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特定技能外国人の受入れ診断!成功企業が実践する7つの判断基準と5ステップ

2026.01.02 外国人雇用

日本国内における深刻な人手不足を解消する切り札として、「特定技能外国人の受入れ」に注目が集まっています。2019年に創設されたこの制度は、一定の専門性・技能を有し、即戦力となる外国人材を受け入れるための在留資格です。しかし、制度の仕組みが複雑であり、従来の技能実習制度との違いや、具体的な導入手順が分からず、二の足を踏んでいる企業も少なくありません。

特に、2024年以降も対象分野の拡大や制度の見直しが進んでおり、最新の情報を正しく理解しておくことが不可欠です。特定技能外国人の受入れを成功させるためには、単に人材を募集するだけでなく、法令に基づいた支援体制の構築や、日本人従業員と同等以上の処遇確保など、クリアすべき基準が多数存在します。

この記事では、特定技能外国人の受入れを検討している経営者や人事担当者に向けて、制度の基礎知識から、自社が受入れに適しているかを判断するチェックリスト、そして実際に雇用を開始するまでの具体的な手順を解説します。正しい知識を身につけ、スムーズな受入れを実現するための手引きとしてご活用ください。

目次

特定技能外国人の受入れとは?制度概要と企業が知るべき基本

特定技能外国人の受入れとは、国内人材の確保が特に困難な産業分野において、一定の専門性・技能を持つ外国人を受け入れる制度です。この制度は、現場の労働力不足を補う「即戦力」の確保を目的としており、従来の「国際貢献」を目的とした技能実習制度とはその性質が大きく異なります。

特定技能1号と2号の決定的な違い

特定技能には「1号」と「2号」の2種類の在留資格が存在します。企業の担当者は、まずこの違いを明確に理解する必要があります。

  • 特定技能1号:特定産業分野において、相当程度の知識または経験を必要とする技能を要する業務に従事する資格です。在留期間は通算5年までで、原則として家族の帯同は認められていません。
  • 特定技能2号:熟練した技能を要する業務に従事する資格です。在留期間の上限はなく(更新が必要)、要件を満たせば家族の帯同も可能です。将来的な永住への道も開かれています。

受入れが可能な産業分野(特定産業分野)

特定技能外国人の受入れは、あらゆる業種で可能なわけではありません。法令で定められた以下の特定産業分野に限られています。

  • 介護
  • ビルクリーニング
  • 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
  • 建設
  • 造船・舶用工業
  • 自動車整備
  • 航空
  • 宿泊
  • 農業
  • 漁業
  • 飲食料品製造業
  • 外食業

※2024年の閣議決定により、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業の4分野の追加等が進められています。

受入れ機関(企業)と登録支援機関の役割

特定技能外国人の受入れを行う企業(受入れ機関)には、外国人材に対する職業生活上、日常生活上の広範な支援を行う義務が発生します。これには、入国前のガイダンス、住宅の確保、日本語学習の機会提供などが含まれます。
もし自社でこれらの支援体制を整えることが難しい場合は、国の登録を受けた「登録支援機関」に支援計画の全部を委託することが可能です。多くの中小企業がこの委託方式を採用して、管理負担を軽減しています。

【自己診断】特定技能外国人の受入れに向いている企業の特徴7選

制度を利用するためには、企業側にも厳格な要件が求められます。以下の7つの基準を満たしているかを確認することで、自社が特定技能外国人の受入れに適しているかを診断できます。

1. 労働関係法令・社会保険関係法令の遵守

最も基本的な条件として、労働基準法や社会保険各法を遵守していることが必須です。過去1年以内に労働関係法令違反がないこと、社会保険や労働保険に適切に加入し、保険料を滞納していないことが求められます。

2. 過去1年以内に非自発的離職者を出していない

特定技能外国人の受入れを申請する前の1年以内に、同じ業務に従事する従業員を会社都合で解雇していないことが条件です。これは、安価な労働力への置き換えを防ぐための措置です。

3. 外国人材に対する差別的な取り扱いがない

過去に外国人材に対して不当な差別や、パスポートを取り上げるなどの人権侵害行為を行っていないことが前提となります。コンプライアンス意識の高さが問われます。

4. 日本人と同等以上の報酬額の設定

特定技能外国人の受入れにおいて、賃金設定は非常に重要です。同じ業務に従事する日本人従業員と同等、またはそれ以上の報酬額を支払う必要があります。不当に低い賃金での雇用は認められません。

5. 支援体制の構築または委託が可能か

前述の通り、義務付けられた支援を実施できる社内体制があるか、あるいは登録支援機関に委託する予算があるかが判断基準となります。特に委託する場合は、月々の委託費用がコストとして発生します。

6. 安定した経営基盤と財務状況

外国人材を安定的・継続的に雇用できる財政基盤が必要です。直近の決算書などで、事業の継続性に疑義がないこと、および報酬を適切に支払える能力があることを証明しなければなりません。

7. 受入れ後のキャリアパスの提示

単なる労働力としてではなく、技能レベルに応じた昇給や、将来的には特定技能2号への移行支援など、キャリアパスを提示できる企業は、特定技能外国人の受入れ後の定着率が高くなる傾向にあります。

特定技能外国人の受入れ準備から雇用まで!具体的な5つのステップ

要件を満たしていることが確認できたら、実際に導入プロセスへ進みます。ここでは、特定技能外国人の受入れを完了させるまでの流れを5つのステップで解説します。

ステップ1:採用計画の立案と人材募集

まずは、どの職種で何名の受入れが必要かを明確にします。募集方法は大きく分けて以下の2通りがあります。

  • 国内採用:すでに日本に在留している留学生(卒業後)や、技能実習2号修了者を採用するパターンです。
  • 海外採用:海外現地で試験に合格した人材を採用するパターンです。現地の送り出し機関や、人材紹介会社を通じて募集を行います。

ステップ2:面接・試験の実施と雇用契約の締結

応募者に対して面接を行います。特定技能として働くためには、以下の2つの試験に合格している必要があります(技能実習2号を良好に修了している場合は免除されます)。

  • 技能試験:各分野の業務に必要な知識・技能を測る試験。
  • 日本語試験:「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験(N4以上)」など。

採用が内定したら、雇用契約書を締結します。この際、雇用条件書は母国語でも作成し、本人が十分に理解できるように説明する必要があります。

ステップ3:1号特定技能外国人支援計画の策定

特定技能外国人の受入れ機関は、入国から帰国までの生活や就労をサポートするための「支援計画」を作成しなければなりません。登録支援機関に委託する場合は、委託契約を結び、支援計画の作成を依頼します。
支援計画には、事前ガイダンス、出入国時の送迎、住居確保の支援、日本語学習の機会提供、日本人との交流促進などが含まれます。

ステップ4:在留資格認定証明書の交付申請

地方出入国在留管理局に対し、在留資格の申請を行います。

  • 海外から呼び寄せる場合:「在留資格認定証明書交付申請」を行います。
  • 国内在住者を採用する場合::「在留資格変更許可申請」を行います。

申請書類は多岐にわたり、企業の登記事項証明書、決算書、雇用契約書、支援計画書、社会保険関係の書類などが必要です。審査には通常1〜3ヶ月程度かかります。

ステップ5:入国・就労開始とオリエンテーション

在留資格が無事に許可されたら、いよいよ就労開始です。海外からの場合はビザの発給を受けて入国します。入国後は速やかに、生活オリエンテーション(銀行口座開設、市役所での手続き支援など)を実施し、業務を開始します。
特定技能外国人の受入れスタート直後は、文化や習慣の違いから戸惑うことも多いため、現場担当者による手厚いフォローが不可欠です。

特定技能外国人の受入れ成功事例に学ぶ!失敗しないための3つのポイント

特定技能外国人の受入れを成功させている企業には、共通する特徴があります。ここでは、失敗を避けるための重要なポイントを3つ紹介します。

ポイント1:社内の受入れ態勢と理解の促進

現場の日本人従業員の理解がないまま受入れを進めると、摩擦が生じやすくなります。事前に「なぜ外国人材が必要なのか」「どのような役割を担ってもらうのか」を社内に周知し、異文化理解の研修を行うことが推奨されます。共に働く仲間としての意識醸成が成功の鍵です。

ポイント2:業務マニュアルの多言語化と視覚化

言葉の壁によるミスや事故を防ぐため、業務マニュアルは可能な限り多言語化するか、写真や動画を多用して視覚的に理解できるように工夫しましょう。特に安全管理に関する指示は、確実に伝わる仕組み作りが重要です。
成功企業では、翻訳アプリやタブレットを活用し、円滑なコミュニケーションを図っています。

ポイント3:定期的な面談とメンタルケア

母国を離れて働く外国人材は、孤独感やストレスを抱えがちです。定期的な面談を実施し、業務の悩みだけでなく、生活上の困りごとにも耳を傾ける姿勢が必要です。誕生日を祝う、社内イベントに参加を促すなど、心理的な安全性を確保することで、定着率が向上します。

特定技能外国人の受入れ後も安心!雇用後のトラブル対策と管理のコツ

雇用手続きが完了しても、それで終わりではありません。特定技能外国人の受入れ後は、法律で定められた届出や管理業務を継続する必要があります。

四半期ごとの定期届出を忘れない

受入れ機関は、四半期ごとに以下の状況を出入国在留管理庁へ届け出る義務があります。

  • 受入れ・活動状況の届出
  • 支援実施状況の届出(登録支援機関に委託している場合は機関が実施)

これらの届出を怠ると、指導の対象となり、最悪の場合は受入れ機関としての認定取り消し処分を受ける可能性があります。

失踪や不法就労を防ぐために

残念ながら、より高い賃金を求めて失踪してしまうケースもゼロではありません。これを防ぐためには、適正な賃金支払いはもちろん、良好な人間関係の構築が不可欠です。「困ったときに相談できる相手がいる」という環境を作ることが、最大のリスクヘッジとなります。

退職・帰国時の手続き

契約期間満了や自己都合で退職する場合も、ハローワークへの届出や入管への報告が必要です。また、帰国を希望する場合は、空港までの送迎(保安検査場の前まで見送り)が義務付けられている点にも注意が必要です。

特定技能外国人の受入れに関するよくある疑問とQ&A

最後に、特定技能外国人の受入れを検討する際によく挙がる疑問点について解説します。

Q. 受入れにかかる費用の目安は?

自社で全て行うか、登録支援機関に委託するかで大きく異なります。委託する場合、一般的には初期費用として10〜20万円程度、月額の支援委託費として1名あたり2〜3万円程度が相場とされています。これに加えて、渡航費や住居の初期費用などを負担するケースが一般的です。

Q. アルバイトとしての雇用は可能ですか?

いいえ、できません。特定技能は「フルタイムの直接雇用」が条件です。派遣形態も原則認められていません(農業・漁業分野の一部を除く)。

Q. 技能実習生から特定技能への移行は可能ですか?

可能です。技能実習2号を良好に修了した者は、技能試験と日本語試験が免除され、スムーズに特定技能1号へ移行することができます。慣れ親しんだ人材を継続して雇用できるため、多くの企業がこのルートを活用しています。

関連する詳しい情報はこちらのブログ一覧もご参照ください。

まとめ

特定技能外国人の受入れは、人手不足に悩む企業にとって非常に有効な解決策です。しかし、成功させるためには、制度の正しい理解、コンプライアンスの遵守、そして何より「共に働く仲間」としての受入れ体制の整備が不可欠です。

本記事で紹介した7つの診断基準と5つのステップを参考に、計画的な準備を進めてください。適切なプロセスを踏むことで、優秀な外国人材が企業の戦力となり、事業の発展に大きく貢献してくれるはずです。特定技能外国人の受入れを単なる欠員補充と捉えず、組織の多様化と成長の機会として活かしていきましょう。

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