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ハラスメント相談窓口の選び方:義務化された設置方法と効果的な運用の秘訣【社労士が比較解説】

2025.11.25 ハラスメント対策

ハラスメント相談窓口の設置は、法令によりすべての企業に義務付けられた重要な経営課題です。単に法的な要件を満たすだけでなく、従業員が安心して働ける環境を整えるためには、自社に最適なハラスメント相談窓口を選び、適切に運用することが求められます。本記事では、社内設置と外部委託の違いや選び方、運用を成功させるポイントについて、専門家の視点から詳しく解説します。

ハラスメント相談窓口の選び方:義務化された設置方法と効果的な運用の秘訣【社労士が比較解説】

ハラスメント相談窓口の設置義務とは?法的背景と企業への影響

ハラスメント相談窓口の設置は、2020年6月施行の改正労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)により、大企業では義務化、中小企業でも2022年4月から完全義務化されました。この法律では、事業主に対し、職場におけるパワーハラスメントを防止するための雇用管理上の措置を講じることを求めており、その中心となるのが相談窓口の設置と周知です。義務に違反した場合、行政指導の対象となるだけでなく、企業名の公表や損害賠償請求などのリスクを負うことになります。

企業への影響は法的リスクにとどまりません。ハラスメント相談窓口が機能していない場合、従業員の離職率増加やメンタルヘルス不調、企業の社会的信用の失墜といった深刻なダメージにつながる可能性があります。逆に、実効性のある窓口を整備することは、コンプライアンス経営の強化や「人を大切にする企業」としてのブランディングにも寄与します。

【比較】社内か社外か?ハラスメント相談窓口のタイプ別メリット・デメリット

ハラスメント相談窓口を設置する際には、社内リソースを活用する「社内窓口」と、専門機関に委託する「社外窓口」の2つの選択肢があります。それぞれのメリット・デメリットを比較し、自社の状況に合わせて最適な形態を選択することが重要です。多くの場合、両者を併用することで、それぞれの欠点を補い合う運用が推奨されます。

  • 社内相談窓口のメリット:コストを抑えられる、社内の人間関係や業務内容に精通しているため話が通じやすい、迅速な初期対応が可能である。
  • 社内相談窓口のデメリット:相談員が顔見知りのため相談しにくい(匿名性が低い)、担当者に専門知識がない場合適切な対応が難しい、相談情報が漏れる懸念がある。
  • 社外相談窓口のメリット:中立的な立場で対応できる、匿名性が高く安心して相談できる、弁護士やカウンセラーなど専門家の知見を活用できる。
  • 社外相談窓口のデメリット:委託コストがかかる、社内事情に疎いため背景理解に時間がかかる場合がある、報告までのタイムラグが発生することがある。

社内相談窓口の効果的な設置・運用ガイド:注意点と成功の秘訣

社内にハラスメント相談窓口を設置する場合、最も注意すべき点は「相談のしやすさ」と「守秘義務の徹底」です。人事部や総務部の中に窓口を設けることが一般的ですが、相談員には男性と女性の両方を配置し、対面だけでなくメールやチャットなど複数の相談チャネルを用意することで、相談への心理的ハードルを下げることができます。

運用を成功させる秘訣は、相談員に対する定期的な研修とマニュアルの整備です。相談員が不用意な発言をして二次被害(セカンドハラスメント)を引き起こさないよう、傾聴スキルやハラスメントの定義について十分な教育を行う必要があります。また、相談を受けた後の調査や事実認定のプロセスを明確化し、公平性を担保する仕組みを作ることが不可欠です。

外部相談窓口の賢い選び方:活用メリット・デメリットとプロの視点

外部にハラスメント相談窓口を委託する場合、委託先の専門性とサービス範囲を見極めることが賢い選び方のポイントです。委託先には、法律事務所、社会保険労務士事務所、メンタルヘルス専門会社などがあり、それぞれ得意分野が異なります。例えば、法的リスクの回避を重視するなら弁護士、メンタルケアを重視するならカウンセラーが在籍する企業が適しています。

プロの視点から見ると、単なる「受付代行」ではなく、事後の調査や解決策の提案までサポートしてくれるパートナーを選ぶことが重要です。安価なサービスでは「電話を受けるだけ」で終わってしまうケースもあるため、契約内容を事前によく確認しましょう。また、多言語対応や24時間対応など、自社の従業員の働き方に合わせたサービスを提供しているかどうかも選定基準の一つです。

相談窓口の周知徹底と相談員に求められるスキル:効果を最大化する運用術

どれほど立派なハラスメント相談窓口を設置しても、従業員に認知されていなければ意味がありません。就業規則への記載はもちろん、社内ポータルサイトへの掲示、カードの配布、研修時のアナウンスなど、あらゆる機会を通じて窓口の存在と「相談しても不利益な扱いを受けないこと」を周知徹底することが、運用の効果を最大化します。

相談員に求められるスキルは、まず何よりも「傾聴力」です。相談者の話を否定せず、感情に寄り添いながら事実関係を整理する能力が求められます。さらに、相談者のプライバシーを守る高い倫理観と、感情に流されずに中立的な視点を保つバランス感覚も必要です。定期的なロールプレイング研修などを通じて、これらのスキルを維持・向上させる取り組みが求められます。

ハラスメント事案発生時の対応フローとプライバシー保護の重要性

実際にハラスメント相談窓口に相談が寄せられた際は、予め定められた対応フローに従って迅速に行動することが重要です。一般的なフローは、①相談受付・ヒアリング、②事実関係の調査(被害者・行為者・第三者)、③ハラスメントの事実認定、④措置の検討・実施(懲戒処分、配置転換など)、⑤再発防止策の実施、となります。

この全プロセスにおいて最優先すべきは、関係者のプライバシー保護です。調査の過程で噂が広まると、被害者が居づらくなり退職に追い込まれるなど、事態が悪化する恐れがあります。ヒアリングは個室で行う、調査対象者には口外禁止を約束させるなど、情報の取り扱いには細心の注意を払いましょう。プライバシー保護が徹底されているという信頼感が、次の相談へとつながります。

【事例紹介】成功企業から学ぶハラスメント相談窓口運用のヒント

多くの企業がハラスメント相談窓口の運用に工夫を凝らし、職場環境の改善に成功しています。ある製造業の企業では、社内窓口に加えて外部のカウンセリングサービスを導入し、相談件数が年間数件から数十件へと増加しました。これは「ハラスメントが増えた」のではなく、「潜在化していた問題が吸い上げられるようになった」成功事例といえます。

また、別の中小企業では、経営トップが「ハラスメントは許さない」という強いメッセージを全社員に発信し、全社員参加型の研修を実施したことで、窓口への信頼性が向上しました。これらの事例から学べるヒントは、窓口は「設置して終わり」ではなく、組織風土の改革とセットで運用することで初めて機能するということです。

ハラスメント相談窓口に関するよくある疑問とQ&A

ハラスメント相談窓口の設置や運用に関して、企業担当者から寄せられることの多い疑問にお答えします。実務的な対応に迷った際の参考にしてください。

  • Q. 相談窓口は誰が担当すべきですか?
    A. 人事労務担当者やコンプライアンス担当者が適任ですが、利害関係を避けるため、相談者の直属の上司は避けるべきです。
  • Q. 匿名での相談にはどう対応すべきですか?
    A. 匿名でも相談は受け付けますが、事実確認が難しくなる可能性があることを相談者に伝え、可能な範囲で調査や環境改善を行います。
  • Q. 相談件数がゼロなのは良いことですか?
    A. 必ずしも良いこととは限りません。窓口が認知されていない、あるいは信用されておらず「相談しても無駄」と思われている可能性があります。

ハラスメント相談窓口の適切な設置と運用は、企業のリスク管理だけでなく、従業員のエンゲージメント向上に直結します。社内リソースと外部専門家をうまく組み合わせ、自社に合った持続可能な体制を構築してください。関連する詳しい情報はこちらのブログ一覧もご参照ください。

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