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給与の日割り計算ってどうするの?よくある誤解と正しい方法を徹底解説
給与の「日割り計算」、その正確な方法をご存知ですか?
「有給取得時の給与、どうやって計算すればいいのか分からない」「月の途中で入社・退職した社員の給与ってどう処理すればいい?」「日割りの方法が会社によって違っていて戸惑う」——給与計算に携わる総務担当者の多くが、こんな悩みを抱えています。
このような混乱が起きる背景には、「日割り計算に明確な法的ルールが存在しない」という点があります。労働基準法上は、最低限の賃金保証などはあるものの、具体的な計算方法までは示されていないのです。そのため、企業ごとに独自ルールが存在し、東京や大阪、名古屋、福岡といった主要都市でも地域差や慣習の違いが見られます。
本記事では、日割り計算の基本と注意点、就業規則との関係、アウトソースと内製化のバランス、そしてDX化による効率化の方法まで、300社以上の顧問経験を持つ社労士事務所が徹底解説します。給与計算の質を高め、手続きのミスを防ぎ、従業員との信頼関係を築くために、ぜひ最後までご覧ください。
1. 日割り計算の基本と就業規則の落とし穴
給与の日割り計算には主に以下のような方式があります:
- 暦日数(30日・31日・28日など)で割る
- 固定の30日で割る
- 稼働日数で割る
歴史的に日本では「30日で割る方式」が主流でした。これは月給制が基本だった高度成長期に、企業が計算の簡便さを重視したためです。しかし現代では、労働時間の管理が厳密化され、DX推進によって柔軟な労働形態が増えており、単純な一律計算では不公平が生まれやすくなっています。
たとえばA社では、4月1日に入社した社員の給与を「月給30万円÷30日×30日」で満額支給しましたが、B社では「月給30万円÷31日×30日」で計算し、結果的に支給額が数千円異なりました。こうした違いが従業員の不満を招くこともあるのです。
特に注意が必要なのが「就業規則」の記載内容です。給与計算の根拠が不明瞭な規定では、従業員とのトラブルの元になります。また、助成金を申請する際にも、支給実績と規定内容が一致していないと不支給となる恐れがあります。
実は意外と知られていないのが「労働契約書に明記されている計算方法が優先される」ケースです。就業規則に記載があっても、個別契約の方が詳細であれば、そちらが優先されるという裁判例も存在します。
このようなリスクを避けるためにも、給与計算の方式は「明確に」「合理的に」「従業員に周知して」運用することが重要です。
2. 実践!正しい日割り給与計算とミスを防ぐ8つの方法
-
1. 就業規則に明確に記載する
理由:計算方法に根拠を持たせるため
方法:「月給÷30日方式」など明記する
効果:従業員とのトラブル回避につながる -
2. 労働契約書にも補足説明を記載
理由:個別契約でより詳細な説明を提供するため
方法:支給額の計算式や例を記載
効果:誤解を防ぎ、信頼を築ける -
3. 入退社時に明細を添えて説明
理由:実際の支給額との乖離を説明するため
方法:給与明細を使って納得感を持たせる
効果:不満の芽を摘む -
4. 給与計算業務のDX化
理由:手計算によるミスを減らすため
方法:給与計算ソフトを導入する
効果:手続き効率化と正確性の両立 -
5. 顧問社労士に相談する
理由:法的リスクを最小限に抑えるため
方法:定期的に規定と運用を見直す
効果:助成金申請もスムーズに -
6. 東京・大阪・名古屋・福岡の事例を参考にする
理由:地域ごとの慣習に合わせるため
方法:各地の顧問社労士の事例を確認する
効果:従業員との認識のズレを防止 -
7. アウトソースと内製化の見直し
理由:工数とコストのバランスを取るため
方法:計算実務をアウトソースし、方針設計を内製化
効果:業務負担の軽減と品質確保 -
8. 間違った計算方法は絶対に避ける
NG例:「30日で割るのが面倒だから25日で」など
理由:労働者から不利益変更と判断される可能性
結果:労基署対応・訴訟リスクが発生
3. よくある疑問とその回答Q&A
Q. 日割りの計算方法って会社で自由に決めていいの?
A. 原則として自由ですが、「合理性」と「明示」が必要です。たとえば「30日固定」で割る場合でも、就業規則や契約書に記載がなければトラブルになります。
Q. 入社日が月末でも1日分の給与を出さないとダメ?
A. 業務に就いた日から賃金発生義務があるため、1日でも勤務したなら日割り支給が必要です。ただし出勤しなければ発生しません。
Q. 日割り計算で損することってあるの?
A. 「月給÷暦日数」で割った結果、出勤が少ない月は支給額が少なくなる場合があります。逆に月初入社で末日退社だと不公平感が出る場合もあります。
Q. 給与は会社都合で勝手に減らされることがある?
A. 給与減額には労働条件の不利益変更に当たるため、原則として労働者の同意が必要です。就業規則の変更だけでは不十分なケースもあります。
まとめ
日割り計算は単なる数字の処理ではなく、「制度設計」「透明性」「公平性」のバランスが求められる業務です。本記事では、基本方式から具体的対策、Q&Aまで幅広く解説しました。給与は従業員との信頼関係を築く最も基本的な制度です。東京・大阪・名古屋・福岡などの地域性も踏まえ、就業規則の見直しや顧問社労士との連携を進めてください。給与計算のDX化と正確な手続きを通じて、ミスのない労務管理を実現しましょう。
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【全国対応】社会保険労務士法人 渡辺事務所