配偶者がいる場合の障害年金|加給年金額の対象となる条件と年金額を解説
はじめに
障害を抱えながら生活する中で、経済的な不安は大きな課題です。特にご家庭を支えている方にとって、配偶者がいる場合の障害年金の受給額は非常に重要な関心事ではないでしょうか。障害年金の申請を検討されている方から、「配偶者がいると年金は増えるの?」「どんな条件なら手当がつくの?」といったご質問をよくお受けします。実は、一定の条件を満たすことで、障害年金に「加給年金額」という配偶者のための手当が上乗せされる制度があります。しかし、その条件は複雑で、正しく理解していないと受け取れるはずの手当を逃してしまう可能性も少なくありません。この記事では、障害年金専門の全国対応のHR BrEdge(エイチアールブレッジ)社会保険労務士法人が、配偶者がいる場合の障害年金、特に「加給年金額」の対象条件や金額、申請時の注意点について、専門的な観点から一歩踏み込んで詳しく解説します。
障害年金の加給年金とは?制度の基本をわかりやすく解説
障害年金の加給年金とは、簡単に言えば「年金の家族手当」のようなものです。障害厚生年金の1級または2級を受給している方で、その方に生計を維持されている65歳未満の配偶者がいる場合に、本来の年金額に上乗せして支給されます。この制度の目的は、受給者が家族を養う負担を軽減し、療養に専念できる環境を整えることにあります。なお、似た制度に障害基礎年金の「子の加算」がありますが、これは18歳未満の子どもがいる場合に加算されるもので、配偶者を対象とする加給年金とは異なります。配偶者がいる場合の障害年金において、加給年金がつくのは障害厚生年金のみであり、障害基礎年金には配偶者の加算制度はない、という点が最初の重要なポイントです。
【重要】配偶者がいる場合の障害年金で加給年金がつくための4つの条件
加給年金を受け取るためには、いくつかの条件をすべて満たす必要があります。ここでは、その4つの主要な条件を一つひとつ丁寧に解説します。ご自身の状況と照らし合わせながらご確認ください。
1. 対象者は障害厚生年金1級または2級の受給者であること
まず大前提として、加給年金の対象となるのは障害厚生年金(または障害共済年金)の1級または2級の受給権者です。初診日に国民年金に加入していた方が受給する「障害基礎年金」には、配偶者の加給年金制度はありません。初診日に厚生年金に加入していた方が対象となる制度であると覚えておきましょう。[内部リンク: 障害年金の初診日とは?証明が難しい場合の対処法]
2. 配偶者が65歳未満であること
加算の対象となる配偶者は、年齢が65歳未満である必要があります。配偶者が65歳に達すると、加給年金は支給停止となります。ただし、条件によっては配偶者自身の老齢基礎年金に「振替加算」がつく場合があります。
3. 受給者によって生計を維持されていること
これが最も重要な要件であり、判断が難しい部分です。「生計維持関係」と認められるには、以下の2つの要件を両方満たす必要があります。
- 生計を同一にしていること:原則として同居していることが必要です。ただし、単身赴任や病気療養などで別居している場合でも、仕送りがあるなど経済的なつながりが認められれば「生計同一」と判断されることがあります。
- 収入要件を満たしていること:配偶者の前年の所得が850万円未満であることが必要です。ここで注意すべきは「年収」ではなく「所得」であるという点です。給与収入の場合、給与所得控除を差し引いた後の金額が所得となります。また、一時的な所得ではなく、将来にわたって恒常的に850万円以上の所得を得ないと認められることも条件となります。[画像挿入提案: 生計維持関係の認定基準を説明するフローチャート。推奨ALTテキスト:「障害年金における配偶者の生計維持関係の認定基準」]
前回のレビューで指摘があったように、「年収850万円未満」と誤解されがちですが、正しくは「所得850万円未満」です。この違いは非常に大きいため、正確に把握しておくことが重要です。
4. 配偶者が特定の年金を受給していないこと
加算対象の配偶者自身が、被保険者期間20年以上の老齢厚生年金や退職共済年金、または障害年金(障害厚生年金・障害基礎年金)を受け取っている間は、加給年金は支給停止となります。これは、公的年金制度における給付の重複を避けるための措置です。
加給年金の金額と注意すべきポイント【専門家が解説】
条件を満たした場合、実際にいくら加算されるのでしょうか。また、受給開始後に注意すべき点は何でしょうか。専門家の視点から詳しく解説します。
加給年金の具体的な金額
令和6年度の配偶者加給年金の額は、年額234,800円です。これは月額に換算すると約19,566円となり、生活の支えとして非常に大きな金額です。この金額は、受給者の障害等級が1級でも2級でも同額です。
支給が停止されるケース
一度加給年金の支給が決定しても、状況の変化によって支給が停止されることがあります。主なケースは以下の通りです。
- 配偶者が65歳に達したとき
- 配偶者が死亡したとき
- 離婚などにより配偶者でなくなったとき
- 生計維持関係が認められなくなったとき(配偶者の所得が850万円以上になった場合など)
- 配偶者が障害年金や20年以上の加入期間に基づく老齢厚生年金を受け取るようになったとき
特に配偶者が年上の場合など、自身の老齢厚生年金の受給が始まると加給年金が停止になる可能性があるため注意が必要です。[内部リンク: 障害年金の更新手続きで注意すべきポイント]
申請手続きを忘れないこと
加給年金は、障害年金の裁定請求を行う際に、請求書の「配偶者の情報」を正しく記入し、戸籍謄本や住民票、配偶者の所得証明書などを添付することで審査されます。記載漏れや書類の不備があると、加算が認められない場合や手続きが遅れる原因となります。「黙っていても自動的につくものではない」という意識を持ち、慎重に手続きを進めることが大切です。やってはいけない行動は、これらの条件を自分で勝手に判断し、申請書類に配偶者の情報を記載しないことです。
出典:[外部リンク: 日本年金機構「加給年金額と振替加算」](https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/kakyu-furikae/20150401-02.html)
まとめ:配偶者がいる場合の障害年金は専門家への相談が確実です
今回は、配偶者がいる場合の障害年金における「加給年金」について、専門的な視点から詳しく解説しました。加給年金は、障害厚生年金1級・2級の受給者とそのご家族の生活を支える重要な制度ですが、その条件は複雑です。「自分の場合は対象になるのだろうか?」「収入要件がよくわからない」といった不安や疑問を感じる方も少なくないでしょう。そのような時は、一人で悩まずに障害年金の専門家である社会保険労務士にご相談ください。私たち全国対応のHR BrEdge(エイチアールブレッジ)社会保険労務士法人では、個々の状況を丁寧にヒアリングし、加給年金を含めた最適な申請方法をご提案します。書類の準備から提出まで一貫してサポートすることで、あなたの不安を解消し、確実な受給へとつなげます。初回の相談は無料ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。LINEやZoomでのオンライン相談にも対応しております。




