知的障害で障害年金をもらうには?療育手帳の等級と申請のポイントを解説
知的障害の障害年金、申請をためらっていませんか?
「療育手帳を持っているけれど、知的障害で障害年金をもらうにはどうしたらいいのだろう?」「手帳の等級が低いから、申請しても不支給になるのでは…」このような不安を抱えているご本人やご家族は少なくありません。知的障害による日常生活や就労上の困難は、目に見えにくいからこそ、その苦労が正しく評価されるべきです。しかし、障害年金の制度は複雑で、特に知的障害の場合は「初診日」の考え方や提出書類の書き方に専門的な知識が求められるため、多くの方が申請の段階でつまずいてしまいます。この記事では、知的障害での障害年金受給を目指す方々が抱える疑問や不安を解消し、正しい知識で申請に臨むための具体的なポイントを、障害年金を専門とする全国対応のHR BrEdge(エイチアールブレッジ)社会保険労務士法人が徹底的に解説します。
療育手帳の等級と障害年金は別物!知っておくべき認定基準の3つの違い
多くの方が誤解しがちな点ですが、療育手帳の等級と障害年金の等級は、全く別の基準で審査されます。療育手帳がA判定だからといって、必ずしも障害年金1級が受給できるわけではありません。この違いを理解することが、知的障害で障害年金を受給するための第一歩です。具体的に何が違うのか、3つのポイントで見ていきましょう。
1. 審査する機関と根拠となる法律が違う
まず、審査を行う機関と法律が異なります。この違いが、それぞれの制度の目的や性格の違いに繋がっています。
- 療育手帳:都道府県や指定都市が、児童相談所または知的障害者更生相談所の判定に基づき交付します。根拠は各自治体の要綱などであり、福祉サービスの利用を主な目的としています。
- 障害年金:日本年金機構が、国民年金法や厚生年金保険法に基づき審査・支給を決定します。目的は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取ることができる「所得保障」です。
2. 重視される評価項目が違う
等級を判断する際に重視される評価項目も大きく異なります。ここが最も重要なポイントです。
- 療育手帳:主に知能指数(IQ)と日常生活の自立度を基に総合的に判定されます。
- 障害年金:IQの数値も参考にされますが、それ以上に「日常生活能力の判定」が重視されます。食事、身辺の清潔保持、金銭管理、対人関係など、日常生活における具体的な支障の程度が審査の鍵を握ります。
[画像挿入提案: ここに療育手帳と障害年金の「評価項目の違い」を比較する図を挿入。推奨ALTテキスト:「知的障害における療育手帳と障害年金の評価基準の違い」]
3. 「初診日」の考え方
知的障害の場合、障害の原因となった傷病の初診日は原則として「出生日」となります。そのため、20歳になる前に初診日がある「20歳前傷病」による障害基礎年金の対象となるのが一般的です。この場合、保険料の納付要件は問われません。ただし、ご本人の所得が一定額以上あると年金の支給が制限される「所得制限」がある点には注意が必要です。この点は、他の障害年金申請とは異なる、知的障害ならではの重要なポイントと言えるでしょう。[内部リンク: 障害年金の所得制限とは?20歳前傷病の注意点を解説]
このように、療育手帳と障害年金は似ているようで全く異なる制度です。手帳の等級に一喜一憂せず、障害年金の認定基準に沿って、ご自身の生活状況を正確に伝える準備が何よりも大切になります。
出典:[外部リンク: 日本年金機構 精神の障害に係る等級判定ガイドライン]
知的障害で障害年金の受給に繋げるための5つの行動ステップ
では、具体的にどうすれば知的障害で障害年金の受給に繋げられるのでしょうか。ここでは、申請準備から提出までの重要な5つのステップを解説します。一つひとつ着実に進めることで、不支給のリスクを減らし、適切な等級での受給を目指しましょう。
ステップ1:成育歴を客観的にまとめる
知的障害の申請で診断書と同じくらい重要になるのが「病歴・就労状況等申立書」です。出生時から現在までの成育歴、学歴、職歴、日常生活の状況などを詳細に記載します。なぜなら、幼少期からどのような支援を受け、どのように生活してきたかが、障害の程度を証明する客観的な証拠となるからです。母子手帳、通知表、支援機関の記録などを参考に、ご家族にも協力してもらいながら、できるだけ具体的に書き出しましょう。
ステップ2:診断書依頼時に「日常生活の状況」を文書で伝える
医師に診断書を依頼する際は、口頭で伝えるだけでなく、日常生活で困っていることをまとめたメモを渡すのが効果的です。例えば、「一人で金銭管理ができず、高額な契約をしてしまうことがある」「手順を説明されてもすぐに忘れてしまい、同じ作業を何度も聞き返す必要がある」など、具体的なエピソードを記載します。これにより、診察時間だけでは伝わらない実態が医師に伝わり、より正確な診断書を作成してもらいやすくなります。
ステップ3:「病歴・就労状況等申立書」で診断書を補強する
「病歴・就労状況等申立書」は、診断書の内容を補強する重要な役割を担います。特に就労している場合、「就労=障害が軽い」と判断されがちです。しかし、実際には「職場から特別な配慮を受けている」「単純作業しか任されていない」「頻繁に指示を受けないと業務が進められない」といった状況があるはずです。これらの具体的な支援内容を申立書に記載することで、就労の実態が審査側に正しく伝わり、適正な認定に繋がります。
ステップ4:20歳前傷病の所得制限を確認する
20歳前傷病による障害基礎年金には所得制限があります。前年の所得が一定額を超えると、年金の半分または全額が支給停止となります。申請前にご自身の所得状況を確認しておくことが重要です。扶養親族の人数によって基準額は変わるため、事前に年金事務所や専門家へ確認することをおすすめします。[内部リンク: 障害年金申請のよくある質問]
【やってはいけない行動】独断で書類を完成させ提出してしまう
最も避けたいのが、専門家のチェックを受けずに自己判断で書類を提出してしまうことです。障害年金の申請書類は、書き方一つで結果が大きく変わります。一度不支給と決定されると、その決定を覆す「審査請求」や「再審査請求」には、時間も労力もかかります。最初から万全の準備で臨むことが、受給への一番の近道です。
出典:厚生労働省「障害年金ガイド」
まとめ:知的障害の障害年金申請は、専門家との連携が成功の鍵
今回は、知的障害で障害年金をもらうためのポイントについて、療育手帳との違いや具体的な申請ステップを交えて詳しく解説しました。
- 療育手帳と障害年金は、審査機関も認定基準も全く異なる制度です。
- 知的障害の障害年金審査では、IQよりも「日常生活能力」が重視されます。
- 「病歴・就労状況等申立書」で、出生時から現在までの生活状況を具体的に伝えることが極めて重要です。
- 20歳前傷病による障害基礎年金には、保険料納付要件がない代わりに「所得制限」があります。
知的障害の障害年金申請は、その専門性の高さから、ご本人やご家族だけで進めるには多くの困難が伴います。少しでも申請に不安を感じたら、一人で抱え込まずに専門家である社会保険労務士に相談してください。私たちHR BrEdge(エイチアールブレッジ)社会保険労務士法人は、障害年金申請のプロフェッショナルとして、あなたの状況を丁寧にヒアリングし、受給の可能性を高めるための最適なサポートを提供します。初回のご相談は無料です。LINEやZoomでのオンライン相談も全国から受け付けておりますので、まずはお気軽にご連絡ください。あなたの権利を確かな形にするため、私たちが全力で支援します。
出典:社会保険労務士法第2条(社会保険労務士の業務)




