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登録支援機関の切り替えに伴うリスクと3つのデメリットを社労士が解説!特定技能運用の落とし穴とは?
特定技能外国人の雇用において、登録支援機関のサポート品質は、外国人の定着率やコンプライアンス遵守に直結する極めて重要な要素です。「担当者の対応が遅い」「定期報告書にミスが多い」「外国人からの相談に対応できていない」といった不満から、登録支援機関の切り替えを検討される企業様も増えています。しかし、安易な変更には「入管法違反」や「外国人の離職」を招く大きなリスクが潜んでいます。本記事では、社会保険労務士の視点から、登録支援機関の切り替えに伴うデメリットや実務上の落とし穴、そして失敗しないためのスムーズな移行手順について、現場の実例を交えて解説します。
Q1. なぜ今の登録支援機関に不満を感じるのか?切り替えを検討すべき「危険な兆候」とは?
【結論】法令遵守意識の欠如やレスポンスの遅延、外国人への支援不足が常態化している場合、特定技能外国人の在留資格そのものに関わるため、即座に切り替えを検討すべきです。
登録支援機関は、受入れ企業に代わって特定技能外国人の生活や業務を支援する重要な役割を担っています。しかし、実務現場では「名ばかり支援」となっているケースも少なくありません。切り替えを検討すべき「危険な兆候」として、以下の点が挙げられます。
- 四半期ごとの定期面談が実施されていない、または形式的である
- 外国人本人からの相談に対して、母国語での対応ができていない
- 法改正や入管の運用変更に関する情報提供が全くない
- 支援実施記録などの法定書類の作成が遅れがちである
特に、入管法に関する知識不足は致命的です。特定技能制度は運用ルールが頻繁に変更されるため、最新情報をキャッチアップできていない機関に委託し続けることは、受入れ企業自身が法令違反に問われるリスクを高めます。
単なる担当者の相性や性格の不一致であれば、担当変更を申し出ることで改善の余地がありますが、一方で組織全体として法令知識が不足していたり、支援体制そのものが脆弱である場合は、どれだけ担当者が変わってもリスクは解消されません。このような「構造的な問題」を感じたときは、早急に切り替えの準備を始める必要があります。
Q2. 安易な切り替えが招く3つの致命的リスクとは?入管への届出漏れとコンプライアンスの空白について教えてください。
【結論】「支援委託契約の締結漏れ」「入管への変更届出の遅延」「過去の支援記録の散逸」の3つが、最悪の場合、受入れ停止処分にもつながる致命的なリスクです。
登録支援機関の切り替えは、単なる「業者の変更」ではありません。入管法に基づいた厳格な手続きが必要であり、一つでも手順を誤ると「不法就労助長」や「支援義務違反」とみなされる可能性があります。具体的には、以下の3つのリスクに注意が必要です。
- リスク1:変更届出の遅延・漏れ
登録支援機関を変更した場合、変更日から14日以内に入管へ届け出る必要があります。これを過ぎると届出義務違反となります。 - リスク2:支援委託契約の空白
旧機関との契約終了日と新機関との契約開始日が連続していない場合、「無支援期間」が発生し、法令違反となります。 - リスク3:過去データの喪失
これまでの支援実施記録や面談記録が適切に引き継がれないと、次回のビザ更新時に「過去の支援状況」を証明できず、不許可になる恐れがあります。
変更届出が1日でも遅れれば、受入れ企業に対して指導が入るだけでなく、次回の受入れに悪影響を及ぼす可能性があります。一方で、事前に十分な準備期間を設け、新旧機関の間で綿密な連携が取れていれば、これらのリスクは回避可能です。コストダウンだけを目的に安易に切り替えるのではなく、コンプライアンス体制を維持できるかを最優先に考える必要があります。
Q3. 【実務の盲点】切り替え期間中に発生する「支援の空白」が特定技能外国人の離職を加速させる理由は何ですか?
【結論】旧機関の契約終了と新機関の契約開始の間に「誰からも支援を受けられない期間」が生じると、外国人の不安が増大し、離職や失踪の引き金になります。
特定技能外国人は、日本での生活において多くの不安を抱えています。登録支援機関の切り替え期間中に発生する「支援の空白」は、実務上、非常に危険なタイミングです。なぜなら、外国人は「自分たちのビザはどうなるのか」「何かあった時に誰に相談すればいいのか」という不安を敏感に感じ取るからです。
- 緊急時の連絡先が不明確になる
- 生活オリエンテーションや相談対応がストップする
- 会社への不信感が募り、SNS等で他の求人を探し始める
これまで多くの企業を支援してきた中で、切り替えのタイミングで外国人が突然退職を申し出るケースを何度も目にしてきました。これは、会社側の都合で支援機関を変えることに対する説明不足や、空白期間中のフォロー不足が原因であることがほとんどです。
空白期間が数日程度であれば、実務上は大きな問題にならないこともありますが、一方で長期間にわたり支援体制が曖昧な状態が続くと、外国人は「自分は大切にされていない」と感じてしまいます。切り替えにあたっては、外国人本人に対して「なぜ変えるのか」「次は誰が担当するのか」を丁寧に説明し、不安を取り除くケアが不可欠です。
Q4. 顧問先でも実際にあった!登録支援機関の変更で「定期報告」の整合性が取れなくなるトラブル事例を教えてください。
【結論】実際にあった事例として、旧機関から引き継いだ「定期面談記録」の内容が不十分で、更新申請時に整合性が取れず不許可リスクが高まったケースがあります。
特定技能所属機関(受入れ企業)は、四半期ごとに支援実施状況を入管に届け出る義務があります。登録支援機関を切り替える際、この「定期報告」のデータ引き継ぎが最大のトラブルポイントとなります。私の顧問先でも、以下のようなトラブルが発生しました。
- 旧機関が作成していた支援記録が「実施したことになっているが、実際には行われていなかった」ことが発覚した。
- 面談記録の日付や内容が、本人の記憶と食い違っており、入管からの指摘で説明に窮した。
- 旧機関が独自のフォーマットで記録しており、新機関のシステムや入管指定様式への移行に膨大な時間がかかった。
特に問題となるのが、旧機関がずさんな管理をしていた場合です。新しい登録支援機関が正しく運用しようとしても、過去の記録との整合性が取れず、「過去の違反」を新機関が被ることになりかねません。
データで管理されていれば移行はある程度スムーズですが、手書きメモや口頭報告のみで済ませていた場合は、事実確認すら困難になります。切り替えを検討する際は、現在の支援記録が適切に保存されているか、引き継ぎ可能な状態にあるかを事前に確認することが、トラブル回避の鉄則です。
Q5. 失敗しないための「新旧支援機関」引き継ぎチェックリストと、スムーズな移行を実現する5ステップとは?
【結論】「解約予告」「新機関選定」「三者間合意」「新契約締結」「入管への届出」の順序を厳守し、特に解約と新規契約の間に空白期間を作らないことが最重要です。
登録支援機関の切り替えを成功させるためには、段取りが全てです。行き当たりばったりで進めると、必ずどこかで「支援の空白」や「書類の不備」が生じます。以下の5ステップに沿って進めることを推奨します。
- Step1:契約内容の確認と解約予告
現在の契約書の「解約条項」を確認します。解約予告期間(例:3ヶ月前)を守り、書面で解約を通知します。 - Step2:新登録支援機関の選定と内定
解約日が確定する前に、次の委託先を内定させます。空白期間を作らないよう、スケジュールを調整します。 - Step3:特定技能外国人への説明と同意
本人に事情を説明し、納得を得ます。これは離職防止のために極めて重要なプロセスです。 - Step4:支援委託契約の締結と引き継ぎ
旧機関の契約終了日の「翌日」を新機関の契約開始日とし、データの引き継ぎを行います。 - Step5:入管への変更届出
変更から14日以内に入管へ届け出ます。
解約予告期間が契約書で「3ヶ月」や「6ヶ月」と長く定められている場合は、早めの動き出しが必要ですが、一方で双方の合意があれば即時解約が可能なケースもあります。契約書の内容をよく確認し、新旧の機関同士が直接連絡を取り合って引き継ぎスケジュールを組むよう指示することが、企業担当者の負担を減らすコツです。
Q6. コストだけで選ばない!自社に最適な登録支援機関を見極めるための「専門性」と「伴走力」の基準は何ですか?
【結論】「特定技能制度への専門知識」「母国語対応の質」「社労士等の専門家との連携体制」の3点を重視し、トラブル時の対応力を基準に選ぶべきです。
登録支援機関を選ぶ際、委託料の安さだけで決めてしまうのは非常に危険です。安価な機関の中には、支援をほとんど行わず、書類作成のみを代行する「名義貸し」に近い業者も存在します。自社に最適なパートナーを見極めるためには、以下の基準で「専門性」と「伴走力」をチェックしてください。
- 専門性:特定技能専門の部署や担当者がおり、最新の法改正に対応できているか。行政書士や社会保険労務士と連携し、労務管理までサポートできるか。
- 伴走力:トラブル発生時に現地へ駆けつけるフットワークがあるか。外国人本人だけでなく、受入れ企業の担当者へのアドバイスも行っているか。
- 母国語対応:通訳ツール任せではなく、自社スタッフとして母国語対応可能な人材を雇用しているか。
コスト削減だけを目的に選ぶと、結果として支援の質が低下し、外国人の離職やコンプライアンス違反による損害が発生するリスクが高まります。一方で、適正価格で充実した支援を行う機関を選べば、外国人の定着率が向上し、採用コストの削減や生産性の向上といった長期的なメリットを享受できます。「何かあった時に守ってくれるか」という視点で選ぶことが重要です。
まとめ
登録支援機関の切り替えは、現状の不満を解消するチャンスであると同時に、手続き上のリスクを伴う重要な経営判断です。安易な切り替えは、コンプライアンス違反や外国人の離職といった取り返しのつかない事態を招きかねません。しかし、正しい手順と基準を持って行えば、より強固な支援体制を構築し、特定技能外国人の定着と活躍を促進することができます。自社だけで判断が難しい場合は、外国人雇用に詳しい専門家に相談することをお勧めします。
特定技能・外国人雇用に関する詳しい情報はこちらのブログ一覧もご参照ください。
監修者プロフィール
本記事は、HR BrEdge社会保険労務士法人に所属する特定社会保険労務士・渡辺俊一が監修しています。法人顧問業務を中心に、給与計算、労務相談、就業規則整備など、企業のバックオフィス全体を支える実務に携わってきました。
日常的な労務相談から、制度設計、実務運用、トラブル予防まで、「現場で実際に起こること」を前提とした支援を行っています。特に、従業員100名以上規模の企業における実務の属人化や判断が分かれやすい場面への対応を得意としています。
- 社会保険労務士(登録番号:第27070207号・平成19年11月1日登録・平成24年5月1日特定社会保険労務士付記)
- キャリアコンサルタント(登録番号:16131446・平成28年8月23日登録)
- HR BrEdge社会保険労務士法人 代表社員
- 法人顧問を中心とした労務管理・給与計算の実務支援
- 就業規則・社内ルール整備を含む制度運用支援
- 企業向け労務管理に関する書籍・実務資料の執筆・監修
- 経営者・人事担当者向け研修・セミナー講師実績
制度の解説にとどまらず、「このケースではどう判断すべきか」「どこでトラブルになりやすいか」といった実務上の判断ポイントを重視した情報提供を行っています。
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