人工関節・人工骨頭で障害厚生年金3級がもらえる?認定される等級と申請の注意点
人工関節・人工骨頭の障害年金認定基準【原則3級の根拠】
人工関節や人工骨頭を身体に挿入置換する手術を受けると、原則として障害厚生年金3級に認定される可能性があります。これは、多くの方が抱く期待であると同時に、正確に理解しておくべき重要なポイントです。なぜなら、この「原則」には根拠があり、それを知ることが適切な申請への第一歩となるからです。
障害厚生年金3級と認定される具体的な状態
日本年金機構が定める障害認定基準には、「一上肢、一下肢又は体幹の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの」が3級に該当するとされています。そして、この基準の中に「人工骨頭又は人工関節をそう入置換したもの」が明記されています。つまり、手術を受けたという事実そのものが、障害等級3級の認定基準に該当すると公式に定められているのです。
- 対象となる部位: 股関節、膝関節、足関節が主ですが、肩関節、肘関節、手関節も対象となります。
- 認定のタイミング: 手術を受けた日が「障害認定日」となるのが一般的です。
ただし、これはあくまで障害の状態に関する基準です。実際に障害年金を受給するためには、後述する「初診日要件」や「保険料納付要件」といった他の条件もすべて満たす必要があります。この点を誤解すると、「手術したのに不支給になった」という事態に繋がりかねません。
出典: [外部リンク: 日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」]
障害厚生年金の受給を阻む3つの落とし穴と対策
「人工関節の手術をすれば必ず障害厚生年金3級がもらえる」と考えていると、思わぬ落とし穴にはまることがあります。ここでは、専門的な視点から、多くの方がつまずきやすい3つのポイントと、その具体的な対策について深く掘り下げて解説します。
落とし穴①:初診日の証明ができないケース
障害年金の申請において、最も重要かつ困難なのが「初診日」の証明です。初診日とは、人工関節を入れる原因となった病気やケガで、初めて医師の診療を受けた日を指します。例えば、変形性股関節症で手術した場合、何十年も前に初めて腰痛で近所の整形外科を受診した日が初診日になる可能性もあります。
対策:
- カルテの開示請求:受診した可能性のあるすべての病院に問い合わせ、カルテが残っているか確認します。
- 第三者証明の取得:カルテがない場合、当時の診察券やお薬手帳、知人の証言などを基に「受診状況等証明書が添付できない申立書」を作成します。
- 専門家の活用:初診日の特定は非常に複雑です。私たち社会保険労務士は、様々な証拠を基に初診日を特定するお手伝いができます。詳細は[内部リンク: 障害年金の初診日証明が難しい場合の対処法]をご覧ください。
落とし穴②:保険料の納付要件を満たしていないケース
初診日が確定したら、次にその前日時点での年金保険料の納付状況が問われます。原則として、以下のいずれかを満たす必要があります。
- 初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間のうち、3分の2以上の期間で保険料が納付または免除されていること。
- 初診日が令和8年3月31日以前にある場合は、初診日のある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がないこと。(特例)
特に長年、国民年金保険料を支払っていなかった期間がある方は注意が必要です。「未納」期間が多いと、この要件を満たせず、申請 자체가できません。
対策:
「ねんきんネット」や年金事務所でご自身の納付記録を正確に確認することが第一歩です。もし要件を満たしていない場合でも、初診日を精査することで加入状況が変わり、要件を満たせる可能性もあります。
落とし穴③:診断書の記載内容が不十分なケース
人工関節の場合、診断書(肢体の障害用)の提出が必要です。手術日や関節の可動域などが記載されますが、特に重要なのが「日常生活における動作の障害の程度」に関する項目です。この記載が実態と異なっていたり、軽度に書かれていたりすると、審査に影響を与える可能性があります。
対策:
医師に診断書を依頼する際は、日常生活でどのような不便があるか(階段の上り下り、長時間の歩行、着替えなど)を具体的にまとめたメモを渡すと効果的です。完成した診断書は、提出前に必ずコピーをもらい、私たちのような専門家と一緒に内容を確認することをお勧めします。不備があれば、医師に追記や修正を依頼できる場合があります。
人工関節・人工骨頭で障害厚生年金3級を確実に受給するための行動ステップ
障害厚生年金の申請は、正しい手順を踏むことで受給の可能性を大きく高めることができます。ここでは、実際に申請を進めるための具体的な4つのステップと、絶対に避けるべき行動について解説します。
[画像挿入提案: ここに障害年金申請の4ステップを図解した画像を挿入。推奨ALTテキスト:「人工関節の障害厚生年金3級を申請するための4つのステップ」]
ステップ1:年金事務所での事前相談と記録確認
まずは最寄りの年金事務所の窓口で相談し、申請に必要な書類一式を受け取りましょう。その際、ご自身の年金加入記録を照会してもらい、「初診日」と「保険料納付要件」について、担当者の見解を確認することが重要です。ここで問題点を早期に発見できれば、対策を立てる時間が確保できます。
ステップ2:初診日を証明する書類(受診状況等証明書)の取得
ステップ1で確認した初診日の医療機関に「受診状況等証明書」の作成を依頼します。初診の病院と診断書を作成する病院が同じ場合は不要です。もし初診の病院が廃院していたり、カルテが破棄されていたりする場合は、前述の「第三者証明」などの代替手段を検討する必要があります。
ステップ3:医師への診断書作成依頼と内容の共同確認
診断書は障害年金の審査において最も重要な書類です。手術を担当した医師に作成を依頼しますが、ただお願いするだけでは不十分です。日常生活での支障を具体的に伝えるメモを渡し、実態に即した内容を記載してもらうよう努めましょう。完成後は必ずコピーを受け取り、記載漏れや事実との相違がないか、専門家を交えてチェックすることが受給への近道です。
ステップ4:病歴・就労状況等申立書の作成
この書類は、発症から現在までの治療経過や就労状況、日常生活の困難さを自分自身の言葉で伝える唯一の書類です。診断書を補完する重要な役割を担います。時系列に沿って、どのような症状で、どんな治療を受け、仕事や生活にどのような支障が出ているかを具体的に、かつ整合性が取れるように記述する必要があります。書き方に不安があれば、[内部リンク: 障害年金申請代行サービスについて]をご参照ください。
やってはいけない行動:不備のある書類を独断で提出すること
最も避けるべきは、書類に不備や矛盾があるかもしれないと不安に感じながらも、「とりあえず出してみよう」と独断で申請してしまうことです。一度不支給決定が下されると、その決定を覆す(審査請求や再審査請求)には多大な労力と時間が必要になります。提出前に専門家のチェックを受けることで、防げる不支給は数多く存在します。焦らず、慎重に準備を進めましょう。
出典: [外部リンク: 厚生労働省「障害年金ガイド」]
まとめ:専門家への相談が障害年金受給への最も確実な近道です
ここまで、人工関節・人工骨頭で障害厚生年金3級を受給するための認定基準や注意点、具体的な申請ステップについて詳しく解説してきました。この記事の要点をまとめます。
- 人工関節・人工骨頭の手術を受ければ、障害の状態としては原則「障害厚生年金3級」に該当します。
- しかし、受給には「初診日要件」と「保険料納付要件」をクリアする必要があります。
- 「初診日の証明」と「診断書の記載内容」、「病歴・就労状況等申立書」が申請の成否を分ける重要な鍵となります。
- 書類に不備がある状態での自己判断による申請は、不支給のリスクを高めるため避けるべきです。
障害年金の制度は非常に複雑であり、ご自身だけで完璧な書類を準備するのは簡単なことではありません。手術後の体調が万全でない中で、煩雑な手続きを進めることは大きな負担となります。そんなときこそ、私たち社会保険労務士をご活用ください。
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