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副業とは?

2025.04.02 スタッフブログ

副業解禁を検討中だが労務リスクが心配な経営者様へ

「従業員から副業をしたいという要望が増えているが、どう対応すべきか悩んでいる…」「副業を解禁したいけれど、労働時間管理や情報漏洩リスクが心配」そんな悩みを抱えていませんか?

100名規模の企業では、副業解禁により従業員満足度向上と人材確保力強化が期待できる一方で、労働時間の通算管理、安全配慮義務、情報管理、社会保険の取り扱いなど、複雑な労務管理課題が発生します。不適切な副業規定や管理体制の不備は、労働基準法違反、情報漏洩、労災事故時の責任問題など、重大なリスクを招く可能性があります。

一方で、適切な制度設計と運用により、副業は従業員のスキルアップ、モチベーション向上、離職防止の強力なツールとなります。特に人材確保が困難な現在の労働市場では、柔軟な働き方を支援する企業の魅力は大きく、競合他社との差別化要因にもなり得ます。

本記事では、全国対応のHR BrEdge(エイチアールブレッジ)社会保険労務士法人が、100名規模企業の経営者・総務担当者が知るべき副業解禁の実務ポイントと適切な制度設計方法を詳しく解説します。リスクを最小化しながらメリットを最大化する実践的な情報をお届けします。

副業の現状と100名規模企業における戦略的意義

副業とは、本業とは別に収入を得るために行う仕事のことを指します。近年の働き方多様化により、総務省の調査では約8.4%の労働者が副業を行っており、この割合は年々増加傾向にあります。100名規模の企業でも、副業に対する従業員のニーズは高まっています。

副業形態による管理上の違いと課題

副業には主にアルバイト型個人事業主型があり、それぞれ異なる管理上の注意点があります:

副業形態 労働時間管理 社会保険 企業のリスク
アルバイト型 通算管理が必要 複数事業所での調整 過重労働・安全配慮義務
個人事業主型 管理義務は限定的 原則として影響なし 情報漏洩・競業避止

100名規模の企業では、多様な職種と雇用形態の従業員を抱えるため、副業形態に応じた柔軟かつ適切な管理体制の構築が重要になります。

副業解禁による企業・従業員の相互メリット

従業員側のメリット:

  • 収入の増加による生活の安定
  • 多様なキャリア選択肢の確保
  • 本業では得られないスキル習得
  • 将来の独立・転職への準備

企業側のメリット:

  • 従業員のスキルアップによる生産性向上
  • 離職率の低下と人材定着
  • 採用競争力の強化
  • イノベーション創出の機会増加

経営者の視点では、副業解禁は人材投資の一形態として捉えることができます。従業員が外部で得た知識や経験を本業に還元することで、組織全体の競争力向上が期待できます。

100名規模企業が押さえるべき5つの重要ポイント

副業解禁を検討する際、以下の5つのポイントが特に重要になります:

1. 労働時間の通算管理
労働基準法では、副業の労働時間も通算し、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えた場合、時間外労働として扱われます。100名規模の企業では、従業員個別の副業状況を把握し、適切な労働時間管理を行う必要があります。

2. 安全配慮義務の履行
企業は、副業による過重労働で従業員の健康が損なわれないよう配慮する義務があります。定期的な健康チェックや労働時間の上限設定などの対策が必要です。

3. 情報管理・競業避止
機密情報の漏洩や競合他社での副業による利益相反を防ぐため、明確なガイドラインの策定が不可欠です。

4. 労災保険の適用
複数の勤務先がある場合の労災保険適用は複雑になるため、事前の整理と従業員への説明が重要です。

5. 社会保険の取り扱い
副業収入が一定額を超える場合の社会保険への影響について、適切な情報提供と手続きサポートが求められます。

効果的な副業制度設計と実務上の成功事例

副業制度の成功は、明確なガイドラインと柔軟な運用体制にかかっています。以下、実際の制度導入事例と効果的な設計方法をご紹介します。

段階的副業解禁による組織力強化事例

IT企業DD社(従業員108名)の戦略的導入事例:
従業員の副業要望が高まる中、段階的な解禁により組織力強化を実現しました。まず個人事業主型の副業から解禁し、3か月の運用実績を踏まえてアルバイト型も許可するアプローチを採用しました。

導入した制度の特徴:

  • 届出制による事前申請(許可制から移行)
  • 情報管理に関する詳細ガイドライン
  • 月次の副業状況報告義務
  • 四半期ごとの健康チェック強化
  • 競合他社での副業は原則禁止

結果、離職率が20%から12%に改善し、従業員が副業で得たデジタルマーケティングスキルを本業に活用することで、新規事業の売上が30%向上しました。顧問社労士のサポートにより、労務管理も適切に行われています。

製造業EE社(従業員95名)の事例:
技能職の人材不足に悩む中、副業解禁により技能承継とスキル向上を図りました。経験豊富な従業員が他社で技術指導を行うことを許可し、若手従業員には異業種での経験を推奨する制度を構築しました。

この取り組みにより、従業員のモチベーションが向上し、社内での技能共有も活発になりました。アウトソース先の社労士と連携した労働時間管理により、過重労働の問題も発生していません。

就業規則における副業規定の設計要点

基本方針の明確化

  • 副業の定義と対象範囲
  • 許可制・届出制の選択と基準
  • 禁止・制限する副業の明確化
  • 承認・不承認の判断基準

手続きの詳細規定

  • 事前申請の時期と方法
  • 必要書類と審査期間
  • 変更・終了時の報告義務
  • 定期的な状況報告

遵守事項と制限

  • 労働時間の上限設定
  • 情報管理・守秘義務
  • 競業避止に関する制限
  • 本業への影響防止策

違反時の対応

  • 段階的な処分措置
  • 改善機会の提供
  • 最終的な制裁措置
  • 労働契約への影響

労働時間通算管理の実務的解決策

労働時間の通算管理は副業制度の最大の課題ですが、以下の方法で効率的な管理が可能です:

1. 申告制度の確立

  • 月次の副業労働時間報告
  • 勤怠管理システムとの連携
  • 自己申告の正確性確保

2. 上限時間の設定

  • 本業・副業合計の週労働時間上限
  • 月単位での変形労働時間制活用
  • 健康確保措置の併用

3. システム化による効率化

  • 副業管理専用システム導入
  • アラート機能による自動チェック
  • 労基署対応資料の自動作成

情報管理・競業避止の実効的対策

100名規模の企業では、以下の段階的アプローチが効果的です:

レベル1:基本的情報管理

  • 機密情報の明確な定義
  • 持ち出し禁止データの特定
  • 副業先への情報提供禁止

レベル2:競業制限

  • 直接競合企業での副業禁止
  • 顧客・取引先との利益相反回避
  • 同業他社での技術指導制限

レベル3:包括的管理

  • 定期的な誓約書更新
  • 副業内容の詳細確認
  • 必要に応じた法的措置

副業制度運用で頻出する実務上の疑問をQ&A形式で解決

Q1:副業による労働時間超過で残業代が発生した場合、どちらの企業が支払う?

A: 時間外労働となった時間帯の雇用主が支払い義務を負います。例えば、本業8時間+副業2時間の場合、副業先が2時間分の割増賃金を支払います。ただし、実務的には複雑になるため、本業での労働時間を調整して法定労働時間内に収める運用が一般的です。経営者としては、従業員の副業先と事前に労働時間の調整について協議しておくことが重要です。

Q2:副業先での労災事故が発生した場合、本業先企業に責任は及ぶ?

A: 原則として副業先の労災保険が適用され、本業先企業への直接的責任は限定的です。ただし、本業での過重労働が副業先での事故の一因となった場合、安全配慮義務違反が問われる可能性があります。総務担当者は、従業員の総労働時間を適切に管理し、健康状態の把握に努めることが重要です。顧問社労士と連携した労働時間管理体制の整備をお勧めします。

Q3:従業員が無断で副業を行っていた場合、どの程度の処分が可能?

A: 就業規則の規定内容と違反の程度により判断されます。初回の軽微な違反であれば注意・指導程度ですが、機密情報漏洩や競業による損害が発生した場合は懲戒解雇も可能です。重要なのは、事前に明確な副業規定を就業規則に定め、従業員への周知を徹底することです。処分の妥当性は後に争われる可能性があるため、段階的な処分制度の整備と適切な証拠保全が必要です。

副業制度で築く柔軟で魅力的な組織文化

副業制度の適切な導入・運用は、従業員の自律性とエンゲージメント向上を通じて、組織全体の活力と競争力を高める重要な施策です。特に100名規模の企業では、大企業にはない柔軟性と個人に寄り添った制度運用により、優秀な人材の確保と定着を実現できます。

副業解禁は単なる働き方の選択肢提供ではなく、従業員の成長支援と組織の持続的発展を両立させる戦略的投資として位置づけることが重要です。適切なリスク管理と制度設計により、副業がもたらすメリットを最大化し、新しい時代の人材戦略の基盤を築くことができます。

副業制度の導入をご検討でしたら、今すぐ専門家にご相談ください。全国対応のHR BrEdge社会保険労務士法人では、貴社の事業特性と組織文化に応じた最適な副業制度の設計・運用をサポートいたします。就業規則の改定から労働時間管理システムの構築まで、包括的な支援により安心して副業制度を導入していただけます。LINE・Slack・Chatworkでの迅速な相談対応も可能ですので、まずはお気軽に無料相談をご利用ください。

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