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役員の社会保険はどうなる?知らないと損する法人の落とし穴

2025.08.25 スタッフブログ

「役員って社会保険に入るの?」「報酬額をどう設定すれば保険料が最適になる?」「役員報酬と従業員の給与の違いは何?」――こんな疑問を持つ経営者や総務担当者は少なくありません。

特に、法人化して役員を設置した中小企業では、社会保険に関する誤解や制度の見落としが思わぬコスト増やトラブルの原因になることがあります。なぜこうした混乱が生まれるのか?背景には、役員と従業員の制度上の違いや、就業規則の未整備、DX対応の遅れなどがあります。

本記事では、大阪・東京・名古屋・福岡を中心に顧問先300社を抱える社労士事務所が、役員の社会保険に関する基本から、給与計算や就業規則への反映、アウトソースと内製化の判断、助成金の活用方法まで徹底的に解説します。

役員の社会保険制度、基本と誤解を整理

■役員は「被保険者」になれるのか?
はい、法人の代表取締役や取締役も「役員報酬」を受けている限り、健康保険・厚生年金保険の被保険者として加入義務があります。個人事業主とは異なり、法人に属して働く役員は原則として社会保険の適用対象です。

■「非常勤役員」でも加入義務がある?
報酬を受けていて、かつ労務提供の実態がある場合には、非常勤であっても加入対象になります。判断基準は“実態”であり、名目上非常勤でも、頻繁に経営判断を行っているなら対象です。

■報酬額と保険料の関係
保険料は役員報酬に基づいて決定されるため、毎月の金額設定が重要です。年1回の定時決定(算定基礎届)で保険料が決まり、臨時的な変更では原則変更できない仕組みになっています。たとえば名古屋のA社では、報酬額の変更を誤って年途中で行い、社会保険料が過払いになった事例もあります。

■役員報酬と従業員給与の違い
役員報酬は「業務執行に対する報酬」であり、給与所得とは税務上も異なる取り扱いを受けます。例えば賞与の支給も、事前に税務署へ届出がなければ損金算入できないなど、慎重な手続きが求められます。

■業界比較:中小企業での実態
東京や大阪の中小企業では、役員のみ社会保険未加入のケースが未だに見られます。これは「コスト削減のため」という背景がある一方、法令違反や将来的なトラブルを招く可能性も。労務顧問を活用することで、適法かつ戦略的な対応が可能になります。

■社労士による就業規則の整備
役員も含めた就業ルールを整えるには、就業規則や報酬規程に役員報酬の取り扱いや支給基準を明記することが必要です。福岡のB社では、顧問社労士の指導により制度整備を進め、税務調査でも問題なしの体制を構築できました。

役員の社会保険対応で取るべき8つのアクション

  1. 役員報酬の適正設定を行う
    報酬額が高すぎると保険料負担が増え、低すぎると年金額や保障が下がるため、バランスが重要です。大阪の事例では、月額50万円→35万円に見直し、年間の保険料負担を150万円以上削減。
  2. 定時決定の時期を意識する
    報酬の変更は原則として6〜7月の算定基礎届で反映。時期を外した場合、1年間保険料が変わらない点に注意。東京の中堅企業では、時期外変更の誤解で損失が出たケースも。
  3. 非常勤役員の実態を把握する
    「出勤実績なし」「業務執行権なし」なら社会保険対象外になることも。ただし曖昧な立場はリスクがあるため、社内書類や業務内容を明確化しましょう。
  4. 顧問社労士の活用
    制度の複雑さに対応するには、労務顧問の力が不可欠。名古屋の企業では、顧問導入により社会保険の適用漏れがゼロに。
  5. アウトソースによる給与計算の正確化
    役員報酬の反映ミスは、社保や税務に大きな影響を与えるため、外部委託で精度を上げるのも有効。福岡の企業ではミスが80%以上減少。
  6. 助成金制度との連動を確認
    一部の助成金では、役員の社会保険加入状況が支給要件に含まれる場合があります。要件確認を怠ると支給されないことも。
  7. 社内ルール(規程類)の整備
    役員報酬規程・社会保険規程など、社内書類を整備することで、税務調査・労務監査への対応力が強化されます。
  8. 労務DXで制度の見える化を
    クラウド勤怠や給与管理システムで、役員報酬と従業員給与を一元管理。業務効率だけでなく、内部統制の強化にもつながります。

Q&A:役員の社会保険でよくある疑問

Q. 代表取締役は必ず社会保険に入らなければいけない?
A. 原則として加入義務があります。報酬があり、法人に労務提供している限りは被保険者になります。

Q. 一時的に役員報酬を減らせば保険料も下がる?
A. 年1回の定時決定以外では原則変更できません。一時的な減額は保険料に影響しないことが多いです。

Q. 社会保険に入らない方法はある?
A. 原則としてありません。ただし「報酬ゼロ」「業務執行実態なし」であれば、対象外となるケースもあります。

Q. 役員だけ未加入でも問題ない?
A. 法人に該当し、他の従業員が社会保険に加入していれば、役員も加入義務があります。未加入状態はリスクです。

まとめ:制度理解と戦略設計が未来の安定を支える

役員の社会保険は、給与計算、就業規則、税務・労務すべてに関わる重要事項です。コストの面だけでなく、法令順守、リスク管理、従業員との信頼関係構築の観点からも無視できません。

大阪・東京・名古屋・福岡といった主要都市の中小企業でも、顧問社労士を活用し、アウトソースと内製化の最適バランスを図りつつ、助成金やDXの恩恵を受けた制度設計が進んでいます。

「知らなかった」では済まされない時代だからこそ、今こそ役員の社会保険制度を正しく理解し、実務に活かす一歩を踏み出しましょう。

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