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【大阪難波の社労士】建設業で労働時間の上限規制が開始!取り組むべき課題も紹介

2023.10.12 スタッフブログ

大阪難波を中心に企業の労務対応をサポートしている、社会保険労務士法人渡辺事務所です。

2024年4月より、建設業で労働時間の上限規制が開始します。違反すると罰則が科される可能性があるため、内容に沿って適切に労務管理しなければいけません。

本記事では建設業でスタートする労働時間の上限規制について、これから企業が取り組むべき課題と一緒に紹介します。

2024年4月スタート!建設業における労働時間の上限規制

2024年4月より、建設業における労働時間の上限規制がスタートします。2019年4月の労働基準法改正に伴うものですが、建設業では長時間労働や人材不足といった課題の早期解決が難しいため、5年間の猶予期間が設けられていました。

上限規制に至った建設業の課題と上限規制の内容は、次の通りです。

上限規制に至った建設業の課題

建設業では長時間労働が常態化しており、かねてから問題視されていました。

厚生労働省が発表した「毎月勤労統計調査 令和2年度分結果確報」によると、建設業の月間実労働時間は164.7時間で、全産業平均134.6時間より30時間以上も多いことがわかります。年換算では360時間以上です。

また実際には週休2日(4週8休)を導入していない会社も多く、4週4休で働いている労働者も少なくありません。

参照:厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和2年度分結果確報

上限規制の内容

時間外労働は36協定を締結した場合でも、原則月45時間以内、かつ、年360時間以内です。

また特別条項付き36協定を締結した場合の時間外労働のルールは、次の通りです。

  • 年720時間以内(月平均で60時間)
  • 年720時間の範囲内で「2カ月~6カ月の平均で、いずれも80時間以内(休日労働を含む)」「単月100時間未満(休日労働を含む)」「月45時間を上回るのは、原則年6回まで」

2024年4月以降は、上記すべての要件を満たさなければいけません。事前に内容をよく理解しておき、細心の注意を払って準備しておきましょう。

上限規制を遵守しなかったときの罰則

新たにスタートする上限規制は労働基準法に基づいており、違反すると罰則(6カ月以下の懲役、または30万円以下の罰金)に科される可能性があります。

ただし、災害からの復旧・復興に関しては、残業の上限規制は当面は適用されません。

参照:石川労働局「令和6年4月1日から時間外労働の上限規制が適用されます

建設業における上限規制の導入に伴って企業が取り組むべき課題

前述したように、建設業では長時間労働が常態化しており、適切な職場環境づくりにおいて多くの課題がありました。上限規制によって一定の職場環境改善が期待できますが、以下のように他にも企業が取り組むべき課題がいくつかあります。

  • 長時間労働の改善
  • 勤怠管理システムの構築
  • 人材の確保と定着

それぞれの詳細を解説します。

長時間労働の改善

常態化している長時間労働の改善方法として、週休2日制の導入が挙げられます。週休2日制を取り入れると働きやすい職場環境となり、従業員の定着や採用につながるでしょう。

国土交通省と日本建設業連合会は、建設業における週休2日制の導入を推し進めています。国土交通省の「働き方改革・建設現場の週休2日応援サイト」では、工期設定支援システムをダウンロードできるほか、週休2日の取得に向けた取り組みを紹介しているため、一度チェックしてみてはいかがでしょうか。

また週休2日制の導入には、電子化による仕事の効率化・適正な工期設定・ITの活用などが役立ちます。

参照:国土交通省「働き方改革・建設現場の週休2日応援サイト

勤怠管理システムの構築

時間外労働の上限規制によって、従業員の勤務状況を適切に管理する必要が生じます。勤務状況の適切な管理におすすめなのが、勤怠管理システムの導入です。

勤怠管理で一般的なのがタイムカードですが、現場へ直行する機会が多い建設業では利用がそぐわない可能性があるでしょう。

それぞれの企業の状況に合わせて、適切に勤怠管理できるシステムを構築しておくことが大切です。たとえば、スマートフォンやタブレット端末などで出退勤打刻ができるものがあるため、上手に活用するとよいでしょう。

人材の確保と定着

人手不足に悩んでいる建設業においては、上限規制後も人材の確保と定着が大きな課題となります。人材確保と定着には、前述した週休2日制の導入のほか、適切な給与体系の構築や福利厚生の充実などが役立つでしょう。

また少ない労力と労働時間でも生産性をアップできるよう、IT化やICT化も重要です。クラウドサービスを活用して案件見積や受注原価といったデータを一元的に管理したり、ウェアラブルカメラを用いて遠隔から点検・監査・立ち合いをしたりすると、業務の効率化につながります。

まとめ

労働基準法の改正に伴い、2024年4月より建設業における労働時間の上限規制が始まります。規制内容に違反すると罰則の対象となるため、必ず遵守しましょう。

上限規制によって従業員の労働環境向上が期待できるものの、より一層の定着を目指すためには、週休2日制の導入や勤怠管理システムの構築、適切な給与体系の構築なども重要です。

社会保険労務士法人渡辺事務所は、大阪市中央区難波を拠点に全国対応しております。建設業における労務監査や労務改善などでお悩みの担当者様は、ぜひお気軽にご相談ください。

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