新着情報

36協定の意味とは?100人企業の経営者が知るべき基本から実務まで

2025.10.11 スタッフブログ

「36協定って何?どうして必要なの?うちの会社にも関係あるの?」

従業員100人を抱える企業の経営者なら、一度は疑問に思ったことがあるでしょう。36協定の意味について「名前は聞いたことがあるが詳しく知らない」「労働基準監督署から指導を受けたが対応方法がわからない」「従業員に残業をさせるために必要らしいが、具体的な手続きは」といった疑問をお持ちの方がほとんどです。

特に最近は働き方改革により時間外労働の上限規制が厳格化され、「36協定を結んでいるから残業は無制限にできる」という従来の考え方では通用しなくなっています。「月45時間の上限って本当に守らなければいけないの?」「繁忙期の対応はどうすればいいの?」「給与計算での残業代計算は正しくできているのか」といった実務面での不安も増えています。

また、「就業規則との関係がよくわからない」「従業員代表の選出方法は適切なのか」「労働基準監督署への届出手続きが複雑」といった手続き面での課題もあるでしょう。

「現在の顧問社労士に任せっきりで内容を理解していない」「DX化で勤怠管理システムを導入したが36協定との連携がうまくいかない」「助成金申請で36協定の提出を求められたが準備できていない」そんな状況ではありませんか。

本記事では、36協定の意味から具体的な締結方法、適切な運用のポイントまで、全国対応のHR BrEdge(エイチアールブレッジ)社会保険労務士法人が豊富な実務経験に基づいて詳しく解説いたします。法的リスクを回避しながら適切な労働時間管理を実現する方法をお伝えします。

36協定の意味と法的位置づけ:企業が理解すべき基本概念

「36協定って、そもそも何のための制度なの?」

まず、36協定の意味と法的な位置づけを正確に理解することから始めましょう。多くの経営者が誤解している重要なポイントから整理してみます。

【36協定の基本的な意味】

36協定とは
労働基準法第36条に基づく労使協定のことで、「時間外・休日労働に関する協定」の通称です。この協定を結ぶことで、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて従業員に労働させることができるようになります。

名前の由来:
労働基準法第36条に規定されているため「36(サブロク)協定」と呼ばれています。

【なぜ36協定が必要なのか】

労働基準法の大原則
労働基準法では、1日8時間、週40時間を超えて労働させることは原則として禁止されています。これに違反すると、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金という刑事罰の対象となります。

法定労働時間の例外規定
第36条では、労使が協定を結び労働基準監督署に届け出ることで、法定労働時間を超えた労働が可能になる例外規定を設けています。つまり、36協定は「残業をさせるための許可証」ともいえる重要な書類です。

【36協定で定める主な事項】

必須記載事項
・時間外労働をさせる業務の種類
・時間外労働をさせる労働者の数
・1日の延長時間
・1ヶ月の延長時間
・1年の延長時間
・時間外労働をさせる必要がある具体的事由

休日労働についても記載
・休日労働をさせる業務の種類
・休日労働をさせる労働者の数
・休日労働をさせる必要がある具体的事由

【働き方改革による上限規制】

2019年4月からの新ルール
働き方改革関連法により、36協定にも上限規制が設けられました:

原則的な上限:
・月45時間
・年360時間

特別条項付きの場合:
・年720時間
・単月100時間未満(休日労働含む)
・複数月平均80時間(休日労働含む)
・月45時間を超えるのは年6回まで

経営者の視点から見ると、36協定は事業運営に不可欠な制度ですが、同時に厳格な法的制約もあります。適切な理解と運用により、法的リスクを回避しながら必要な労働力を確保できます。

総務担当者の視点から見ると、36協定の管理は労働時間管理の基盤となります。給与計算での残業代計算や勤怠管理システムとの連携においても重要な役割を果たします。

【36協定の締結当事者】

使用者側
企業の代表者(代表取締役等)が署名・押印します。

労働者側
以下のいずれかが署名・押印します:
・労働組合(従業員の過半数で組織するもの)
・労働者の過半数を代表する者(労働組合がない場合)

労働者代表の選出要件:
・管理監督者でないこと
・投票、挙手等の民主的な方法で選出されること
・使用者の指名は無効

【36協定の有効期間と更新】

有効期間
通常は1年間です。毎年更新が必要で、有効期間が切れる前に新しい協定を締結・届出する必要があります。

更新手続き
・新たな労働者代表の選出
・協定内容の見直し・検討
・協定書の作成・締結
・労働基準監督署への届出

【罰則・リスク】

36協定なしで残業をさせた場合
・6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金
・労働基準監督署からの是正勧告
・企業名の公表(悪質な場合)
・従業員からの未払い残業代請求

上限時間を超えた場合
・6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金
・労働基準監督署による特別指導
・改善計画の策定・報告義務

【近年の動向】

新型コロナウイルスの影響により、テレワークの普及で労働時間管理が複雑化しています。また、DX化の進展により、勤怠管理システムと36協定の連携が重要になっています。

助成金の申請においても、36協定の適正な締結・運用が要件となる場合が多く、適切な管理がより重要になっています。

36協定の実践的な締結・運用方法と企業事例

「実際に36協定を結ぶには、どんな手順で進めればいいの?」

ここでは、当事務所が支援してきた企業の実例を交えながら、効果的な36協定の締結・運用方法をご紹介します。

【締結成功事例1:製造業CC社(従業員95名)の場合】

CC社では36協定について理解が不十分で、労働基準監督署から指導を受けましたが、適切な対応により問題を解決しました。

指導を受けた問題点:
・労働者代表の選出が不適切
・上限時間の設定が曖昧
・実際の労働時間との乖離
・従業員への周知不足

改善の取り組み:
・適切な労働者代表の選出(投票による)
・過去の残業実績を分析して現実的な上限設定
・部署別の業務特性を考慮した協定内容
・従業員説明会の開催

実施した対策:
・月次の労働時間チェック体制確立
・勤怠管理システムでのアラート機能設定
・管理職向け労働時間管理研修
就業規則との整合性確保

結果:
・労働基準監督署からの再指導なし
・従業員の労働時間意識向上
・残業時間20%削減
・労働時間管理の適正化

【締結成功事例2:IT企業DD社(従業員102名)の業種特性対応】

DD社ではシステム開発の特性上、繁忙期と閑散期の労働時間の差が大きく、特別条項付き36協定を適切に活用しました。

課題:
・プロジェクトによる労働時間の大幅な変動
・リリース前の集中作業期間
・顧客要求による突発的な残業
・技術者の労働時間管理の困難

特別条項の活用:
・年間の繁忙期を特定(6回)
・特別条項適用時の具体的事由明記
・健康確保措置の徹底
・事前の従業員との協議体制

運用の工夫:
・プロジェクト計画と労働時間計画の連動
・月次労働時間の予実管理
DX化による労働時間の見える化
・代替要員確保体制の整備

成果:
・上限時間内での業務完遂率90%
・従業員の健康状態良好維持
・顧客満足度の向上
・離職率の改善

【失敗事例:サービス業EE社(従業員88名)】

EE社では36協定の理解不足により、深刻な労務問題が発生しました。

発生した問題:
・36協定の未締結
・長時間労働の常態化
・残業代の未払い
・従業員の健康問題

労働基準監督署からの指導:
・是正勧告書の交付
・未払い残業代の支払い命令
・再発防止計画の策定要求
・定期報告義務

緊急対応:
顧問社労士による緊急サポート
・36協定の速やかな締結
・労働時間管理体制の抜本的見直し
・未払い残業代の精算

この事例から学べるのは、「36協定は単なる書類ではなく、労働時間管理の基盤」ということです。

【実践的な締結手順】

ステップ1:事前準備(1ヶ月前)
・現在の労働時間実態調査
・過去の残業時間データ分析
・業務の繁閑期の特定
・必要な延長時間の検討

ステップ2:労働者代表の選出(3週間前)
・選出方法の決定(投票・挙手等)
・候補者の確認(管理監督者除外)
・選出の実施
・選出結果の記録・保管

ステップ3:協定案の作成(2週間前)
・延長時間の上限設定
・対象業務・労働者数の特定
・特別条項の要否検討
・健康確保措置の検討

ステップ4:労使協議・締結(1週間前)
・労働者代表との協議
・協定内容の最終調整
・協定書への署名・押印
・従業員への事前周知

ステップ5:届出・施行
・労働基準監督署への届出
就業規則との整合性確認
給与計算システムへの反映
・運用開始

【業種別の注意点】

製造業:生産計画との連動、設備保全作業への配慮
IT業界:プロジェクト管理との連携、システム障害対応
小売業:季節繁忙期の特定、シフト制との調整
運輸業:配送業務の特性、ドライバーの労働時間管理
医療・介護:緊急対応業務、夜勤体制との調整

経営者の視点からは、36協定の適切な締結・運用により、法的リスクを回避しながら必要な事業運営を行うことができます。また、従業員の働き方改善にもつながります。

総務担当者の視点からは、36協定は労働時間管理の基盤となるため、勤怠管理システムとの連携や日常的な運用体制の確立が重要です。アウトソースも含めた効率的な管理体制の構築により、専門性の高い業務も確実に対応できます。

よくある疑問をQ&A形式で解決

Q1. 36協定の意味について、従業員にはどのように説明すればよいでしょうか?

A1. 36協定の意味を従業員に説明する際は、「法定労働時間を超えて働いてもらうために必要な労使間の約束事」として説明するとわかりやすいです。法律では1日8時間・週40時間が労働時間の上限ですが、この協定があることで残業が可能になること、ただし無制限ではなく上限があることを強調してください。また、協定で定めた時間を超えた場合は法違反となることも併せて説明することが重要です。総務担当者としては、協定書の内容を掲示板に掲載するなど、常に確認できる環境を整えることが大切です。経営者の立場では、働き方改革の一環として従業員の理解と協力を得ることが重要です。

Q2. 36協定で定めた時間を超えてしまった場合、どのような対応が必要でしょうか?

A2. 36協定で定めた時間を超えた場合、まず速やかに労働時間を協定内に収めるための措置を講じる必要があります。具体的には、業務量の調整、人員の追加配置、業務プロセスの見直しなどです。すでに超過してしまった場合は、労働基準監督署からの指導を受ける可能性があるため、改善計画を策定し、再発防止策を講じることが重要です。総務担当者としては、月次で労働時間をチェックし、上限に近づいた段階でアラートを出すシステムを構築することが効果的です。経営者の視点では、法的リスクを回避するため、事前の予防策と事後の迅速な対応体制を整備することが必要です。

Q3. 労働者代表の選出で注意すべき点を教えてください。適切な選出方法はありますか?

A3. 労働者代表の選出では、管理監督者を除く従業員による民主的な選出が必須です。使用者による指名は無効となります。具体的な方法としては、投票、挙手、話し合いによる合意などがありますが、最も確実なのは無記名投票です。選出過程は記録に残し、いつ、どのような方法で選出したかを証明できるようにしてください。また、選出された代表者には協定締結の権限があることを確認し、必要に応じて労働基準法等の基礎知識を提供することも重要です。総務担当者としては、選出プロセスの透明性を確保し、従業員全体の理解を得ることが大切です。経営者の立場では、適切な労働者代表との建設的な協議により、実効性のある協定を締結できます。

まとめ:36協定の正しい理解で適法な労働時間管理を実現

36協定の意味を正しく理解し、適切に締結・運用することで、法的リスクを回避しながら効率的な事業運営を実現できます。100人規模の企業では、多様な業務と働き方に対応した柔軟な協定内容の設計が重要です。

重要なのは、36協定を「残業をするための単なる書類」ではなく、「従業員の健康と企業の持続的成長を両立させるための重要なツール」として活用することです。適切な協定により、働き方改革の推進と必要な事業運営を同時に実現できます。

DX化による勤怠管理システムとの連携、労働時間の見える化、予防的な管理体制の構築など、現代的なアプローチにより、従来の労働時間管理を大幅に改善することが可能です。

また、適切な36協定の運用は、従業員の信頼獲得、企業の法的リスク回避、生産性向上など、多面的な効果をもたらします。従業員との協力関係を深めながら、持続可能な事業運営を実現する重要な基盤となります。

もし現在、36協定に関してお困りの場合、または締結・運用の見直しを検討されている場合は、ぜひ専門家にご相談ください。HR BrEdge社会保険労務士法人では、企業の業種・規模に応じた最適な36協定の設計から運用支援まで、総合的なサポートを提供しています。

今すぐ無料相談をご希望の方は、お電話またはWebフォームからお気軽にお問い合わせください。250社以上の企業様をサポートしてきた豊富な経験をもとに、貴社の36協定を最適化し、適法で効率的な労働時間管理を一緒に実現してまいりましょう。【全国対応・オンライン相談OK】

LINE お問合せ

大阪なんば駅徒歩1分
給与計算からIPO・M&Aに向けた労務監査まで
【全国対応】HR BrEdge社会保険労務士法人

こちらの内容もお勧めです