「ペースメーカーでも障害年金はもらえない?」本当の理由と対処法
「心臓にペースメーカーを入れてるけど、障害年金はもらえないって本当?」「手術したのに、生活は楽じゃない…」「一度申請したけど不支給。やっぱり対象外なの?」——こんな不安や疑問を感じたことはありませんか?
ペースメーカーを装着している方の多くは、心臓の電気信号に異常があるなどの重大な疾患を抱えています。にもかかわらず、「障害年金がもらえない」と聞いて、驚きと不安を抱く人は少なくありません。
実は、ペースメーカー装着だけでは障害年金の支給要件を満たさない場合もありますが、それは「絶対にもらえない」という意味ではありません。障害年金の審査では、機械の装着よりも「どれだけ日常生活に支障が出ているか」が重要な判断材料になります。
本記事では、「ペースメーカー装着=障害年金はもらえない?」という誤解を解消しつつ、制度の判断基準や実際の支給事例、もらうための対策・ポイントを詳しく解説します。申請を諦める前に、ぜひ最後までご覧ください。
ペースメーカーでも障害年金が「もらえない」と言われる理由とは?
障害年金の支給は、厚生労働省の定める「障害認定基準」によって決まります。ペースメーカーを装着している方の場合、その基準が「心臓疾患による障害」に該当するかどうかがカギとなります。
結論から言えば、ペースメーカーを装着している=自動的に障害年金が支給される、というわけではありません。
なぜなら、ペースメーカーを装着した後に日常生活や就労がほとんど支障なく送れると判断された場合、「障害」とはみなされないからです。
実際の認定基準では、「ペースメーカーを装着している」だけでなく、以下のような条件に該当する必要があります。
- 装着後も安静が必要、または身体活動に制限がある
- 労働や日常生活に大きな制限を伴う
- 心不全や不整脈などの重度な症状が継続している
つまり、ポイントは「どの程度の生活障害があるか」です。たとえば、階段の昇降や買い物など、日常的な活動に制限があり、継続的に通院が必要である場合は、障害年金の支給対象となる可能性があります。
逆に、ペースメーカーによって心拍が安定し、通常の生活や軽作業に支障がないと見なされると、「装着している」ことだけでは2級や3級に該当しないのです。これが「もらえない」と言われる最大の理由です。
実際の判定基準:何級になるかは状態次第
日本年金機構のガイドラインでは、ペースメーカーの装着者に対して以下のような基準が設けられています。
- 3級相当:ペースメーカー装着後、日常生活に軽度の支障が残る
- 2級相当:心不全や不整脈が重度で、就労や日常生活が著しく制限されている
- 対象外:ペースメーカーにより症状が安定し、社会生活に問題がない
つまり、重要なのは「現在の症状の程度と生活への影響」。単にペースメーカーを装着した事実だけでなく、術後の状態やその後の生活状況が判断材料になるのです。
制度の裏話:ペースメーカーの“技術進化”が影響?
実は、ペースメーカーの技術進歩によって、術後の生活が大きく改善する人が増えています。これにより、年金機構では「ペースメーカー=即支給」ではなく、より慎重に生活制限の有無を審査するようになっています。
そのため、「昔はもらえたのに今はダメだった」という事例も見られます。
ペースメーカー装着でも障害年金をもらうための8つの具体的対策
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1. 体調や生活制限を日誌で記録する
装着後の状態が安定しているかに関係なく、「どんな時に息切れするか」「どんな動作が制限されているか」を毎日記録しましょう。これは診断書の補足資料として使えます。 -
2. 医師に日常生活の制限を詳しく伝える
診断書には「生活への影響」が大きく反映されます。「階段の昇降がつらい」「人混みが怖くて外出できない」など具体的に伝えましょう。 -
3. 処方薬と通院記録をまとめておく
継続して投薬・通院している場合、それは「安定していない証拠」にもなります。診療明細や処方記録を保管しておきましょう。 -
4. 術後の後遺症や自覚症状を整理する
胸部の違和感・倦怠感・動悸・不安感などが残っている場合は、それも立派な障害の要素です。医師に伝え、申立書にも記載しましょう。 -
5. 家族の証言・支援実態を用意する
自分では申請が難しい場合や、症状の説明が不十分になりがちなときは、同居家族の証言や援助の事実(買い物代行・送迎など)も資料にしましょう。 -
6. 主治医に年金用の診断書を依頼する際は書式を確認
医師に依頼する診断書は、障害年金用の様式(様式第120号)でなければいけません。「障害の状態」「症状の安定性」「生活への影響」が反映されるよう相談しましょう。 -
7. 日常生活の困難を具体例で伝える
「外出は週1回、1人では困難」「風呂に入ると動悸がして休む」など、生活上の支障を“数字”や“頻度”で示すと説得力が上がります。 -
8. 社会保険労務士に相談する
専門家なら、症状や生活状況から「どの等級が見込めるか」「どう書類を整えるべきか」を助言してくれます。初回の相談は無料の事務所も多いです。
Q&A|ペースメーカーと障害年金の“よくある誤解”に答えます
Q. ペースメーカー装着者は必ず障害年金がもらえるの?
A. いいえ。装着だけでは支給されません。日常生活への支障の程度、症状の継続性、通院状況などの総合判断で決まります。
Q. 医師が「普通に生活できる」と言ったら不支給?
A. 可能性はあります。だからこそ、本人が感じている生活上の困難を具体的に医師に伝える必要があります。「家事ができない」「すぐに疲れる」など、実情を共有しましょう。
Q. 手術が成功しても、年金は出るの?
A. 術後に症状が残り、生活に支障があるなら出る可能性はあります。成功=完全回復ではないため、「その後の生活」が審査の焦点です。
Q. 以前はもらえたのに、今はもらえないのはなぜ?
A. 技術進歩により「ペースメーカー=重度障害」という認識が薄れ、審査基準がより厳格・個別化されたためです。今は“状態の詳細”が重視されます。
まとめ|「もらえない」と決めつけず、まずは現状の確認から
ペースメーカーを装着しているだけで、障害年金が必ずもらえるわけではありませんが、逆に「もらえない」と決めつけるのも早計です。重要なのは、「装着後の生活にどれだけ支障があるか」。
症状が続いていたり、日常生活・就労に制限があるなら、支給対象になる可能性があります。正確な記録・適切な診断書・具体的な申立書が、その判断を大きく左右します。
まずは自分の状態を整理し、専門家に相談しながら、諦めずに行動してみましょう。本来もらえるはずの支援を、取りこぼさないために。