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中小企業で余剰人員を整理したい!整理解雇行う前に取るべき対策

2022.12.22 トピックス

大阪を中心に、企業の労務管理を支える社会保険労務士法人渡辺事務所です。

今回は中小企業の経営者が余剰人員の整理、いわばリストラによる解雇(整理解雇)を行いたいと考えたとき、整理解雇を行う前に可能な対応策についてご紹介します。

ハードルが高い整理解雇

経費には、消耗品費や旅費交通費、賃料などがありますが、大きなウエイトを締めるのが人件費ではないでしょうか。

業績悪化が続く中、人件費削減のため、余剰人員の解雇を検討する経営者も少なくありません。

余剰人員削減のため、会社都合による解雇は整理解雇と呼ばれ、4つの要件に当てはまる必要があります。これは、解雇により生活が脅かされる労働者を守るために、設けられています。

会社が整理解雇を行うための4つの要件とは

リストラのため、会社都合による整理解雇を行うための4つの要件とは、次の通りです。

  • 人員整理を行う必要性
  • 解雇を避けるための努力遂行状況
  • 人選基準の合理性
  • 解雇手続きの妥当性

人員整理を行う必要性

債務超過や赤字など、経営上、人員を減らさざるを得ないことを客観的に認められることが条件です。売上高や利益率などの経営状況と共に、関連各社や業界全体の状況を見て、人員整理の可否について、判断しなければなりません。

解雇を避けるための努力遂行状況

解雇は、倒産を避けるための最終手段と考えられるため、業績不振の事業所閉鎖、人員配置転換、希望退職者募集など、解雇を避けるため、様々な努力を実施していることが必須です。

人選基準の合理性

整理解雇対象者の人選が、客観的な基準で選定されている必要があります。

遅刻欠勤や違法行為などの勤務態度、勤続年数などの会社貢献度、共稼ぎなどで、解雇となっても生活への影響が少ない、その他年齢など、複数の要因を見て合理的に判断します。

能力評価や人事考課、業務中の態度などのみの選定では、合理的に欠けると判断される可能性もあり、人選基準として、客観的に信頼できる情報でなければなりません。

解雇手続きの妥当性

労働組合や労働者に対し、企業の経営状況や整理解雇を行う必要性や時期、方法などについて、資料などを用いて十分に説明し、理解を得る努力が求められます。

整理解雇と退職勧奨・合意退職の違い

解雇には、普通解雇、整理解雇、懲戒解雇があり、そのうち会社都合を理由とした解雇、すなわちリストラによる解雇が整理解雇です。

整理解雇は、会社都合により一方的に労働契約が終了されますが、これと混同されやすい言葉に、退職勧奨と合意退職があります。

退職勧奨とは

退職勧奨とは、会社から労働者へ「退職してもらえないか」と退職を促す行為であり、労働者は拒否することが可能です。労働者が会社からの提案を拒むことが出来る点が、整理解雇とは異なる点でしょう。

合意退職とは

合意退職は、会社と労働者の双方が合意すると、成立します。労働者側から会社に退職の申し入れを行い、会社側がこれを承諾し、承諾したことが労働者に伝わると合意に至ります。

合意退職の場合、成立となるまでは、労働者は退職を撤回することが可能です。整理退職と異なる点としては、会社と労働者双方の合意が必要である点、成立までは労働者側の申し出により、撤回できる点でしょう。

整理解雇回避のための無理な退職勧奨・合意退職はNG

会社が、人員整理をしたいと考えたとき、整理解雇をする前に、労働者に退職勧奨を行い、合意退職に至るような、アクションを起こすことがあります。

これは、社員を解雇すると、会社のイメージを損なうことや当該労働者と関係のあった取引先と関係悪化など、事業へのダメージを避けるためです。

その他、30日以上前に予告なしに解雇を行うと平均賃金30日分の解雇予告手当を支払う必要があること、当該労働者から賠償請求される可能性などの理由から、解雇を避け、合意退職へ持っていきたいと考える会社もあるでしょう。

そのため、退職勧奨を行う際に、労働者へ高圧的な態度や長時間の説得をすることや、応じないなら解雇するといった言葉は禁句となっており、のちに退職強要と見なされる場合がありますので、注意が必要です。

特に中小企業では、人員も限られるため、上記のような対応が難しい面もあるしょう。

人員整理の判断や対応に悩んだときは、専門家の手を借りるのも一つの手です。社会保険労務士法人渡辺事務所では、企業の状況に応じたご提案をさせていただいておりますので、お気軽にご相談ください。

解雇回避のための対策

経営状態の悪化により、整理解雇を行うのは、最終手段です。解雇を回避するためには、いくつかの対策がありますので、まずは次の方法を検討してみてください。

希望退職者の募集

希望退職とは、会社が時期や人数を決めて、退職を希望する労働者を募集することを指します。従業員が退職を選択し、企業がこれに合意した場合に成立します。

この方法を行うには、退職金の上乗せなど、退職者に有利になるような条件を出す必要があることや、失業保険手続き時の退職理由が会社都合となり、助成金などの受給に影響がある可能性があります。

ある程度まとまった余剰人員やターゲットの人員を整理が出来るため、中長期的には人件費の削減になるでしょう。

配置転換

適材適所という言葉がありますが、成績不振だった労働者が勤務場所や職種を変えることで、活躍できる場合があります。

関連会社への出向への配置転換のほか、変更できる職場や職種がない場合は、時間の短縮や出勤時間の調整などの方法が考えられます。

休業

売上の低下が続いている事業所や支店など、経営状態の悪化により、事業所全員または一部の労働者を休業にする方法です。

休業時には、企業は休業手当を支払う必要がありますが、休業手当は平均賃金の6割ですので、労働者と雇用関係を継続したまま、人件費を抑えることが出来ます。

賃金カット

労働組合や労働者代表などと十分協議を行い、労働者の理解と同意が得て、賃金を減額する方法です。

原則として、賃金を減らすことは、労働者にとって不利益と見なされるので、経営不振による倒産を防ぐためなど合理的な理由で、労働者の合意を得て、正式な手続きを行えば認められます。

まとめ

中小企業で余剰人員を整理したいと考えたとき、整理解雇を回避できる対処できる方法についてご紹介してきました。

整理解雇とは、労働者にとって生活費が強制的に失われる行為であり、経営不振が続く中であっても、避けるべき手段であることに変わりはありません。その前にあらゆる対策を取り、最善を尽くすことが経営者としてなすべきことです。

今回解説しました整理解雇の回避方法について、少しでも悩まれることがある場合は、専門家へのご相談をおススメします。社会保険労務士法人渡辺事務所では、整理解雇に強い専門家が対応させていただきます。

ぜひお気軽にご相談ください。

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