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休業手当とは?正しい理解と適切な対応でトラブルを防ぐ
労働者がやむを得ず働けない場合に支払われる「休業手当」は、企業と従業員の信頼関係に大きく影響する重要な制度です。
しかし、「どんなときに支払うべきか」「どのように金額を算定するのか」など、正確な理解がないまま対応すると、労使間のトラブルに発展する可能性があります。
この記事では、休業手当の基本的なルールから、企業側が押さえておくべき対応ポイントまでをわかりやすく解説します。
休業手当の基本ルールを理解しよう
休業手当とは、労働基準法第26条に定められた制度で、会社の都合で従業員を休業させた場合に支払う手当です。
対象となるのは「使用者の責めに帰すべき事由」による休業で、自然災害や従業員の私的理由による休業は含まれません。
支払額は、平均賃金の60%以上と法律で定められており、企業には義務として支払いが求められます。
ただし、あくまで「会社都合の休業」であることが前提となるため、判断を誤ると不払いのリスクが生じます。
例えば、設備の故障や材料不足などによる操業停止、あるいは経営悪化による一時的な人員調整が該当するケースです。
こうした場面で適切な対応を取ることが、従業員の安心感や企業の信頼性向上につながります。
実務で気をつけたい!休業手当の算出と通知のポイント
休業手当を算出する際は、まず「平均賃金」を正確に把握する必要があります。
これは、直前3か月間に支払った賃金総額を日数で割って算出するのが一般的です。
例えば、平均賃金が1日あたり1万円であれば、最低でも6,000円の休業手当を支払う義務があります。
ここで注意したいのが、固定残業代や通勤手当など、含めるべき賃金項目の判断です。
誤って除外してしまうと、未払いと判断され、労働トラブルの原因になることもあります。
また、休業にあたっては、事前に書面や口頭で対象従業員に明確に説明し、休業理由と期間、支払額を通知することが重要です。
その際、就業規則と整合性を取ることも忘れてはいけません。規定の整備と見直しを日頃から行っておくことが、トラブル防止の鍵となります。
具体例:感染症による一時的な店舗休業
ある飲食店チェーンでは、従業員が濃厚接触者となり、保健所の指導により数日間の休業を余儀なくされました。
このケースでは、行政指導に従った休業であるため、会社の責任とされる可能性が高く、休業手当の支払いが求められました。
この店舗では、すぐに過去3か月分の賃金データから平均賃金を算出し、休業手当の支払い対象者を特定。
従業員への説明文書も用意し、誠実に対応したことで、労使間の信頼を損なうことなく乗り越えることができました。
まとめ
休業手当は、会社都合による休業時に必ず発生する重要な制度です。
平均賃金の60%以上というルールを正しく理解し、対象となるケースや支払方法、従業員への説明の仕方を押さえておくことが求められます。
制度の運用を誤れば、法的リスクや従業員との信頼関係に大きな影響を与える可能性があります。
就業規則の整備や事前のルール確認を徹底し、トラブルのない職場運営を目指しましょう。
休業手当を正しく扱うことが、企業のリスク管理と信頼構築の第一歩です。
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