正社員でも障害年金はもらえる?働きながら受給するための条件とポイント
「正社員として働いているけど、障害年金は申請できる?」「収入があると審査に不利になるのでは?」と悩む方は少なくありません。障害年金と就労の両立は、誤解されやすいテーマです。この記事では、正社員でも障害年金を受給できるのか、収入や働き方が審査にどう影響するのかについて、詳しく解説します。
正社員と障害年金は両立できるのか?
■ 障害年金の基本的な仕組み
障害年金は、「障害の程度」が審査対象であり、「働いているかどうか」「収入があるかどうか」は直接的な不支給理由にはなりません。障害基礎年金・障害厚生年金ともに、日常生活や就労への支障の有無が判断基準となります。
■ 正社員でも障害年金が認められるケース
- 勤務時間を短縮している(時短勤務)
- 業務内容が限定されている(軽作業のみ)
- 頻繁な欠勤や体調不良がある
- 職場の特別な配慮がある
これらの要素が診断書や申立書で明確に説明されていれば、就労中でも障害年金が認定されることがあります。
■ 実際の例:Cさん(発達障害・30代男性)のケース
CさんはIT企業で正社員として勤務中。週5日勤務だが、業務は限定的で、集中力の低下や対人トラブルが多く、職場の配慮を受けながら勤務している。就労の支援記録や医師の診断書に「常時支援が必要」と記載されたことで、障害厚生年金2級が認定された。
■ 誤解されやすいポイント
- 「働いている=健康」という誤解
- 「正社員だから生活に困っていない」と見なされがち
- 「障害年金は無職の人だけが対象」との誤認
■ 日本年金機構の考え方
実は、日本年金機構の内部マニュアルにも「就労していても障害の状態を満たせば受給対象となる」と明記されています。つまり、就労=即不支給ということではありません。
正社員で障害年金を申請する際の8つの実践ポイント
- 1. 医師に実態を詳しく伝える
「働いているから軽度」と誤解されないよう、勤務中の困難や支援の必要性をしっかり伝え、診断書に反映してもらう。 - 2. 勤務条件を整理して記録
時短勤務、職場の配慮内容、休職歴などを時系列で記録。申立書に添えると説得力が高まる。 - 3. 申立書では「工夫や支援」を記述
働けている理由として、自助努力や周囲の支援を具体的に書く。 - 4. 「普通に働けていない」根拠を示す
ミスの頻度、通院による欠勤、体力的な制限なども明記。 - 5. 就労支援事業所・ハローワークの記録を活用
相談記録や支援者の意見書があると、第三者の証言として有効。 - 6. 定期的な休職・離職歴も添える
「断続的就労」の証明になり、常時の安定が困難であることを裏付ける。 - 7. 家族の支援状況も併せて記述
職場だけでなく、日常生活における家族の支援も判断材料になります。 - 8. 社労士に申請書の添削を依頼
働いている人ほど申請は難易度が高くなるため、専門家のサポートが成功の鍵です。
■ やってはいけない記載例
「フルタイムで問題なく働いています」と書いてしまうと、障害の実態が伝わりません。工夫や配慮の具体例を添えるようにしましょう。
よくあるQ&A
Q. 正社員だと絶対に通らない?
A. いいえ。就労の内容や配慮の有無、障害の程度によっては十分認定されます。
Q. 年収制限はあるの?
A. 原則として、障害年金に明確な年収制限はありません。ただし、高額な収入がある場合は、実態と矛盾がないか審査されます。
Q. 副業していても申請できる?
A. 副業の内容や稼働時間にもよりますが、可能です。生活の実情を含めて総合的に判断されます。
Q. 勤務先に障害年金の申請を知られる?
A. 原則、会社に通知されることはありません。ただし、診断書や証明書に勤務内容を記載する必要がある場合は、会社との連携が必要になるケースもあります。
まとめ:正社員でも「困っている」なら申請の価値あり
障害年金は、「働いていない人」だけの制度ではありません。正社員であっても、障害により日常生活や就労に支障がある場合、受給の可能性は十分にあります。診断書と申立書で「実態」をどう伝えるかがカギです。不安があれば社労士に相談し、支援を受けながら進めていきましょう。あなたの働き方と生活に、もっと安心を。