障害年金コラム

パーキンソン病で障害年金を受給するためのヤールの重症度分類と認定の目安

パーキンソン病の障害年金申請で陥りがちな2つの大きな誤解

パーキンソン病と診断され、日常生活に支障を感じ始めると、経済的な不安から障害年金の受給を検討される方は少なくありません。しかし、多くの方が申請準備の段階で、ある特定の情報に捉われすぎてしまい、結果として不支給という厳しい現実に直面することがあります。特に「ヤールの重症度分類」は、ご自身の状態を客観視する上で重要な指標ですが、これが障害年金の認定基準と直結していると誤解してしまうケースが後を絶ちません。

この記事では、パーキンソン病で障害年金を受給するためのヤールの重症度分類と認定の目安について、多くの方が陥りがちな間違いや注意点を中心に解説します。正しい知識を身につけ、失敗を未然に防ぐことで、適切な等級での受給を目指しましょう。もし手続きに不安を感じたら、私たち全国対応のHR BrEdge(エイチアールブレッジ)社会保険労務士法人にいつでもご相談ください。

誤解1:「ヤールの重症度分類が基準を満たせば必ず受給できる」という思い込み

最もよくある誤解が、「ヤールの重症度分類でステージⅢ以上だから、障害年金2級は確実にもらえるはずだ」という考えです。確かに、ヤールの重症度分類はパーキンソン病の進行度を示す重要な指標ですが、障害年金の認定で最も重視されるのは「日常生活や就労にどれほどの支障が出ているか」という実態です。

日本年金機構が審査で用いる診断書には、歩行能力、手指の巧緻性、食事、着替えといった具体的な日常生活動作(ADL)の状況を詳細に記載する欄があります。たとえヤールの重症度分類が同じステージⅢであっても、支えがあれば何とか自立して生活できる方と、常時介助が必要な方とでは、認定結果が大きく異なるのです。つまり、分類ステージの数字だけが独り歩きするのではなく、その結果として生じている「生活の困難さ」をいかに客観的に証明できるかが鍵となります。

誤解2:「医師に任せておけば適切な診断書がもらえる」という油断

「主治医は自分の病状を一番よく分かってくれているから、診断書も完璧に書いてくれるはず」と考えるのも無理はありません。しかし、これは非常に危険な油断です。医師はパーキンソン病の「治療」の専門家であって、「障害年金制度」の専門家ではないからです。

医師が診察室で見る患者さんの姿は、日常生活のほんの一部分に過ぎません。家の中で転倒しやすくなった、食事に時間がかかるようになった、薬が切れると動けなくなる(ウェアリング・オフ現象)といった具体的な困難は、ご自身から伝えなければ診断書に反映されない可能性があります。診断書の内容が実態よりも軽く書かれてしまうと、それが原因で不支給や想定より下の等級に認定されてしまうことは、決して珍しいことではないのです。

パーキンソン病の障害年金における「ヤールの重症度分類」と「認定基準」

では、障害年金の申請において、ヤールの重症度分類と日本年金機構が定める認定基準は、どのように関連しているのでしょうか。両者の正しい関係性を理解することが、適切な申請への第一歩です。

ヤールの重症度分類とは?(ステージⅠ~Ⅴ)

ホーエン・ヤールの重症度分類(H&Y分類)は、パーキンソン病の進行度を5段階で評価する世界的に用いられている指標です。ステージが上がるほど、症状が進行していることを示します。

[画像挿入提案: ヤールの重症度分類をわかりやすく図解したイラスト。推奨ALTテキスト:「パーキンソン病の進行度を示すヤールの重症度分類の5段階」]
  • ステージⅠ:症状は片側の手足のみ。
  • ステージⅡ:症状が両側の手足に現れるが、姿勢反射障害(バランスが崩れたときに立て直せない)はない。
  • ステージⅢ:姿勢反射障害が見られる。日常生活に介助は不要だが、動作は緩慢になり、転倒しやすくなる。
  • ステージⅣ:日常生活の多くの場面で介助が必要となる。なんとか起立や歩行は可能。
  • ステージⅤ:車椅子生活または寝たきりとなり、日常生活の全てにおいて介助が必要。

障害年金の認定基準とヤールの重症度分類の目安

一方、障害年金の等級は、障害の状態に応じて1級、2級、3級(障害厚生年金のみ)、そして障害手当金に分かれています。パーキンソン病の場合、主に肢体の障害としての認定基準が用いられます。以下に、ヤールの重症度分類と等級のおおよその目安を示しますが、あくまで参考であり、個々の症状や日常生活の状況によって総合的に判断されることを忘れないでください。

  • 障害等級1級:ヤール重症度分類のステージⅤに相当。日常生活のほとんど全てにおいて、他人の援助を受けなければ活動できない状態。
  • 障害等級2級:ヤール重症度分類のステージⅢ~Ⅳに相当。必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活が極めて困難で、労働により収入を得ることができない程度の状態。
  • 障害等級3級:ヤール重症度分類のステージⅢの一部が含まれることがある。労働が著しい制限を受けるか、または労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の状態。

このように、特にステージⅢの方は2級と3級の境界線上にあり、診断書の書き方ひとつで結果が変わり得るため、特に慎重な準備が求められます。
出典:[外部リンク: 日本年金機構 障害認定基準(第7節 肢体の障害)]

障害年金の受給可能性を高める!申請で失敗しない3つのステップ

ここまでの解説を踏まえ、パーキンソン病で障害年金の受給に繋げるための具体的な行動ステップを紹介します。独断で進めて不支給となる失敗を避けるためにも、ぜひ参考にしてください。

ステップ1:初診日の証明書類を正確に準備する

障害年金申請の最初の関門が「初診日」の証明です。初診日とは、パーキンソン病の症状で初めて医師の診察を受けた日のことを指します。この初診日を基準に保険料の納付要件がチェックされるため、証明できなければ審査の土俵にすら上がれません。特に、最初に受診した病院と現在の病院が違う場合や、カルテが破棄されている場合は証明が難しくなります。安易に「この日だと思う」で進めるのではなく、客観的な証拠を丁寧に集めることが重要です。[内部リンク: 障害年金の初診日証明が難しい場合の対処法] の記事も参考に、万全の準備をしましょう。

ステップ2:日常生活の支障を具体的に記録し、医師に伝える

これが最も重要なステップです。診断書を依頼する前に、日常生活で困っていることを詳細にメモし、医師に渡しましょう。例えば、以下のような内容です。

  • 着替え:ボタンのかけ外しに〇分かかる、上着を着るのに支えが必要。
  • 食事:箸が使いづらく、よくこぼすためスプーンを使っている。食事に以前の倍の時間がかかる。
  • 歩行:すくみ足で最初の一歩が出ないことがある。家の中でも〇回以上転倒しそうになる。
  • その他:薬が切れると全く動けなくなる時間帯がある。声が小さくなり、電話での会話が困難。

「これくらい言わなくてもわかるだろう」という思い込みは捨て、客観的な事実を具体的に伝える努力が、実態に即した診断書に繋がります。

ステップ3:専門家(社会保険労務士)に書類をチェックしてもらう

申請で最もやってはいけない行動は、完成した書類を誰にも見せずに独断で提出してしまうことです。ご自身では完璧だと思っていても、専門家の視点から見ると、認定基準を満たすための重要なポイントが抜けていたり、病歴・就労状況等申立書と診断書の内容に矛盾があったりすることは珍しくありません。[内部リンク: 障害年金申請を社労士に依頼するメリットと費用] をご覧いただくと分かりますが、専門家はこれらの書類を法的な観点から精査し、受給可能性を最大限に高めるためのアドバイスを行います。不支給になってから再申請(審査請求)する労力を考えれば、最初の申請段階で専門家のサポートを受けることが最も確実な近道です。

まとめ

今回は、パーキンソン病で障害年金を受給するためのヤールの重症度分類と認定の目安について、陥りがちな誤解と失敗しないためのステップを解説しました。

重要なポイントをもう一度おさらいしましょう。

  • ヤールの重症度分類のステージだけで等級が決まるわけではない。
  • 審査では「日常生活や就労への支障の程度」が最も重視される。
  • 医師に日常生活の困難さを具体的に伝えることが、実態に即した診断書作成の鍵。
  • 初診日の証明や書類間の整合性など、申請には多くの注意点が存在する。

障害年金の申請は、ご自身の今後の生活を支えるための非常に重要な手続きです。一人で不安や疑問を抱え込まず、専門家である社会保険労務士に相談することで、心の負担を軽くし、受給への道を確かなものにすることができます。私たちHR BrEdge(エイチアールブレッジ)社会保険労務士法人では、LINEやZoomによるオンラインでの無料相談も全国から受け付けております。どうぞお気軽にご連絡ください。

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