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登録支援機関の変更はビザ更新を待つな!社労士が教える最適時期と注意点
特定技能外国人を雇用する企業にとって、登録支援機関は重要なパートナーです。しかし、「担当者と連絡がつかない」「支援内容に見合わない費用がかかっている」といった違和感を抱きながらも、「ビザ更新のタイミングまでは我慢すべきだろうか」と悩んでいる担当者様も多いのではないでしょうか。
実は、登録支援機関の変更をビザ更新時まで待つ必要はなく、むしろ更新時期と重なることで手続きが複雑化するリスクさえあります。適切なタイミングで切り替えることが、コンプライアンス遵守とコスト適正化への近道です。
この記事では、外国人雇用専門の社労士が、登録支援機関を変更する際の最適なタイミングや、トラブルを回避するための具体的な手順、特定技能外国人への説明方法について、実務的な視点から詳しく解説します。
Q1. 今の登録支援機関に違和感がありますが、切り替えを検討すべき具体的なサインは何ですか?
【結論】連絡の遅延、定期面談の形骸化、法改正情報の未提供が見られる場合は、直ちに切り替えを検討すべき危険なサインです。
登録支援機関は、特定技能外国人が日本で安定的かつ適正に就労できるよう支援する重要な役割を担っています。しかし、実務上では支援の質に大きなばらつきがあるのが現状です。特に注意すべきなのは、法令で定められた「3ヶ月に1回の定期面談」が形式的なものになっている場合や、母国語での相談対応が不十分なケースです。
実際の顧問先では、担当者が頻繁に変更され、そのたびに引き継ぎが行われていないことで、外国人の居住地変更や社会保険の手続き漏れが発覚した事例があります。こうした事務的なミスは、最悪の場合、企業の「受入れ停止処分」につながるリスクがあります。
切り替えを検討すべき具体的なサインは以下の通りです。
- 質問に対する回答が数日経っても来ない、または曖昧である
- 定期面談の報告書が、毎回同じ内容のコピー&ペーストである
今の機関に任せていてはコンプライアンスが守れないと感じた時が、検討を始めるべきタイミングです。一方で、単に「相性が悪い」という理由だけで頻繁に変更すると、外国人本人に不安を与える可能性があるため、慎重な判断も必要です。
Q2. 登録支援機関の変更は「ビザ更新(在留期間更新)」のタイミングまで待つべきでしょうか?
【結論】ビザ更新を待つ必要は全くありません。むしろ更新時期と切り替え時期を分けた方が、手続きミスを防ぎやすくなります。
多くの企業担当者様が「契約期間の区切り」や「ビザ更新」に合わせて変更しようと考えがちですが、実務的にはこれは推奨されません。ビザ更新(在留期間更新許可申請)の時期は、入管への提出書類が膨大になり、ただでさえ事務負担が増加します。このタイミングで登録支援機関を変更すると、新旧機関の間で書類の受け渡しや責任分界点が曖昧になり、更新申請に必要な情報の欠落を招く恐れがあります。
例えば、更新申請の直前に機関を変更する場合、新しい機関が過去の支援状況を十分に把握できていない状態で申請書類を作成することになります。これにより、過去の定期面談の記録と申請内容に矛盾が生じ、審査が長期化するリスクがあります。
一方で、ビザの有効期限まで半年以上の余裕がある時期であれば、新しい機関との信頼関係を構築し、支援体制を整えてから更新手続きに臨むことができます。「不満があるなら、更新を待たずに動く」のが、リスク管理の鉄則です。
Q3. ビザ更新時以外で、実務上のリスクを抑えて切り替えられる「最適なタイミング」はいつですか?
【結論】四半期報告が終わった直後や、給与計算の締日翌日など、事務処理の区切りが良いタイミングが最適です。
登録支援機関の変更には、入管への「支援委託契約の終了・締結」に関する届出が必要です。実務上のリスクを最小限に抑えるためには、法令で定められた定期報告(四半期報告)のサイクルを意識することが重要です。具体的には、3ヶ月ごとの定期面談と入管への報告が完了した直後のタイミングで切り替えると、引き継ぎがスムーズになります。
最適なタイミングの例は以下の通りです。
- 四半期報告(1月、4月、7月、10月)の提出が完了した翌月
- 給与計算の締日を過ぎ、新しい月度が始まるタイミング
また、企業の繁忙期を避けることも重要です。受け入れ企業の担当者が引き継ぎ業務に時間を割けない時期に変更を行うと、書類の確認漏れが発生しやすくなります。企業の状況によって判断が異なるため、具体的なスケジュールは専門家への個別相談をお勧めします。一方で、法令違反などの緊急性が高い問題がある場合は、時期を問わず即座に変更手続きを進める必要があります。
Q4. 四半期報告の直前に登録支援機関を変更するのは避けるべきですか?
【結論】可能な限り避けるべきです。報告義務の所在が曖昧になり、報告漏れや内容の不整合によるトラブルの原因となります。
特定技能制度では、四半期ごとに支援実施状況を入管へ届け出る義務があります。この報告時期(1月、4月、7月、10月)の直前や最中に機関を変更すると、「その四半期の支援をどちらが実施し、どちらが報告するのか」という責任の所在が不明確になりがちです。
実務上よくあるケースとして、前の機関が「契約解除したから報告しない」と主張し、新しい機関は「契約前の期間については責任を持てない」と主張して、結果的に報告が宙に浮いてしまうトラブルが見られます。こうなると、受入れ企業自身が報告を行わなければならず、予期せぬ事務負担が発生します。
したがって、四半期報告の直前での変更は避け、「報告が完了したことを確認してから契約を終了し、次の四半期から新しい機関に委託する」という流れが最も安全です。一方で、どうしても急ぐ事情がある場合は、新旧機関と企業の間で「誰がいつまでの分を報告するか」を書面で明確に取り決めておく必要があります。
Q5. 支援委託料の安さだけで選ぶと、どのようなリスクや「隠れコスト」が発生しますか?
【結論】安さだけで選ぶと、法定支援が実施されず、結果として社内担当者の工数増加や法令違反のリスクを招くことになります。
登録支援機関の中には、月額数千円〜1万円台という極端に安い委託料を提示するところもあります。しかし、特定技能制度で求められる支援(事前ガイダンス、出入国送迎、住居確保、生活オリエンテーション、公的手続き同行、日本語学習機会の提供、相談苦情対応、定期面談など)を適正に行うには、相応の人件費とコストがかかります。
格安の機関を選んだ場合に陥りやすい「隠れコスト」とリスクは以下の通りです。
- 通訳が常駐しておらず、トラブル時の対応が遅れる、または別料金を請求される
- 公的手続きへの同行をしてくれず、結局社内の人事担当者が役所へ行くことになる
「委託料は安いが、社内の手間が増えた」のでは本末転倒です。さらに、支援計画書通りに支援が実施されていないと判断されれば、特定技能外国人の在留資格が取り消される恐れもあります。一方で、自社で支援体制を整える余力がある場合は、一部業務のみを委託する契約も可能ですが、その場合も責任分担を明確にする必要があります。
Q6. 登録支援機関を変更する際、特定技能外国人本人には何を伝えるべきですか?
【結論】「ビザには影響しないこと」「相談窓口が変わるだけで支援は継続されること」「会社がより良い環境を作るための変更であること」の3点を伝えましょう。
外国人材にとって、登録支援機関の担当者は日本での生活を支える頼れる存在です。突然の変更は、「自分のビザが切れるのではないか」「会社をクビになるのではないか」といった不要な不安を招く可能性があります。そのため、変更が決まった段階で、企業側から丁寧に説明を行うことが不可欠です。
絶対に伝えておくべき3つの安心材料は以下の通りです。
- 在留資格(ビザ)自体には何の影響もなく、これまで通り働けること
- 新しい機関になっても、母国語での相談など必要なサポートは必ず受けられること
- これは会社が皆さんにより安心して働いてもらうための前向きな変更であること
特に「ビザへの影響がない」点は、彼らが最も心配することなので、明確に伝えてください。一方で、前の機関の担当者と個人的に親しい場合は、心情的なケアも必要です。新しい担当者を早めに紹介し、顔合わせの機会を作ることで、スムーズな移行が可能になります。
Q7. 変更手続きをスムーズに進めるために、企業側で準備すべき書類は何ですか?
【結論】現在の支援計画書、パスポート・在留カードの写し、雇用条件書、および直近の定期報告書の控えを準備しておくとスムーズです。
新しい登録支援機関に業務を引き継ぐ際、最も重要なのは「これまでの支援状況」と「外国人の現状」を正確に伝えることです。情報が不足していると、新しい支援計画書の作成に時間がかかり、変更届出が遅れる原因となります。
具体的に準備しておくべき「必要書類リスト」は以下の通りです。
- 特定技能外国人のパスポートおよび在留カードのコピー
- 現在締結している雇用契約書および雇用条件書のコピー
- 直近の「支援実施状況に係る届出書(四半期報告書)」の控え
- 1号特定技能外国人支援計画書(現在のもの)
これらの書類があれば、新しい機関は現状の労働条件や支援内容を即座に把握できます。特に直近の報告書は、支援の継続性を証明するために重要です。一方で、前の機関からデータでの提供が受けられない場合は、紙の書類をスキャンするなどして、早めに情報を整理しておくことをお勧めします。
Q8. 前の登録支援機関との契約解除や断り方は、どのように進めればトラブルになりませんか?
【結論】契約書の解約条項を確認し、期限に余裕を持って書面で通知するとともに、「社内体制の変更」を理由にすると円満に進みやすいです。
支援委託契約書には、通常「解約の申し入れは◯ヶ月前までに行う」といった条項が含まれています。まずはこの期間を確認し、違約金などが発生しないタイミングで解約通知を行うことが基本です。口頭での伝達は「言った言わない」のトラブルになりやすいため、必ずメールや書面で記録を残してください。
断り方のポイントとして、これまでの多くの企業を支援してきた経験から言えるのは、相手の不備を責めるよりも「会社の方針転換」を理由にする方がスムーズだということです。
- 「社内の管理体制を見直すことになり、委託先を統一することになった」
- 「コスト削減の全社的な方針により、契約を見直すことになった」
これまでの支援に対する感謝を伝えつつ、ビジネスライクに手続きを進めるのが賢明です。一方で、明らかに契約不履行があった場合は、事実に基づいて改善を求めつつ、契約解除を通告することも正当な権利です。
Q9. 登録支援機関を変更した後、入管への届出はどのようになりますか?
【結論】変更から14日以内に、出入国在留管理庁へ「支援委託契約の終了および締結」に関する届出を行う必要があります。
登録支援機関を変更した場合、手続きは単に業者を変えて終わりではありません。法的には、受入れ企業(特定技能所属機関)が、入管に対して変更の事実を届け出る義務があります。具体的には、「支援委託契約の終了の届出」と、新しい機関との「支援委託契約の締結の届出」、さらに「支援計画の変更の届出」が必要になるケースが一般的です。
実務で誤解されやすいポイントですが、この届出は「新しい登録支援機関」が代行してくれることが多いものの、届出義務自体は「受入れ企業」にあります。万が一、新しい機関が届出を忘れていた場合、責任を問われるのは企業側です。
したがって、切り替え後は必ず「入管への届出が完了したか」を確認し、受領印のある届出書の控えを受け取って保管してください。一方で、オンライン申請(出入国在留管理庁電子届出システム)を利用すれば、手続きの履歴が残り、管理もしやすくなります。
まとめ
登録支援機関の変更は、ビザ更新を待つ必要はなく、むしろ適切なタイミングで行うことで、コンプライアンス体制の強化とコストの適正化につながります。重要なのは、四半期報告などの実務スケジュールを考慮し、特定技能外国人本人への丁寧な説明を行うことです。
「安さ」や「付き合い」だけで選んだ機関に任せきりにすることは、企業にとって大きなリスクとなります。違和感を覚えたら、早めに専門家へ相談し、自社に最適な支援体制を再構築することをお勧めします。
特定技能・外国人雇用に関する詳しい情報はこちらのブログ一覧もご参照ください。
監修者プロフィール
本記事は、HR BrEdge社会保険労務士法人に所属する特定社会保険労務士・渡辺俊一が監修しています。法人顧問業務を中心に、給与計算、労務相談、就業規則整備など、企業のバックオフィス全体を支える実務に携わってきました。
日常的な労務相談から、制度設計、実務運用、トラブル予防まで、「現場で実際に起こること」を前提とした支援を行っています。特に、従業員100名以上規模の企業における実務の属人化や判断が分かれやすい場面への対応を得意としています。
- 社会保険労務士(登録番号:第27070207号・平成19年11月1日登録・平成24年5月1日特定社会保険労務士付記)
- キャリアコンサルタント(登録番号:16131446・平成28年8月23日登録)
- HR BrEdge社会保険労務士法人 代表社員
- 法人顧問を中心とした労務管理・給与計算の実務支援
- 就業規則・社内ルール整備を含む制度運用支援
- 企業向け労務管理に関する書籍・実務資料の執筆・監修
- 経営者・人事担当者向け研修・セミナー講師実績
制度の解説にとどまらず、「このケースではどう判断すべきか」「どこでトラブルになりやすいか」といった実務上の判断ポイントを重視した情報提供を行っています。
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