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特定技能制度2号拡大で企業が取るべき戦略とは?未来を予測し、成功へ導く3つのステップ

2026.01.18 スタッフブログ

「せっかく育てた優秀な人材が、5年で帰国してしまう…」

これは、特定技能制度を活用し始めた多くの人事担当者や経営者が、かつて抱えていた深い悩みでした。現場の仕事を覚え、日本語も上達し、チームの中心になりつつあるタイミングで訪れる「在留期間の上限」という壁。別れを惜しむ送別会で、涙を流す外国人社員の姿を見て、「もっと長く働いてもらいたい」と願ったことはありませんか?

しかし今、その状況は大きく変わりつつあります。特定技能2号の対象分野拡大は、単なる制度改正ではありません。これは、外国人材を一時的な労働力としてではなく、「将来の幹部候補」「生涯のパートナー」として迎え入れるための扉が開かれたことを意味します。

この記事では、特定技能2号の拡大が企業にもたらす本質的な価値と、そのチャンスを最大限に活かすための戦略を解説します。制度の複雑な仕組みを解きほぐし、あなたの会社が「選ばれる企業」になるための具体的な道筋を、未来の視点から描いていきます。

特定技能制度の現状と2号特定技能の拡大背景

特定技能制度は2019年の創設以来、深刻化する日本の人手不足を救う切り札として期待されてきました。しかし、当初の「特定技能2号」は、建設と造船・舶用工業の2分野に限られ、非常に狭き門でした。多くの外国人材にとって、日本での就労は「最大5年(特定技能1号)」という期限付きの出稼ぎにならざるを得ない状況があったのです。

11分野への劇的な拡大

この潮目が変わったのが、2023年の閣議決定です。政府は特定技能2号の対象分野を、従来の2分野から計11分野へと大幅に拡大しました。これにより、以下の分野でも熟練した技能を持つ外国人材が、実質的に在留期限なく働ける可能性が生まれました。

  • ビルクリーニング
  • 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
  • 自動車整備
  • 航空
  • 宿泊
  • 農業
  • 漁業
  • 飲食料品製造業
  • 外食業
  • (建設、造船・舶用工業は継続)

この拡大の背景には、経済界からの切実な要望があります。「5年で帰国させるのは企業にとっても国家的にも損失だ」という声が、国を動かしたのです。これは日本が事実上、外国人労働者を「移民」に近い形で長期的に受け入れる方向へ舵を切った歴史的な転換点とも言えます。

2号特定技能拡大が企業にもたらす具体的な影響とチャンス

特定技能2号への道が開かれたことは、企業にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。それは単に「長く働ける」という時間的なメリットに留まりません。

「永住への道」がもたらすエンゲージメントの向上

特定技能2号の最大の特徴は、在留期間の上限撤廃家族帯同の許可です。これまでは「どうせ5年で帰るから」と、キャリアアップに消極的だった外国人社員も、「日本で家族と一緒にずっと暮らせる」という目標ができることで、仕事へのモチベーションが劇的に変化します。彼らにとって2号取得は、日本での安定した生活を手に入れる「ジャパニーズ・ドリーム」そのものなのです。

熟練指導者としての活躍

2号を取得するためには、高度な技能試験に合格し、実務経験を積む必要があります。つまり、2号人材は必然的に「現場のリーダー層」となります。日本人の若手採用が難航する中、現場を熟知した外国人材が、新人の日本人や後輩の特定技能1号を指導する。そんな「逆転」のマネジメント体制が、これからの現場を支える柱となっていくでしょう。

  • 採用コストの削減: 離職と採用を繰り返すコストからの脱却。
  • 技術の継承: ベテラン社員の技術を彼らが受け継ぎ、次世代へ繋ぐ。

特定技能外国人採用で成功するための戦略的アプローチ

では、このチャンスを活かすために、企業は具体的にどう動くべきか。成功への道は、以下の3つのステップで構成されます。

Step 1: キャリアパスの「見える化」

まずは、入社時(あるいは1号採用時)から、「君には将来、2号を取得してリーダーになってほしい」という期待と、そのためのロードマップを提示することです。「どの資格を取ればいいのか」「日本語レベルはどこまで必要か」「給与はどう上がるのか」。これらを明確にすることで、彼らは安心してスキルアップに励むことができます。

Step 2: 資格取得への伴走型支援

2号評価試験や技能検定1級などのハードルは低くありません。業務時間内での学習時間の確保、受験費用の補助、日本人社員による技術指導など、会社全体で「合格させる」体制を作ることが重要です。これを個人の努力任せにせず、組織のプロジェクトとして取り組めるかが勝負の分かれ目です。

Step 3: 生活基盤の長期設計サポート

家族を呼び寄せる場合、住居の広さ、子供の学校、配偶者の仕事など、単身時代とは異なる悩みが発生します。これらに対して、行政の窓口へ同行したり、社宅制度を見直したりといった、一歩踏み込んだ生活支援が求められます。

採用から定着まで!特定技能外国人が長く活躍する環境づくり

特定技能2号の認定を受ける人材を育てるには、長い時間がかかります。その間、彼らが離職せず、意欲的に働き続けるための環境づくりが不可欠です。

心理的安全性の確保

「困ったときに相談できる相手がいるか」。これが定着の鍵です。業務上の指導役(メンター)とは別に、生活相談ができる担当者を配置することをお勧めします。また、日本人社員向けに異文化理解研修を行い、外国人材を「ゲスト」ではなく「仲間」として受け入れる土壌を整えることも重要です。

評価とフィードバックの適正化

「日本人は察する文化だが、外国人は言葉にしないと伝わらない」とよく言われます。定期的な1on1ミーティングを実施し、彼らの成果を具体的に褒め、改善点を論理的に伝える。公平な評価制度が運用されていると感じられる職場では、外国人材の納得感と忠誠心が高まります。

事例から学ぶ!特定技能制度を活用した企業の成功体験

ここで、ある地方の金属加工メーカー、A社の事例をご紹介します。

A社には、ベトナム出身の特定技能1号、グエンさん(仮名)がいました。彼は手先が器用で真面目、日本語も堪能で、現場になくてはならない存在でした。しかし、在留期限の5年が迫り、帰国の日が近づいていました。社長は「彼を失うのは痛すぎる」と頭を抱えていました。

そこでA社は、新設された制度を活用し、グエンさんの特定技能2号取得を全面支援することを決意します。

  • 対策: 日本人工場長がマンツーマンで実技試験の特訓を実施。
  • 結果: 見事合格。グエンさんは帰国を取りやめ、本国から妻と子供を呼び寄せました。

現在、グエンさんは「主任」として、新しく入ってきた日本人新入社員に機械の操作を教えています。「子供を日本の学校に通わせ、家族で夕食を囲めるのが一番の幸せです。社長には感謝してもしきれません」と語る彼の眼差しは、会社の未来そのものです。A社は、制度を単なる労働力確保の手段ではなく、「社員の人生を応援する仕組み」として活用し、強固な信頼関係を築くことに成功したのです。

特定技能制度の未来予測と企業が今から備えるべきこと

特定技能制度は、今後も進化を続けます。特に注目すべきは、技能実習制度に代わる新制度「育成就労制度」の創設(2027年予定)です。

人材育成から定着への一本化

「育成就労制度」は、3年間の育成期間を経て、特定技能1号、そして2号へとスムーズに移行することを前提とした制度になります。つまり、これからの外国人採用は、「未経験から採用し、自社で育て上げ、2号として定着してもらう」という長期育成モデルがスタンダードになります。

「選ばれる企業」への転換を

制度が整備されればされるほど、外国人材側も企業を見る目が肥えてきます。「給与」だけでなく、「キャリアパス」「支援体制」「家族との生活」を天秤にかけ、より良い条件の企業を選ぶようになります。

今、特定技能2号への支援体制を構築することは、現在の社員をつなぎ止めるだけでなく、将来の採用競争を勝ち抜くための最強のブランディングになります。「あそこで働けば、技術が身につき、家族と幸せに暮らせる」。そんな評判が海外現地のコミュニティで広まるような企業を目指すべきです。

変化を恐れず、外国人材と共に成長する覚悟を決めた企業だけが、人口減少社会での生き残りを手にすることができるのです。

関連する詳しい情報はこちらのブログ一覧もご参照ください。

まとめ

特定技能2号の拡大は、企業にとって「一時的な労働力の確保」から「長期的な中核人材の育成」へとシフトする絶好の機会です。制度を正しく理解し、キャリアパスの提示、資格取得支援、そして家族を含めた生活支援を行うことで、外国人材は御社の強力なパートナーとなります。

未来を見据え、彼らの「日本で働きたい」という想いに応える環境を整えること。それが、企業の持続的な成長を約束する、最も確実な戦略なのです。

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