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【完全ガイド】年次有給休暇のしくみと企業が押さえるべきポイント

2025.02.28 スタッフブログ

年次有給休暇の5日取得義務で困っていませんか?適正な管理と運用方法を解説

「年次有給休暇の5日取得義務への対応が不安」「従業員の有給取得状況の管理が複雑で困っている」「時季変更権の適切な行使方法が分からない」

従業員100人規模の企業では、2019年4月から導入された年次有給休暇の5日取得義務により、従来以上に厳格で効率的な有給休暇管理体制の構築が必要となっています。適切な有給休暇管理は、労働基準法の遵守だけでなく、従業員満足度の向上、働き方改革の推進、企業の社会的責任の履行にも直結する重要な取り組みです。

年次有給休暇は、労働基準法第39条に基づく労働者の重要な権利であり、雇入れから6ヶ月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に付与されます。企業は労働者の有給休暇申請を原則として拒否できず、特に年10日以上の有給休暇を持つ労働者については、年5日の取得を確実に実現する義務があります。

適切な有給休暇管理により、給与計算の正確性向上、就業規則の整備、労務リスクの回避、さらには助成金申請時の適正性確保にもつながります。また、DXツールを活用した効率的な管理システムにより、総務担当者の負担軽減と法令遵守の両立も可能になります。

本記事では、全国対応のHR BrEdge(エイチアールブレッジ)社会保険労務士法人が、企業の総務担当者と経営者の視点から、年次有給休暇の適正な管理方法と効率的な運用体制の構築ポイントを詳しく解説します。

年次有給休暇制度の基本構造と企業の法的義務

年次有給休暇制度は、労働基準法第39条に基づく労働者の基本的権利であり、企業には適切な付与と取得促進が法的に義務付けられています。従業員100人規模の企業では、この制度を正確に理解し、効率的に管理することが労務管理の重要な基盤となります。

有給休暇の付与要件は、「雇入れから6ヶ月継続勤務」「全労働日の8割以上出勤」の2つの条件を満たすことです。付与日数は継続勤務年数に応じて段階的に増加し、週5日勤務者の場合、6ヶ月で10日、6年6ヶ月以上で20日が最大となります。

5日取得義務の具体的な内容と適用範囲

2019年4月から導入された5日取得義務は、年10日以上の有給休暇を持つすべての労働者が対象となります。正社員だけでなく、契約社員、パートタイマーでも年10日以上の付与がある場合は適用されるため、雇用形態を問わない包括的な管理が必要です。

この義務に違反した場合、労働基準法違反として1人につき30万円以下の罰金が科される可能性があります。従業員100人の企業で全員が対象となった場合、最大3,000万円の罰金リスクがあることになります。

ある製造業の企業(従業員115名)では、5日取得義務の導入初年度に管理が不十分で、労働基準監督署から指導を受けました。その後、有給休暇管理システムの導入と計画的付与制度の活用により、現在は100%の取得率を維持しています。

出勤率計算の詳細と注意点

出勤率8割の判定は、有給休暇付与の重要な要件です。全労働日数には実際の出勤日、有給休暇取得日、会社都合の休業日が含まれ、欠勤や労働者都合の無給休暇は除外されます。

出勤率の計算では、産前産後休業、育児休業、介護休業期間中の取り扱いに注意が必要です。これらの期間は出勤率計算から除外され、休業前後の期間で判定することになります。

パートタイマーの比例付与制度

週の所定労働日数が4日以下かつ週30時間未満のパートタイマーには、比例付与制度が適用されます。週3日勤務の場合、6ヶ月で5日、3年6ヶ月で8日、5年6ヶ月で11日の付与となります。

比例付与の場合でも、年10日以上の付与があれば5日取得義務の対象となるため、勤務日数と継続勤務年数を正確に管理することが重要です。

経営者が理解すべき有給休暇の戦略的価値

経営者にとって有給休暇制度は、法的義務の履行を超えた戦略的な人材マネジメントツールです。適切な有給休暇の取得促進により、従業員の健康維持、モチベーション向上、離職率低下を実現できます。

また、働き方改革の推進により企業の魅力度が向上し、優秀な人材の獲得と定着にもつながります。有給休暇取得率の高さは、求職者にとって重要な企業選択基準の一つとなっています。

総務担当者が押さえるべき管理実務

総務担当者にとって有給休暇管理は、正確性と効率性を両立させる必要がある重要な業務です。入社日ベースでの付与日管理、取得状況の継続的な監視、5日取得義務の進捗確認、時季変更権の適切な行使など、多岐にわたる管理業務が発生します。

特に重要なのは、取得期限の管理です。有給休暇は付与から2年で時効消滅するため、適切なタイミングでの取得促進が必要です。また、5日取得義務は付与日から1年以内に履行する必要があるため、計画的な取得管理が不可欠です。

効率的な有給休暇管理システムと取得促進の実践方法

有給休暇の適正な管理と取得促進には、システム化された管理体制と従業員の理解促進が不可欠です。ここでは、実際に高い取得率を実現している企業の事例をもとに、具体的な方法をご紹介します。

ステップ1:包括的な有給休暇管理システムの構築

効率的な有給休暇管理のため、勤怠管理システムと人事システムを連携させます。入社日ベースでの自動付与、取得状況のリアルタイム把握、5日取得義務の進捗監視、取得期限の自動アラートなどにより、正確で効率的な管理を実現します。

ある建設会社(従業員98名)では、クラウド型勤怠管理システムを導入し、従業員が自分の有給休暇残日数と取得期限をリアルタイムで確認できる環境を整備しました。また、管理者向けダッシュボードにより、部署別の取得状況と5日取得義務の進捗を可視化しています。

ステップ2:計画的付与制度の戦略的活用

5日取得義務の確実な履行のため、計画的付与制度を戦略的に活用します。労使協定を締結し、有給休暇のうち5日を超える部分について、計画的に付与日を指定することで、確実な取得と業務への影響最小化を両立できます。

成功事例として、あるIT企業(従業員105名)では、夏季休暇やゴールデンウィークの前後に計画的付与日を設定し、連続休暇の取得を促進しています。この取り組みにより、有給休暇取得率95%と従業員満足度の向上を同時に実現しています。

ステップ3:時季変更権の適正な運用

時季変更権の行使には「事業の正常な運営を阻害する」という厳格な要件があり、客観的で合理的な理由と代替案の提示が必要です。繁忙期の事前周知、代替日の提案、業務の平準化などにより、従業員の権利を尊重しながら事業運営との調和を図ります。

ある製造業の企業では、月末・月初の繁忙期を事前に周知し、該当期間の有給休暇申請については代替日を相談の上で調整する仕組みを構築しています。この柔軟な対応により、業務継続と従業員満足の両立を実現しています。

従業員への啓発と取得促進活動

有給休暇の取得促進には、従業員の意識向上と組織文化の醸成が重要です。有給休暇に関する説明会の開催、取得事例の共有、管理職による率先した取得、取得状況の定期的な情報提供などにより、取得しやすい職場環境を整備します。

また、半日有給制度、時間単位有給制度の導入により、従業員の多様なニーズに対応し、より柔軟で使いやすい制度設計を行うことも効果的です。

多様な働き方への対応

現代の職場では、在宅勤務、フレックスタイム制、シフト勤務など多様な働き方が混在するため、それぞれに適した有給休暇管理が必要です。勤務形態別の取得ルール整備、システム対応、管理方法の標準化により、公平で効率的な管理を実現します。

また、時差出勤、テレワーク等の新しい働き方においても、有給休暇の適切な管理と取得促進を継続することが重要です。

助成金活用と外部専門家との連携

有給休暇管理システムの導入や取得促進活動には、助成金の戦略的活用が効果的です。働き方改革推進支援助成金、IT導入補助金などを活用し、システム導入コストを軽減できます。

顧問社労士との連携により、法改正への対応、複雑な事例への対処、労働基準監督署対応などの専門的サポートを受けることも重要です。また、DXツールの活用により、従来の手作業による管理から、効率的で正確なデジタル管理への移行を促進できます。

年次有給休暇管理でよくある疑問と解決策

年次有給休暇の管理と運用について、経営者や総務担当者から寄せられる代表的な質問にお答えします。

Q1:5日取得義務の起算日はいつから始まりますか?

A:年10日以上の有給休暇が付与された日から1年間が対象期間となります。入社6ヶ月後に初回10日が付与された場合、その日から1年以内に5日取得させる必要があります。継続勤務により付与日数が増加した場合も、新たな付与日から1年間が対象期間となります。入社日統一などで付与日を変更している企業では、統一後の付与日が起算日となるため、移行期間の管理に注意が必要です。

Q2:半日有給や時間単位有給は5日取得義務にカウントできますか?

A:半日有給は0.5日としてカウント可能ですが、時間単位有給は対象外です。半日有給を10回取得すれば5日分としてカウントできます。ただし、時間単位年休(労働基準法第39条第4項)は5日取得義務の対象外となるため、時間単位で取得した分は別途1日単位または半日単位での取得が必要です。計画的付与についても、時間単位での付与は5日取得義務の履行には含まれません。

Q3:従業員が有給休暇の取得を拒否した場合、企業はどう対応すべきですか?

A:企業には5日取得させる法的義務があるため、時季を指定してでも取得させる必要があります。まず従業員に制度の説明と取得の重要性を丁寧に説明し、希望時季を確認します。それでも取得しない場合は、労働基準法第39条第7項に基づき、企業が時季を指定して取得させることができます。この場合、事前に就業規則で時季指定の方法を定めておくことが重要です。強制的な指定ではなく、従業員との話し合いを重視した対応が望ましいです。

戦略的な有給休暇管理で従業員満足度と法令遵守を両立しよう

年次有給休暇の適正な管理は、労働基準法の確実な遵守と従業員の働きがい向上を同時に実現する重要な経営戦略です。5日取得義務の導入により企業の責任は重くなりましたが、これを機会として捉え、より働きやすい職場環境の整備と企業価値の向上を図ることができます。

従業員100人規模の企業では、この制度への適切な対応により、労務リスクの回避、従業員満足度の向上、働き方改革の推進、企業の魅力度向上を総合的に実現できます。また、適切な有給休暇管理により、優秀な人材の獲得と定着、組織の生産性向上にも大きく貢献します。

有給休暇管理の高度化は、給与計算の正確性向上、就業規則の充実、勤怠管理の精密化、労働時間管理の適正化など、人事労務管理全体の質向上にもつながります。DXツールの戦略的活用、アウトソースと内製化の最適化、助成金の効果的な利用により、効率的で持続可能な管理体制を実現することも可能です。

今こそ、戦略的な有給休暇管理により、法令遵守と従業員満足度向上を両立する働きやすい職場環境を構築しませんか?

HR BrEdge社会保険労務士法人では、2007年の創業以来、顧問先50社・給与計算月1万人の実績をもとに、年次有給休暇管理の効率化から働き方改革の推進まで、企業の労務管理を総合的にサポートしています。ミスを出さない仕組みづくりと迅速な対応にこだわり、LINE、Slack、Chatworkなど、お客様の使用ツールに合わせて柔軟に対応いたします。

年次有給休暇管理の効率化や5日取得義務への対応でお悩みの方は、まずは無料相談からお気軽にご相談ください。オンライン対応も可能ですので、全国どちらからでもサポートいたします。効率的で法令に準拠した有給休暇管理体制を一緒に構築していきましょう。

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