障害年金コラム

障害年金 不服申し立ての勝率を上げるには?不支給を覆す全手順と成功の秘訣

【この記事の結論】

障害年金の不服申し立て(審査請求)は、不支給などの決定を知った日の翌日から3ヶ月以内に行う必要があります。成功率(容認率)は統計上約10%前後と非常に狭き門ですが、適切な論点整理と新たな医学的証拠を提出することで、決定を覆せる可能性があります。

障害年金 不服申し立ての勝率を上げるには?不支給を覆す全手順と成功の秘訣
  • 期限厳守:審査請求は3ヶ月以内、再審査請求は2ヶ月以内
  • 勝率の壁:単なる「不満」の訴えでは認められない
  • 成功の鍵:不支給理由の正確な分析と、反証となる「客観的な証拠」

※期限を過ぎると権利が消滅します。個別のケースでの勝算については、速やかに専門家へご相談ください。

「まさか不支給になるなんて…」
「診断書にはあんなに詳しく書いてもらったのに、なぜ?」
「通知書にはたった一行しか理由が書かれていない。納得できない」

障害年金の不支給決定通知書を受け取ったとき、多くの方がこのような深いショックと理不尽さを感じます。生活の支えにしようとしていた年金がもらえないという事実は、将来への不安を大きく掻き立てるものです。

障害年金の審査は書面のみで行われるため、あなたの実際の辛さが審査官に十分に伝わっていないケースも少なくありません。しかし、一度決定された結果でも、法的に定められた「不服申し立て」の手続きを行うことで、結果が覆る可能性があります。

私たち大阪難波の社会保険労務士事務所では、年間数百件の障害年金相談に対応しており、一度は不支給となったケースからの逆転受給も多数サポートしてきました。「無理だ」と諦めてしまう前に、まずは制度の仕組みと勝つための戦略を正しく理解することが重要です。

本記事では、障害年金の不服申し立てについて、制度の基本から具体的な申請手順、そしてプロが教える「勝率を上げるための秘訣」までを徹底的に解説します。記事を読み進めることで、あなたが次に取るべきアクションが明確になるはずです。

障害年金不服申し立ての基本|不支給決定後の選択肢と制度の仕組み

不服申し立て(審査請求・再審査請求)とは

障害年金の申請結果(不支給、却下、あるいは予想より低い等級での認定など)に納得がいかない場合、行政に対して「その決定は間違っているのではないか」と再考を求めることができます。これを「不服申し立て」と呼びます。この手続きは、国民年金法および厚生年金保険法、行政不服審査法に基づいて認められた正当な権利です。

不服申し立ては二審制(二段階)になっています。

  1. 審査請求(一審):地方厚生局の「社会保険審査官」に対して行う申し立て。
  2. 再審査請求(二審):審査請求の結果(決定)にも納得できない場合、国の「社会保険審査会」に対して行う申し立て。

絶対に守るべき「提出期限」

不服申し立てには厳格な期限(時効)があります。1日でも遅れると、どんなに正当な理由があっても門前払い(却下)されてしまいます。

  • 審査請求の期限:処分があったことを知った日の翌日から3ヶ月以内
  • 再審査請求の期限:審査請求の決定書の謄本が送付された日の翌日から2か月以内

「処分があったことを知った日」とは、通常、不支給決定通知書が自宅に届いた日を指します。通知書が届いたら、まずはカレンダーに期限を書き込みましょう。

「再請求」というもう一つの選択肢

不服申し立てとは別に、「再請求」という方法もあります。これは、一度出た結果を争うのではなく、改めて新規で申請をやり直す方法です。

不服申し立てが適しているケース:

  • 初診日の認定ミスなど、行政側の明らかな判断ミスがある場合
  • 当時の診断書の内容で十分要件を満たしているはずだと主張したい場合

再請求が適しているケース:

  • 現在の診断書の内容では等級要件を満たすのが難しい場合
  • 障害の状態が悪化しており、最新の状態で審査してほしい場合

どちらを選ぶべきかは、不支給の理由や手持ちの証拠によって判断が分かれます。この判断を誤ると、時間と労力を無駄にしてしまうため、専門家の意見を聞くことが推奨されます。

不支給理由を徹底解剖|通知書から見るあなたのケースの問題点

通知書の「理由」だけでは不十分?

手元に届いた「国民年金・厚生年金保険支給しない理由のお知らせ(不支給決定通知書)」を見てみてください。「障害等級に該当する程度ではないため」といった、非常に簡潔な定型文が書かれていることが多いのではないでしょうか。

実は、この通知書の文面だけでは、具体的に「診断書のどの記述がマイナス評価されたのか」「何が不足していたのか」までは分かりません。敵を知らずして戦うことは不可能です。

【プロの裏技】保有個人情報開示請求を活用する

詳細な不支給理由を知るために、私たちは必ず「保有個人情報開示請求」を行います。これは、年金機構が審査の過程で作成した「障害状態認定調書」などの内部資料を取り寄せる手続きです。

開示された資料には、認定医が診断書のどの項目を重視したか、どの記述に疑義を持ったかなどが詳細に記されています。例えば、「一人暮らしができているため、日常生活能力はあると判断した」「就労していることから、労働能力の喪失は認められない」といった具体的な審査官のコメントを確認できます。

これを確認して初めて、具体的な反論(反証)の戦略を立てることができます。

よくある不支給パターン3選

❌ パターン1:等級非該当(障害が軽いと判断された)

最も多い理由です。診断書の数値や日常生活能力の判定が、認定基準のボーダーラインに達していないケースです。特に精神疾患の場合、医師が患者の訴えよりも軽く評価してしまっていることが多々あります。

❌ パターン2:初診日が認められない

「提出された資料からは初診日を確認できない」という理由です。古いカルテが破棄されている場合や、転院が多く証明書類の整合性が取れない場合に発生します。

❌ パターン3:納付要件の不備

初診日の前日において、年金保険料の納付要件を満たしていないケースです。これは基本的に覆すのが最も難しい理由ですが、初診日をずらすことができる(別の医療機関が真の初診日だった)場合は逆転の余地があります。

不服申し立ての具体的な進め方|審査請求・再審査請求の全ステップ

STEP 1:審査請求書の入手と作成

まず、管轄の地方厚生局へ連絡し、「審査請求書」を取り寄せます(厚生労働省のウェブサイトからダウンロードも可能です)。

請求書には「審査請求の趣旨」と「理由」を記載します。ここで重要なのは、感情論ではなく、法律や認定基準に基づいた論理的な主張を展開することです。「生活が苦しいから支給してほしい」といった理由は、残念ながら一切考慮されません。

STEP 2:証拠書類の準備(ここが最重要)

主張を裏付けるための証拠を揃えます。

例えば、「日常生活に支障がないと判断された」ことへの反論であれば、家族や職場の上司による「日常生活の困難さを証明する陳述書」や、就労支援事業所の記録などが有効です。医師に「意見書」を依頼し、診断書の記載内容の真意(実はもっと重い状態であること)を補足してもらうこともあります。

STEP 3:提出と審理

書類を管轄の社会保険審査官へ提出します。その後、審査官による審理が行われます。審理の結果が出るまでには、数ヶ月から半年程度かかるのが一般的です。

STEP 4:決定通知の受領と次の手

「決定書」が届きます。

  • 容認:こちらの主張が認められ、支給決定へと変更されます(逆転成功)。
  • 棄却:こちらの主張が認められず、不支給のままとなります。
  • 却下:期限切れなどで審査自体が行われません。

棄却された場合で、なお不服がある場合は、決定書の謄本が届いた翌日から2ヶ月以内に、東京の「社会保険審査会」へ再審査請求を行います。

不服申し立ての勝率は?成功率を高めるための証拠と戦略

厳しい現実:容認率は約10%

厚生労働省が公表しているデータによると、再審査請求における容認率は非常に低い水準で推移しています。

例えば、令和4年度の社会保険審査会(再審査請求)のデータを見ると、総件数1,651件に対し、容認(請求通りの決定)は73件、原処分変更(審査中に国が自ら決定を変えたもの)が79件でした。これらを合わせても、勝率は約9.2%程度です。

つまり、10人が申し立てても、認められるのは1人いるかいないかという厳しい世界です。単に「もう一度見てほしい」と言うだけでは、結果は変わりません。

勝率を上げるための3つの戦略

【戦略1】論点を一点突破に絞る

あれもこれもと不満を並べるのではなく、「この認定基準の、この項目における判断が誤っている」と、争うポイントを明確にします。例えば、「診断書の『食事』の項目は『自発的にできる』となっているが、実際は家族の配膳と促しが必要であり、これは認定基準の解釈として誤りである」といった具合です。

【戦略2】新たな「客観的証拠」を出す

審査官は書面実務のプロですが、医療の専門家ではありません。そのため、最初の診断書だけでは伝わりきらなかった事実を、別の角度から証明する必要があります。

  • 医師の意見書:診断書の記載と実態の乖離を埋めるための補足説明。
  • 第三者証明:民生委員やケースワーカーなど、利害関係のない第三者からの状況報告。
  • 就労状況申立書:職場での配慮事項(短時間勤務、単純作業への配置転換など)を具体的に記したもの。

【戦略3】公開審理での口頭意見陳述

再審査請求では、東京で行われる「公開審理」に参加し、審査員の前で直接意見を述べることができます(オンライン参加も可能)。書面だけでは伝わらない切実な状況や、矛盾点を直接訴えることで、審査員の心証を変えられる可能性があります。

不服申し立ては社労士に相談すべき?専門家活用のメリット・デメリット

自分で行うのはなぜ難しいのか

不服申し立ては、医学的な知識と法的な知識の両方が求められる高度な手続きです。「なぜ行政の判断が誤りなのか」を、法律の条文や過去の裁決例(判例のようなもの)を引用しながら論証しなければなりません。これを一般の方が独力で行うのは極めてハードルが高いのが現実です。

社労士に依頼するメリット

  • 論点の構築:開示請求資料を分析し、「どこを攻めれば勝てるか」という戦略を立ててくれます。
  • 医師との連携:医師に対して、「どのような意見書が必要か」を専門的な観点から依頼し、有効な証拠を引き出します。
  • 精神的負担の軽減:複雑な書類作成や役所とのやり取りをすべて任せられるため、治療に専念できます。

デメリットと費用感

デメリットは費用がかかることです。一般的に、着手金(数万円〜)と、成功した場合の報酬(年金受給額の2〜3ヶ月分程度)が必要です。

しかし、自分で行って棄却されれば受給額は0円ですが、プロに依頼して受給できれば、手数料を差し引いても手元に残る金額は数百万円単位になります。勝率約10%という狭き門を突破するためには、必要経費と捉えることもできるでしょう。

不服申し立てでよくある質問|不安を解消するQ&A

Q1. 不支給決定から3ヶ月以上経ってしまいました。もう何もできませんか?

A. 残念ながら、その決定に対する審査請求はできません。

ただし、「再請求(一から申請し直す)」ことはいつでも可能です。現在の症状に基づいて新しい診断書を取り直し、再チャレンジすることで受給できる可能性は十分にあります。期限を過ぎてしまった場合は、すぐに再請求の準備に切り替えましょう。

Q2. 審査請求をすると、必ず医師に新しい診断書を書いてもらう必要がありますか?

A. 必須ではありませんが、あった方が有利です。

同じ診断書を「もう一度見てください」と言うだけでは結果が変わらないことが多いためです。ただし、当時の状態を証明する必要があるため、医師が当時のカルテに基づいて内容を修正・補足してくれる場合に限ります。現在(事後)の状態を書いた新しい診断書は、審査請求の証拠としては採用されにくい傾向があります(その場合は再請求の方が適しています)。

Q3. 社労士に頼むと費用はどれくらいかかりますか?

A. 事務所によりますが、成功報酬制が一般的です。

審査請求からの依頼の場合、着手金が3万〜5万円程度、成功報酬が「年金の2〜3ヶ月分」または「初回振込額の10〜15%」程度に設定されていることが多いです。受給できなかった場合は報酬が発生しない(着手金のみ、あるいは完全無料)事務所もありますので、事前に確認することをおすすめします。

Q4. 不服申し立てをしている間、年金の審査結果が出るまでどれくらいかかりますか?

A. かなりの長期戦を覚悟する必要があります。

審査請求(一審)で早くて3〜4ヶ月、遅いと半年以上かかります。そこから再審査請求(二審)に進むと、さらに6ヶ月〜1年近くかかることもあります。結果が出るまでの生活費の確保も重要な課題となります。

Q. 精神疾患で「日常生活能力あり」とされ不支給になりました。覆せますか?

A. 可能性はあります。

一人暮らしをしている場合などに機械的に「能力あり」と判断されることがありますが、実際には家族の頻繁な訪問や支援で成り立っているケースが多くあります。家族のサポート状況や、食事・入浴の実態(週に数回しか入れない等)を具体的に示した陳述書を提出することで、実態に合わせて判定が覆る事例があります。

🔔 不支給決定でお困りの方へ無料相談のご案内

「納得できない決定通知が届いた」「次に何をすればいいかわからない」という方は、一人で抱え込まずにご相談ください。

  • 初回相談無料 – あなたのケースで「勝てる見込み」があるか診断します
  • 全国対応・オンラインOK – 遠方の方もZoomや電話でサポート可能
  • 完全成功報酬制 – 受給できなければ報酬はいただきません
  • 逆転受給の実績多数 – 諦めかけた案件を数多く受給に導いています

📞 お問い合わせはこちら
【無料相談フォームへ進む】
※不服申し立てには期限があります。お早めにご連絡ください。

まとめ

本記事では、障害年金の不服申し立てについて解説しました。

  • 期限は絶対:審査請求は3ヶ月以内、再審査請求は2ヶ月以内に行う。
  • 理由を知る:通知書だけでなく、開示請求で詳細な不支給理由を確認する。
  • 証拠が命:感情論ではなく、新たな医学的証拠や第三者の証言で論理的に反論する。
  • プロの活用:勝率約10%の壁を越えるには、社労士の戦略的サポートが有効。

不支給の通知を受け取ったときの絶望感は、言葉にできないほど重いものです。しかし、それは必ずしも「終わり」を意味しません。行政の判断が常に正しいとは限らず、適切な手順で事実を証明すれば、決定は覆ります。

【今日からできること】
まずは、お手元の不支給決定通知書の日付を確認してください。期限内であれば、まだ戦えます。もし期限が過ぎていても、再請求の道があります。

障害年金は、あなたの生活と権利を守るための大切な制度です。「自分ひとりでは難しい」と感じたら、私たち専門家を頼ってください。一緒に、納得のいく結果を目指しましょう。

ご不明点やご相談がありましたら、いつでもお気軽にお問い合わせください。
→ 【無料相談はこちら】[リンク]

【障害年金のお問い合わせ・うつ病?発達障害?もしかして私も?と思った方はコチラ】

WEB・LINEにて【全国対応可能】
障害年金申請無料相談
社会保険労務士法人 渡辺事務所

close

Contact

お気軽にご相談
お問い合わせください。

0120-386-366

フォームでのお問い合わせ

無料相談
無料相談

お電話、フォーム、LINEにてお気軽にご相談・お問い合わせください。

電話受付時間:9:00~18:00(土日祝日は応相談)メール受付時間:24時間365日