【本当に受給できる?】精神障害でも働きながら障害年金をもらう方法と注意点
精神障害で働いていると障害年金はもらえない?
「精神障害で障害年金を申請したいけど、働いているから無理かも…」
「体調は安定してないけど、生活のために働いている」
「主治医に“働いているなら厳しいかも”と言われた…」
こんな悩みや不安を抱えている方は少なくありません。
精神障害を抱えながらも、生活のために無理して働いている方はたくさんいます。しかし、「就労している=障害年金はもらえない」という誤解が、申請そのものをあきらめさせてしまう大きな要因となっています。
この記事では、精神障害のある方が“働きながらでも障害年金を受給できる理由”や“受給するために押さえておくべきポイント”、具体的な書類の書き方や注意点について、専門家の視点からわかりやすく解説します。
働いているからと諦める前に、ぜひ最後まで読んでみてください。
精神障害と就労:それでも障害年金は受け取れる理由
精神障害がある方にとって、「働けているかどうか」は、日々の体調や職場の理解、個人の努力に大きく左右されるものです。障害年金の審査では、“働いていること”そのものよりも、“障害による日常生活や労働への制限”が重要視されます。
なぜ「働いている=対象外」と思われがちなのか?
これは主に2つの要因があります。
① 制度の仕組みが一般には理解されていないこと
② 主治医や役所の一部職員が「就労=不支給」と誤解しているケースがあること
実際には、「配慮付きの就労」や「短時間・補助的な仕事」をしていても、受給できるケースは多数あります。
精神障害者の就労と障害年金の関係
令和5年度の厚生労働省の資料によれば、精神障害で障害年金を受給している人の約30%は、何らかの形で働いています。
この数字からも、働きながら障害年金を受け取ることが可能であることがわかります。
等級ごとの受給可能性
- 2級: 一般企業でのフルタイム勤務は厳しいが、障害者雇用や短時間勤務なら対象となることも。
- 3級: 働けていても、業務の制限や職場配慮が必要であれば対象になる可能性あり。
よくある誤解とその裏側
・「仕事をしてる=生活に支障なし」→ 実際は無理して働いている人が多い
・「主治医が反対するから無理」→ 医師の意見書を補強すれば申請可能
・「周囲に隠しているから申請しづらい」→ 年金は職場に知られずに受給可能です
Aさんのケース:精神障害2級・就労中で受給に成功
うつ病で障害年金2級を申請したAさん(30代・女性)は、週3日、障害者枠でデータ入力の仕事をしていました。
申請時、「職場での配慮内容(静かな部屋での勤務、無理のない業務)」「帰宅後は疲弊して何もできない状況」「服薬の副作用で午前中は頭が働かない」といった就労への影響を具体的に記載。
主治医にも実情を共有したことで診断書と申立書の整合性が取れ、無事に受給が認められました。
働きながら障害年金を申請するための8つの実践ステップ
精神障害で就労中の方が、障害年金の審査を通過するために実践すべきアクションを具体的に紹介します。
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1. 仕事内容と働き方を具体的に整理する
理由: 審査官に実態を正確に伝えるため。
方法: 「週3日、1日4時間」「座り作業のみ」「職場での配慮あり」など事実を箇条書きで整理。
効果: 曖昧な印象を与えず、審査で有利になります。 -
2. 就労による体調変化を記録する
理由: “働けていても健康とは言えない”ことを示せる。
方法: 「出勤日翌日は寝込む」「集中力が続かずミスが増える」など日記形式で記録。
効果: 就労の裏で苦しんでいる様子を審査に反映させやすくなります。 -
3. 職場での配慮内容を明記する
理由: 通常の勤務が難しいことを示す根拠になる。
方法: 「休憩時間の調整」「急な早退が可能」「人間関係の配慮」など具体的に書く。
効果: “配慮がなければ就労継続できない”という状況が伝わります。 -
4. 医師と現状を正しく共有する
理由: 診断書と申立書の不一致を避けるため。
方法: 仕事の内容・困っていることをメモにして診察時に見せる。
効果: 医師の記載が実情と一致しやすくなり、審査通過率が高まります。 -
5. 通勤手段と負担を記載する
理由: 通勤も就労の一部であり、障害の影響が反映されやすい。
方法: 「混雑を避けて自転車通勤」「通勤後に体調が悪化」など。
効果: 日常の苦労をよりリアルに伝える材料となります。 -
6. 支援機関の利用状況を記録する
理由: 社会的支援がないと働けない状況を示せる。
方法: 「就労移行支援に週2回参加」「精神保健福祉士の面談あり」など。
効果: “単独では働けない”ことを補強できます。 -
7. 障害年金の申請目的を明確にする
理由: 「働いていても経済的に不安」という現実的な理由は重要。
方法: 家計の状況、生活維持の困難さを説明資料として添付。
効果: 働きながらの生活の厳しさが審査に伝わります。 -
8. 申立書は感情や主観も交えて書く
理由: 精神障害の場合、「しんどさ」を客観的に伝えるのは難しい。
方法: 「毎朝起きるだけで不安」「職場で涙が止まらない」など感情表現も大切。
効果: 共感を得やすく、書類が冷たくならないメリットがあります。
精神障害×就労の障害年金、よくある疑問に答えます
Q. 働いていると障害年金は絶対に通らないの?
A. いいえ。働いていても「症状により支援が必要」「制限された状態での就労」であれば、受給の可能性は十分にあります。
Q. 面接や申立書では“悪く書いたほうがいい”の?
A. 誇張や嘘はNGですが、「実際に困っていること」は正直に書くことが重要です。遠慮せず、本当に困っている点を伝えましょう。
Q. フルタイムで働いてるけど、体調が悪いときもある…申請できる?
A. 状況によっては申請可能です。ただしフルタイムの場合は「職場での配慮」「就労後の消耗度合い」「支援機関の関与」など、補強材料が必要です。
Q. 家族や会社に知られずに申請できますか?
A. 原則、会社に障害年金の申請が伝わることはありません。通帳の受取口座も本人名義で設定できるため、家族にも知られずに申請することは可能です。
まとめ:精神障害でも“働きながら”年金受給は可能です
精神障害があっても、「働いている=受給できない」わけではありません。大切なのは、障害が日常や就労にどれだけ支障をきたしているかを、正しく・具体的に伝えることです。
この記事では、働きながら障害年金を受け取るための考え方、準備、書類の書き方まで詳しく紹介しました。
まずは日々の困りごとや感情の変化を記録することから始めてください。
そして、主治医や支援機関と連携しながら、あなたの“今”を正確に表現する準備を整えていきましょう。
あなたの努力と実態を、しっかり届けるために。障害年金は、決してあきらめる必要はありません。