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昇給と基本給の違いとは?給与制度を見直すべき5つのサイン

2025.10.17 スタッフブログ

「昇給の基準が曖昧で、従業員からの質問に答えられない」
「基本給の設定方法がこのままで良いのか不安」

――そんな悩みを抱える経営者や総務担当者の方は少なくありません。

従業員100人規模の企業になると、個別の昇給判断だけでも毎年大きな負担となり、公平性や透明性の確保も困難になってきます。
さらに、昇給と基本給の関係を正しく理解せずに運用していると、思わぬ人件費の増大や労使トラブルの原因となることも。

全国対応のHR BrEdge(エイチアールブレッジ)社会保険労務士法人では、これまで250社を超える企業の給与制度設計をサポートしてきました。
本記事では、昇給と基本給の違いから始まり、あなたの会社の給与制度を見直すべきタイミング、そして具体的な改善方法まで詳しく解説いたします。

昇給とは何か?基本給との関係を正しく理解する

昇給の定義と基本給への影響

昇給とは、従業員の給与を引き上げることを指します
ただし、多くの経営者や総務担当者が混同しがちなのが、
「何を引き上げるのか」という点です。

昇給には大きく分けて3つのパターンがあります:

①基本給の昇給
基本給そのものを引き上げる方法。最も一般的で、
賞与や退職金の計算にも直結
するため、
従業員にとってメリットが大きい反面、
会社にとっては人件費への長期的な影響が大きくなります。

②手当の昇給
職務手当や資格手当などを新設・増額する方法。
基本給を変えずに処遇改善ができるため、
柔軟な運用が可能です。ただし、手当の種類や支給条件を
明確にしておかないと、後々トラブルの原因となります。

③一時金的な昇給
特別手当として一回限りの支給を行う方法。
人件費の固定化を避けながら従業員のモチベーション向上
図れますが、継続的な処遇改善効果は限定的です。

基本給設定で陥りがちな3つの落とし穴

多くの企業が基本給の設定で陥る問題点をご紹介します:

落とし穴①:年功序列型から脱却できない
「勤続年数に応じて自動的に昇給」という制度を続けている企業は要注意です。
100人規模になると、成果と給与のミスマッチが顕著になり、
優秀な人材の流出リスクが高まります。

落とし穴②:昇給基準が不明確
「今年は業績が良いから全員5,000円アップ」
「この人は頑張っているから10,000円アップ」といった
感覚的な昇給判断は、従業員の不信を招くだけでなく、
人件費のコントロールも困難にします。

落とし穴③:就業規則との整合性が取れていない
昇給に関する規定が就業規則に明記されていない、
または実際の運用と乖離している企業は、
労務リスクを抱えている状態と言えます。
特に、昇給査定の基準や時期について明文化されていない場合は
早急な見直しが必要です。

効果的な昇給制度を構築する5つのステップ

ステップ1:現状分析と課題の特定

まずは自社の給与制度を客観的に分析しましょう。
総務担当者の視点では、毎月の給与計算業務の負担軽減と正確性の向上、
経営者の視点では、人件費の適正化と従業員満足度のバランスを
重視する必要があります。

具体的なチェックポイント:

  • 同業他社と比較して給与水準は適正か
  • 昇給の判断基準は従業員に説明できるか
  • 給与計算の手続きに無駄な工数がかかっていないか
  • 助成金の活用機会を逃していないか

ステップ2:昇給制度の設計

成功事例:製造業A社(従業員120名)
従来は「勤続年数×2,000円」の単純な昇給制度でしたが、
評価制度と連動した昇給テーブルを導入。
結果として、生産性が15%向上し、離職率も改善しました。
重要なのは、評価項目を「売上貢献度」「技術向上度」「チームワーク」の
3軸で明確化し、各部署の特性を反映した配点にしたことです。

失敗事例:サービス業B社(従業員95名)
「成果主義を取り入れよう」と急激に制度変更した結果、
従業員間の競争が激化し、チームワークが悪化
結局、半年後に従来制度に戻すことになりました。
失敗の原因は、現場の声を十分に聞かずに制度設計を行ったことと、
移行期間を設けなかったことです。

ステップ3:システムとプロセスの整備

昇給制度の運用には、適切なシステムとプロセスが不可欠です。
DXの観点から、以下のポイントを検討しましょう:

  • 給与計算ソフトとの連携:昇給データの自動反映
  • 評価システムの導入:客観的な査定データの蓄積
  • 承認フローの電子化:昇給決定プロセスの透明性確保

多くの企業が「内製化」を検討しますが、
100人規模では専門的なノウハウが必要な場面も多く、
アウトソースとの使い分けが重要になります。

ステップ4:従業員への説明と合意形成

新しい昇給制度は、従業員の理解と納得があってこそ機能します。
説明会の開催や個別面談を通じて、
制度の目的と運用方法を丁寧に伝えることが大切です。

コミュニケーションのポイント:

  • 変更の理由と期待される効果を明確に説明
  • 質問や不安に対して真摯に回答
  • 段階的な導入スケジュールの提示

ステップ5:継続的な見直しと改善

昇給制度は「作って終わり」ではありません。
定期的な効果検証と改善を行い、
会社の成長とともに進化させていく必要があります。

よくある質問と回答

Q1:昇給は必ず毎年行わなければならないのでしょうか?

A:法的には昇給の義務はありませんが、従業員のモチベーション維持の観点から検討が必要です。

就業規則に昇給に関する規定がある場合は、その内容に従う必要があります。
ただし、経営状況によっては昇給を見送ることも可能です。
重要なのは、その理由を従業員に説明し、
代替となる処遇改善策を検討することです。
総務担当者としては昇給の代わりに研修制度の充実や福利厚生の改善、
経営者としては将来の成長への投資として位置づけることで、
従業員の理解を得やすくなります。

Q2:基本給以外の昇給方法にはどのようなものがありますか?

A:手当の新設・増額、賞与の増額、福利厚生の充実など、多様な選択肢があります。

例えば、資格取得手当や職務手当の創設により、
従業員のスキルアップを促進しながら処遇改善を図る方法があります。
また、通勤手当や住宅手当の見直しも効果的です。
助成金を活用した研修制度の導入により、
実質的な従業員への投資を行うことも可能です。
重要なのは会社の財務状況と従業員のニーズのバランスを取ることです。

Q3:昇給制度の変更時に注意すべき法的なポイントはありますか?

A:就業規則の変更手続きと従業員への十分な説明が必須です。

昇給制度の変更は労働条件の変更に該当するため、
就業規則の改定が必要になります。
また、不利益変更となる場合は、
従業員の同意を得るか、合理的な理由が必要です。

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