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【大阪難波の社労士】賞与にかかる社会保険料の上限は?計算方法も解説

2024.02.27 スタッフブログ

大阪難波を中心に、全国規模で企業の労務対応をサポートしている、社会保険労務士法人渡辺事務所です。

従業員へ支払う賞与にかかる社会保険料には、上限があることを知っていましたか?正しい方法で社会保険料を計算しないと、思わぬ損失になるかもしれません。

本記事では賞与にかかる社会保険料の上限について、保険料の計算方法などと一緒に解説します。

賞与にかかる社会保険料の上限

冒頭でも述べたように、賞与にかかる社会保険料には上限があります。

まずは税引き前の額から1,000円未満の端数を切り捨てた標準賞与額を算出し、所定の保険料率を掛けます。健康保険と介護保険は年間累計で573万円、厚生年金保険は1カ月あたり150万円が上限です。

年度途中で被保険者資格の取得・喪失があった場合、標準賞与額の累計は保険者単位とします。また保険料免除期間に支払われた賞与も、年間累計額に含まれる点には注意しましょう。

参照:全国健康保険協会「賞与の範囲

賞与にかかる社会保険料の計算方法

賞与には、次のような社会保険料がかかります。

  • 健康保険料
  • 介護保険料
  • 厚生年金保険料
  • 雇用保険料

それぞれの計算方法や最新の保険料率は、以下の通りです。

健康保険

健康保険の保険料は、会社と従業員が半分ずつ負担する労使折半のため「標準賞与額×保険料率×1/2」の計算式を用います。

保険料は、基本的に都道府県ごとに定められた保険料率・保険料額表によって決定されます。全国健康保険協会のホームページにて都道府県ごとの保険料率を一覧表で掲載しているため、チェックしてみるとよいでしょう。2023年度の大阪府の保険料率は、10.29%です。

参照:全国健康保険協会「都道府県毎の保険料率

介護保険

介護保険の保険料も、会社と従業員が半分ずつ負担する労使折半のため「標準賞与額×保険料率×1/2」の計算式を用います。

健康保険と同様、基本的に都道府県ごとに定められた保険料率・保険料額表によって決定されます。2023年度の大阪府の保険料率は、10.29%です。

また他の社会保険と異なり、徴収対象は40歳以上65歳未満の従業員のみです。

参照:全国健康保険協会「都道府県毎の保険料率

厚生年金保険

厚生年金保険の保険料も、会社と従業員が半分ずつ負担する労使折半のため「標準賞与額×保険料率×1/2」の計算式を用います。

保険料率は年金制度改正に伴って、2004年度から段階的に引き上げられてきました。2017年9月に最後の引き上げが終了し、現在は18.3%で固定されています。

参照:日本年金機構「厚生年金保険料額表

雇用保険

雇用保険の保険料は、会社負担と従業員負担の率が事業によって異なります。2023年度の保険料率は、以下の通りです。

事業の種類 労働者の負担割合 事業主の負担割合 雇用保険料(労働者の負担割合+事業主の負担割合)
一般の事業 6/1,000 9.5/1,000 15.5/1000
農林水産・清酒製造の事業 7/1,000 10.5/1,000 17.5/1,000
建設の事業 7/1,000 11.5/1,000 18.5/1,000

労働者が負担するのは、失業等給付・育児休業給付の保険料のみです。一方で事業主が負担するのは、失業等給付・育児休業給付と雇用保険二事業の保険料となります。

参照:厚生労働省「令和5年度雇用保険料率のご案内

賞与にかかる社会保険料の計算における注意点

賞与にかかる社会保険料を計算するときは、いくつかの注意しておきたい点があります。以下で主な注意点を5つチェックしていきましょう。

社会保険料がかからないケースがある

次の要件に該当する場合は、社会保険料がかかりません。

  • 産前産後や育児休業中
  • 支給月が資格喪失月
  • 国民健康保険組合の加入者

産前産後や育児休業中に賞与を支給するときは、社会保険料が免除される制度があります。たとえば、月末に産前産後休暇を取得した場合、当月に支払われた賞与に対する保険料と月額の保険料はかかりません。

賞与の支給月が資格喪失月の場合も、保険料が免除されます。注意するべき点は、月末に退職する場合です。健康保険や厚生年金保険から抜けた翌日を資格喪失日と呼び、保険料は資格喪失日の前月分までが徴収されます。そのため、仮に月末である6月30日に退職したときは翌日の7月1日が資格喪失日となり、6月中に支給した賞与には保険料がかかります。

また同業同種の個人事業の自営業者で構成される、国民健康保険組合の加入者も、賞与には保険料がかかりません。

同月で複数回にわたって賞与を支給する場合は合算する

同じ月で複数回にわたって賞与を支給するときは、賞与額を合算した上で標準賞与額を算出します。たとえば、1回目の賞与額が60万500円、2回目の賞与が40万500円だった場合、以下の手順に沿って計算します。

  1. 1回目の標準賞与額60万円×被保険者の保険料率
  2. 1回目の賞与60万500円+2回目の賞与40万500円=標準賞与額100万1,000円
  3. 標準賞与額100万1,000円×被保険者の保険料率-手順1で控除した保険料

合算した際の額が、健康保険・介護保険・厚生年金保険の標準賞与限度額を超えた場合は、標準賞与額を基準とします。

年4回以上支給する場合は報酬とする

賞与を年4回以上支給する場合は、報酬として給与と同等に扱います。

年間で支給した合計額から1カ月あたりの平均額を算出し、毎月の給与へ加算して社会保険料を計算します。

雇用保険料は年度末に精算する

雇用保険の保険料は、年度末にまとめて精算します。

他の社会保険と異なり、年度当初に保険料を概算で申告・納付して、翌年度の確定申告によって精算するためです。

被保険者賞与支払届を提出する

従業員に賞与を支給したときは、被保険者賞与支払届を年金事務所や事務センターへ提出しなければいけません。提出期限は支払日から5日以内です。

対象は年3回まで賞与を支払う場合で、前述したように、4回以上は報酬と見なされます。

参照:日本年金機構「従業員に賞与を支給したときの手続き

まとめ

賞与にかかる社会保険料には上限があり、健康保険と介護保険は年間累計で573万円、厚生年金保険は1カ月あたり150万円です。まずは税引き前の額から1,000円未満の端数を切り捨てた標準賞与額を算出し、所定の保険料率を掛けましょう。計算方法は保険の種類によって異なります。

ただし、産前産後や育児休業中、支給月が資格喪失月などの場合は、保険料がかかりません。他にも計算する上での細かいルールがあるため、詳細を理解しておくことが大切です。

社会保険労務士法人渡辺事務所は、大阪市中央区難波を拠点に全国対応しております。オンラインにも対応し、遠方の方もご利用可能です。賞与を含む給与計算や社会保険の手続きサポートなどに応じているため、ぜひお気軽にご相談ください。

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