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パワハラ防止措置義務の徹底ガイド!会社が今すぐ取るべき対策と具体的な10ステップ

2026.01.12 スタッフブログ

2022年4月より、中小企業を含むすべての企業に対して「パワーハラスメント防止措置」が義務化されました。しかし、「相談窓口は設置したが相談が来ない」「どこまでが指導でどこからがパワハラかわからない」と悩む担当者は少なくありません。

パワハラ防止措置義務の徹底ガイド!会社が今すぐ取るべき対策と具体的な10ステップ

本記事では、HR BrEdge社会保険労務士法人の専門ライターが、法律の基礎知識から、形骸化させない相談窓口の運用法、事案発生時の具体的な対応フローまでを徹底解説します。単なる法令遵守にとどまらず、組織の生産性を高めるための「攻めのパワハラ対策」として、今すぐ実践できる10のステップをご紹介します。

パワハラ防止措置義務とは?法律の基本と企業が担う責任

改正労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)に基づき、企業は職場におけるパワーハラスメントを防止するために必要な措置を講じることが義務付けられています。これは努力義務ではなく、違反した場合は厚生労働省からの指導・勧告の対象となり、最悪の場合は企業名が公表されるリスクもあります。

パワハラの3つの定義

厚生労働省は、以下の3つの要素をすべて満たすものを職場におけるパワーハラスメントと定義しています。

  • 優越的な関係を背景とした言動(上司から部下だけでなく、経験豊富な同僚や集団による行為も含む)
  • 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの(明らかに業務の目的から逸脱した言動など)
  • 労働者の就業環境が害されるもの(身体的・精神的苦痛により能力発揮に支障が生じる等)

企業が果たすべき法的責任

企業には主に以下の責任が課せられています。

  • 措置義務: 相談窓口の設置、方針の周知、事後の迅速な対応など、雇用管理上必要な措置を講じること。
  • 安全配慮義務: 労働契約法に基づき、従業員が心身の安全を確保しながら働けるよう配慮すること。パワハラを放置して従業員がメンタルヘルス不調に陥った場合、民事上の損害賠償責任を問われる可能性があります。

【最重要】パワハラ相談窓口の設置と運用:形骸化させないための秘訣

多くの企業が陥るのが、「窓口を作って終わり」という状態です。相談実績がゼロであることは、必ずしも「パワハラがない優良企業」を意味しません。「相談しても無駄だ」「報復が怖い」と思われている可能性が高いのです。

1. 相談しやすい環境の整備

相談窓口は、内部(人事部など)と外部(社労士事務所や専門機関)の両方を設置するのが理想的です。特に小規模な組織では、顔見知りの担当者には話しにくいケースが多いため、外部窓口の存在が心理的安全性担保につながります。

2. プライバシー保護と不利益取扱いの禁止

相談者にとって最大の懸念は「相談したことが加害者にバレないか」「評価を下げられないか」という点です。

  • 相談者のプライバシーを厳守することを規程に明記し、周知する。
  • 相談したことを理由とする解雇や降格などの不利益な取扱いを禁止し、徹底する。

これらをポスターや社内イントラネットで繰り返し発信することが、窓口への信頼感を醸成します。

組織全体で徹底!パワハラ防止方針の明確化と効果的な周知・研修計画

ルールを作るだけでは組織の意識は変わりません。「わが社はパワハラを許さない」という強いメッセージを発信し続ける必要があります。

トップメッセージの発信

経営トップが自らの言葉で「ハラスメントは個人の尊厳を傷つけるだけでなく、企業の成長を阻害する許されない行為である」と宣言することが、すべての対策の起点となります。

階層別研修の実施

全社員一律の研修ではなく、対象に合わせたカリキュラムが効果的です。

  • 管理職向け: 「適切な指導」と「パワハラ」の境界線、アンガーマネジメント、部下の叱り方。
  • 一般社員向け: パワハラの定義、同僚間でのハラスメント、相談窓口の利用方法、コミュニケーションスキル。

厚生労働省の調査事例では、「3〜4年に1回は必ず受講する」といった継続的なルールを設けている企業で効果が高いとされています。

事案発生時の「迅速・適切」な対応フローと調査体制の確立

万が一相談が寄せられた場合、初期対応の遅れや不手際が事態を深刻化させます。あらかじめフローを確立しておきましょう。

  • 1. 相談受付: 相談者の話を傾聴する。この段階で事実認定や評価をせず、まずは相談者の不安を取り除くことに注力します。
  • 2. 事実関係の調査(ヒアリング): 調査委員会などを立ち上げ、相談者・行為者・第三者から事情を聴取します。両者の主張が食い違う場合、客観的な証拠(メール、録音、業務記録)の収集も重要です。
  • 3. 事実認定と措置の検討: 調査結果に基づき、ハラスメントの有無を判断します。認定された場合、就業規則に基づき行為者への懲戒処分等を検討します。
  • 4. 被害者への配慮: 行為者との引き離し(配置転換)、メンタルケアの提供、謝罪の場を設けるなどの措置を行います。
  • 5. フィードバック: 相談者に対し、調査結果と対応内容を適切に報告します。

再発防止と組織風土改善:パワハラを根絶するための継続的取り組み

再発防止策の策定

  • 行為者への教育: 懲戒処分だけでなく、再発防止研修を受講させ、行動変容を促します。
  • 職場環境の改善: パワハラの温床には「長時間労働」「過度な成果主義」「コミュニケーション不足」があるケースが多いです。業務量の見直しや1on1ミーティングの導入など、構造的なストレス要因を排除します。

「上機嫌な職場」づくり

互いに尊重し合える風土を作ることは、最強の予防策です。挨拶運動や感謝を伝え合う仕組み(サンクスカード等)など、ポジティブなコミュニケーションを促進する施策を検討しましょう。

「それ、NGです!」企業が陥りがちなパワハラ防止措置の落とし穴と回避策

  • NG例1:いきなり行為者を呼び出して問い詰める

    リスク: 相談者の匿名性が守られず、犯人探しや報復が始まる恐れがあります。まずは相談者の同意を得てから慎重に動く必要があります。

  • NG例2:「熱心な指導だった」と片付ける

    リスク: 加害者の主観(指導のつもり)で判断してはいけません。受け手がどう感じたか、業務の適正範囲を超えていないかという客観的基準で判断する必要があります。

  • NG例3:喧嘩両成敗にする

    リスク: 「あなたにも悪いところがあった」と被害者を責めるような発言は、セカンドハラスメント(二次被害)となり、会社の安全配慮義務違反を問われる可能性があります。

【社労士監修】自社に最適なパワハラ防止体制を構築するための専門的アプローチ

パワハラ問題は、法律知識だけでなく、人の感情や組織論が複雑に絡み合う難易度の高い分野です。自社のみでの対応に限界を感じる場合は、専門家である社会保険労務士(社労士)の活用をおすすめします。

社労士活用のメリット

  • 第三者性の確保: 外部相談窓口として機能させることで、従業員の安心感を高め、潜在的なリスクを早期に吸い上げることができます。
  • 法的な正確性: 就業規則の改定や事実認定のプロセスにおいて、最新の法令や判例に基づいた適切なアドバイスが可能です。
  • 研修の実施: 外部講師として専門家が登壇することで、研修の説得力と緊張感が高まります。

ハラスメント対策は「守り」のリスクマネジメントであると同時に、従業員が安心して能力を発揮できる環境を作る「攻め」の経営戦略でもあります。形だけの対策から脱却し、実効性のある体制づくりに取り組みましょう。

関連する詳しい情報はHR BrEdge社会保険労務士法人 ブログ一覧もご参照ください。

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