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特定技能2号への移行手順を社労士が徹底解説|要件・手続きと家族帯同を見据えた実務の要諦

2026.01.28 外国人雇用

特定技能制度において、在留期間の上限がなく、家族帯同も可能となる「特定技能2号」への移行は、外国人材にとっても受入れ企業にとっても大きな目標です。しかし、1号から2号への移行は単なる更新手続きとは異なり、より高度な「熟練した技能」の証明や、生活基盤の再構築など、クリアすべきハードルが数多く存在します。

「試験に合格すれば自動的に2号になれる」と考えていると、実務経験の要件不足や報酬設定の不備で不許可になるケースも少なくありません。この記事では、数多くの特定技能申請を支援してきた社会保険労務士の視点から、特定技能2号へ確実に移行するための具体的な手順と、実務上の重要ポイントをステップ形式で解説します。

Step 1:2号移行の鍵となる「熟練した技能」の客観的証明と実務経験の棚卸し

【結論】このステップでは、対象者が2号の要件である「熟練した技能」を有しているか、試験と実務経験の両面から確認を行います。

特定技能2号は、長年の実務経験等により身につけた熟練した技能を要する業務に従事する在留資格です。多くの分野で「技能検定1級相当」や「特定技能2号評価試験」への合格が必須ですが、分野によっては試験合格に加えて「実務経験(監督者としての経験など)」が求められる場合があります。

  • 分野ごとの2号評価試験(または技能検定)の合格証書の有無を確認
  • 分野別運用要領を確認し、求められる「実務経験年数」や「役割(班長、監督職など)」を特定
  • 社内の人事記録や業務日報から、該当する実務経験を客観的に証明できるか棚卸しを実施

実務での判断ポイント:
建設分野などでは、「職長としての経験」が要件となるケースがあります。単に在籍していた期間だけでなく、「いつ、どの現場で、何名の部下を指導したか」という具体的な実績が必要です。試験合格だけで安心せず、運用要領の最新版を必ず確認してください。

Step 2:技能検定合格だけでは不十分?入管が厳格に審査する「実務経験証明書」の作成実務

【結論】このステップでは、入管審査で最も重視される書類の一つである「実務経験証明書」を、証拠資料に基づいて作成します。

試験合格証書は客観的な事実ですが、実務経験は企業が証明しなければなりません。入管は「実態として本当に熟練した業務を行っていたか」を厳しく審査します。曖昧な記述や、実態と乖離した内容は不許可の直接的な原因となります。

  • 所属機関(自社または前職企業)による実務経験証明書の作成
  • 証明内容を裏付ける補助資料(工事経歴書、組織図、業務日報の抜粋など)の準備
  • 証明書に記載する期間と、在留資格の履歴(在留カードの履歴)との整合性チェック

実務での判断ポイント:
自社で1号から雇用している場合は社内データで証明できますが、転職してくる場合や、母国での経験を通算する場合は、前職企業からの証明書取得が難航することがあります。証明書が入手できない場合は、2号移行の要件を満たせない可能性があるため、早めの確認が不可欠です。

Step 3:2号移行後の「日本人同等以上の報酬」要件と社内賃金規定の整合性チェック

【結論】このステップでは、2号移行後の賃金設定が「日本人同等以上」であり、かつ技能レベルに見合った昇給がなされているかを確認します。

特定技能2号は「熟練した技能」を持つ人材です。したがって、1号の時と同じ賃金設定では、入管から「技能レベルの向上に見合った処遇がなされていない」と判断され、合理的な説明を求められるリスクがあります。

  • 同等の技能・経験を持つ日本人社員の賃金と比較し、格差がないか確認
  • 特定技能1号時と比較して、昇給や手当の増額が反映されているか検討
  • 賃金規程や就業規則に基づいた決定であることを説明書に記載

実務での判断ポイント:
もし日本人社員で同等の役職(例:職長、リーダー)の者がいる場合、その者の給与明細と比較されることがあります。一方で、比較対象となる日本人がいない場合は、賃金規程上の根拠を明確に示す必要があります。「2号になったから」という理由だけで根拠なく大幅に賃金を上げる必要はありませんが、技能レベルに応じた適正な評価が求められます。

Step 4:家族帯同を見据えた住居確保と生活基盤の整備(1号との支援義務の差を埋める対応)

【結論】このステップでは、配偶者や子の帯同を希望する場合の住居要件の確認と、生活立ち上げのサポート準備を行います。

特定技能2号の最大のメリットの一つが家族帯同です。しかし、家族を呼ぶためには「扶養能力」と「適切な住居」が必要です。1号のような法的支援義務はなくなりますが、家族の呼び寄せや生活セットアップを企業が放置すると、本人が業務に集中できなくなる恐れがあります。

  • 家族全員が居住するのに十分な広さ(1人あたり畳何畳分など目安あり)がある物件の確保
  • 家族滞在ビザ(特定活動等の場合もあり)の申請準備
  • 地域の学校、医療機関、行政手続きの案内(任意的支援)

実務での判断ポイント:
単身用の寮に家族を住まわせることは、広さの要件や風紀上の問題で認められないケースが多いです。2号移行に合わせてアパートを法人契約し直すか、本人名義での契約をサポートするなどの対応が現場ではよく行われます。

Step 5:在留資格変更許可申請のタイミングと「申請取次」によるスムーズな手続き

【結論】このステップでは、必要書類を揃え、適切なタイミングで地方出入国在留管理局へ在留資格変更許可申請を行います。

特定技能1号の在留期限が迫っている中で2号への変更申請を行う場合、審査期間中に期限が切れないよう注意が必要です。また、2号の審査は1号以上に慎重に行われる傾向があるため、余裕を持ったスケジュール管理が重要です。

  • 在留資格変更許可申請書および添付書類一式の作成
  • 申請取次行政書士または社内の申請取次者による代理申請
  • 審査期間中(通常1〜3ヶ月)の在留特例期間の管理

実務での判断ポイント:
万が一、2号への変更が不許可になった場合でも、1号の在留期間(通算5年)が残っていれば、1号のまま在留継続(更新)が可能な場合があります。リスクヘッジとして、1号の期限ギリギリではなく、3ヶ月前程度から準備を始めるのが鉄則です。

Step 6:支援義務終了後の「自走型」雇用管理と長期定着に向けたキャリアパス運用

【結論】このステップでは、登録支援機関による支援義務が終了した後の、自律的な雇用管理体制への切り替えを行います。

特定技能2号になると、1号で義務付けられていた「登録支援機関による支援(または自社支援)」の法的義務がなくなります。これはコスト削減になる一方で、定期面談や報告義務がなくなり、本人の悩みや離職の兆候を見逃しやすくなるリスクも孕んでいます。

  • 支援委託契約の終了手続き(登録支援機関を利用していた場合)
  • 日本人社員と同様の人事評価制度・面談制度への組み込み
  • 将来的な「永住者」への変更も見据えた長期的なキャリアプランの提示

実務での判断ポイント:
支援義務がなくなったからといって「放置」すると、より条件の良い企業へ転職されるリスクが高まります。2号社員を「外国人材」として特別扱いするのではなく、「コア人材」として扱い、日本人社員と同様の福利厚生や研修機会を提供することが、長期定着の秘訣です。

特定技能・外国人雇用に関する詳しい情報はこちらのブログ一覧もご参照ください。

監修者プロフィール

本記事は、HR BrEdge社会保険労務士法人に所属する特定社会保険労務士・渡辺俊一が監修しています。法人顧問業務を中心に、給与計算、労務相談、就業規則整備など、企業のバックオフィス全体を支える実務に携わってきました。

日常的な労務相談から、制度設計、実務運用、トラブル予防まで、「現場で実際に起こること」を前提とした支援を行っています。特に、従業員100名以上規模の企業における実務の属人化や判断が分かれやすい場面への対応を得意としています。

  • 社会保険労務士(登録番号:第27070207号・平成19年11月1日登録・平成24年5月1日特定社会保険労務士付記)
  • キャリアコンサルタント(登録番号:16131446・平成28年8月23日登録)
  • HR BrEdge社会保険労務士法人 代表社員
  • 法人顧問を中心とした労務管理・給与計算の実務支援
  • 就業規則・社内ルール整備を含む制度運用支援
  • 企業向け労務管理に関する書籍・実務資料の執筆・監修
  • 経営者・人事担当者向け研修・セミナー講師実績

制度の解説にとどまらず、「このケースではどう判断すべきか」「どこでトラブルになりやすいか」といった実務上の判断ポイントを重視した情報提供を行っています。

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