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健康保険証の再発行手続きが面倒?総務が知るべき効率化のコツ
「また健康保険証をなくした従業員から連絡が…」
そんな時、あなたはどのような気持ちになるでしょうか。給与計算や他の業務に追われている中で、健康保険証の再発行手続きは想像以上に手間のかかる作業です。
100人規模の会社では、年間10件以上の健康保険証の再発行依頼があることも珍しくありません。その度に協会けんぽや健康保険組合への手続き、従業員への説明、書類作成と、総務担当者の負担は増える一方です。
そこで今回は、全国対応のHR BrEdge(エイチアールブレッジ)社会保険労務士法人の実務経験をもとに、健康保険証の再発行手続きを効率化する方法と、よくある失敗例を回避するコツをお伝えします。経営者の方にとっても、総務業務のDX化を進める参考になるはずです。
健康保険証の再発行の基本と見落としがちなポイント
健康保険証の再発行は、単純に見えて実は複雑な手続きです。協会けんぽの場合、「健康保険被保険者証再交付申請書」の提出が必要ですが、ここで多くの総務担当者が見落としているポイントがあります。
まず、再発行理由によって手続きが異なることです。
紛失・盗難の場合は警察への届出が推奨され、その受理番号を記載することで手続きがスムーズになります。一方、破損や汚損の場合は、実物の保険証を添付する必要があります。
また、扶養家族分も含めて再発行する場合、個人番号(マイナンバー)の取得が必要になることも見逃されがちです。特に100人規模の企業では、扶養家族の情報管理が煩雑になりやすく、いざという時に必要な情報がすぐに揃わないケースが頻発しています。
経営者の視点では、この手続きにかかるコストも無視できません。総務担当者が1件の再発行手続きに要する時間は平均30分〜1時間。月給30万円の担当者の場合、1件あたり約1,500円〜3,000円の人件費が発生します。年間10件なら15,000円〜30,000円の「見えないコスト」となるのです。
さらに、手続きの遅れによるリスクも深刻です。保険証がない期間に従業員が医療機関を受診した場合、一時的に全額自己負担となり、後から保険適用分を請求する償還払いの手続きが必要になります。この説明や書類作成も総務の業務となり、二重の負担が発生してしまいます。
多くの企業が見落としているのは、就業規則での保険証管理に関する規定です。紛失時の報告義務や、再発行にかかる費用負担について明確に定めておくことで、従業員の意識も変わり、紛失件数自体を減らすことが可能になります。
効率的な再発行手続きの進め方と成功事例
健康保険証の再発行を効率化するには、システム化と標準化が鍵となります。実際に当社で支援した製造業A社(従業員120名)の事例をご紹介しましょう。
【成功事例:製造業A社の場合】
A社では月に2〜3件の保険証紛失が発生し、その度に総務担当者が1時間近くかけて手続きを行っていました。そこで以下の改善策を実施したところ、手続き時間を70%短縮することに成功しました。
まず、従業員への初期対応をデジタル化しました。LINEやSlackなどのチャットツールを活用し、紛失報告と同時に必要情報(紛失状況、警察届出の有無、扶養家族の有無)を収集できる仕組みを構築。これにより、電話での聞き取り時間を大幅に削減できました。
次に、書類作成の自動化です。収集した情報をもとに申請書を自動生成するExcelマクロを作成し、手書きや転記ミスを防止。さらに、協会けんぽへの提出もオンライン申請を活用することで、郵送時間も短縮しました。
一方で、失敗事例も教訓となります。
IT企業B社(従業員80名)では、内製化を進めようと独自システムを構築しましたが、法改正対応が追いつかず、結果的に手続きミスが頻発。顧問社労士への相談件数が逆に増加してしまいました。
【総務担当者向けのアクションプラン】
1. 緊急時対応マニュアルの整備
保険証紛失時の対応手順を明文化し、必要な情報収集項目をチェックリスト化する。従業員が自分で警察届出を行える案内文書も準備しておく。
2. デジタルツールの段階的導入
いきなり大規模システムを導入するのではなく、既存のチャットツールやクラウドサービスを活用して小さく始める。従業員が慣れ親しんだツールを使うことが成功の秘訣。
3. アウトソースと内製化のバランス調整
単純な書類作成は自社で効率化し、複雑な法的判断や特殊ケースは専門家に委託する。すべてを内製化しようとせず、適切な役割分担を図る。
経営者の方には、助成金活用の検討もおすすめします。IT導入補助金やDX推進の各種支援制度を活用することで、システム導入コストを抑えながら業務効率化を実現できます。
健康保険証の再発行に関するよくある疑問
Q1. 健康保険証の再発行手続きは、いつまでに完了させる必要がありますか?
A. 法的な期限はありませんが、実務上は紛失報告から1週間以内の手続き完了を目標とするのが適切です。協会けんぽの場合、申請から新しい保険証の発行まで約1週間かかるため、迅速な対応が従業員の利便性向上につながります。総務担当者は紛失報告を受けたら即日〜2営業日以内に申請書を提出することを心がけましょう。
Q2. 保険証を紛失した従業員への費用請求は可能でしょうか?
A. 就業規則に明記していれば、再発行手数料(数百円程度)の本人負担を求めることは可能です。ただし、経営者としては従業員のモチベーション維持とのバランスを考慮する必要があります。むしろ、紛失防止のための啓発活動や、デジタル化によるカード依存の軽減を図る方が建設的といえるでしょう。
Q3. 健康保険証がない期間に従業員が医療機関を受診した場合の対応方法は?
A. 従業員には一旦全額自己負担で支払ってもらい、後日療養費支給申請書による償還払い手続きを案内します。この際、領収書と診療内容明細書の保管が必要です。総務担当者は手続き方法を分かりやすく説明し、必要に応じて申請書作成をサポートすることで、従業員の不安を軽減できます。協会けんぽのホームページからダウンロードできる申請書を事前に準備しておくと良いでしょう。
まとめ
健康保険証の再発行手続きは、一見単純な作業に思えますが、適切な仕組み化により大幅な効率改善が可能です。デジタルツールの活用、標準化されたマニュアル整備、そして適切なアウトソースの組み合わせにより、総務担当者の負担を軽減しながら、従業員満足度の向上も実現できます。
特に100人規模の企業では、年間の再発行件数も多く、効率化による効果は絶大です。経営者の方には、単なるコストカットではなく、DX推進による組織全体の生産性向上として捉えていただければと思います。
健康保険証の再発行手続きでお困りの際は、豊富な実績を持つ当社にお気軽にご相談ください。LINEやSlackなど、貴社でお使いのツールに合わせた効率的な運用方法をご提案いたします。
今すぐ無料相談をご希望の方は、お電話またはメールフォームからお問い合わせください。貴社の現状に合わせた最適な解決策を、実務経験豊富な社労士がご提案いたします。
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