新着情報

給与の支払いで絶対に守るべきルールとは?違反しないための実務ガイド

2025.05.25 スタッフブログ

給与の支払いについて、こんな疑問や不安を感じたことはありませんか?

  • 「給与の支払い日は、自由に決めてもいいの?」
  • 「残業代や手当の計算が合っているか不安…」
  • 「もし支払いが遅れたら、法律的にどうなるの?」

給与の支払いは、従業員との信頼関係を築く上で最も基本的な業務の一つです。だからこそ、ミスや遅延が起こるとトラブルに発展しやすく、経営者や労務担当者は常にプレッシャーを感じています。

なぜこのような不安が生まれるのでしょうか?

理由は、給与支払いが「労働基準法」という法律によって厳密にルール化されており、守らなければ罰則があるからです。さらに、残業代や各種手当、社会保険料や税金の控除など、計算すべき項目が多岐にわたり、ミスが起こりやすい業務でもあります。

この記事では、給与の支払いに関する基本ルールから、実務で気をつけるべきポイントまでを詳しく解説します。これを読むことで、トラブルを未然に防ぎ、安心して給与業務を進められるようになります。

給与の支払いルールとは?|労働基準法で定められた基本を解説

給与の支払いに関しては、「労働基準法第24条」で以下の5原則が定められています。これはすべての企業が守らなければならない基本ルールです。

1. 通貨払いの原則

給与は、現金で支払うことが原則です。ただし、銀行振込など従業員の同意があれば、これに代えることが可能です。

2. 直接払いの原則

給与は、原則として労働者本人に直接支払う必要があります。

3. 全額払いの原則

法律に定められた控除(税金・社会保険料など)以外は、全額支払う義務があります。たとえば、ミスによる損害を給与から天引きすることはできません。

4. 毎月1回以上払いの原則

給与は、毎月1回以上、定期的に支払う必要があります。賞与や臨時手当はこの限りではありません。

5. 一定期日払いの原則

支払日は、原則として一定の期日を定める必要があります。毎月25日や月末などが一般的です。

これらを守らなければ、労働基準監督署から是正勧告を受けることになります。たとえば、A社(サービス業)は給与支払日が不定期だったため、監督署から是正指導を受け、改善措置を求められました。

次に、給与計算や支払い業務で気をつけるべき具体策を紹介します。

給与支払いトラブルを防ぐ8つの具体策

  • 1. 就業規則で給与支払日と支払方法を明記する

    理由:労働基準法に基づき、支払日・方法を明確に定める必要があるため。

    方法:就業規則に「毎月〇日払い・銀行振込」と記載し、全従業員に周知します。

    効果:支払日や方法についてのトラブルを防げます。

  • 2. 給与計算ソフトを導入する

    理由:手作業による計算ミスを防ぐため。

    方法:クラウド型給与計算ソフトを導入し、税率や社会保険料率を自動で反映させます。

    効果:計算ミスが減り、労務担当者の負担が軽減されます。B社ではミスがゼロになりました。

  • 3. 残業代は1分単位で計算する

    理由:残業代未払いは、労務トラブルの原因となるため。

    方法:タイムカードや勤怠管理システムで勤務時間を正確に記録し、1分単位で計算します。

    効果:残業代の未払いリスクを回避できます。

  • 4. 社会保険料や税金の控除額を最新に保つ

    理由:税率や保険料率は毎年変わるため。

    方法:年に1回、税率や保険料率を確認し、給与計算ソフトに反映させます。

    効果:過不足なく控除でき、トラブルを防げます。

  • 5. 給与明細を発行し、控除内容を説明する

    理由:控除額の透明性を確保するため。

    方法:給与明細を発行し、各項目(基本給・残業代・控除額)を明記します。

    効果:従業員が納得しやすく、問い合わせも減少します。

  • 6. 給与支払いのリマインダーを設定する

    理由:支払い忘れを防ぐため。

    方法:カレンダーやタスク管理アプリで、支払いスケジュールを設定します。

    効果:期日を守り、信頼関係を維持できます。

  • 7. 労働基準法の改正情報を定期的にチェックする

    理由:法律変更により給与計算のルールが変わることがあるため。

    方法:厚生労働省や社労士からの情報を定期的に確認します。

    効果:法令遵守ができ、罰則リスクを回避できます。

  • 8. やってはいけない行動:給与支払いを遅らせる

    理由:労働基準法違反となり、従業員の信頼を失うため。

    効果:未払いや遅延が続くと、行政指導や裁判に発展するリスクがあります。

給与支払いに関するQ&A

Q. 給与支払日は休日でも大丈夫?

A. 支払日が休日の場合、前営業日に繰り上げて支払うのが一般的です。休日に支払う義務はありません。

Q. 給与の現金手渡しは可能?

A. 労働基準法では現金払いが原則ですが、実際は銀行振込が多いです。従業員の同意があれば現金手渡しでも問題ありません。

Q. 控除ミスがあった場合、どう対処する?

A. 速やかに再計算し、次回給与で調整するか、本人に説明して返金・返納対応します。文書で説明を残しておきましょう。

Q. 賞与は給与と同じルールで支払う?

A. 賞与は「臨時の給与」のため、労働基準法の5原則は適用されませんが、会社の就業規則で支払い時期や条件を定めておく必要があります。

まとめ|給与の支払いルールを守り、安心して労務管理を

この記事では、給与の支払いに関する法律上のルールや、実務で気をつけるべきポイントを解説しました。給与支払いは、従業員の生活を支える重要な業務であり、ミスや遅延が信頼関係を損なう原因になります。

労働基準法を正しく理解し、就業規則や給与計算ソフトを活用して、適正な給与支払いを行いましょう。トラブルを防ぎ、安心して業務を進められる体制を整えることが、企業運営の安定につながります。

LINE お問合せ

大阪なんば駅徒歩1分
給与計算からIPO・M&Aに向けた労務監査まで
【全国対応】社会保険労務士法人 渡辺事務所

こちらの内容もお勧めです