障害年金をもらいながら働ける?就労と受給の両立で損しないための完全ガイド
「障害年金をもらっているけど、働いても大丈夫?」「働いたら支給が止まる?」「収入の上限ってあるの?」
障害年金の受給者からよく聞かれるのが「働いても支給は続くのか?」という疑問です。「年金=無職の人のための制度」と誤解されがちですが、実際には就労と障害年金の受給は両立可能です。ただし、制度には一定のルールがあり、知らずに働いてしまうと受給停止や返還請求の対象になるケースもあります。
本記事では大阪難波にある社会保険労務士事務所が、障害年金をもらいながら働くためのルール・注意点・おすすめの働き方について、わかりやすく解説します。
障害年金を受給しながら働くことは可能?基本ルールを解説
障害年金は「無職限定」の制度ではない
障害年金は、障害によって生活や就労に支障がある人を支援する制度です。そのため、働いている=年金支給停止とは限りません。むしろ、一定の条件を満たせば就労と年金受給の両立が可能です。
働けるかどうかの判断基準は「障害の程度」
年金の支給可否は、「現在の障害の状態」と「就労状況」が整合しているかで判断されます。特に精神疾患や発達障害などの場合、同じ就労内容でも支給が続く人・止まる人の違いが出るのは、ここに理由があります。
障害等級ごとの扱いの違い
- 障害基礎年金(1級・2級):就労の有無にかかわらず支給可能。ただし2級は「日常生活に著しい制限」が前提のため、フルタイム勤務などは見直し対象に。
- 障害厚生年金(1級〜3級):3級は就労が前提となっているため、働いていても原則問題なし。ただし実態とかけ離れた場合は支給停止の可能性も。
「働いたらすぐ止まる」は誤解
実際には、働くこと=即停止ではなく、「働き方の内容と障害の程度」のバランスで判断されます。大切なのは、「仕事ができている」ではなく「支援が必要な状態で何とかこなしている」ことを正確に伝えることです。
障害年金と就労を両立する8つのポイント(実例付き)
- 働く前に主治医に相談する
働くことで症状が悪化するおそれがあるか、診断書との整合性が保てるかを確認しましょう。就労可能と診断された記録があると、後々の支給継続審査に有利になります。 - 仕事内容・就労時間を記録しておく
就労実態を示す記録(日報・シフト表など)は、「どの程度の負荷か」「どんな支援があるか」を伝える上で非常に重要です。労働時間だけで判断されないよう、実態の資料を整えておきましょう。 - 障害のある状態で「働いている努力」を伝える
支給停止になる方の多くは「普通に働けているように見える」ためです。就労の中で苦労している点(配慮、支援、通院、服薬など)を主張しましょう。 - 就労移行支援・就労継続支援事業所の利用も検討
A型・B型事業所や就労移行支援は、障害年金と併用しながら就労できる制度です。特に初めて働く場合は、支援付きで始めることをおすすめします。 - 障害年金と併用できる福祉制度も活用
障害年金だけでは生活が厳しい場合、住民税減免、障害者手帳による割引、医療費助成などの制度と併用できます。収入全体を考えて設計しましょう。 - 収入の上限ではなく「就労実態」が問われる
よくある誤解が「月○万円までならセーフ」というもの。実際には収入ではなく、どのような仕事をどれだけの支援でこなしているかがポイントです。 - 現況届や診断書の記載内容を確認する
年金更新時の現況届や診断書に、「働いていない」と記載されているのに実際は就労していると、虚偽と判断される恐れがあります。医師に正しい情報を伝えましょう。 - 支給停止になっても再開できる可能性あり
一度停止された場合でも、症状の悪化や就労中止で支給再開となる例があります。更新に備えて書類を残しておくことが大切です。
よくある疑問に答えます|障害年金と働くことのQ&A
Q. 働くと収入の限度額を超えたら即支給停止ですか?
A. 障害年金は「収入額」ではなく「障害の程度」が判断基準です。収入が一定以上でも、障害の状態が継続していれば受給できることがあります。逆に、短時間労働でも「完全就労可能」と判断されるケースも。
Q. 在宅ワークやフリーランスでも受給できますか?
A. はい、可能です。ただし「自由に働ける=障害が軽い」と見なされることもあるため、どんな支援や制限のもとで働いているのか、丁寧に説明することが大切です。
Q. 就労すると報告義務がありますか?
A. 現況届・診断書提出時には必ず就労状況を正しく申告する必要があります。虚偽申告や報告漏れは不正受給とみなされ、支給停止・返還の対象になります。
Q. 支給停止されたら取り消せませんか?
A. 状況に応じて「支給停止事由消滅届」や「審査請求」で支給再開を求めることが可能です。あきらめず、正しい手続きを踏めば再開の可能性は十分あります。
まとめ:障害年金をもらいながら働くには「伝え方」と「バランス」が鍵
障害年金を受給しながら働くことは制度上可能です。しかし、就労内容や勤務形態によっては支給停止・減額の対象になることもあります。
- 就労可否の判断基準は「障害の状態」と「実態」
- 月収の金額よりも「働き方」が審査のカギ
- 主治医や支援機関との連携、記録の保管が重要
働くことに前向きであることは、制度上も歓迎される傾向にあります。大切なのは、「自分の状態に合った働き方」を選び、正確に制度と向き合うこと。働くことで自信を取り戻しながら、制度の恩恵も受けられる未来を目指しましょう。