「なぜ自分だけもらえないの?」障害年金が不支給になる人の共通点と対策
「自分より軽そうな人はもらえてるのに、なぜ私は障害年金がもらえないの?」「しっかり書類も出したのに、不支給通知が届いてショックだった」「どこがダメだったのかすら教えてもらえない…」——障害年金の申請で不支給になった方の多くが、こうした疑問や悩みを抱えています。
障害年金は、病気や障害で日常生活や就労に困難がある人の生活を支える大切な制度です。しかし実際には、「本当に困っている人」が受給できず、「自分より軽いように見える人」が通っているように感じることもあります。
その差は何なのか?そこには“不支給になる人に共通する傾向”や“制度の誤解”“申請上の見落とし”が関係している可能性があります。
この記事では、「障害年金をもらえない人の特徴」と「そこからどう抜け出すかの対策」について、制度の仕組みと実例をもとに解説していきます。不支給通知を受け取って落ち込んでいる方、初めての申請を考えている方も、ぜひ参考にしてください。
障害年金がもらえない人に共通する5つの特徴とは?
障害年金の申請が通らない理由は一人ひとり異なりますが、実際の相談現場では「もらえない人」に共通する傾向がいくつか見られます。その代表的な5つのポイントを紹介します。
1. 診断書の内容が実態と合っていない
もっとも多いのが、医師が書いた診断書が「軽く見える」こと。障害年金の審査では、診断書が最重要書類です。しかし、本人が感じている困難さが医師に正しく伝わっておらず、「就労可能」「日常生活はおおむね自立」などと記載されてしまうと、審査では「軽度」と判断されてしまいます。
2. 申立書が抽象的・簡潔すぎる
「困っています」「しんどいです」だけでは説得力に欠けます。障害年金では、日常生活でどのような困難があるのかを、食事・トイレ・着替え・外出・金銭管理などの具体的な場面で詳細に記述する必要があります。
3. 働いている内容を正しく申告していない
「働いていない」と申告したのに、実際はパート勤務していた、内職していたなどの事実があると、不支給になるリスクが高まります。年金機構はマイナンバー等で就労状況を把握しており、嘘や曖昧な情報は逆効果になることがあります。
4. 初診日や保険料の納付要件でつまずいている
障害年金は、「初診日がいつか」「その時点でどの保険に入っていたか」も重要なポイントです。また、初診日の前日において、保険料の納付要件(直近1年間未納なしなど)を満たしていなければ申請できません。ここでつまずいている人も少なくありません。
5. 障害等級の基準に該当しない
障害年金には厳密な「等級判定基準」があります。たとえば、うつ病の場合、2級なら「日常生活に常時援助が必要」といった条件を満たさなければなりません。本人の「大変さ」と制度上の「基準」にズレがあると、認定されないことがあります。
障害年金をもらうために見直すべき8つのアクション
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1. 主治医に生活実態を丁寧に伝える
医師に「どれだけ生活に支障が出ているか」を正確に伝えることで、診断書の内容が現実に近づきます。医師は普段の診察時間だけでは生活の詳細を把握しにくいため、メモや日誌などを活用して情報提供しましょう。 -
2. 申立書を詳細に書き直す
生活のどこに支障があるのかを、「朝起きる」「食事を作る」「通院に出かける」など1日の行動単位で書き出していくと、審査側に実態が伝わりやすくなります。 -
3. 就労状況を正直に申告する
少しでも働いている場合は、その仕事内容・勤務時間・職場の配慮なども含めて詳細に伝えましょう。短時間勤務や支援付きの就労は、必ずしも不利になるわけではありません。 -
4. 初診日の証明書類を見直す
初診日が曖昧だと、そもそも審査に入れない場合があります。カルテ、紹介状、診察券などから証明可能な資料を探し、医療機関に再確認しましょう。 -
5. 保険料の納付履歴を年金事務所で確認
納付要件を満たしていないと申請できません。自分の納付履歴は「ねんきんネット」や年金事務所で確認できるので、早めにチェックしておきましょう。 -
6. 症状の記録を日誌にまとめる
精神疾患や慢性疾患の場合、日によって症状が異なることがあります。悪化した日や支障のある出来事をメモすることで、生活上の困難さを証明できます。 -
7. 支援者の意見書を添える
家族やケアマネージャー、福祉関係者などからの第三者の意見書を添付すると、客観性が増します。実際の援助内容を具体的に書いてもらいましょう。 -
8. 社労士に相談して申請をやり直す
不支給になった後でも、再申請や審査請求が可能です。専門知識を持つ社会保険労務士に相談すれば、申請の方向性を見直し、受給につなげられる可能性が高まります。
Q&A|障害年金がもらえなかったときの「なぜ?」に答えます
Q. 障害があるのに、なぜ年金がもらえなかったの?
A. 障害の「つらさ」や「深刻さ」と、制度上の「等級基準」は必ずしも一致しません。重要なのは、診断書や申立書で“制度が求めるレベルの支障”を具体的に示せたかどうかです。
Q. 働いてるから不支給になったの?
A. 働いていること自体が即不支給にはつながりません。ただし、診断書に「就労可能」とだけ記載され、支援や制限の実態が書かれていないと、軽度と判断されることがあります。
Q. 一度落ちたら、もう申請できないの?
A. 再申請や審査請求、再審査請求が可能です。病状が悪化した場合や、前回の不備を修正できる場合は、受給の可能性が高まります。諦めずに対策を。
Q. 「他の人がもらえてるのに、なぜ自分だけ」は本当?
A. 状態が似ていても、提出書類の内容、医師の診断書の表現、申立書の精度によって結果は変わります。比べるのではなく、自分の申請内容を見直すことが大切です。
まとめ|「もらえない」には理由がある。諦めず、次の一歩を
障害年金が「もらえない」と感じるとき、そこには制度上の理由や申請の準備不足が隠れていることが多くあります。診断書や申立書の内容、初診日の証明、保険料の納付状況——これらを見直すことで、結果が変わる可能性も十分にあります。
「不支給=永遠に無理」ではありません。再申請や審査請求、等級変更など、次の選択肢はあります。まずは自分の状況を整理し、必要であれば社労士のサポートを受けながら、再チャレンジしてみましょう。あなたの生活を支える制度を、諦めずに活用してください。