新着情報

就業規則と解雇 – 知っておくべき基本事項

2025.04.23 スタッフブログ

解雇の判断や手続きで法的リスクを不安に感じる経営者様へ

「業績不振で人員削減を検討しているが、整理解雇の要件を満たしているか心配…」「問題のある従業員を解雇したいが、不当解雇として争われるリスクが怖い」「解雇予告手当の計算方法や必要な手続きがよくわからない」そんな悩みを抱えていませんか?

100名規模の企業では、解雇という重大な労務管理判断が企業の存続に直結する影響を与える可能性があります。不適切な解雇は労働審判や訴訟に発展し、多額の解決金支払いや企業イメージの悪化を招くリスクがあります。また、労働基準監督署の調査対象となれば、他の労務管理についても厳しくチェックされ、企業運営に深刻な影響を与えかねません。

一方で、適切な解雇の知識と手続きを理解することで、真に必要な場合の適正な人事判断、法的リスクの回避、組織の健全性維持を実現できます。特に中小企業では、一人ひとりの従業員が組織に与える影響が大きいため、適切な人事判断は企業の競争力維持に不可欠です。

本記事では、全国対応のHR BrEdge(エイチアールブレッジ)社会保険労務士法人が、100名規模企業の経営者・総務担当者が押さえるべき解雇の法的要件から実務上の注意点まで、包括的に解説します。法的リスクを最小化しながら、適正な人事判断を行うための実践的な知識をお届けします。

解雇の法的枠組みと100名規模企業における影響

解雇とは、使用者が労働契約を一方的に終了させることを指します。正当な理由がなければ不当解雇と判断され、法的トラブルに発展する可能性があります。100名規模の企業では、一人の解雇が組織全体に与える影響が大きく、慎重な判断と適切な手続きが特に重要になります。

解雇の種類と判断要件

解雇は事由と手続きにより、以下の4つに分類されます:

解雇の種類 主な事由 判断基準 100名企業での注意点 法的リスク
普通解雇 能力不足・勤務態度不良 客観的合理性・社会的相当性 改善指導の記録が重要
整理解雇 経営悪化・事業縮小 整理解雇4要件 代替策の十分な検討
懲戒解雇 重大な規律違反・犯罪 就業規則の明確な規定 事実確認の徹底
諭旨解雇 懲戒解雇相当の軽減 本人の反省・情状酌量 退職金支給の可否

100名規模の企業では、普通解雇と整理解雇のケースが最も多く、それぞれ異なる法的要件と証拠準備が必要になります。

整理解雇の4要件と実務での判断

経営環境の悪化により人員削減が必要な場合、整理解雇の4要件をすべて満たす必要があります:

1. 人員削減の必要性

  • 客観的な経営悪化の証明
  • 財務データによる裏付け
  • 将来予測の合理性
  • 一時的な売上減少では不十分

2. 解雇回避努力義務

  • 役員報酬削減・賞与カット
  • 新規採用の停止
  • 希望退職者の募集
  • 配置転換・出向の検討
  • 労働時間短縮・一時休業

3. 人員選定の合理性

  • 客観的・公平な選定基準
  • 勤務成績・能力評価
  • 年齢・勤続年数
  • 扶養家族の状況(考慮要因)

4. 手続きの相当性

  • 労働組合・従業員代表との協議
  • 十分な説明と検討期間
  • 代替案の提示・検討
  • 解雇時期の調整

100名規模の企業では、代替策の検討余地が多いため、解雇回避努力義務が特に厳格に判断される傾向があります。

解雇予告・解雇予告手当の適正な処理

労働基準法第20条により、以下の手続きが義務付けられています:

  • 解雇予告:30日以上前の書面通知
  • 解雇予告手当:予告期間が30日未満の場合、不足日数分の平均賃金支払い
  • 即時解雇:労働基準監督署の認定があれば予告不要(懲戒解雇等)

解雇予告手当の計算は平均賃金を基準とし、正確な計算と適正な支払いが法的リスク回避に不可欠です。

解雇トラブル回避のための実務対応と予防策

解雇に関するトラブルは、事前の適切な準備と正当な手続きの履行により大幅に軽減できます。以下、実際の対応事例と効果的な予防策をご紹介します。

適正な解雇手続きによるトラブル回避事例

製造業TT社(従業員110名)の整理解雇事例:
新型コロナの影響で売上が60%減少し、人員削減を余儀なくされました。顧問社労士と連携して整理解雇4要件を慎重に検討し、法的リスクを最小化した適正な手続きを実施しました。

実施した解雇回避努力:

  • 役員報酬30%削減・管理職手当20%削減
  • 新規採用の全面停止
  • 希望退職者募集(3名応募)
  • 一時休業・雇用調整助成金活用
  • 他部署への配置転換検討

最終的に7名の整理解雇を実施しましたが、手続きの適正性により労働紛争は発生せず、解雇対象者からも理解を得ることができました。雇用調整助成金の活用により、経済的負担も軽減されました。

サービス業UU社(従業員98名)の懲戒解雇事例:
従業員による横領が発覚し、懲戒解雇を検討しました。事実確認の徹底と適正な手続きにより、法的リスクを回避した適切な処理を実現しました。

実施した手続き:

  • 内部調査委員会の設置
  • 証拠資料の収集・保全
  • 本人への事情聴取(弁明機会の付与)
  • 就業規則の懲戒規定確認
  • 警察への被害届提出

結果、懲戒解雇が有効と認められ、損害の回復も図ることができました。

解雇を避けるための予防的人事管理

解雇という重大な判断を避けるため、以下の予防策が効果的です:

能力不足・勤務態度不良への対応

  • 定期的な人事評価と面談実施
  • 具体的な改善指導と記録保持
  • 研修・教育機会の提供
  • 配置転換による適正配置
  • 段階的な注意・指導の実施

経営危機への事前対応

  • 早期の経営状況把握・予測
  • 雇用調整助成金等の積極活用
  • 一時休業・短時間勤務の検討
  • 新規事業・販路開拓への転換
  • 金融機関・専門家との早期相談

職場規律の維持

  • 明確な就業規則の整備・周知
  • 定期的なコンプライアンス研修
  • 相談窓口・内部通報制度
  • 公正で透明な人事制度
  • ハラスメント防止対策

解雇に関する就業規則の適正な整備

適正な解雇を行うためには、就業規則での明確な規定が不可欠です:

【必須記載事項】

  • 解雇事由の具体的列挙
  • 懲戒処分の種類と該当行為
  • 解雇手続きの詳細
  • 弁明機会の付与
  • 解雇予告・解雇予告手当の規定

【記載例:普通解雇事由】

  • 正当な理由のない無断欠勤が○日以上継続した場合
  • 業務上の指示・命令に正当な理由なく従わない場合
  • 勤務成績・態度が著しく不良で改善の見込みがない場合
  • 能力不足により業務に適さないと認められる場合
  • 心身の故障により業務遂行が困難な場合

100名規模の企業では、具体的で明確な規定により、恣意的な解雇を防止することが重要です。

不当解雇のリスクが高いケース

以下のケースでは解雇が無効となるリスクが高く、特に注意が必要です:

  • 解雇制限期間中:業務災害療養中・産前産後休業中
  • 差別的解雇:性別・国籍・信条・組合活動を理由とする解雇
  • 報復的解雇:内部通報・労働基準監督署への申告を理由とする解雇
  • 手続き不備:就業規則未整備・解雇予告なし
  • 証拠不十分:客観的事実の裏付けがない解雇

アウトソース活用による専門性確保

解雇に関する判断・手続きは、社労士事務所との連携により法的リスクを大幅に軽減できます:

  • 解雇事由の法的妥当性評価
  • 必要な手続き・証拠の整理
  • 就業規則の適正性確認
  • 労働審判・訴訟対応
  • 和解交渉のサポート

特に100名規模の企業では、専門家の助言により適正な判断と手続きを確保することが重要です。

解雇に関する実務で頻出する疑問をQ&A形式で解決

Q1:試用期間中の従業員でも解雇予告は必要?

A: 雇用開始から14日を経過している場合は解雇予告が必要です。試用期間であっても労働契約は成立しているため、労働基準法の適用があります。ただし、試用期間中は通常の解雇より解雇しやすいとされており、能力不足や適性欠如を理由とした解雇は比較的認められやすくなります。経営者としては、試用期間中の評価を適切に行い、早期の判断が重要です。

Q2:新型コロナの影響による売上減少で整理解雇は可能?

A: 雇用調整助成金等の活用を十分に検討せずに行う整理解雇は認められにくい状況です。特に政府が雇用維持を強く要請している中、助成金の活用、一時休業、配置転換などの解雇回避努力を尽くすことが求められます。単純な売上減少だけでは人員削減の必要性は認められず、将来の事業継続可能性まで含めた総合的な検討が必要です。

Q3:懲戒解雇した従業員から不当解雇で争われた場合の対応は?

A: 客観的証拠と適正な手続きの記録が争点になります。懲戒解雇が無効と判断された場合、普通解雇として扱われる可能性もありますが、最悪の場合は解雇そのものが無効となり、復職と未払い賃金の支払い義務が発生します。総務担当者は、懲戒事由の事実確認、就業規則の適用、弁明機会の付与などの手続きを適切に記録し、法的根拠を明確にしておくことが重要です。

適正な解雇手続きで築く健全な組織運営

解雇は企業経営において避けることのできない重要な判断ですが、適切な法的知識と手続きの履行により、必要最小限のリスクで適正な人事管理を実現できます。特に100名規模の企業では、一人の従業員が組織に与える影響が大きいため、慎重かつ適切な判断が企業の持続的成長に直結します。

重要なのは、解雇を最後の手段として位置づけ、日常的な人事管理の充実により解雇の必要性を最小化することです。適切な人事評価、教育・研修の充実、働きやすい職場環境の整備により、従業員の能力向上と定着を図ることが、長期的な組織力強化につながります。

解雇に関する判断でご不安を感じていらっしゃるなら、今すぐ専門家にご相談ください。全国対応のHR BrEdge社会保険労務士法人では、2007年創業・顧問先50社の豊富な実績をもとに、適正な解雇手続きから労働紛争の予防まで包括的にサポートいたします。法的リスクを最小化しながら、健全な組織運営を実現する労務管理体制の構築により、安心できる企業経営を支援いたします。LINE・Slack・Chatworkでの迅速な相談対応も可能ですので、まずはお気軽に無料相談をご利用ください。

LINE お問合せ

大阪なんば駅徒歩1分
給与計算からIPO・M&Aに向けた労務監査まで
【全国対応】HR BrEdge社会保険労務士法人

こちらの内容もお勧めです