病歴の正しい書き方とは?障害年金を左右する3つのポイントと実例付き解説
「病歴ってどう書けばいいの?」「覚えていない時期がある…」「適当だと不利になる?」
障害年金の申請において、「病歴・就労状況等申立書(通称:病歴申立書)」の内容は、審査結果を大きく左右します。ところが、「どう書けばいいのか分からない」「医師に任せてしまった」など、書き方に悩む方が非常に多いのが実情です。
本記事では大阪難波にある社会保険労務士事務所が、病歴申立書の正しい書き方・注意点・よくあるミスを、実例を交えてわかりやすく解説します。
なぜ病歴の書き方が重要なのか?3つの「あるあるな悩み」と原因
① いつ・どの病院にかかったか曖昧
初診日や通院歴を記録していない場合、記憶があいまいで記載に迷う方が多いです。結果として「時系列にズレがある」「他の書類と整合しない」と判断され、審査上マイナスになることもあります。
② 回復期や症状の変化が上手く表現できない
病状が悪化・軽快を繰り返している場合、「いつが一番悪かったのか」「今はどの程度回復しているか」が書けず、内容が抽象的になりがちです。審査官に実態が伝わらず、適切な等級に至らないこともあります。
③ 生活への支障が曖昧で「軽い」と誤解される
症状を正確に伝えたつもりでも、「仕事はしている」「一人暮らしをしている」などの情報から「生活に支障がない」と誤解されるケースがあります。客観的事実と主観的困難さのバランスが必要です。
これらの悩みの原因は、多くが書き方のコツを知らないこと。次に、具体的な記載方法をお伝えします。
病歴・就労状況等申立書の正しい書き方と5つの記載ポイント
- 時系列を整理してから書く
まずは通院歴・入院歴をノートに時系列で書き出しましょう。病院の名称・住所・診療科・診断名をできるだけ正確に記録し、申立書の枠に沿って記載します。 - 症状の変化は「期間ごと」に区切って書く
「〇年〇月〜〇年〇月:症状安定」「〇年〇月:悪化して入院」など、段階ごとに整理して記載します。一文が長くなりすぎないように注意しましょう。 - できるだけ具体的な表現を使う
「不安が強かった」→「不安で電車に乗れず通院できなかった」、「痛みがあった」→「夜も眠れず座薬を毎日使用していた」など、実際の行動や影響を具体的に書くことが効果的です。 - 就労状況・日常生活の様子も記載
「就労はしていたが配慮があった」「遅刻や欠勤が多かった」「家事は家族に頼っていた」など、外見上は普通に見える生活でも、困難さを具体的に補足します。 - 通院の間が空いているときは理由を記載
「経済的に受診できなかった」「症状が安定していたため中断した」など、通院空白期間の理由を記載することで、審査上の疑念を避けることができます。
具体例:うつ病による病歴申立書の記載イメージ
【〇年〇月~〇年〇月】 仕事のストレスにより、不眠・食欲低下・不安感が続き、〇〇クリニックを受診。「うつ状態」と診断される。仕事は続けていたが、集中力低下と遅刻が増え、ミスが多くなった。 【〇年〇月~〇年〇月】 体調悪化により休職。家では横になっていることが多く、入浴・食事・洗濯などの日常動作も家族の助けが必要だった。通院は月2回。 【〇年〇月以降】 復職を試みたが継続できず退職。現在は就労していない。外出は週1回程度、買い物も1人では不安が強く難しい。
このように、病状・就労・生活の状況をセットで記載することが大切です。
病歴申立書でやってはいけない3つのNG行動
- 空欄が多い・記載が少ない
審査官は限られた情報で判断を下します。記載が不十分だと「障害が軽い」と誤解されるリスクが高くなります。 - 記載内容が他の書類と矛盾している
診断書や受診状況等証明書との内容が食い違うと、信用性が下がります。医師と記載内容をすり合わせるのが理想です。 - 感情的な表現に偏りすぎる
「つらかった」「死にたくなった」などの表現は、事実の裏付けがなければ効果的ではありません。「何がどう困難だったのか」を具体的に示しましょう。
まとめ:病歴申立書は「伝える技術」で未来が変わる
病歴・就労状況等申立書は、障害年金の審査においてとても重要な書類です。記載内容が正確で具体的であれば、審査官に病状の実態をしっかり伝えることができ、結果的に適切な等級や支給につながります。
覚えておくべきポイントは:
- 時系列と事実関係を整理する
- 就労や生活への影響を具体的に書く
- 診断書や他の資料との整合性を取る
「上手く書けるか不安」「どこまで書いていいか分からない」という方は、社労士などの専門家に相談することで、適切なサポートを受けることができます。病歴申立書は、あなたの言葉で伝える“もう一つの診断書”です。丁寧に、正しく仕上げることが、年金受給の第一歩となります。