【社労士が解説】障害年金 双極性障害の認定基準と申請の秘訣|日常生活の困難さを伝える3つのコツ
【この記事の結論】
双極性障害(躁うつ病)は、障害年金の対象となる代表的な傷病の一つであり、適切な手続きを行えば受給できる可能性は十分にあります。

認定の重要なポイント:
- 「うつ状態」だけでなく「躁状態」による社会的不利益も評価される
- 「日常生活能力の判定(7項目)」と「程度(5段階)」が等級決定の鍵
- 就労していても、職場の配慮や勤怠状況によっては受給可能
※ただし、医師に症状が正しく伝わっていないと、実態より軽い等級と判定されるリスクがあります。不安な方は専門家へご相談ください。
「気分の波が激しくて仕事が続かない…」
「躁状態の時に散財してしまい、生活が苦しい…」
「今は調子が良いけれど、またいつ動けなくなるか不安…」
双極性障害(躁うつ病)を抱える方の中には、このような悩みを持つ方が多くいらっしゃいます。しかし、「働いている時期もあるから無理」「元気な時もあるから認定されない」と、ご自身で判断して申請を諦めてしまうケースも少なくありません。
双極性障害は、うつ病とは異なり、著しい気分高揚(躁)と落ち込み(うつ)を繰り返す特性が審査においても考慮されます。実際、厚生労働省のデータでも、精神障害による障害年金受給者は年々増加しており、多くの方が制度を利用して生活の基盤を整えています。
私たち大阪難波の社会保険労務士事務所では、双極性障害の方の申請サポートに力を入れており、数多くの受給実績があります。本記事では、社労士の視点から、双極性障害特有の認定基準や、審査で重視される「日常生活の困難さ」を伝えるための具体的なテクニックを解説します。
双極性障害と障害年金:誤解を解き、認定の可能性を知る
制度の概要と双極性障害の扱い
障害年金は、病気やケガによって生活や仕事などが制限される場合に受け取れる公的な年金制度です。双極性障害(躁うつ病)は、国民年金・厚生年金保険法における「精神の障害」に分類され、症状の程度や日常生活への支障度合いに応じて1級から3級(厚生年金のみ)の等級が決定されます。
双極性障害は、「気分(感情)障害」として扱われ、単に現在の症状だけでなく、長いスパンでの「病状の経過」や「気分の波」による社会生活への影響が審査の対象となります。
精神障害の認定状況と統計データ
厚生労働省の統計によると、障害年金の受給者のうち、精神障害が占める割合は年々増加しており、最も多い割合を占めています。
特に双極性障害は、就労が困難な時期と比較的安定している時期を繰り返すため、継続的な治療が必要な傷病として、認定の対象となりやすい傾向にあります。
よくある3つの誤解
❌ 誤解1: 「今は躁状態で元気だから受給できない」
✅ 正解: 躁状態も評価対象です。
📌 補足:環境要因: 躁状態による浪費、人間関係のトラブル、不眠での活動などは「社会生活上の制限」として評価されます。むしろ、この時期のトラブルが認定の決め手になることもあります。
❌ 誤解2: 「働いていると受給できない」
✅ 正解: 就労の事実だけで不支給にはなりません。
📌 補足: 障害者雇用枠での就労や、一般雇用でも周囲の多大な配慮(短時間勤務、業務軽減など)を受けている場合は、2級や3級に認定される可能性があります。
❌ 誤解3: 「II型(軽躁)だと障害年金はもらえない」
✅ 正解: II型でも症状の程度により受給可能です。
📌 補足: 型に関わらず、うつ状態の長さや深さ、日常生活への支障度が基準を満たせば認定されます。
具体的なケーススタディ
Bさん(30代男性・双極性障害II型)のケース
Bさんは、数ヶ月おきにうつ状態と軽躁状態を繰り返していました。軽躁時は仕事に没頭して成果を上げますが、その後反動で激しいうつ状態になり休職を繰り返していました。「働ける時期がある」ため受給は無理だと思っていましたが、休職の頻度や、就労時の対人トラブル、家族のサポート状況を詳細に申立書に記載した結果、障害厚生年金2級の認定を受けることができました。
等級認定の鍵:双極性障害の障害年金認定基準と審査のポイント
「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」とは
精神疾患の審査では、客観的な数値が出にくいため、「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」という統一基準が用いられます。ここで最も重視されるのが診断書裏面の以下の2項目です。
- 日常生活能力の判定(7項目):食事、清潔保持、金銭管理、対人関係などを4段階で評価
- 日常生活能力の程度(5段階):全体的な生活の支障度を1〜5で評価
この2つの評価を組み合わせた「等級目安表」に基づき、認定医が総合的に判断します。
双極性障害特有の審査ポイント
双極性障害の場合、以下の要素が特に考慮されます。
- 病相の反復と持続:うつ状態と躁状態がどの程度の頻度で繰り返されているか。
- 社会的適応性:躁状態の時の逸脱行動(多弁、浪費、怒りっぽいなど)により、仕事や家庭生活が破綻していないか。
- 予後:治療継続にもかかわらず、症状が改善しない(難治性である)か。
ガイドラインでは、「現在の症状」だけでなく、「症状の経過」や「それによる日常生活活動等の状態」を十分に考慮することと明記されています。
【実践編】双極性障害の「日常生活の困難さ」を効果的に伝える3つの秘訣
【ポイント1】「躁状態」の失敗・トラブルを包み隠さず伝える
なぜ重要か: 双極性障害の審査では、うつ状態で「動けない」ことと同様に、躁状態で「やってしまった」社会的損失も重い障害として扱われます。しかし、患者さん本人は躁状態を「調子が良い」と感じており、医師に伝えていないケースが多々あります。
具体的な方法:・高額な買い物を繰り返した(借金をした)・上司や家族と激しい口論になり人間関係が壊れた・寝ずに動き回り、その後倒れるように寝込んだこれらのエピソードを、「いつ」「何をして」「どうなったか」メモにまとめ、医師に渡してください。
期待できる効果: 医師が「単に元気だった」のではなく「病的体験(躁エピソード)」として認識し、診断書に反映してくれることで、より実態に即した等級判定に繋がります。
【ポイント2】「一人暮らし」を想定して能力を判定してもらう
なぜ重要か: 同居家族がいる場合、食事の用意や掃除などを家族がやってくれているため、「(支援があれば)できる」と判断されがちです。しかし、認定基準は原則として「単身で生活した場合の状態」で判断されます。
具体的な方法:診断書の「日常生活能力の判定」を医師に依頼する際、以下のように伝えます。「今は母が食事を作ってくれますが、一人だったらコンビニ弁当ばかりで栄養が偏り、片付けもできずゴミ屋敷になると思います」「金銭管理は妻に任せており、自分一人だと浪費して家賃が払えなくなります」
期待できる効果: 支援があるから成り立っている現状ではなく、障害そのものによる制限が正しく評価され、等級が上がる可能性があります。
【ポイント3】就労状況の「配慮」と「勤怠」を数値化する
なぜ重要か: 「会社員」という肩書きだけでは、一般の人と同じように働けていると誤解されます。実際には休みがちだったり、業務量を減らしてもらっていたりする場合、その「配慮」こそが障害の証明になります。
具体的な方法:・直近1年間の欠勤日数、遅刻・早退回数を集計する・「本来の業務量より〇割減らしてもらっている」「別室で一人で作業させてもらっている」といった具体的な配慮内容を申立書に記載する・上司や同僚からのサポート状況を具体的に書く
期待できる効果: 形式的には「就労中」であっても、労働能力に著しい制限があると認められ、2級(就労困難な状態)としての認定を受けやすくなります。
⚠️ ここまでのポイントで不安がある方へ
「医師にうまく伝えられる自信がない」「自分のケースがどう評価されるか知りたい」という方は、専門家への相談をおすすめします。当事務所では、診断書作成時の医師への依頼状作成サポートも行っています。
双極性障害の障害年金申請で知っておくべき注意点と不支給を防ぐ方法
【注意点】初診日の特定が難しいケース(転医・病名変更)
なぜ重要か: 双極性障害の方は、最初は「うつ病」と診断され、数年後に躁エピソードが出て「双極性障害」に診断名が変わることがよくあります。この場合、初診日は「うつ病で初めて受診した日」となります。
具体的な対策:
- 過去のお薬手帳や領収書を探しておく
- 転院を繰り返している場合は、「受診状況等証明書」を最初の病院から順に取り寄せる
- 初診の病院が廃院している場合は、2番目の病院のカルテや診察券などで補強する
期待できる効果: 初診日が確定できれば、納付要件の確認ができ、申請の土台が整います。逆にここが曖昧だと、どんなに重症でも却下されます。
【NG行動】医師への遠慮や見栄
なぜNGか: 診察室で「調子はどうですか?」と聞かれ、つい「大丈夫です」「変わりないです」と答えていませんか?短い診療時間では、医師は患者の生活の細部まで把握できません。
正しい対応: 「大丈夫」ではなく、「実は先週、起き上がれない日が3日ありました」「衝動買いで5万円使ってしまいました」と、ネガティブな事実こそ正直に伝えてください。
双極性障害の障害年金に関するQ&A|よくある疑問を専門家が解説
Q1. 働きながらでも障害年金をもらえますか?
A. はい、可能です。
双極性障害を含む精神障害では、就労していることのみをもって不支給にはなりません。「労働能力が制限されているか」がポイントです。
例えば、障害者雇用枠で働いている場合や、一般雇用でも欠勤が多い、単純作業しかできない、周囲の手厚い援助があるといった場合は、2級や3級に認定されるケースが多々あります。
Q2. 遡及請求(過去分の請求)はできますか?
A. はい、条件を満たせば最大5年分遡って受給できます。
障害認定日(初診日から1年6ヶ月後)の時点で障害の状態にあったことが、当時の診断書で証明できれば遡及請求が可能です。
双極性障害の場合、当時のカルテに「躁状態」や「重いうつ状態」の記録が残っているかが鍵となります。認定日当時に受診していなかった場合は難しいケースもあります。
Q3. 医師に診断書を断られたらどうすればいいですか?
A. 諦める前に、断られた理由を確認し、社労士にご相談ください。
医師が「まだ症状が軽い」と思っている場合や、「働いているから無理だ」と制度を誤解している場合があります。
日常生活の状況をまとめた資料を持参して説明し直すか、障害年金に理解のある医師への転院を検討することも一つの方法です。社労士が医師への説明資料を作成することも可能です。
Q4. 双極性障害だと何級になることが多いですか?
A. 症状によりますが、2級または3級が多い傾向にあります。
日常生活に著しい制限があり、労働が困難な場合は2級(国民・厚生年金)、労働に制限がある場合は3級(厚生年金のみ)が目安です。
常に介助が必要な重篤な状態であれば1級の可能性もあります。ご自身がどの等級に該当しそうか知りたい方は、無料診断をご活用ください。
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まとめ
本記事では、双極性障害における障害年金の認定基準と申請のポイントについて解説しました。
- 双極性障害は「躁状態」と「うつ状態」の両方の影響が審査される
- 「日常生活能力」の評価が等級決定の鍵となる
- 「躁状態のトラブル」や「一人暮らし想定での困難さ」を具体的に伝えることが重要
- 就労していても、職場での配慮や制限があれば受給の可能性はある
双極性障害の申請は、ご自身の症状を客観的に見つめ直し、それを正確に書類に落とし込む作業が必要です。これは精神的にも負担が大きく、一人で行うのは容易ではありません。
「自分の症状で通るのだろうか」「複雑な書類を書く元気がない」そう思われた時は、ぜひ専門家の力を頼ってください。障害年金は、あなたが安心して療養し、自分らしい生活を取り戻すための権利です。
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