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役員報酬とは?

2025.04.04 スタッフブログ

「役員報酬をいくらに設定すればよいのか分からない」「税務調査で指摘されるのではないか」と不安を抱えていませんか?
100人規模の企業では、役員報酬の適正化は経営の根幹に関わる重要な課題です。給与計算業務に追われる総務担当者の方も、経営判断を迫られる経営者の方も、役員報酬について正しい知識を身につけることで、税務リスクを回避し、会社の成長を支える基盤を築くことができます。

本記事では、全国対応のHR BrEdge(エイチアールブレッジ)社会保険労務士法人が、役員報酬の基本から実践的な決定方法、よくある失敗事例まで、経営者と総務担当者それぞれの視点で詳しく解説いたします。

役員報酬の基本知識と適正化が会社に与える影響

役員報酬とは、会社の取締役や監査役などの役員に支払われる報酬のことで、一般社員の給与とは法的な位置づけが大きく異なります。

まず理解しておきたいのが、役員と社員の根本的な違いです。役員は会社との間に雇用契約ではなく委任契約を結んでおり、労働基準法の適用も一部制限されます。これは、役員が経営の意思決定を行う立場にあるためです。

項目 役員 社員
契約形態 委任契約 雇用契約
報酬決定 株主総会・取締役会決議 就業規則に基づく
労働基準法 一部適用外 完全適用

特に重要なのが、損金算入できる役員報酬の3つの種類です。

  • 定額同額給与:毎月同額を支給する最も一般的な形態
  • 事前確定届出給与:事前に税務署へ届出した金額・時期に支給
  • 業績連動給与:一定の条件を満たす上場企業等で認められる

経営者の視点では、役員報酬は会社の利益配分と税務対策の両面から考える必要があります。報酬額が高すぎると税務署から「過大役員報酬」として指摘され、損金不算入となるリスクがあります。一方で、適正な報酬を設定することで、経営陣のモチベーション向上と会社の成長につなげることができます。

総務担当者の視点では、役員報酬の手続き面での正確性が求められます。株主総会議事録の作成、税務署への各種届出、源泉徴収票の作成など、一般社員とは異なる業務フローを理解し、確実に実行する必要があります。また、顧問税理士や社労士との連携も重要になります。

役員報酬決定の具体的手順と成功・失敗事例

役員報酬の適正化を図るためには、計画的なアプローチが不可欠です。ここでは、実際の現場でよくある失敗例と成功例を交えながら、具体的な手順をご紹介します。

【成功事例】製造業A社(従業員120名)のケース

A社では、毎年2月に翌年度の役員報酬見直しを開始します。経営計画と連動した報酬設定により、以下の手順で適正化を実現しました:

  1. 前年度業績の分析:売上・利益・キャッシュフローの詳細検証
  2. 同業他社との比較:業界平均値との乖離度合いを確認
  3. 税務リスクの検証:過大報酬認定回避のための算定根拠作成
  4. 株主総会での決議:3月の定時株主総会で正式決定

結果として、税務調査でも問題とされず、役員のモチベーション向上にも成功しています。

【失敗事例】IT企業B社(従業員80名)のケース

B社では、急成長に伴い役員報酬を大幅に増額しましたが、適切な算定根拠を用意せず、以下の問題が発生しました:

  • 税務調査で過大役員報酬として認定
  • 法人税の追徴課税(約200万円)
  • 社内の給与バランス悪化による従業員の不満

この事例では、アウトソース先の専門家への相談を怠ったことが主な原因でした。

実践的な決定手順

経営者向けアクションプラン:

  1. 年間スケジュールの策定:事業年度開始3ヶ月前から検討開始
  2. ベンチマーク調査:同業・同規模企業の報酬水準調査
  3. 税務シミュレーション:各報酬額での税負担試算
  4. 専門家相談:税理士・社労士による適正性チェック

総務担当者向けアクションプラン:

  1. 必要書類の準備:株主総会議事録、取締役会議事録の整備
  2. システム設定変更:給与計算システムでの役員報酬設定更新
  3. 各種届出:税務署、年金事務所への必要手続き実行
  4. 内製化とのバランス:社内処理とアウトソーシングの最適化

特に重要なのが、DX化の進展に合わせたシステム活用です。従来の手作業による管理から、クラウド型システムを活用することで、計算ミスの削減と業務効率化を実現できます。また、助成金の活用により、システム導入費用の一部を補助してもらえる場合もあります。

よくある疑問・不安をQ&A形式で解決

Q1. 役員報酬を年度途中で変更することはできますか?

A: 原則として、事業年度途中での変更は認められません。ただし、業績の著しい悪化経営環境の急激な変化など、やむを得ない事情がある場合は例外的に変更可能です。

経営者の視点:変更が必要な場合は、変更理由を明確に文書化し、株主総会または取締役会での正式な決議を経ることが重要です。

総務担当者の視点:変更手続きには、議事録作成、税務署への相談、給与計算システムの設定変更など、多くの実務作業が伴います。事前に手順を整理しておきましょう。

Q2. 適正な役員報酬の水準はどのように判断すればよいですか?

A: 同業・同規模企業との比較、会社の売上高・利益に対する比率、職務内容の複雑さなど、複数の要素を総合的に判断します。

目安となる指標:

  • 売上高に対する役員報酬比率:3-5%程度
  • 従業員平均給与との倍率:3-8倍程度
  • 業界平均値との乖離:±20%以内

Q3. 複数の会社で役員を兼任している場合の注意点は?

A: 各社からの役員報酬は合算して所得税が計算されるため、確定申告が必要になります。また、社会保険については主たる勤務先で加入することになります。

実務上のポイント: 源泉徴収票の管理、各社での報酬バランスの調整、税務申告のタイミング調整など、複雑な事務処理が発生するため、専門家のサポートを受けることをお勧めします。

まとめ:今すぐ始める役員報酬適正化への第一歩

役員報酬の適正化は、単なる税務対策ではなく、会社の持続的成長を支える重要な経営戦略です。適切な報酬設定により、優秀な人材の確保、税務リスクの回避、社内のモチベーション向上を同時に実現できます。

特に100人規模の企業では、経営の透明性と説明責任がより一層求められます。就業規則の整備と合わせて、役員報酬制度も体系化することで、組織全体のガバナンス強化につながります。

まずは現在の役員報酬が適正水準にあるかの診断から始めましょう。 自社の状況を客観視し、必要に応じて専門家のアドバイスを求めることで、リスクを最小限に抑えながら最適な報酬制度を構築できます。

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