新着情報

就業規則の「実態と乖離」を解消!2025年版改定ポイントと対応策

2026.01.01 就業規則

働き方の多様化や法改正のスピードが加速する中、多くの企業で「就業規則」と「現場の実態」との間に大きな乖離(ギャップ)が生じています。特に就業規則改定においては、単に法律の変更を反映させるだけでなく、テレワークや副業といった新しい働き方が定着した現状に、ルールをどう適応させるかが重要な課題となっています。2025年は、育児・介護休業法の大幅な改正が施行される重要な年であり、企業には迅速かつ適切な対応が求められます。

就業規則改定を怠り、古い規定のまま放置することは、労使トラブルのリスクを高めるだけでなく、優秀な人材の離職や採用難にも直結しかねません。この記事では、2025年の法改正に対応するための具体的なポイントと、実態に即した就業規則への見直し手順を、専門用語をできるだけ使わずに分かりやすく解説します。経営者や人事労務担当者の方は、ぜひ自社の規定と照らし合わせながら読み進めてください。

2025年版就業規則改定の最新動向と全体像

2025年の就業規則改定において、中心となるのは「育児・介護休業法」の改正対応です。少子高齢化に伴う人手不足が深刻化する中、国は「仕事と育児・介護の両立」を強力に推し進めており、企業に対してこれまで以上に柔軟な働き方の提供を義務付けています。また、ハラスメント対策や多様な雇用形態への対応など、企業が取り組むべき課題は山積しています。

ここでは、2025年に押さえておくべき主要な動向を整理します。

  • 育児・介護休業法の大幅改正(4月・10月施行)
    「子の看護休暇」の対象拡大や、残業免除期間の延長など、子育て世帯への支援が大幅に強化されます。
  • 柔軟な働き方の義務化
    3歳から小学校就学前の子を養育する従業員に対し、テレワークや短時間勤務など、選べる働き方制度を導入することが義務付けられます。
  • 介護離職防止対策の強化
    介護休暇の取得要件が緩和されるとともに、個別の意向確認や情報提供が義務化され、就業規則への明記が必要になります。
  • 働き方の実態に合わせたルールの再整備
    コロナ禍で急速に普及したテレワークや、副業・兼業に関する規定が、実態と合わなくなっているケースの是正が進んでいます。
  • カスタマーハラスメント(カスハラ)対策への意識向上
    法制化の議論が進む中、就業規則にハラスメント禁止規定や対応策を盛り込む企業が増加しています。

これらの動向は、単なる「法律の要請」にとどまらず、従業員が長く安心して働ける環境を作るための「生存戦略」とも言えます。次章では、具体的な変更内容を詳しく見ていきましょう。

実態に即した就業規則改定:具体的な変更点と企業への影響

子の看護休暇等の拡充と名称変更(2025年4月施行)

就業規則改定の最重要項目の一つが、2025年4月1日から施行される「子の看護休暇」の見直しです。従来の制度では、小学校就学前の子が病気や怪我をした場合に限り取得できましたが、改正後は対象範囲や取得事由が大幅に拡大されます。まず、名称が「子の看護等休暇」に変更され、対象となる子供の年齢が「小学校3年生修了まで」に引き上げられます。

さらに、取得事由として、病気や怪我だけでなく、「感染症に伴う学級閉鎖」や「入園式・卒園式・入学式への参加」なども新たに追加されます。また、これまで労使協定を結ぶことで除外できていた「勤続6ヶ月未満の労働者」についても、今回の改正で除外規定が廃止され、原則として入社直後から取得可能となります。企業は就業規則(育児介護休業規程)の該当条文を全面的に書き換える必要があります。

所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大

これまで「3歳に満たない子」を養育する労働者が請求できた「所定外労働の制限(残業免除)」ですが、2025年4月からは対象が「小学校就学の始期に達するまでの子」を養育する労働者へと拡大されます。これにより、子供が小学校に入学するまでは、残業をしない働き方を選択できる権利が法律で保証されることになります。

この変更に伴い、就業規則改定では対象者の要件を変更する必要があります。現場への影響としては、これまで残業をお願いできていた層が残業免除となる可能性があるため、業務分担の見直しや、代替要員の確保といった実務的な調整が不可欠となります。規定の変更だけでなく、運用面でのシミュレーションも早急に行うべきでしょう。

柔軟な働き方を実現するための措置(2025年10月施行)

2025年10月1日からは、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者に対して、「柔軟な働き方を実現するための措置」を講じることが義務化されます。企業は、①始業時刻等の変更(フレックスなど)、②テレワーク等、③短時間勤務制度、④新たな休暇制度、⑤保育施設の設置運営、の5つの選択肢の中から、2つ以上の制度を選んで導入しなければなりません。

労働者がその中から一つを選択して利用できるようにするため、就業規則改定において具体的な制度内容を明記する必要があります。特にテレワークやフレックスタイム制を新たに導入する場合は、労働時間管理のルールや評価制度との整合性も併せて検討する必要があり、準備に時間がかかることが予想されます。10月施行とはいえ、早めの検討が推奨されます。

介護離職防止に向けた規定の見直し

高齢化社会の進展に伴い、家族の介護を理由とした離職が社会問題化しています。これに対応するため、介護休暇についても育児同様、「勤続6ヶ月未満の労働者」を除外する労使協定の仕組みが廃止されます。また、従業員が介護に直面したことを申し出た際、個別に意向確認や両立支援制度の情報提供を行うことが企業の義務となります。

就業規則改定では、介護休暇の取得要件から勤続年数の制限を削除するとともに、新たに義務化される「意向確認・情報提供」の手続きフローを社内規程やマニュアルに落とし込む必要があります。介護は育児と異なり突発的に発生することが多いため、誰がいつ休んでも業務が回るような体制づくり(多能工化など)も実務上の重要なポイントとなります。

育児休業取得状況の公表義務の拡大

これまで従業員数1,000人超の企業に義務付けられていた「男性の育児休業等の取得状況の公表」ですが、2025年4月からは対象が「従業員数300人超」の企業へと大幅に拡大されます。公表内容は、男性の育児休業取得率や、育児休業と育児目的休暇を合わせた取得率などです。

直接的な就業規則改定項目ではありませんが、該当する企業(300人超)にとっては、自社の取得実績が外部から見える化されるため、制度があっても利用されていない「形骸化」の状態は企業イメージの低下を招きます。就業規則で制度を整えるだけでなく、実際に取得しやすい雰囲気を醸成するための周知活動や、管理職への研修といった実務対応が求められます。

テレワーク・副業規定と実態の乖離解消

法改正対応以外で急務となっているのが、コロナ禍以降に定着した新しい働き方と就業規則の乖離解消です。例えば、「原則出社」を前提とした通勤手当の規定が残ったまま、実態はテレワーク主体になっていたり、副業を黙認しているものの、規則上は「許可なく他社に従事してはならない」という禁止規定が残っていたりするケースです。

このような状態で労使トラブルが発生した場合、会社側が不利になる可能性が高くなります。就業規則改定のタイミングに合わせて、通信費の負担ルール、在宅勤務時の労働時間管理、副業時の秘密保持や労働時間通算のルールなど、現在の運用実態に即した形に条文を修正することが、リスク管理の観点から非常に重要です。

就業規則改定でよくある誤解と正しい理解

就業規則改定に関しては、多くの企業で誤った認識を持たれていることがあります。ここでは、実務現場でよく見られる誤解と、正しい理解について解説します。

  • 誤解:「法改正の施行日以降に変更すれば間に合う」
    正しい理解:施行日には新しいルールで運用が開始されている必要があります。規則の変更案作成、従業員代表への意見聴取、労働基準監督署への届出、そして社内周知には時間がかかるため、施行日の2〜3ヶ月前から準備を始めるのが理想的です。
  • 誤解:「中小企業だから、育児・介護休業法の改正は関係ない」
    正しい理解:今回解説した育児・介護休業法の改正点の多く(子の看護等休暇の拡充、残業免除など)は、企業規模にかかわらず全ての事業主に適用されます。公表義務のみ300人超の制限がありますが、制度整備は全企業の義務です。
  • 誤解:「実態として休ませているから、規則を変えなくても問題ない」
    正しい理解:実態があっても就業規則に明記されていなければ、助成金の申請要件を満たせない場合があります。また、担当者が変わった際に運用が変わり、トラブルになるリスクもあります。必ず明文化しましょう。
  • 誤解:「ネット上の無料ひな形をそのまま使えば安心だ」
    正しい理解:ひな形はあくまで一般的なモデルであり、自社の労働時間制度、休日の設定、手当の仕組みと合致していないことが多々あります。自社の実態と矛盾するひな形を導入すると、未払い賃金などの法的リスクを招く原因になります。
  • 誤解:「パート・アルバイトには就業規則は関係ない」
    正しい理解:パートタイム・有期雇用労働法により、正社員との不合理な待遇差は禁止されています。パート・アルバイト向けの就業規則を作成するか、既存の規則の適用範囲を明確にする必要があります。

専門家が解説する就業規則改定の重要ポイント

最後に、専門的な視点から、今回の就業規則改定において特に重視すべきポイントを整理します。単なる法令順守にとどまらず、企業価値を高めるための戦略的な改定を目指しましょう。

「義務」だけでなく「努力義務」にも目を向ける

法改正には、必ず守らなければならない「義務」と、努めることが求められる「努力義務」があります。多くの企業は義務への対応で手一杯になりがちですが、採用競争力を高めるためには、努力義務(例:3歳未満の子を養育する労働者へのテレワーク導入努力など)にも積極的に対応し、就業規則に盛り込むことが有効です。「子育てしやすい会社」としてのブランディング強化に繋がります。

曖昧な表現を排除し、具体的かつ明確に記述する

古い就業規則によく見られる「その他会社が必要と認めたとき」「社会通念上妥当な範囲で」といった曖昧な表現は、労使間の解釈のズレを生み、トラブルの温床となります。今回の就業規則改定を機に、手当の支給条件、休暇の取得単位、テレワーク時の費用負担などを、誰が読んでも同じ解釈になるよう具体的かつ明確な言葉で定義し直すことを強く推奨します。

従業員への周知と説明を徹底する

どれほど完璧な就業規則を作成しても、従業員に周知されていなければ法的な効力(合理的周知性)が認められない場合があります。改定後は、単にサーバーにアップロードしたりファイルを回覧したりするだけでなく、変更点やその意図を説明する機会を設けましょう。特に育児・介護に関する制度は複雑なため、分かりやすいガイドブックを作成するなどの工夫が、制度の利用促進と満足度向上に不可欠です。

運用との定期的な「棚卸し」の仕組みを作る

就業規則は一度作って終わりではありません。法改正は毎年行われ、社の実態も変化し続けます。今回の就業規則改定をゴールとするのではなく、年に1回程度は「規則と実態にズレがないか」を確認する定期点検(棚卸し)のタイミングを設けることが、長期的なコンプライアンス経営の鍵となります。

関連する詳しい情報はこちらのブログ一覧もご参照ください。

まとめ

2025年の就業規則改定は、育児・介護休業法の改正を中心とした「柔軟な働き方」への対応が最大のテーマです。「子の看護等休暇」の対象拡大や、新たな時短措置・テレワーク導入の義務化など、企業には具体的かつ迅速なアクションが求められます。また、法改正対応と同時に、テレワークや副業といった「実態との乖離」を解消するための見直しを行う絶好の機会でもあります。

形式的な改定に留まらず、従業員が能力を発揮しやすい環境を整えることは、結果として企業の生産性向上や人材確保に繋がります。この記事で解説したポイントを参考に、法令を遵守しつつ、自社の風土や実態にフィットした実効性のある就業規則改定を進めてください。

LINE お問合せ

大阪なんば駅徒歩1分
給与計算からIPO・M&Aに向けた労務監査まで
【全国対応】HR BrEdge社会保険労務士法人

こちらの内容もお勧めです