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労働法改正2025年施行!企業が知るべきポイントと失敗しない準備策【社労士が徹底解説】

2025.12.02 労働法改正

2025年は、企業の人事労務管理にとって極めて重要な「変革の年」となります。労働法改正 2025年の施行内容は多岐にわたり、特に育児・介護休業法の改正や高年齢者雇用安定法の経過措置終了は、すべての企業に直接的な影響を及ぼします。

労働法改正2025年施行!企業が知るべきポイントと失敗しない準備策【社労士が徹底解説】

多くの企業経営者や人事担当者が「まだ先のこと」と考えていますが、就業規則の改定や社内体制の整備には数ヶ月を要するため、今すぐ準備を始めなければ間に合いません。本記事では、2025年の法改正の全容と、企業が確実にクリアすべき対応策を、専門的な視点からわかりやすく解説します。

2025年労働法改正:主要変更点と企業への影響を把握

2025年(令和7年)には、複数の重要な労働法改正が施行されます。企業規模を問わず対応が求められるものが多いため、まずは全体の全体像を正確に把握することが不可欠です。主な改正ポイントは以下の通りです。

育児・介護休業法の改正(2025年4月・10月施行)

最も影響が大きいのが、4月と10月の2段階で施行される育児・介護休業法の改正です。労働法改正 2025の目玉とも言えるこの改正は、男女ともに仕事と育児・介護を両立できる環境整備を強く求めています。

  • 子の看護休暇の拡充(4月):名称が「子の看護等休暇」に変更され、対象となる子の範囲が「小学校就学前」から「小学校3年生修了まで」に延長されます。また、取得事由に「感染症に伴う学級閉鎖」や「入卒園式・入学式への参加」が追加され、利用シーンが大幅に広がります。
  • 所定外労働の制限(残業免除)の拡大(4月):残業免除を請求できる対象が、従来の「3歳未満」から「小学校就学前」の子を養育する労働者へと拡大されます。
  • 柔軟な働き方を実現するための措置(10月):3歳から小学校就学前の子を養育する労働者に対し、テレワーク、時差出勤、短時間勤務などのメニューから2つ以上を選択して措置を講じることが義務化されます。

高年齢者雇用安定法の経過措置終了(2025年3月末)

2013年の法改正時に設けられた「継続雇用制度の対象者を限定できる仕組み(経過措置)」が、2025年3月31日をもって完全に終了します。これにより、2025年4月1日以降は、原則として希望者全員を65歳まで継続雇用することが義務となります。これまで労使協定で定めていた「精勤要件」などの選定基準は使用できなくなるため、実務上のインパクトは甚大です。

次世代育成支援対策推進法の改正(2025年4月施行)

従業員100人超の企業に対し、一般事業主行動計画策定時に「数値目標」の設定が新たに義務付けられます。具体的には、男性の育児休業取得率や労働時間の状況に関する定量的な目標を掲げ、PDCAを回すことが求められます。また、育児休業取得状況の公表義務の対象企業が、従来の「1,000人超」から「300人超」へと拡大される点も見逃せません。

企業が今すぐ始めるべき準備5選:具体的な対応ステップ

法改正の内容を理解しただけでは不十分です。施行日までに運用可能な状態にするために、企業が直ちに着手すべき5つの具体的な準備ステップを解説します。

1. 就業規則と労使協定の総点検・改定

法改正に対応した規定への変更は必須です。特に「子の看護等休暇」の対象年齢引き上げや取得事由の追加、所定外労働の制限の対象拡大は、就業規則の育児・介護休業規程に直結します。また、高年齢者雇用に関して、労使協定で継続雇用の対象者を限定する基準を設けている場合は、その条項を削除する必要があります。

2. 従業員の意向確認フローの整備

労働法改正 2025では、個別の意向確認や周知が義務化される項目が増加します。2025年4月からは、介護に直面した従業員への個別周知と意向確認、および40歳到達時の情報提供が義務となります。さらに10月からは、3歳以降の子を持つ従業員への「柔軟な働き方」の選択肢提示と意向確認が必要です。誰が、いつ、どのように面談や通知を行うのか、業務フローを今のうちに確立しておきましょう。

3. 勤怠管理システムの改修

新しい休暇制度や残業免除の対象拡大に対応できるよう、勤怠管理システムの設定変更が必要です。「子の看護等休暇」の事由追加や、小学校3年生までの年齢管理機能などが正しく動作するか、ベンダーへの確認や設定変更を早めに依頼してください。

4. 一般事業主行動計画の数値目標設定(100人超企業)

従業員数が100人を超える企業は、次回の行動計画策定に向けて、自社の現状分析(男性育休取得率や残業時間の実績把握)を開始してください。達成可能かつ意欲的な数値目標を設定し、それを社内外に公表する準備を進める必要があります。

5. 管理職への研修と意識改革

制度を作っても、現場の理解がなければ絵に描いた餅です。特に「小3の壁」対策や男性育休、介護休業の取得に関しては、管理職の理解不足がハラスメント(パタハラ・ケアハラ)につながるリスクがあります。法改正の趣旨と実務対応について、管理職向けの研修を実施することが推奨されます。

法改正対応で陥りがちな失敗パターンとよくある注意点

法改正の準備を進める中で、多くの企業が陥りやすい「落とし穴」があります。これらを事前に知っておくことで、無用なトラブルや法令違反のリスクを回避できます。

失敗1:高年齢者の「経過措置終了」を見落とす

最も危険なのが、高年齢者雇用安定法の経過措置終了への対応漏れです。「うちは今まで通り、基準を満たさない人は再雇用しなくて良い」と思い込んでいると、2025年4月以降、違法な雇い止めとして訴訟リスクを抱えることになります。希望者全員雇用への転換が必要であることを、経営層含め再認識しなければなりません。

失敗2:制度導入後の「運用ルール」が曖昧

例えば、「柔軟な働き方」としてテレワークを導入したものの、申請期限や承認フローが決まっておらず、現場が混乱するケースです。「前日までに申請が必要」「週〇回まで」といった具体的な運用ルールを就業規則や内規で明確にしておくことが重要です。

失敗3:公表義務対象の拡大に気づかない

従業員数が300人を超えているにもかかわらず、育児休業取得状況の公表義務を失念してしまうケースです。公表は「おおむね事業年度終了後3ヶ月以内」に行う必要があります。「くるみん認定」などの取得を目指す場合、法令違反は致命的な欠格事由となるため注意が必要です。

法改正を乗り越えるための実践的アドバイス:リスク回避と円滑な運用

法令を遵守するだけでなく、現場の負担を減らしながらスムーズに新制度を運用するための実践的なアドバイスを紹介します。

属人化の解消と多能工化の推進

労働法改正 2025により、育児や介護、看護による突発的な休みや短時間勤務が増加することが予想されます。特定の担当者しか業務が分からない状態(属人化)は、業務停滞の最大のリスクです。マニュアルの整備や業務のシェア(多能工化)を進め、「誰が休んでも回る組織」を作ることが、最強の法改正対策となります。

「お互い様」の組織風土の醸成

制度を利用する側と、フォローする側の不公平感を解消することも重要です。休む社員を責めるのではなく、フォローした社員を評価制度で加点するなど、組織全体で支え合う仕組みと風土を作ることが、離職防止につながります。

助成金の活用を視野に入れる

両立支援等助成金(育児休業等支援コースや介護離職防止支援コース)など、法改正に対応した取り組みを行う企業を支援する助成金が存在します。制度整備にかかるコストや労力を補うためにも、これらの助成金情報を早期に収集し、計画的に活用することをおすすめします。

専門家のサポートを活用するメリット:社労士に相談する重要性

2025年の法改正は、育児介護休業法、雇用保険法、次世代法、高年齢者雇用安定法と多岐にわたり、その内容は複雑です。自社の人事担当者だけで全てを完璧に対応するのは、大きな負担とリスクを伴います。

法適合性の正確な判断

就業規則の改定一つとっても、文言の細かな違いで法的リスクが生じる可能性があります。社会保険労務士(社労士)に依頼することで、最新の法令に基づいた正確な規定整備が可能となり、労使トラブルを未然に防ぐことができます。

また、労働法改正 2025に対応した実務フローの構築や、管理職研修の実施についても、専門家のノウハウを活用することで、効率的かつ効果的に進めることができます。外部の知見を取り入れることは、企業のリスクマネジメントとして非常に有効な投資と言えるでしょう。

労働法改正を機に企業成長を加速させる視点

今回の法改正を単なる「義務」や「コスト」と捉えるのはもったいないことです。むしろ、企業成長を加速させるチャンスと捉える視点が重要です。

柔軟な働き方や男性育休の推進、シニア社員の活躍支援に積極的に取り組む企業は、求職者にとって非常に魅力的に映ります。人手不足が深刻化する中、「働きやすい会社」というブランディングは、優秀な人材の採用と定着に直結します。

法改正への対応を通じて、多様な人材が活躍できる基盤(ダイバーシティ&インクルージョン)を整えることは、企業の生産性向上やイノベーション創出につながります。2025年の法改正を、組織をより強く、しなやかに進化させるための絶好の機会と捉え、前向きな準備を進めていきましょう。

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