障害年金コラム

障害年金と一人暮らし|誤解を解き、認定率を上げる「生活実態」の伝え方【社労士が徹底解説】

障害年金と一人暮らし|誤解を解き、認定率を上げる「生活実態」の伝え方【社労士が徹底解説】

【この記事の結論】

【結論】一人暮らし(独居)であっても、障害年金を受給することは十分に可能です。

障害年金と一人暮らし|誤解を解き、認定率を上げる「生活実態」の伝え方【社労士が徹底解説】

重要なのは、「一人で生活できている=自立している」と判断されないよう、「周囲の支援があって初めて生活が成り立っている」という実態を証明することです。

具体的なポイント:

  • 「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」には、独居でも2級の可能性があると明記されている
  • 家族からの連絡、訪問、送金などの「見えない支援」を可視化する
  • 医師に「部屋の写真」や「メモ」を見せ、診察室では見えない生活の崩れを伝える
  • 病歴・就労状況等申立書には、「できないこと」や「トラブル」を具体的に書く

※ただし、医師に「一人で大丈夫です」と見栄を張って伝えてしまうと、診断書が軽く書かれてしまい、不支給になるリスクが高まります。専門家と連携して準備を進めることを強くおすすめします。

「一人暮らしをしていると、障害年金はもらえないって本当ですか?」

「医師に『一人暮らしができているなら軽いね』と言われてしまいました…」

「実家を出なければならず、経済的に不安で押しつぶされそうです…」

大阪難波にある当社会保険労務士事務所には、このような切実なご相談が毎日のように寄せられます。精神疾患や知的障害をお持ちの方にとって、「一人暮らし」という事実は、審査において不利になるのではないかという大きな不安要素となっています。

障害年金の審査は書面のみで行われるため、確かに「一人暮らし=生活能力がある」と誤解されやすい側面はあります。しかし、正しい知識と戦略があれば、一人暮らしであっても受給への道は閉ざされていません。実際、当事務所のサポートにより、一人暮らしのうつ病や統合失調症の方でも、数多くの方が2級の認定を勝ち取っています。

本記事では、多くの申請をサポートしてきた経験豊富な社労士が、「一人暮らし」の壁を乗り越え、障害年金を受給するための具体的なテクニックと、審査官や医師に「生活実態」を正しく伝える方法を徹底解説します。

読み終える頃には、「自分も申請できるかもしれない」という希望が見えてくるはずです。記事の最後には無料相談のご案内もありますので、ぜひ最後までお付き合いください。

障害年金「一人暮らし」でも受給は可能?誤解を解く基礎知識

制度上の扱いと「等級判定ガイドライン」

まず断言しますが、法律上「一人暮らしをしているから障害年金は支給しない」という規定は存在しません。しかし、実際の審査現場では、一人暮らしができる=家事や金銭管理などの日常生活能力が高い、と推測される傾向があるのは事実です。

ここで皆さんに知っていただきたいのが、厚生労働省が策定した「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」です。このガイドラインは、審査の公平性を保つための基準であり、ここには明確に以下のように記されています。

独居であっても、日常的に家族等の援助や福祉サービスを受けることによって生活できている場合(現に家族等の援助や福祉サービスを受けていなくても、その必要がある状態の場合も含む)は、それらの支援の状況(または必要性)を踏まえて、2級の可能性を検討する。
(出典:厚生労働省「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」P.7 生活環境より)

つまり、国は「一人暮らしでも、支援が必要な状態なら2級(障害基礎年金なら月額約6万8千円+α)に該当しうる」と認めているのです。

数字で見る「一人暮らし」の受給実態

「でも、実際にはほとんど落とされるのでは?」と不安に思うかもしれません。

公式な統計として「一人暮らしの受給率」というデータは公表されていませんが、全国精神障害者団体連合会の調査などを見ると、精神障害者の約30%が単身生活を送っており、その多くが障害年金を受給しながら生活している実態があります。

当事務所の過去の事例を見ても、一人暮らしで受給決定されたケースは全体の3割近くに上ります。特に、「やむを得ない事情(DV被害や家族との不和)で一人暮らしをしているケース」や、「訪問看護やヘルパーを利用しているケース」では、高い確率で認定されています。

よくある3つの誤解と真実

❌ 誤解1: 一人暮らし=自立とみなされ、必ず3級以下か不支給になる

✅ 正解: 支援の有無や生活の質の低下が証明できれば、2級以上に認定されます。

📌 補足: 「一人で生活できている」のではなく、「食事はカップ麺のみ」「掃除ができずゴミ屋敷状態」「金銭管理ができず滞納がある」といった、ギリギリの状態で生活していることを証明できれば、それは「自立」とはみなされません。

❌ 誤解2: 住民票が一人暮らしだと、実家の支援を受けていても評価されない

✅ 正解: 住民票上の世帯構成よりも、実態が重視されます。

📌 補足: 親が週に数回来て掃除をしている、毎日電話で服薬確認をしているといった「事実」があれば、それは立派な「援助」として評価対象になります。

❌ 誤解3: 医師に「一人暮らし」と伝えたら、診断書は軽く書かれてしまう

✅ 正解: 伝え方次第で、実態に即した重い評価を書いてもらうことは可能です。

📌 補足: 医師は診察室でのあなたしか知りません。診察室で身なりを整え、ハキハキと答えてしまえば軽く書かれますが、家での惨状を写真やメモで伝えれば、医師の認識を変えることができます。

具体的なケーススタディ

【架空事例:Bさん(30代男性・統合失調症)】

Bさんは実家での家族関係が悪化し、逃げるように一人暮らしを開始。しかし、幻聴や妄想のため外出が怖く、買い物は深夜のコンビニのみ。部屋は荒れ放題で、食事は1日1食。

当初、医師は「一人暮らしができている」として診断書の日常生活能力を「自発的にできる」と評価しようとしました。しかし、社労士のアドバイスにより、母親が週1回食材を届けている事実や、部屋の散らかった写真を医師に提示。「援助がなければ生活破綻している」と認められ、無事に障害基礎年金2級が決定しました。

知っておきたい豆知識

実は、障害年金の更新時に一人暮らしを始めると、「症状が改善した」とみなされて等級が下がることがあります。これを防ぐためには、更新の際の診断書や状況報告書で、「なぜ一人暮らしを始めたのか(自立のためではなく、親の介護で実家にいられなくなった等)」や「一人暮らしでの新たな困りごと」を詳細に記載する必要があります。制度の運用は実態重視ですが、こちらから積極的にアピールしないと書類上の形式で判断されてしまうのが「年金審査」の怖いところです。

一人暮らしの障害年金申請|認定率を高める「生活実態」の具体的な伝え方

ここからは、実際に申請を行う際、どのようにすれば「一人暮らしでも支援が必要な状態」であることを審査側に納得させられるか、具体的な8つのアクションを解説します。

【ポイント1】一人暮らしの「理由」を戦略的に言語化する

なぜ重要か: 単に「一人暮らしです」と伝えると、「自立のステップとしての前向きな一人暮らし」と誤解されます。ガイドラインにある通り、審査側は「独居の理由」を重視します。

具体的な方法:

  • 「家族との関係が悪く、同居すると病状が悪化するため、主治医の勧めで別居した」
  • 「親が亡くなり、住む場所がなくて仕方なく一人で住んでいる」
  • 「グループホームが満員で入れなかった」

このように、「消極的・受動的な理由」や「やむを得ない事情」がある場合は、病歴・就労状況等申立書に必ず明記してください。

期待できる効果: 「生活能力があるから一人暮らしをしているわけではない」という前提を審査官に植え付けることができます。

【ポイント2】「見えない支援」を可視化・リスト化する

なぜ重要か: 一人暮らし=誰の助けも借りていない、と思われがちですが、実際は何らかの支えがあるはずです。これを「援助」として認識させることが勝負の分かれ目です。

具体的な方法:

  • 親からの仕送り、家賃補助(通帳のコピーで証明)
  • 毎日・週数回の電話やLINEでの安否確認、服薬確認
  • 週末だけ実家に帰って食事や洗濯をしている事実
  • ネットスーパーや配食サービスの利用履歴

期待できる効果: 「物理的に同居していなくても、多くの支援によって支えられている」ことを客観的に証明できます。

【ポイント3】医師への情報提供は「視覚情報」で行う

なぜ重要か: 精神科医は多忙で、診察時間は数分ということもザラです。口頭で「家事ができません」と言っても、小綺麗な服装で通院していれば「できているじゃないか」と思われます。

具体的な方法:

  • 散らかった部屋(ゴミが溜まっている様子)、大量のカップ麺の空き容器、溜まった郵便物などの写真をスマホで撮って医師に見せる。
  • 「一日の過ごし方メモ」を作成し、「12:00起床、食事なし、一日中布団の中」といったリアルな生活リズムを渡す。

期待できる効果: 医師に衝撃を与え、診断書の「身辺の清潔保持」や「適切な食事」の項目評価を実態に合わせて下げてもらうことができます。

【ポイント4】診断書の「日常生活能力の判定」を徹底マークする

なぜ重要か: 診断書裏面の7項目(食事、清潔、金銭管理など)の評価が等級決定に直結します。一人暮らしの場合、医師が「一人でやっている=できる」と自動的にチェックしがちです。

具体的な方法:

  • 診断書作成依頼時に、7項目それぞれについて「どのような不自由があるか」をまとめた参考資料を渡す。
  • 特に「金銭管理」は、「家賃を滞納したことがある」「衝動買いをしてしまう」など具体的なエピソードを添える。

期待できる効果: 医師が漫然と「できる」に丸をつけるのを防ぎ、「助言や指導があればできる(=援助が必要)」という適切な評価を引き出せます。

※ここまでの手順で不安や疑問がある方は、専門家への相談をおすすめします。ご自身の状況が「援助が必要な状態」と言えるのか、当事務所では初回相談無料で診断いたします。

【ポイント5】インフラの使用状況やレシートを証拠にする

なぜ重要か: 客観的なデータは嘘をつきません。生活の崩れを数字で示せます。

具体的な方法:

  • ガスや水道の使用量が極端に少ない(入浴していない、自炊していない証明)検針票を用意。
  • 毎日の食事がコンビニ弁当やおにぎりだけであることを示すレシートの束。

期待できる効果: 「食事は適当です」「お風呂に入れません」という主張に、強力な説得力を付加します。

【ポイント6】公的サービス・社会資源をフル活用する

なぜ重要か: 訪問看護やヘルパーを利用しているという事実は、「第三者の支援がなければ生活できない」という最強の証明になります。

具体的な方法:

  • まだ利用していない場合、申請前に訪問看護や居宅介護(ヘルパー)の利用を開始する。
  • 自立支援医療や精神障害者保健福祉手帳を取得しておく。

期待できる効果: ガイドラインにある「福祉サービスの利用」という要件を満たすことになり、認定率が格段に上がります。

【ポイント7】病歴・就労状況等申立書で「トラブル」を隠さず書く

なぜ重要か: 申立書は唯一、請求者が自由に書ける書類です。ここで「一人で頑張っています」と書くのは逆効果です。

具体的な方法:

  • 「隣人から騒音で苦情が来た」「ゴミ出しのルールが守れず注意された」「家賃更新の手続きを忘れてトラブルになった」など、一人暮らしゆえに起きた問題点を具体的に記述する。

期待できる効果: 社会生活における適応能力の低さをアピールできます。

【NG】医師や審査官に対して「見栄」を張る

なぜNGか: 多くの人が無意識にやってしまう最大のミスです。「社会人としてちゃんとしなきゃ」という意識から、診察時に無理に元気に振る舞ったり、申立書に「だいたいできています」と書いてしまうと、審査官は書類通りに「軽症」と判断します。

正しい対応: 障害年金の申請においては、ありのままの「できない自分」「困っている自分」をさらけ出すことが正義です。恥ずかしいことではありません。それがあなたの生活を守る権利につながります。

障害年金「一人暮らし」に関するQ&A|見落としがちなポイントと専門家活用術

Q1. 住民票は一人暮らしですが、実際は不安で実家に頻繁に帰っています。問題ありますか?

A. 基本的には問題ありませんが、実態を詳しく説明する必要があります。

住民票上は一人暮らしでも、生活の実態が実家にある(=一人では生活できない)という事実は、むしろ障害の重さを証明する要素になり得ます。

ただし、病歴・就労状況等申立書には「形式上は一人暮らしだが、週の半分以上は実家で生活支援を受けている」と正直に記載してください。隠して後で発覚すると不信感を持たれます。どのような支援をどの程度受けているかを具体的に書くことがポイントです。

Q2. 障害年金を受給中に実家から出て一人暮らしを始めると、年金は止まりますか?

A. 一人暮らしを始めたことだけを理由に、直ちに止まることはありません。

しかし、更新のタイミングで「一人暮らしができるほど回復した」と判断され、等級が下がったり支給停止になるリスクはあります。

これを防ぐには、更新時の診断書で「一人暮らしだが、訪問看護を週2回利用している」「親が毎日通ってきている」といった支援状況を医師に記載してもらうことが不可欠です。一人暮らし=全快ではないことを証明し続ける必要があります。

Q3. うつ病で一人暮らしですが、フルタイムで働いています。受給できますか?

A. かなりハードルは高いですが、不可能ではありません。

「一人暮らし」×「フルタイム就労」の組み合わせは、審査側から見ると「日常生活も社会生活も自立している」と判断される典型例です。受給のためには、職場での特別な配慮(個室での業務、休憩の頻度、業務量の調整など)があることや、帰宅後の生活が完全に破綻している(食事もとらず寝るだけ等)ことを証明する必要があります。

このケースは非常に専門的な立証が必要になるため、自己判断で申請せず、必ず社労士にご相談ください。

Q4. 精神疾患では一人暮らしだと認定されにくいと聞きましたが本当ですか?

A. 一昔前まではそのような傾向がありましたが、現在はガイドラインの整備により改善されています。

以前は「独居=自立」という安易な判断が散見されましたが、現在は「支援の必要性」があれば認定される運用に変わっています。実際、当事務所でも一人暮らしの統合失調症や発達障害の方の受給実績が多数あります。

重要なのは「独居」という事実ではなく、「独居によってどのようなリスクや困難が生じているか」を訴えることです。諦めずに申請を検討してください。

🔔 無料相談のご案内

「一人暮らしだから申請を迷っている」「医師にどう伝えればいいかわからない」という方は、まずはお気軽にご相談ください。

  • 初回相談無料 – 「一人暮らし」での受給可能性を診断します
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まとめ

本記事では、「障害年金と一人暮らし」をテーマに、誤解を解き、認定率を上げるためのポイントを解説しました。

  • 「一人暮らし=不支給」という法的根拠はなく、ガイドラインでも支援があれば2級の可能性があると認められている。
  • 重要なのは、物理的な同居の有無ではなく、「誰かの支援がないと生活が成り立たない」という実態の証明。
  • 医師には、口頭だけでなく「部屋の写真」や「生活メモ」でリアルな惨状を伝えることが必須。
  • 病歴・就労状況等申立書には、一人暮らしの「やむを得ない理由」や「トラブル事例」を具体的に書く。

障害年金の申請は、ただでさえ複雑でエネルギーを使います。ましてや、一人暮らしで病気と闘いながら、自分ひとりで全ての書類を完璧に仕上げるのは至難の業です。また、少しの書き方の違いで審査結果が大きく変わってしまうのも、この制度の怖いところです。

【今日からできること】
まずは、部屋の散らかった状況をスマホで撮影する、親とのLINE履歴を保存するなど、小さな「証拠集め」から始めてみてください。それらが、あなたの生活を守る強力な武器になります。

【専門家サポートの効果】
私たち専門家は、あなたの「言いにくいこと」「隠したいこと」の中にこそ、受給の鍵があることを知っています。当事務所では、一人暮らしの方特有の事情を丁寧にヒアリングし、医師や審査官に響く書類作成をサポートします。

「一人だから」と諦める前に、ぜひ一度私たちに声をかけてください。あなたが安心して暮らせる権利を、一緒に勝ち取りましょう。

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