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みなし残業廃止で給料が減った!100人企業の経営者が知るべき対応策
「みなし残業を廃止したら従業員の給料が減ってしまった。これって法的に問題ないの?」
従業員100人を抱える企業の経営者から、このような深刻な相談を受けることが急激に増えています。働き方改革の流れでみなし残業廃止を検討する企業が増える中、「制度変更後に給料が減った従業員から苦情が来た」「労働基準監督署から指導を受けるのではないか」「従業員のモチベーション低下が心配」といった問題に直面するケースが後を絶ちません。
特に最近は、「働き方改革で残業時間を削減したが、みなし残業代がなくなって手取りが大幅に減少した」「優秀な従業員が転職を検討している」「新しい給与計算方法での労務管理が複雑になった」といった実務面での課題も深刻です。
また、「就業規則の変更手続きは適切だったのか」「不利益変更にならないための対策はあるのか」「他社の対応事例を知りたい」といった法的な不安も多く聞かれます。
「現在の顧問社労士からは『法的には問題ない』と言われたが本当に大丈夫なのか」「DX化で勤怠管理システムを導入したが、従業員の不満が高まっている」「助成金を活用して従業員の処遇改善はできないか」そんな悩みをお持ちではありませんか。
本記事では、みなし残業廃止により給料が減った問題について、法的な観点から実践的な対応策まで、全国対応のHR BrEdge(エイチアールブレッジ)社会保険労務士法人が豊富な実務経験に基づいて詳しく解説いたします。従業員満足度を維持しながら適法な制度運営を実現する方法をお伝えします。
みなし残業廃止による給料減額の法的問題と企業が知るべきリスク
「みなし残業をやめたら給料が減るのは当然?それとも法的に問題があるの?」
まず、みなし残業廃止による給料減額の法的な位置づけと企業が直面するリスクを正確に理解することから始めましょう。多くの経営者が誤解している重要なポイントがあります。
【みなし残業制度の基本的な仕組み】
みなし残業(固定残業代)とは
実際の残業時間に関係なく、一定時間分の残業代を毎月固定で支給する制度です。「営業手当」「業務手当」などの名目で支給されることが多く、基本給に含まれている場合もあります。
適法な要件:
・固定残業代の金額と時間数の明示
・基本給と固定残業代の明確な区分
・実際の残業時間が固定時間を超えた場合の追加支給
・固定残業代が最低賃金を下回らないこと
【みなし残業廃止による法的な問題】
労働条件の不利益変更
みなし残業を廃止することで従業員の総支給額が減少する場合、「労働条件の不利益変更」に該当する可能性があります。これは労働契約法第9条に抵触するリスクがあります。
労働契約法第9条:
「使用者は、労働者と合意することなく、労働者に不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない」
不利益変更が許される条件:
・従業員の個別同意がある場合
・就業規則の変更が合理的である場合
・変更の必要性が高く、従業員の不利益が軽微な場合
・代償措置が講じられている場合
【実際に発生している問題事例】
給料減額の具体例
・基本給25万円+みなし残業代5万円(30時間分)→ 基本給25万円のみ
・月給30万円(みなし残業20時間込み)→ 基本給27万円+実残業代
・営業手当8万円(みなし残業40時間)廃止 → 実残業時間15時間程度で大幅減額
従業員から出る不満:
・「住宅ローンの支払いが困難になった」
・「生活設計が狂ってしまった」
・「他社への転職を検討している」
・「会社への信頼が失われた」
【経営者が直面するリスク】
法的リスク
・労働基準監督署からの指導
・従業員からの労働審判申し立て
・未払い賃金請求訴訟
・不利益変更の無効判決
経営リスク
・優秀な人材の流出
・従業員のモチベーション低下
・企業の評判悪化
・採用活動への悪影響
経営者の視点から見ると、みなし残業廃止は働き方改革の重要な取り組みですが、適切な移行計画なしに実施すると、深刻な労務トラブルにつながるリスクがあります。
総務担当者の視点から見ると、制度変更に伴う給与計算の複雑化、従業員対応の増加、勤怠管理の厳格化など、業務負荷が大幅に増加します。
【適法な廃止プロセス】
1. 事前調査・分析
・現在のみなし残業の実態把握
・従業員の実際の労働時間調査
・廃止による影響度シミュレーション
・他社の対応事例調査
2. 制度設計
・新しい給与体系の設計
・基本給の調整検討
・代償措置の検討
・段階的移行計画の策定
3. 従業員との協議
・制度変更の必要性説明
・個別面談の実施
・従業員代表との協議
・同意取得の努力
4. 就業規則変更
・就業規則の改定
・労働基準監督署への届出
・従業員への周知
・施行日の設定
【近年の動向と注意点】
働き方改革関連法の施行により、時間外労働の上限規制が厳格化されています。これに伴い、適切でないみなし残業制度の見直しが急務となっていますが、拙速な廃止は大きなリスクを伴います。
また、DX化による勤怠管理システムの導入で、従来見えなかった労働実態が明らかになり、みなし残業の妥当性が問われるケースが増加しています。
助成金の活用についても、働き方改革推進支援助成金など、制度改善に対する支援制度があります。ただし、従業員の処遇改善が前提となる場合が多く、単なる廃止では対象外となる可能性があります。
給料減額を避ける実践的対応策と企業成功事例
「みなし残業を廃止しても従業員の給料を下げない方法はあるの?」
ここでは、当事務所が支援してきた企業の実例を交えながら、給料減額を避ける効果的な対応策をご紹介します。
【成功事例1:IT企業W社(従業員95名)の段階的移行】
W社では営業職30名にみなし残業制(月40時間分)を適用していましたが、働き方改革により段階的な廃止を実施しました。
移行前の状況:
・基本給25万円+営業手当(みなし残業)8万円
・実際の残業時間:平均25時間/月
・従業員の総支給額:33万円
段階的移行プラン(18ヶ月):
第1段階(6ヶ月):基本給を28万円に増額、みなし残業を5万円(20時間分)に削減
第2段階(6ヶ月):基本給を30万円に増額、みなし残業を3万円(10時間分)に削減
第3段階(6ヶ月):基本給31万円、みなし残業完全廃止
結果:
・従業員の総支給額:実残業25時間で約32万円(微減だが許容範囲)
・従業員満足度:85%が制度変更に納得
・労働時間:20%削減
・生産性:15%向上
【成功事例2:製造業X社(従業員108名)の基本給調整方式】
X社では管理職層20名のみなし残業を廃止する際、基本給の大幅な見直しを行いました。
実施した対策:
・みなし残業代相当額の80%を基本給に組み込み
・人事評価制度の見直しで成果給要素を拡充
・助成金(人材開発支援助成金)を活用したスキルアップ研修
・副業解禁による収入補完機会の提供
効果:
・給与減額による不満:ほぼゼロ
・管理職の労働時間:30%削減
・部下指導時間:50%増加
・離職率:変動なし
【失敗事例:サービス業Y社(従業員82名)】
Y社では法的リスクを恐れて拙速にみなし残業を廃止し、大きな問題が発生しました。
失敗の要因:
・従業員への事前説明不足
・代償措置の検討不十分
・実態調査を行わずに一律廃止
・移行期間の設定なし
発生した問題:
・従業員10名が労働組合に加入して団体交渉
・優秀な営業マン3名が転職
・労働基準監督署への申告
・企業の評判悪化
改善策:
・顧問社労士による緊急サポート
・従業員との個別協議
・基本給の段階的調整
・福利厚生の充実
【実践的な対応策】
対応策1:基本給への組み込み
みなし残業代の一定割合(70~90%)を基本給に組み込むことで、総支給額の大幅な減少を避けます。
メリット:
・従業員の不満を最小限に抑制
・賞与・退職金の算定基礎額向上
・社会保険料の適正化
注意点:
・人件費の固定化
・評価制度との整合性確保
・就業規則改定の必要性
対応策2:段階的廃止
12~24ヶ月程度の期間をかけて、段階的にみなし残業を削減していく方法です。
実施方法:
・6ヶ月ごとにみなし残業時間を削減
・削減分の一部を基本給に振り替え
・従業員の意見を聞きながら調整
・効果測定と方針修正
対応策3:代償措置の充実
給与以外の処遇改善により、総合的な満足度向上を図ります。
具体的施策:
・有給休暇取得率向上
・研修・教育機会の拡充
・副業・兼業の解禁
・福利厚生の充実
・在宅勤務制度の導入
【業種別の対応ポイント】
IT・サービス業:成果給制度の導入、リモートワーク環境整備
製造業:技能給制度の充実、安全管理体制強化
営業職:インセンティブ制度見直し、営業支援ツール導入
管理職:マネジメント研修、評価制度改善
経営者の視点からは、みなし残業廃止は短期的にはコストが発生しますが、中長期的には生産性向上、人材確保力強化、法的リスク回避などの効果が期待できます。
総務担当者の視点からは、制度変更に伴う業務負荷増加に対し、DX化による効率化や、専門家へのアウトソースを活用することで対応可能です。特に内製化が困難な複雑な労務管理については、外部の専門家との連携が重要です。
よくある疑問をQ&A形式で解決
Q1. みなし残業廃止で給料が減った場合、法的に問題になるのでしょうか?従業員から訴えられるリスクはありますか?
A1. みなし残業廃止により給料が減った場合、労働条件の不利益変更に該当し、労働契約法第9条違反となるリスクがあります。従業員の個別同意がない場合、就業規則変更の合理性が厳しく問われます。従業員からの労働審判や未払い賃金請求のリスクも存在します。総務担当者としては、事前の影響調査と十分な説明、代償措置の検討が重要です。経営者の立場では、法的リスクを回避するため、段階的移行や基本給調整などの対策を講じることが必要です。専門家との連携により適法な手続きを確保することをおすすめします。
Q2. みなし残業を廃止したいのですが、従業員の給料を下げずに済む方法はありますか?
A2. みなし残業代の一定割合(70~90%)を基本給に組み込む方法が最も効果的です。例えば、みなし残業代5万円のうち4万円を基本給に加算し、実際の残業時間に応じて残業代を支給します。また、段階的廃止(12~24ヶ月)により、従業員の負担を軽減することも可能です。代償措置として、福利厚生の充実、研修機会の拡大、副業解禁なども効果的です。総務担当者としては、給与計算システムの改修と従業員への丁寧な説明が重要です。経営者の視点では、短期的なコスト増加と長期的な生産性向上のバランスを考慮した判断が必要です。
Q3. みなし残業廃止に伴う就業規則の変更手続きで注意すべき点を教えてください。
A3. 就業規則の不利益変更にあたるため、特に慎重な手続きが必要です。まず従業員代表の意見聴取を行い、可能な限り同意を得る努力をしてください。変更の必要性、合理性を明確に示し、代償措置についても規定に盛り込みます。労働基準監督署への届出前に、従業員への十分な周知期間を設けることが重要です。総務担当者としては、変更内容の説明資料作成と個別面談の実施が求められます。経営者の立場では、法的要件を満たすだけでなく、従業員の理解と納得を得ることが長期的な労使関係の維持に重要です。
まとめ:みなし残業廃止を機に従業員満足度と生産性向上を同時実現
みなし残業廃止により給料が減った問題は、適切な対応策により解決可能です。100人規模の企業では、段階的な移行計画と代償措置の充実により、従業員満足度を維持しながら適法な制度変更を実現できます。
重要なのは、みなし残業廃止を「コスト削減のための制度変更」ではなく、「働き方改革と生産性向上のための戦略的取り組み」として位置づけることです。適切な移行により、従業員の労働環境改善と企業の競争力強化を同時に実現できます。
DX化による勤怠管理の精密化、評価制度の見直し、福利厚生の充実など、総合的なアプローチにより、単なる制度廃止を超えた価値創造が可能になります。
また、適切なみなし残業廃止は、優秀な人材の確保・定着、企業イメージの向上、法的リスクの回避など、多面的な効果をもたらします。従業員との信頼関係を維持しながら、持続可能な成長を実現する重要な機会として活用することができます。
もし現在、みなし残業廃止に関してお困りの場合、または制度変更を検討されている場合は、ぜひ専門家にご相談ください。HR BrEdge社会保険労務士法人では、企業の実情に応じた最適な移行計画の策定から実施支援まで、総合的なサポートを提供しています。
今すぐ無料相談をご希望の方は、お電話またはWebフォームからお気軽にお問い合わせください。250社以上の企業様をサポートしてきた豊富な経験をもとに、貴社のみなし残業廃止を成功に導き、従業員満足度向上と企業成長を一緒に実現してまいりましょう。【全国対応・オンライン相談OK】
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