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知らないと損する?会社役員報酬の決め方・税金・注意点を徹底解説

2025.05.21 社労士コラム

はじめに

「役員報酬ってどうやって決めるの?」「税金面で不利にならないか心配」「役員報酬と給与はどう違うの?」——このような疑問をお持ちではありませんか?

経営者や役員の方にとって、「役員報酬」は重要なテーマです。しかし、決め方や税務上のルール、社会保険の影響など、意外と知られていない点が多く、適切に設定できていないケースも少なくありません。

なぜこのような悩みが生まれるのでしょうか?その理由は、役員報酬には法律や税務、社会保険といった複雑なルールが絡んでいるためです。役員報酬の金額や支払い方を誤ると、税務署からの指摘や追徴課税を受けるリスクもあるため、慎重な判断が求められます。

この記事では、役員報酬の基本から税務上の注意点、適切な決め方までわかりやすく解説します。読み終える頃には、役員報酬に関する不安や疑問が解消され、安心して報酬を設定できるようになります。ぜひ最後までご覧ください。

会社役員報酬とは?その基本と仕組みを解説

● 会社役員報酬とは?
会社役員報酬とは、取締役や監査役、代表取締役など、会社の経営に携わる役員が受け取る報酬のことです。従業員の給与とは異なり、会社法や税法、社会保険の制度に基づいて特別なルールが適用されます。

● 役員報酬の歴史と背景
日本の会社法は1899年に制定され、時代とともに改正されてきました。役員報酬も、その時々の経済状況や社会的な要請に応じて変化しています。特に2006年の新会社法施行以降、役員報酬の決定プロセスが明確化され、ガバナンスの強化が図られました。

● 社会的な傾向と統計
国税庁の「会社役員の報酬等の実態調査」によると、中小企業の役員報酬の平均額は月額40〜60万円程度とされています。一方、大企業の役員報酬は数百万円から数千万円に上ることもあります。報酬額は企業規模や業績、役職の重要度によって大きく異なります。

● よくある誤解とその真実
「役員報酬は自由に決められる」「利益が出てから考えればよい」と思っている方も多いですが、実際には税法上のルールが存在します。特に税務上「損金算入(経費計上)」するためには、一定の要件を満たす必要があります。

● 具体例:A社のケース
設立2年目のIT企業A社では、代表取締役が役員報酬を毎月変動させていました。しかし、税務調査の際に「定期同額給与」の要件を満たしていないと指摘され、過去2年分の損金算入が否認され、追徴課税を受ける結果に。このように、報酬額の決め方一つで大きな影響を受ける場合があります。

● 知っておきたい豆知識
役員報酬には「定期同額給与」「事前確定届出給与」「利益連動給与」の3種類があります。最も一般的なのは「定期同額給与」で、これを満たすと税務上の損金算入が認められます。これらの違いを理解することが、税務対策の第一歩です。

会社役員報酬の適切な決め方・税務対策8つのアクション

1. 定期同額給与を基本とする
理由:税務上、損金算入するための最も一般的な形態だから。
方法:毎月同じ日に、同額の報酬を支払う。途中で額を変える場合は事業年度開始から3ヶ月以内に変更する。
効果:税務署からの指摘を回避し、税務リスクを最小限にできます。

2. 事前確定届出給与を活用する
理由:ボーナス(賞与)を役員に支払いたい場合の手段。
方法:支給前に税務署へ支給額と支給日を届け出る。
効果:正しく届け出ることで、賞与も損金算入できます。

3. 利益と報酬のバランスを考える
理由:会社の利益状況と報酬額がアンバランスだと、税務署から不自然と判断される可能性がある。
方法:過去3年の決算内容や今期の利益見込みを基に、適正な報酬額を設定する。
効果:税務調査のリスクを低減できます。

4. 社会保険料の負担を考慮する
理由:役員報酬が増えると、社会保険料も比例して増えるため。
方法:報酬額と社会保険料のバランスを確認し、会社・役員双方にとって最適なラインを探る。
効果:手取り額を最大化しつつ、負担を適切に調整できます。

5. 節税目的で変動させない
理由:不自然な変動は、税務署に損金算入を否認されるリスクがあるため。
方法:事業年度途中の変更は最小限にし、変更する場合は正当な理由を用意する。
効果:税務調査でも安心して説明できます。

6. 顧問税理士と連携する
理由:税法は頻繁に改正されるため、専門家のアドバイスが不可欠。
方法:役員報酬を決める際には、必ず顧問税理士と相談し、適正なラインを確認する。
効果:最新の税制に沿った報酬設計ができ、リスクを避けられます。

7. 定款や株主総会での承認を確認する
理由:役員報酬の決定は、定款や株主総会での決議が必要な場合があるため。
方法:会社の定款を確認し、必要であれば株主総会で正式に決議する。
効果:法的な不備を回避し、報酬設定がスムーズに進められます。

8. 役員退職金の制度も検討する
理由:役員退職金は損金算入が認められ、節税効果が高い。
方法:退職金規程を設け、退職時に適切な金額を支給する。
効果:税務上有利な形で資産形成が可能になります。

やってはいけない行動:
税務署に無届けで報酬額を変更する
理由:届け出なしに変更すると、損金算入が否認されるリスクがある。
方法:変更する場合は、適切に税務署への手続きを行う。
効果:税務リスクを避け、トラブルを未然に防げます。

よくあるQ&A

Q. 役員報酬はいつ決めればいいの?
A. 基本的に事業年度開始から3ヶ月以内に決める必要があります。これを過ぎてしまうと「定期同額給与」として認められず、損金算入ができなくなる可能性があります。

Q. 赤字でも役員報酬は支払うべき?
A. 必ずしも支払う必要はありませんが、報酬ゼロにすると社会保険の適用除外になる場合があります。また、金融機関からの信用にも影響するため、一定額は維持するケースが多いです。

Q. 役員報酬を増やせば節税になる?
A. 節税にはなりますが、社会保険料の負担増や、法人の利益圧縮によるデメリットもあります。税理士と相談し、バランスよく設定しましょう。

Q. 役員報酬と役員貸付金の違いは?
A. 役員報酬は役員が労務提供の対価として受け取る報酬であり、税務上も損金算入が可能。一方、役員貸付金は会社が役員にお金を貸す形態で、返済義務があります。この違いを混同しないことが大切です。

まとめ

この記事では、会社役員報酬の基本的な仕組みや税務上の注意点、適切な決め方を解説しました。

ポイントは以下の3点です。
① 役員報酬は「定期同額給与」などのルールを守ることで、税務上の損金算入が可能
② 社会保険や税務署からの指摘リスクを考慮し、適正な金額設定が必要
③ 変更や設定時には、顧問税理士や株主総会と連携して進めることが大切

今一度、役員報酬の設定を見直し、税務リスクを回避しながら、会社・役員双方にとって最適な仕組みを整えましょう。

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