報酬月額」で決定します。
【届出書類】
健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届
【届出期限】
資格取得日(入社日)から5日以内
【適用期間】
- 1月〜5月に入社した場合は、その年の8月まで適用されます
- 6月〜12月に入社した場合は、翌年の8月まで適用されます
入社時に決定した標準報酬月額は、次の定時決定まで適用されます。
ただし、固定的賃金に変動があり、随時改定の条件を満たした場合は途中で改定されることがあります。
標準報酬月額の計算方法|定時決定(毎年7月)
毎年7月に行われる、年1回の標準報酬月額の見直しです。
4月〜6月に支払われた報酬の平均額をもとに、その年の9月から翌年8月までの標準報酬月額を決定します。
【届出書類】
健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額算定基礎届
【届出期限】
毎年7月1日〜7月10日
【届出対象者】
7月1日時点で在籍しているすべての被保険者が対象です。
ただし、6月1日以降に資格取得した者、7月〜9月に随時改定が予定されている者などは除きます。
算定基礎届は、すべての事業所が毎年必ず提出する必要がある届出です。
届出漏れや記載ミスがないよう、早めに準備を進めましょう。
標準報酬月額の計算方法|随時改定の3つの条件
定時決定の時期以外でも、一定の条件を満たした場合は標準報酬月額が改定されます。
これを「随時改定」といい、以下の3つの条件をすべて満たした場合に適用されます。
【随時改定の3つの条件】
- 固定的賃金に変動があった(昇給、降給、手当の新設・廃止など)
- 変動月から3ヶ月間の報酬平均と現在の標準報酬月額に2等級以上の差がある
- 変動月から3ヶ月間の各月の支払基礎日数がすべて17日以上ある
【届出書類】
健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額変更届
【届出期限】
速やかに届出(条件を満たした時点で遅滞なく)
随時改定は、固定的賃金の変動がきっかけとなります。
残業代など非固定的賃金のみが変動した場合は、随時改定の対象にはなりません。
詳しい計算方法と具体例は、次章で解説します。
標準報酬月額の計算方法|産前産後・育児休業終了時改定
産前産後休業や育児休業から復帰した従業員について、短時間勤務などで報酬が下がった場合、従業員からの申出により標準報酬月額を改定できます。
随時改定と異なり、1等級の差でも改定が可能です。
【届出書類】
- 産前産後休業終了時報酬月額変更届
- 育児休業等終了時報酬月額変更届
【届出のポイント】
- 被保険者(従業員)からの申出が必要です
- 休業終了日の翌日が属する月から3ヶ月間の報酬平均で算定します
- 3ヶ月間のうち、支払基礎日数が17日未満の月は除外します
- 3歳未満の子を養育している場合は「養育期間標準報酬月額特例」も併用可能です
育児休業から復帰した従業員には、この制度について説明し、申出の意思確認を行うことをおすすめします。
標準報酬月額の計算方法|年間平均による算定
2018年10月から、随時改定においても「年間平均」による算定が認められるようになりました。
繁忙期と閑散期で報酬に大きな差がある業種・職種において、実態に即した標準報酬月額を算定するための制度です。
【年間平均を適用できる条件】
- 通常の随時改定による標準報酬月額と、現在の標準報酬月額に2等級以上の差がある
- 年間平均で算定した標準報酬月額と、通常の随時改定による標準報酬月額に2等級以上の差がある
- 年間平均で算定した標準報酬月額と、現在の標準報酬月額に1等級以上の差がある
- 被保険者の同意がある
【届出書類】
通常の月額変更届に加え、「年間報酬の平均で算定することの申立書(随時改定用)」を添付
この制度を活用することで、4月〜6月だけ残業が多い従業員の保険料負担を適正化できる場合があります。
標準報酬月額の計算方法【随時改定の場合】
随時改定は、定時決定と並んで重要な標準報酬月額の改定タイミングです。
ここでは、随時改定の具体的な計算方法と、よくあるケースについて解説します。
標準報酬月額の計算方法|随時改定の3条件を再確認
随時改定が適用されるためには、以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。
【条件1】固定的賃金に変動があった
固定的賃金とは、基本給、役職手当、家族手当、通勤手当、住宅手当など、支給額が固定されている報酬のことです。
昇給・降給、手当の新設・廃止・変更、給与体系の変更などが該当します。
【条件2】変動月から3ヶ月間の報酬平均と現在の標準報酬月額に2等級以上の差がある
固定的賃金が変動した月から3ヶ月間の報酬平均を計算し、等級表に当てはめます。
その結果、現在の等級と2等級以上の差がある場合に条件を満たします。
【条件3】変動月から3ヶ月間の各月の支払基礎日数がすべて17日以上ある
3ヶ月間のうち、1ヶ月でも支払基礎日数が17日未満の月があると、随時改定の対象外となります。
標準報酬月額の計算方法【例①】昇給で2等級アップ
基本給が25万円から28万円に昇給した従業員の例を見てみましょう。
【昇給前の状況】
- 基本給:250,000円
- 通勤手当:10,000円
- 現在の標準報酬月額:260,000円(健康保険19等級、厚生年金16等級)
【4月に昇給後、4月〜6月の報酬】
| 月 | 基本給 | 通勤手当 | 残業手当 | 合計 | 支払基礎日数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 4月 | 280,000円 | 10,000円 | 15,000円 | 305,000円 | 30日 |
| 5月 | 280,000円 | 10,000円 | 20,000円 | 310,000円 | 31日 |
| 6月 | 280,000円 | 10,000円 | 18,000円 | 308,000円 | 30日 |
【計算】
3ヶ月の平均:(305,000 + 310,000 + 308,000)÷ 3 = 307,666円
等級表に当てはめると、290,000円以上310,000円未満の範囲に該当し、標準報酬月額は300,000円となります。
【随時改定の判定】
- 条件1:固定的賃金(基本給)に変動あり → 該当
- 条件2:現在260,000円(19等級)→ 新300,000円(21等級)で2等級差 → 該当
- 条件3:3ヶ月とも支払基礎日数17日以上 → 該当
3つの条件をすべて満たすため、随時改定の対象となります。
この場合、7月から新しい標準報酬月額(300,000円)が適用されます。
標準報酬月額の計算方法【例②】降給で2等級ダウン
役職手当が廃止され、報酬が下がった従業員の例です。
【変更前の状況】
- 基本給:300,000円
- 役職手当:50,000円
- 通勤手当:15,000円
- 現在の標準報酬月額:380,000円(健康保険25等級、厚生年金22等級)
【10月に役職手当廃止後、10月〜12月の報酬】
| 月 | 基本給 | 役職手当 | 通勤手当 | 合計 | 支払基礎日数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 10月 | 300,000円 | 0円 | 15,000円 | 315,000円 | 31日 |
| 11月 | 300,000円 | 0円 | 15,000円 | 315,000円 | 30日 |
| 12月 | 300,000円 | 0円 | 15,000円 | 315,000円 | 31日 |
【計算】
3ヶ月の平均:315,000円
等級表に当てはめると、310,000円以上330,000円未満の範囲に該当し、標準報酬月額は320,000円となります。
【随時改定の判定】
- 条件1:固定的賃金(役職手当)に変動あり → 該当
- 条件2:現在380,000円(25等級)→ 新320,000円(22等級)で3等級差 → 該当
- 条件3:3ヶ月とも支払基礎日数17日以上 → 該当
この場合も随時改定の対象となり、翌年1月から新しい標準報酬月額(320,000円)が適用されます。
標準報酬月額の計算方法|随時改定の対象外ケース
以下のようなケースは、随時改定の対象になりません。
【対象外となるケース①】残業代のみの変動
残業代は非固定的賃金のため、残業代だけが増減しても随時改定の対象にはなりません。
ただし、固定的賃金の変動と同時に残業代も変動し、結果として2等級以上の差が出た場合は対象となります。
【対象外となるケース②】固定的賃金は上がったが、非固定的賃金が下がり、結果として2等級差がない
基本給が上がっても、残業代が大幅に減ったことで総支給額があまり変わらず、2等級以上の差が出ない場合は対象外です。
【対象外となるケース③】支払基礎日数が17日未満の月がある
3ヶ月のうち1ヶ月でも支払基礎日数が17日未満の月があると、随時改定の対象外となります。
この場合は、次の定時決定まで現在の標準報酬月額が継続されます。
標準報酬月額の計算方法と月額変更届の提出
随時改定の条件を満たした場合は、「被保険者報酬月額変更届」を提出します。
【提出先】
管轄の年金事務所または事務センター
【提出期限】
条件を満たした後、速やかに届出します。
一般的には、3ヶ月目の報酬が確定した翌月初旬に届出を行います。
【届出方法】
- 電子申請(e-Gov、届書作成プログラム)
- 郵送
- 窓口持参
届出が遅れると、保険料の遡及修正が必要になる場合があります。
昇給・降給があった従業員については、3ヶ月後の確認を忘れないようにしましょう。
標準報酬月額の計算方法【パート・アルバイトの場合】
パートタイマーやアルバイトなどの短時間労働者についても、一定の条件を満たせば社会保険に加入する必要があります。
ここでは、短時間労働者の標準報酬月額の計算方法について解説します。
標準報酬月額の計算方法|短時間労働者の加入条件
2024年10月から社会保険の適用範囲が拡大され、従業員51人以上の企業で働く短時間労働者も加入対象となりました。
以下のすべての条件を満たす短時間労働者は、社会保険に加入する必要があります。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金が88,000円以上(残業代・通勤手当・賞与等は除く)
- 2ヶ月を超える雇用の見込みがある
- 学生でない(休学中、夜間学生は除く)
- 従業員51人以上の企業で働いている(2024年10月以降)
これまで社会保険に加入していなかったパート従業員が新たに加入対象となるケースも増えています。
対象となる従業員には、事前に説明を行い、理解を得ることが重要です。
標準報酬月額の計算方法|支払基礎日数のルール
短時間労働者の標準報酬月額を計算する際は、支払基礎日数のルールが一般の従業員と異なります。
特定適用事業所に勤務する短時間労働者(週の所定労働時間が20時間以上30時間未満)の場合、支払基礎日数が11日以上であれば算定の対象月となります。
【短時間労働者の定時決定における支払基礎日数のルール】
| 4月〜6月の支払基礎日数 | 算定方法 |
|---|---|
| 3ヶ月とも11日以上 | 3ヶ月の平均で算定 |
| 1ヶ月または2ヶ月のみ11日以上 | 11日以上の月のみで平均を算定 |
| 3ヶ月とも11日未満 | 従前の標準報酬月額を継続 |
一般の被保険者は支払基礎日数17日以上が基準となりますが、短時間労働者は11日以上と緩和されている点に注意しましょう。
標準報酬月額の計算方法【例】週20時間パートの場合
週20時間勤務のパート従業員の標準報酬月額を計算してみましょう。
【条件】
- 時給:1,200円
- 週20時間勤務(1日5時間×週4日)
- 月の勤務日数:約16日
【4月〜6月の報酬】
| 月 | 勤務日数 | 勤務時間 | 報酬 | 支払基礎日数 | 算定対象 |
|---|---|---|---|---|---|
| 4月 | 17日 | 85時間 | 102,000円 | 17日 | ○ |
| 5月 | 15日 | 75時間 | 90,000円 | 15日 | ○ |
| 6月 | 16日 | 80時間 | 96,000円 | 16日 | ○ |
【計算】
短時間労働者の場合、支払基礎日数11日以上の月が算定対象となります。
4月〜6月の3ヶ月とも11日以上のため、3ヶ月の平均で算定します。
報酬月額:(102,000円+90,000円+96,000円)÷3=96,000円
等級表に当てはめると、93,000円以上101,000円未満の範囲に該当し、標準報酬月額は98,000円(健康保険5等級、厚生年金2等級)となります。
短時間労働者は勤務日数が変動しやすいため、支払基礎日数の確認を慎重に行う必要があります。
なお、被保険者資格取得届等の届出の際の「報酬月額」は、短時間労働者も一般の被保険者と同様に、時間外手当、精皆勤手当、通勤手当等も含めて届け出る点に注意しましょう。
標準報酬月額の計算方法と調べ方【従業員向け】
従業員の方が自分の標準報酬月額を知りたい場合、いくつかの方法があります。
ここでは、手軽に確認できる方法を紹介します。
標準報酬月額の計算方法|給与明細から逆算して調べる
最も手軽な方法は、給与明細に記載されている厚生年金保険料から逆算する方法です。
【手順】
- 給与明細の「厚生年金保険料」の金額を確認する
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)のホームページで、会社所在地の都道府県の保険料額表を開く
- 保険料額表の「厚生年金保険料(折半額)」の欄から、自分の保険料と一致する行を探す
- その行の「標準報酬月額」が自分の標準報酬月額となる
例えば、給与明細の厚生年金保険料が27,450円の場合、保険料額表で27,450円を探すと、標準報酬月額300,000円(健康保険21等級、厚生年金18等級)であることがわかります。
【注意点】
保険料率表は、必ず「会社所在地」の都道府県のものを使用してください。
自分の住所地ではありませんので、ご注意ください。
また、健康保険組合に加入している場合は、協会けんぽの保険料率表ではなく、加入している健康保険組合の保険料率表を確認する必要があります。
標準報酬月額の計算方法|ねんきん定期便で確認する
毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」でも、標準報酬月額を確認できます。
ねんきん定期便には、これまでの加入記録が記載されており、各月の標準報酬月額を確認することができます。
【確認方法】
- ねんきん定期便(ハガキまたは封書)の「これまでの年金加入期間」欄を確認します
- 直近の標準報酬月額が記載されています
- 詳細を確認したい場合は「ねんきんネット」に登録して閲覧できます
ねんきんネットに登録すると、過去の標準報酬月額の推移や、将来の年金見込額なども確認できます。
標準報酬月額の計算方法|決定通知書で確認する
毎年7月の定時決定後、9月頃に「被保険者標準報酬月額決定通知書」が届きます。
この通知書には、その年の9月から翌年8月まで適用される標準報酬月額が記載されています。
【通知書の受け取り方】
通知書は事業主(会社)宛てに届きますので、会社の総務・人事担当者に確認してください。
会社によっては、通知書のコピーを従業員に配布している場合もあります。
また、随時改定が行われた場合は、「被保険者標準報酬月額改定通知書」が届きます。
昇給や降給があった後に保険料が変わった場合は、この通知書で新しい標準報酬月額を確認できます。
標準報酬月額に基づく社会保険料の計算方法
標準報酬月額が決まったら、それをもとに社会保険料を計算します。
ここでは、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料の計算方法を解説します。
標準報酬月額から健康保険料の計算方法
健康保険料は、以下の計算式で算出します。
健康保険料 = 標準報酬月額 × 健康保険料率 × 1/2(労使折半)
健康保険料率は都道府県によって異なります。
令和7年度の東京都の場合、介護保険第2号被保険者(40歳以上65歳未満)に該当しない方の保険料率は9.81%です。
【計算例】標準報酬月額300,000円、東京都、39歳以下の場合
300,000円 × 9.81% × 1/2 = 14,715円
この従業員の健康保険料(本人負担分)は14,715円となります。
同額を会社も負担するため、健康保険料の総額は29,430円です。
標準報酬月額から介護保険料の計算方法(40歳以上)
40歳以上65歳未満の方は、健康保険料に加えて介護保険料も負担します。
介護保険料は健康保険料と一緒に徴収されます。
介護保険料 = 標準報酬月額 × 介護保険料率 × 1/2(労使折半)
令和7年度の介護保険料率は1.59%です(全国一律)。
【計算例】標準報酬月額300,000円、東京都、45歳の場合
健康保険料:300,000円 × 9.81% × 1/2 = 14,715円
介護保険料:300,000円 × 1.59% × 1/2 = 2,385円
合計:17,100円
40歳以上の従業員は、健康保険料と介護保険料を合わせた金額が控除されます。
標準報酬月額から厚生年金保険料の計算方法
厚生年金保険料は、以下の計算式で算出します。
厚生年金保険料 = 標準報酬月額 × 厚生年金保険料率 × 1/2(労使折半)
厚生年金保険料率は全国一律で18.3%です。
【計算例】標準報酬月額300,000円の場合
300,000円 × 18.3% × 1/2 = 27,450円
この従業員の厚生年金保険料(本人負担分)は27,450円となります。
標準報酬月額の計算方法を使わない保険もある
社会保険料の中でも、雇用保険料と労災保険料は標準報酬月額を使って計算しません。
これらは「実際の賃金総額」をもとに計算します。
【雇用保険料の計算】
雇用保険料 = 賃金総額 × 雇用保険料率
雇用保険料率は事業の種類によって異なり、令和6年度の一般の事業の場合、労働者負担は0.6%、事業主負担は0.95%です。
【労災保険料の計算】
労災保険料 = 賃金総額 × 労災保険料率
労災保険料は全額事業主負担で、業種によって保険料率が異なります。
従業員の給与から控除されることはありません。
このように、健康保険・厚生年金保険と、雇用保険・労災保険では計算方法が異なりますので、混同しないよう注意してください。
標準報酬月額の計算方法でよくある間違い5選【社労士監修】
標準報酬月額の計算や届出において、実務でよく見られる間違いを紹介します。
顧問先500社超の対応経験から、特に注意が必要なポイントをまとめました。
標準報酬月額の計算方法の間違い①:支払基礎日数の誤り
支払基礎日数の数え方を間違えるケースは非常に多く見られます。
【よくある間違い】
- 月給制なのに実際の出勤日数を記入してしまう
- 欠勤控除がある月の支払基礎日数の計算を間違える
- 短時間労働者の支払基礎日数のルールを知らない
【正しい考え方】
月給制の場合、支払基礎日数は暦日数(その月の日数)となります。
欠勤控除がある場合は、就業規則の定めに応じて「暦日数-欠勤日数」または「所定労働日数-欠勤日数」で計算します。
支払基礎日数を間違えると、算定の対象月の判定を誤ってしまうため、正確な理解が必要です。
標準報酬月額の計算方法の間違い②:通勤手当の含め忘れ
所得税法上は非課税となる通勤手当ですが、社会保険上は報酬に含まれます。
この点を知らずに、通勤手当を除外して報酬月額を計算してしまうケースがあります。
【注意すべきポイント】
- 定期代、回数券代は報酬に含みます
- マイカー通勤のガソリン代補助も報酬に含みます
- 通勤手当が数ヶ月分まとめて支給される場合は、1ヶ月分に按分して計算します
通勤手当は毎月一定額が支給されることが多いため、見落とすと標準報酬月額を過小に算定してしまいます。
標準報酬月額の計算方法の間違い③:随時改定の見逃し
昇給や降給があっても、随時改定の届出を忘れてしまうケースがあります。
特に、昇給時期と算定基礎届の提出時期が近い場合、どちらで届出するか混乱することがあります。
【確認のポイント】
- 固定的賃金に変動があった場合は、3ヶ月後に随時改定の判定を行います
- 昇給リストを作成し、3ヶ月後のチェックを忘れないようにします
- 給与計算ソフトに随時改定のアラート機能があれば活用します
随時改定の届出が遅れると、保険料の遡及修正が必要になる場合があります。
昇給・降給があった従業員については、3ヶ月後の確認を忘れないようにしましょう。
標準報酬月額の計算方法の間違い④:現物給与の未計上
社宅や食事の提供など、現物で支給されるものも一定の条件を超えると報酬に含まれます。
この現物給与を見落とすケースがあります。
【現物給与の判定】
食事の場合:
従業員が食事代の3分の2以上を負担していれば報酬に含まれません。
会社が3分の1を超えて負担している場合は、その超過分が報酬となります。
社宅の場合:
厚生労働大臣が定める価額を基準に、従業員から適正な家賃を徴収していれば報酬に含まれません。
無償または低額で提供している場合は、差額が報酬となります。
現物給与の価額は都道府県ごとに定められていますので、詳細は日本年金機構のホームページで確認してください。
標準報酬月額の計算方法の間違い⑤:届出漏れによる遡及修正
随時改定の条件を満たしているにもかかわらず、月額変更届の提出を忘れてしまうケースがあります。
後から判明した場合、保険料の遡及修正が必要になります。
【遡及修正が発生した場合の対応】
- 過去の保険料の過不足を精算する
- 従業員から追加徴収または返金が必要になる場合がある
- 年金事務所への届出と説明が必要
遡及修正は事務負担が大きく、従業員への説明も必要になります。
昇給・降給時には随時改定の判定を忘れずに行い、条件を満たした場合は速やかに届出を行いましょう。
標準報酬月額の計算方法に関するQ&A
標準報酬月額について、よくある質問にお答えします。
標準報酬月額の計算方法Q1:4月〜6月に残業が多いと損?
A:必ずしも損とは言えません。
確かに、4月〜6月に残業が多いと標準報酬月額が上がり、社会保険料の負担が増えます。
しかし、標準報酬月額が高いほど、以下のメリットもあります。
- 将来受け取る老齢厚生年金の金額が増える
- 傷病手当金や出産手当金の支給額が増える
- 障害厚生年金や遺族厚生年金の金額も増える
特に若い従業員の場合、長期的に見ればプラスになる可能性があります。
ただし、4月〜6月だけ特別に残業が多い場合は、「年間平均による算定」の適用を検討することもできます。
標準報酬月額の計算方法Q2:間違っていた場合の対処法
A:速やかに訂正届を提出してください。
標準報酬月額の間違いに気づいた場合は、以下の対応が必要です。
- 年金事務所に連絡し、訂正届を提出する
- 保険料の過不足を精算する
- 従業員への説明と、過不足分の調整を行う
訂正届の提出後、正しい標準報酬月額に基づいて保険料が再計算されます。
過去に遡って修正が必要な場合は、遡及期間分の保険料の過不足も精算されます。
標準報酬月額の計算方法Q3:転職時の引き継ぎは?
A:引き継がれません。新しい会社で改めて決定されます。
転職した場合、新しい会社で「資格取得時決定」として標準報酬月額が決定されます。
前職の標準報酬月額は関係なく、新しい会社での雇用契約に基づく報酬月額で決定されます。
なお、厚生年金の加入記録は日本年金機構で一元管理されていますので、将来の年金額は前職の期間も含めて計算されます。
標準報酬月額の計算方法Q4:標準賞与額との違い
A:月々の報酬と賞与で、それぞれ別の基準があります。
標準報酬月額:
毎月の給与(報酬)を基準として算出され、毎月の社会保険料の計算に使用します。
標準賞与額:
年3回以下の賞与(ボーナス)を基準として算出され、賞与支給時の社会保険料の計算に使用します。
実際に支給された賞与額から1,000円未満を切り捨てた金額が標準賞与額となります。
なお、健康保険の標準賞与額は年度累計573万円、厚生年金の標準賞与額は1回あたり150万円が上限となっています。
標準報酬月額の計算方法Q5:定時決定と随時改定の優先順位
A:随時改定が優先されます。
7月〜9月に随時改定が行われる予定の従業員については、その年の定時決定(算定基礎届)の対象外となります。
具体的には、以下のような場合です。
- 7月に随時改定が行われる従業員は、算定基礎届の提出対象外です
- 8月または9月に随時改定が予定されている従業員は、算定基礎届提出時に「8月または9月随時改定予定」と申し出ます
随時改定と定時決定のタイミングが重なる場合は、どちらが適用されるか慎重に判断する必要があります。
判断に迷う場合は、管轄の年金事務所または社会保険労務士にご相談ください。
まとめ|標準報酬月額の計算方法でお困りならご相談ください
標準報酬月額は、社会保険料を計算するための重要な基準です。
この記事では、標準報酬月額の基礎知識から計算方法、届出の種類、よくある間違いまで詳しく解説しました。
【この記事のポイント】
- 標準報酬月額は、4月〜6月の報酬平均をもとに毎年7月に決定されます
- 通勤手当や残業代も報酬に含まれます(年3回以下の賞与は含まれません)
- 固定的賃金の変動があった場合は、随時改定の判定が必要です
- 支払基礎日数のルールは、正社員と短時間労働者で異なります
- 間違いに気づいたら、速やかに訂正届を提出しましょう
標準報酬月額の計算は、従業員の保険料負担や将来の年金額に直結する重要な業務です。
正確な計算と適切な届出を行うことで、従業員との信頼関係を維持し、労務トラブルを予防することができます。
「算定基礎届の作成が不安」「随時改定の判定が難しい」「給与計算をアウトソーシングしたい」など、標準報酬月額や社会保険手続きでお困りのことがありましたら、お気軽にご相談ください。
顧問先500社超の実績を持つ当法人が、貴社の労務管理をサポートいたします。
大阪なんば駅徒歩1分
給与計算からIPO・M&Aに向けた労務監査まで
【全国対応】HR BrEdge社会保険労務士法人


