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特定技能の活動内容違反を徹底回避!企業が知るべき実務と罰則、5つの予防策
特定技能の活動内容違反を徹底回避!企業が知るべき実務と罰則、5つの予防策
特定技能外国人の雇用において、企業が最も注意すべきリスクの一つが「活動内容違反」です。意図せずとも、指定された業務範囲を超えた仕事をさせてしまうと、不法就労助長罪に問われ、企業の存続に関わる重大なペナルティを受ける可能性があります。本記事では、特定技能における活動内容違反の定義から具体的な事例、違反を防ぐための実務チェックリストまで、外国人雇用の専門家が徹底解説します。正しい知識でコンプライアンスを遵守し、安定した雇用体制を築きましょう。
特定技能における「活動内容違反」とは?基本と重要性
特定技能制度における「活動内容違反」とは、在留資格「特定技能」で許可された業務範囲外の活動を行うことを指します。これを理解するためには、入管法(出入国管理及び難民認定法)における「指定書」の存在を知る必要があります。
特定技能外国人の在留カードには、裏面に「指定書により指定された就労活動のみ可」と記載されています。パスポートに貼付される「指定書」には、以下の2点が厳格に定められています。
- 受入れ機関の名称(企業名):指定された企業以外での就労は認められません。
- 活動の内容(産業分野・業務区分):指定された分野および業務区分以外の仕事は認められません。
例えば、「飲食料品製造業」の許可を得ている外国人が、同社内であっても人手が足りないからといって「運送業務」や「清掃業務」のみに従事することは、入管法第19条(資格外活動)違反となります。企業側にとっても、これは単なる配置転換ミスでは済まされず、不法就労助長罪という刑事罰の対象になり得る極めて重大な問題です。
企業が知るべき活動内容違反の具体的な類型と事例
企業が陥りやすい活動内容違反には、いくつかの典型的なパターンがあります。悪意がなくても「うっかり」や「知識不足」で違反となるケースが後を絶ちません。
1. 業務区分外の活動(資格外活動)
最も多いのが、許可された業務区分以外の仕事をさせるケースです。
- 事例: 「農業」分野の特定技能外国人を、冬場の農閑期に自社工場での「加工業務」や他社への「派遣労働」に従事させた。
- 解説: 農業分野では農作業および関連業務が認められていますが、主たる業務として工場労働や他業種の業務を行うことは認められません。
2. 単純労働のみへの従事
特定技能は「相当程度の知識または経験を必要とする技能」を要する業務に従事することが要件です。
- 事例: 「外食業」の特定技能外国人に、食器洗いや清掃業務のみを一日中行わせた。
- 解説: 付随的な業務として清掃を行うことは可能ですが、本来の技能を要する接客や調理を行わず、単純作業のみに従事させることは活動内容違反とみなされるリスクが高いです。
3. 指定された機関以外での就労
- 事例: グループ会社間での「出向」や「応援」として、指定書に記載されていない別の法人で働かせた。
- 解説: 特定技能は原則として直接雇用であり、指定された機関(雇用主)での就労に限られます。許可なく他社で働かせることは、労働者派遣法違反および入管法違反となります(※農業・漁業分野の派遣形態を除く)。
活動内容違反が企業に及ぼす影響と罰則
活動内容違反が発覚した場合、企業(特定技能所属機関)には壊滅的なダメージが及びます。法令違反は「知らなかった」では済まされません。
刑事罰:不法就労助長罪
入管法第73条の2に基づき、外国人に不法就労活動をさせた事業主には、以下の罰則が科されます。
- 3年以下の懲役 または 300万円以下の罰金(もしくはその併科)
行政処分:受入れ停止措置
刑事罰以上に企業の事業継続に影響するのが、入管庁による行政処分です。
- 5年間の受入れ停止: 不法就労助長罪などで処罰されると、その後5年間は特定技能外国人だけでなく、技能実習生の受け入れもできなくなります。
- 認定の取消し: 既に受け入れている他の特定技能外国人の認定も取り消される可能性があり、全員が帰国を余儀なくされる事態となります。
社会的信用の失墜
- 企業名の公表: 入管庁や厚生労働省により、法令違反企業として企業名が公表される場合があります。これにより、金融機関からの融資停止や取引先との契約解除につながるリスクがあります。
違反を未然に防ぐための実務チェックリストと手順
活動内容違反を確実に防ぐためには、採用時から配属後にかけて、以下の手順で厳格なチェックを行う必要があります。
- 採用前の業務内容照合
- 従事させる予定の業務が、「特定技能運用要領」に定める業務区分に完全に合致しているか確認しましたか?
- 付随的な業務(清掃や運搬など)が、業務全体の時間の何割を占めるか想定しましたか?(主たる業務であることが必須)
- 雇用契約書の作成
- 雇用契約書および雇用条件書に記載する「従事すべき業務の具体的内容」は、入管法上の区分と一致していますか?
- 日本語と母国語の両方で作成し、本人に十分に説明して署名を得ていますか?
- 在留カードと指定書の確認
- 雇い入れ時に在留カードだけでなく、パスポートの「指定書」の原本を確認しましたか?
- 指定書に記載された「機関名」と「活動内容」が自社と一致していますか?
- 現場責任者への教育
- 現場の店長や工場長に対し、「させてはいけない業務」を具体的に指示しましたか?
- 「日本人アルバイトと同じ感覚でシフトを組んではいけない」ことを周知しましたか?
受け入れ後の定期的な確認と在留資格管理のポイント
特定技能外国人の受け入れは、入国・採用して終わりではありません。在留期間中、常に適法な状態を維持するための管理体制が求められます。
特に重要なのが、四半期ごとの定期面談です。登録支援機関(または自社支援担当者)による面談では、単に生活状況を聞くだけでなく、「実際にどのような仕事をしているか」を詳細にヒアリングする必要があります。
- 業務日報の確認: 本人が作成する日報や業務記録を定期的にチェックし、許可されていない業務を行っていないか確認します。
- 配置転換時の再確認: 人事異動や部署変更を行う際は、必ず事前に在留資格の変更が必要ないか、業務区分から逸脱しないかを確認してください。場合によっては「在留資格変更許可申請」が必要です。
- 在留期限の管理: 不法残留(オーバーステイ)も活動内容違反と並ぶ重大な違反です。期限の3ヶ月前から更新申請が可能になるため、早めの準備をカレンダーで管理しましょう。
特定技能外国人からの相談対応と問題発生時の体制
特定技能外国人自身が、「契約と違う仕事をさせられている」と感じた場合、行政機関へ通報するケースが増えています。これを防ぐには、社内での適切な相談体制の構築が不可欠です。
- 母国語での相談窓口: 言葉の壁により不満を溜め込まないよう、通訳を介した相談窓口や、SNSを使った相談ルートを確保します。
- 苦情への迅速な対応: 「掃除ばかりさせられる」「聞いていた仕事と違う」といった声が上がった場合、直ちに現場の状況を確認し、必要であれば業務内容を是正してください。
- 通報義務の履行: 万が一、社内で法令違反(労災隠しや違法残業など)を発見した場合、特定技能所属機関(企業)には行政への通報義務があります。自浄作用を働かせることが、最終的に企業を守ることにつながります。
専門家と連携するメリット:コンプライアンス強化の鍵
特定技能制度は、入管法、労働基準法、関係省令が複雑に絡み合い、制度変更も頻繁に行われます。社内の担当者だけで全ての法令を完璧に把握し続けることは困難であり、リスクが高いと言えます。
行政書士や社会保険労務士といった外国人の在留資格・労務管理に詳しい専門家と顧問契約を結ぶことで、以下のメリットが得られます。
- 適法性の事前診断: 新しい業務を任せる際、それが特定技能の範囲内か即座に判断を仰げます。
- 法改正への対応: 最新の制度変更や運用要領の改訂情報をいち早く入手し、社内規定に反映できます。
- 行政調査への対応: 入管庁や労基署の立ち入り調査が入った際、専門家の立ち会いにより適切な対応が可能になります。
活動内容違反は、企業の存続を揺るがすリスクです。「知らなかった」で後悔する前に、専門家と連携し、堅実なコンプライアンス体制を構築してください。
まとめ
特定技能外国人の活動内容違反は、企業に「不法就労助長罪」という刑事罰と、「5年間の受入れ停止」という行政処分をもたらす重大なリスクです。これを防ぐためには、以下の5つの予防策を徹底することが不可欠です。
- 「指定書」と「運用要領」に基づいた業務範囲の正確な理解
- 採用時の厳格な業務内容照合と雇用契約書の整備
- 現場責任者へのコンプライアンス教育の徹底
- 定期面談による実態把握と早期是正
- 専門家との連携による最新法令への対応
正しい知識と管理体制があれば、特定技能制度は企業の人手不足を解消する強力な武器となります。法令遵守を第一に、外国人材が活躍できる環境を整えましょう。
外国人雇用に関する詳しい情報はこちらのブログ一覧もご参照ください。
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