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経営者のための役員報酬決定術・相場と注意点

2025.08.20 社労士コラム

役員報酬の適正な決定は、企業の成長と経営者の生活の両方を左右する重要な課題です。
適切な報酬設定は、企業の持続可能な発展に貢献する一方、不適切な設定は経営リスクを高める可能性があります。
多くの経営者は、役員報酬の相場や決定基準、税務上の注意点について、正確な情報を得ることが難しいと感じているのではないでしょうか。
今回は、役員報酬に関する様々な疑問を解消し、適正な決め方について解説します。

役員報酬の相場と決定基準

役員報酬の現状と課題

役員報酬の相場は、企業規模、業種、業績など様々な要因によって大きく変動します。
公開されているデータは限られており、中小企業においては特に相場を把握することが難しいのが現状です。
そのため、自社の状況を正確に把握し、適切な報酬水準を設定することが重要になります。
単純に相場を参考にせず、自社の収益構造や将来計画を踏まえた上で決定することが求められます。

資本金規模と業種別の相場

資本金規模や業種によって役員報酬の相場は大きく異なります。
大企業では、公開情報からある程度の相場を推測できますが、中小企業では情報が限られています。
公開データでは、資本金10億円以上の企業の役員報酬は平均1,000万円を超えるケースが多い一方、資本金2,000万円未満の企業では平均数百万程度という報告もあります。
業種別でも、製造業や金融業など、利益率の高い業種では報酬が高くなる傾向があります。
ただし、これらのデータはあくまで平均値であり、個々の企業の状況を反映しているとは限りません。

報酬決定における法的根拠

会社法では、役員報酬は「定款または株主総会の決議によって定める」とされています。
中小企業では定款に明記されていないケースも多く、多くの場合、株主総会で報酬の総額を決定し、取締役会で個別報酬額を決める流れになります。
この際、議事録を作成し、税務調査に備えることが重要です。
報酬決定には、透明性と正当性を確保する必要があります。

報酬決定における税務上の注意点

役員報酬は、会社の損金として計上できますが、税務上のルールを遵守する必要があります。
不当に高額な報酬は、税務署から否認される可能性があります。
損金算入できる役員報酬には、「定期同額給与」「事前確定届出給与」「業績連動給与」の3種類があり、それぞれに異なるルールが適用されます。
特に、業績連動給与は、一定の条件を満たす企業に限定されます。
税務上のリスクを避けるため、税理士などの専門家に相談することが推奨されます。

役員報酬の適正な決め方

報酬水準の決定プロセス

役員報酬の決定プロセスは、まず会社の事業計画や収益予測を立てることから始まります。
その上で、会社の業績目標と連動した報酬体系を設計し、株主総会で報酬の総額を決定します。
その後、取締役会で個々の役員への報酬額を決定します。
このプロセスは、透明性と公平性を確保するため、綿密な計画と記録が必要です。

業績連動型報酬の導入

業績連動型報酬は、会社の業績と役員の報酬を結びつけることで、経営の効率性向上を促す効果があります。
しかし、導入にあたっては、業績評価指標の設定や報酬算定方法の明確化など、慎重な検討が必要です。
指標の設定が不適切な場合、かえって経営の混乱を招く可能性もあります。

報酬制度設計のポイント

報酬制度設計においては、会社の規模や業種、経営状況などを考慮した上で、適切な報酬水準を設定する必要があります。
また、報酬制度は、会社の長期的な成長戦略と整合性を持つように設計する必要があります。
さらに、報酬制度は、従業員のモチベーション向上にも繋がるように考慮することが重要です。

外部専門家への相談

役員報酬の決定は、税務や法務、経営戦略など、様々な専門知識が必要となります。
そのため、税理士や弁護士、経営コンサルタントなどの外部専門家に相談し、適切なアドバイスを受けることが重要です。
専門家の意見を参考に、自社にとって最適な報酬制度を構築することが、企業の成長と安定的な経営に繋がります。

まとめ

役員報酬の決定は、企業の財務状況や経営戦略、税務上のルールなどを考慮した上で、慎重に行う必要があります。
公開されているデータは限られており、中小企業では特に自社の状況を踏まえた独自の判断が求められます。
適切な報酬水準の設定は、企業の成長と経営者の生活の両方を支える重要な要素です。
専門家への相談を積極的に活用し、透明性と公平性を重視した報酬制度を構築することで、企業の持続的な発展に貢献できるでしょう。

企業規模や業種、業績などを考慮した上で、会社の状況に合った報酬水準を設定することが重要です。
税務上のルールを遵守し、透明性と公平性を確保した制度設計が求められます。
そして、必要に応じて外部専門家の知見を借りることで、より最適な報酬制度を構築できます。

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