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特定技能の運用要領が激変!社労士が教える最新変更点と「不法就労」を防ぐ実務対応

2026.02.18 外国人雇用

特定技能制度は、制度開始以降も頻繁に運用要領の改訂が行われており、企業の人事担当者や経営者にとって「最新情報のキャッチアップ」が大きな課題となっています。特に直近の変更は、業務区分の統合や支援体制の厳格化など、実務に直結する内容が多く含まれています。

「知らなかった」では済まされないのが入管法です。運用要領の変更点を正しく理解していないと、意図せず「不法就労助長罪」に問われるリスクさえあります。本記事では、特定技能の運用要領変更に伴う企業の実務対応について、現場の事例を知る社会保険労務士が具体的に解説します。

Q1. 最新の運用要領変更で、企業の「不法就労」リスクは具体的にどう変わりましたか?

【結論】業務範囲の定義が再編されたことで、従来の認識のまま業務を指示すると「資格外活動」とみなされるリスクが高まっています。

運用要領の改訂により、特定技能外国人が従事できる業務区分の一部で統合や名称変更が行われています。これは業務範囲が広がったと解釈できる一方で、明確に「区分外」とされる業務ラインも引き直されたことを意味します。

実際の顧問先では、現場責任者が「以前はOKだったから」という感覚で、新しい運用要領では認められない作業を指示してしまいそうになるケースが散見されます。特に、複数の分野をまたぐような業務や、付随業務の拡大解釈は非常に危険です。

  • 変更点:業務区分の統合により、従事可能な主たる業務の定義が変化
  • リスク:旧要領の認識で業務指示を行うと、不法就労(資格外活動)に該当する可能性

企業は、最新の「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領」を必ず確認し、現場の業務マニュアルを更新する必要があります。

Q2. どのようなケースが新たな「不法就労」リスクとして注意すべきですか?

【結論】「主たる業務」と「付随業務」のバランスが崩れた場合や、統合された区分間での業務命令ミスがリスクとなります。

特定技能では、あくまで「相当程度の知識または経験を必要とする技能」を要する業務が主たる業務でなければなりません。運用要領の変更で業務区分が統合されたとしても、単純労働のみに終始させることは引き続き禁止されています。

例えば、製造業分野などで業務区分が統合された際、「どの工程でも配置できる」と誤解し、特定技能の在留資格で認められていない「単なる運搬や清掃のみ」を一日中行わせるようなケースは、不法就労(資格外活動)と判断される可能性が高いです。

  • 注意点:統合されたからといって、無制限に何でもできるわけではない
  • 対策:個別の業務内容が「技能を要する業務」に含まれているか再確認する

一方で、適切な指導監督の下で行う付随業務であれば認められますが、その割合や頻度については厳格な管理が求められます。

Q3. 分野拡大・統合によって、従事可能な業務は具体的にどう変わるのでしょうか?

【結論】一部の分野で業務区分が統合され、複数の工程を横断的に担当できるようになりますが、分野ごとの「固有の要件」は維持されます。

これまでは細分化されていた業務区分が統合されることで、多能工的な働き方がしやすくなるメリットがあります。例えば、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野の統合などが代表例です。

しかし、従事可能業務が広がったとしても、それぞれの業務に対応する「技能試験」や「実務経験」の要件が免除されるわけではありません(分野によります)。

  • メリット:繁閑に応じた柔軟な人員配置が可能になる
  • 条件:従事させる業務に対応した安全衛生教育や技能講習が必要な場合がある

企業としては、配置転換の自由度が増す一方で、それぞれの業務に対する安全管理や教育訓練の責任範囲も広がることを理解しておく必要があります。

Q4. 現場で判断に迷う「付随業務」のグレーゾーンはどこまで許容されますか?

【結論】「日本人従業員も通常行っていること」かつ「主たる業務に関連して生じるもの」であれば許容されますが、主従逆転はNGです。

運用要領では、特定技能外国人が主たる業務と同じ時間帯に、関連する付随業務を行うことは認められています。しかし、この「関連する」の解釈が現場では曖昧になりがちです。

実務上よくあるケースとして、製造ラインが停止している間に「草むしり」や「社屋のペンキ塗り」を命じてしまう相談があります。これらは主たる業務に関連性が薄く、契約外の業務として違法性を問われる可能性があります。

  • OK例:機械加工後の清掃、材料の運搬、日報作成(主業務に付随)
  • NG例:専ら清掃のみを行う、他部署の応援で全く異なる業務を行う

グレーゾーンを特定するためには、「その業務がなければ主たる業務が完遂できないか」「日本人正社員も同様に行っているか」を判断基準にしてください。

Q5. 運用要領改訂に伴い、既存の「支援計画書」はどのように更新すべきですか?

【結論】変更届出が必要なレベルの改訂かを確認し、必要であれば四半期ごとの定期届出や随時届出に合わせて内容を修正します。

運用要領の変更により、義務的支援の内容や実施方法に新たな要件が加わることがあります。例えば、事前ガイダンスの項目追加や、相談対応体制の明確化などです。

既存の支援計画書そのものを直ちに書き換えて提出し直す必要がない場合でも、実態としての支援内容は即座に新運用要領に適合させる必要があります。次回の定期届出時に、実施状況報告書(参考様式第5-8号など)を通じて、新しい基準での支援実施を報告することになります。

  • 手順1:新旧対照表などで変更点を確認し、自社の支援マニュアルを修正
  • 手順2:登録支援機関に委託している場合は、契約内容の見直しを協議

形式的な書類の更新だけでなく、実務上の支援フローが新ルールに沿っているかが重要です。

Q6. 登録支援機関に任せきりにする場合、どのような法的リスクがありますか?

【結論】支援実施責任は最終的に「受入れ機関(企業)」にあるため、登録支援機関の不備は企業の責任として処分対象になります。

「登録支援機関にお金を払って委託しているから大丈夫」と考えるのは非常に危険です。運用要領が変更されたにもかかわらず、登録支援機関が旧態依然とした支援しか行っていなかった場合、入管から指導を受けるのは受入れ企業です。

特に、支援実施状況報告書の虚偽記載や支援不履行が発覚した場合、特定技能外国人の受入れ停止処分(5年間)を受けるリスクがあります。

  • リスク:委託先の知識不足による法令違反の連帯責任
  • 対策:定期的に支援実施状況の報告を受け、運用要領との整合性を自社でもチェックする

委託は「業務の代行」であって「責任の転嫁」ではないことを肝に銘じ、定期的な監査やミーティングを行うべきです。

Q7. 2026年の「育成就労」開始に向け、今から特定技能をどう活用すべきですか?

【結論】技能実習からの移行ではなく、「育成就労」から「特定技能」へのスムーズな接続を見据えた、長期的な育成プランを策定すべきです。

新制度「育成就労」は、原則として3年間の就労を通じて特定技能1号の水準に育成することを目的としています。これにより、特定技能制度は「一時的な労働力」ではなく、「長期的なキャリアパスの一部」としての性格を強めます。

企業は今のうちから、特定技能外国人を「将来のリーダー候補」や「高度な技能者」として位置づけ、評価制度や賃金体系を整備しておく必要があります。

  • 戦略:単なる数合わせの採用から、定着・育成前提の採用へシフト
  • 準備:日本語教育や技能向上のための支援体制を内製化または強化する

制度転換期においては、現行の特定技能1号の運用実績が、新制度での受入れ体制審査でも有利に働く可能性があります。

Q8. 特定技能1号から2号への移行やキャリアパスはどう戦略的に考えるべきですか?

【結論】2号移行は「家族帯同」や「永住権」への道が開かれるため、福利厚生や生活支援のフェーズが変わることを想定して準備すべきです。

特定技能2号の対象分野が拡大されたことで、優秀な外国人人材を長期的に自社で雇用し続けることが可能になりました。しかし、2号は1号と異なり、支援計画の策定・実施が義務ではありません(自立しているとみなされるため)。

一方で、企業独自の福利厚生や、日本人社員と同様のライフプラン支援が求められます。2号への移行を推奨することで、1号人材のモチベーション向上や離職防止につなげることができます。

  • メリット:熟練技能者の長期定着、現場リーダーとしての活躍
  • 課題:家族帯同に伴う住居手配や生活サポート(公的義務ではないが実務上必要)

「支援義務がなくなるから楽になる」ではなく、「対等な社員としてどう処遇するか」という人事戦略の転換が必要です。

Q9. 入管の実地調査で「最新運用要領への対応」はどうチェックされますか?

【結論】帳簿書類の整合性だけでなく、外国人本人へのヒアリングを通じて「実際の業務内容」や「支援の実態」が詳細に確認されます。

入管の実地調査では、提出書類と現場の実態に乖離がないかが厳しく見られます。これまで多くの企業を支援してきた中で、特に指摘されやすいのが「賃金台帳とタイムカードの不整合」や「支援実施記録の形式的な作成」です。

最新の運用要領に対応しているかを示すには、支援実施記録簿に具体的な支援内容(相談内容や対応結果)が詳細に記載されていることが重要です。「特になし」ばかりの記録は、支援を行っていないと疑われる原因になります。

  • チェック項目:従事業務の内容、報酬の支払状況、支援の実施頻度と内容
  • 対策の裏側:日々の業務日報や相談記録を、入管が見て分かるレベルで言語化して残す

社労士等の専門家による定期的な模擬監査(内部監査)を実施し、第三者の視点で記録の不備を洗い出しておくことが、最も有効な対策です。

まとめ

特定技能の運用要領は、制度の成熟とともに頻繁に変更されています。これらを正しく理解し、実務に落とし込むことは、コンプライアンスを守るだけでなく、外国人人材の定着と活躍に直結します。

「不法就労」のリスクを回避し、2026年の新制度移行を見据えた強い組織を作るためには、登録支援機関任せにせず、企業自身が主体的に制度運用に関わることが不可欠です。判断に迷う場合は、外国人雇用に強い専門家への相談を推奨します。

特定技能・外国人雇用に関する詳しい情報はこちらのブログ一覧もご参照ください。

監修者プロフィール

本記事は、HR BrEdge社会保険労務士法人に所属する特定社会保険労務士・渡辺俊一が監修しています。法人顧問業務を中心に、給与計算、労務相談、就業規則整備など、企業のバックオフィス全体を支える実務に携わってきました。

日常的な労務相談から、制度設計、実務運用、トラブル予防まで、「現場で実際に起こること」を前提とした支援を行っています。特に、従業員100名以上規模の企業における実務の属人化や判断が分かれやすい場面への対応を得意としています。

  • 社会保険労務士(登録番号:第27070207号・平成19年11月1日登録・平成24年5月1日特定社会保険労務士付記)
  • キャリアコンサルタント(登録番号:16131446・平成28年8月23日登録)
  • HR BrEdge社会保険労務士法人 代表社員
  • 法人顧問を中心とした労務管理・給与計算の実務支援
  • 就業規則・社内ルール整備を含む制度運用支援
  • 企業向け労務管理に関する書籍・実務資料の執筆・監修
  • 経営者・人事担当者向け研修・セミナー講師実績

制度の解説にとどまらず、「このケースではどう判断すべきか」「どこでトラブルになりやすいか」といった実務上の判断ポイントを重視した情報提供を行っています。

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