【ICD-10で分類される知的障害とは?】診断基準と障害年金申請での重要ポイントを徹底解説
「知的障害」と「ICD-10」の関係がわからないあなたへ
「知的障害って医学的にはどう分類されているの?」「ICD-10って聞いたことはあるけど、どう関係してるの?」「障害年金の申請にICD-10って関係あるの?」
知的障害に関する情報を調べる中で、「ICD-10(国際疾病分類)」という言葉に出会い、疑問を持つ方は少なくありません。
ICD-10は、世界保健機関(WHO)が定めた診断分類の国際基準であり、日本の医療現場や公的制度においても広く使われています。
障害年金の申請や支援制度の対象判断にも、この分類が大きく関わってくるため、正しく理解しておくことがとても重要です。
この記事では、知的障害がICD-10でどう分類されているか、等級の考え方や診断基準、障害年金との関係について、制度の背景や具体例とともにわかりやすく解説します。
「医学的な根拠」と「実際の生活上の支援」のつながりを知ることで、より安心して制度を活用できるようになります。
知的障害とICD-10:分類と診断基準の基礎知識
ICD-10とは?
ICD(International Classification of Diseases)は、WHO(世界保健機関)が定める国際的な疾病分類です。
「ICD-10」はその第10版で、日本の医療機関や行政文書、障害年金の診断書にも使用されています。
2025年以降は「ICD-11」が段階的に導入予定ですが、現在はまだICD-10が主流です。
ICD-10における知的障害の分類
ICD-10では、知的障害は「F70〜F79」のコードで分類されています。
各コードは以下の通りです:
- F70: 軽度の知的障害(IQ 約50〜69)
- F71: 中等度の知的障害(IQ 約35〜49)
- F72: 重度の知的障害(IQ 約20〜34)
- F73: 最重度の知的障害(IQ 約20未満)
- F78: その他の知的障害(評価不能など)
- F79: 詳細不明の知的障害(未分類)
IQの値に加え、「社会適応能力(対人関係・コミュニケーション・日常生活)」の評価も重要視されます。
知的障害の診断に必要な評価項目
- IQ検査(ウェクスラー式など)
- 発達検査(田中ビネー式など)
- 日常生活能力(食事・清潔保持・金銭管理など)
- コミュニケーション能力
- 社会的自立度(支援の要否)
診断書に記載されるICDコードの意味
障害年金の診断書では、「傷病名+ICDコード」の記載が求められます。
例:F71 中等度知的障害
この記載があることで、審査官は障害の種類と程度を医学的に判断することができます。
Fコードの重要性:等級認定にも影響
診断書のFコードと生活能力の評価が一致しているかどうかは、障害年金の等級決定に大きな影響を与えます。
F70(軽度)でも日常生活能力が著しく低ければ2級の認定もあり得ます。
ICD-10の知識を活かして年金申請するための8つのステップ
-
1. 診断書にICDコードが正しく記載されているか確認
理由: 審査で使用される正式な分類が記載されていることが前提だから。
方法: 診断書の「傷病名」欄に「F70〜F79」の表記があるか確認。
効果: 診断内容の明確化により、審査がスムーズに進む。 -
2. IQ値と日常生活能力の両面で記録を残す
理由: IQだけでなく、生活面の支障が等級判定に重要だから。
方法: 支援が必要な生活の様子をメモ、動画、写真で記録。
効果: 医師への情報提供や申立書作成時に役立つ。 -
3. 発達検査の結果を最新版に更新
理由: 古い検査結果では審査で不利になる場合がある。
方法: 主治医または支援機関に再検査の相談をする。
効果: 最新の知的水準を基に正確な診断がされる。 -
4. 家族や支援者の意見も反映する
理由: 第三者の客観的な評価が説得力を増す。
方法: 通所施設職員や家族による生活状況メモを提出。
効果: 一人では生活できない実態を補強できる。 -
5. 医師に就労・通所状況を正確に伝える
理由: 診断書の「就労の可否」欄が等級に大きく影響。
方法: 現在の活動(A型通所・就労移行・自宅療養など)をメモにして伝える。
効果: 一貫した内容の診断書・申立書が作成できる。 -
6. 病歴・就労状況等申立書に生活の困難さを丁寧に記載
理由: 診断書で表しきれない“実際の生活”を伝えるため。
方法: 「一人で外出できない」「金銭管理ができない」など具体的に書く。
効果: 生活支障の深刻さが正しく評価される。 -
7. 「どの程度の支援が必要か」を明示する
理由: 等級認定の基準は“自立度”と“支援の必要性”だから。
方法: 「毎朝の声かけが必要」「入浴は付き添いあり」など支援内容を記述。
効果: 単なる知的遅れではなく、生活障害として認識されやすくなる。 -
8. 社労士や支援機関と連携して書類を確認
理由: 専門家によるチェックで漏れや不整合を防ぐため。
方法: 社労士事務所での無料相談、地域生活支援センターへの依頼。
効果: 不支給のリスクが大幅に下がり、安心して申請できる。
よくある疑問に答えます【Q&A】
Q. ICD-10のコードで障害年金の等級が決まるの?
A. コードそのものではなく、「障害の程度と生活への影響」が重要です。ただし、ICD-10コードは医学的な根拠として審査上重要な要素になります。
Q. IQが高めでも知的障害として認定される?
A. 可能性はあります。IQが70以上でも、社会的適応力に大きな困難があれば、発達障害や軽度知的障害と診断され、障害年金の対象になることもあります。
Q. ICD-11に変わると支給基準は変わるの?
A. 現時点ではICD-10が主流であり、制度上の大きな変更は未定です。ただし将来的には診断名や基準に影響が出る可能性があるため、情報に注意しておきましょう。
Q. Fコードがない診断書は不備になる?
A. 基本的には必要です。障害年金の診断書にはICDコードを記載する欄がありますので、主治医に確認し、必ず記載してもらいましょう。
まとめ:知的障害とICD-10の理解が、申請成功のカギになる
ICD-10の分類は、知的障害の診断だけでなく、障害年金の審査にも大きく関わる重要な情報です。
この記事では、ICDコードの分類、診断書との関係、生活支援の必要性をどのように伝えるかを具体的に解説しました。
「診断名を知る」だけでなく、「実際の生活への影響」を正しく伝えることで、申請の成功率は格段に上がります。
まずは、主治医や支援者と協力し、自分の状態を正確に把握することから始めましょう。